ストレス発散にラジオを聴くと孤独感も変わる?話し声がそばにある夜を読む

ストレス発散にラジオを流すと、誰かがそばにいるように感じる。その感覚は孤独感の改善と同じなのか。高齢者の番組評価と若い成人のポッドキャスト研究を比べ、気分、支えの実感、現実の交流を分けて読む。聴く時間を増やす前に、番組の選び方と聴き終えた後の確かめ方も考える。

洗いかけの皿を前に、ラジオから知らない誰かの笑い声が聞こえる。返事をする元気はないのに、無音の部屋もしんどい。そんな夜にラジオの話し声を流すと、食器を洗う間だけ誰かと同じ空間にいるように感じることがある。返答を考えなくてよい会話が、部屋に置かれる。

ラジオやポッドキャストが気分や支えの実感に関わる可能性はある。ただし、「気分がよくなる」と「孤独感が減る」は同じ答えではない。高齢者向けのラジオ番組を評価した研究では、気分と生活の質の指標が改善しても、孤独感の指標は変わらなかった。対象は高齢者であり、18〜39歳の女性にも同じ変化が起こるかは、この結果だけでは判断できない。[1]

若い成人では、ポッドキャストを聴くことと幸福感の関連に、誰かがいる感覚や支えられる実感が関わっていた。一方、聴く時間が長いほど心理的な状態がよいという結果は、別の調査では得られていない。ストレス発散のために再生時間を稼ぐより、何が楽になったのかを分けて確かめたい。[2][7]

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ラジオの「楽になった」は何を指しているのか

帰宅後の過ごし方を考えるなら、まず自分の問いを狭くしてみる。「嫌な出来事から気持ちを切り替えたい」のか、「誰かの気配が欲しい」のか、「自分の話を聞いてくれる相手が欲しい」のか。同じ番組を再生しても、求めているものは違う。検索窓には同じ「ストレス発散」と打ち込めても、確かめる出口まで一緒にする必要はない。

中国の若い成人を対象にした研究は、ポッドキャストの聴取、社会的存在感、社会的支援の実感、主観的幸福感を扱った。18〜39歳の女性に絞った結果としては扱えない。社会的存在感とは、音声の向こうに誰かがいるように感じることだ。この研究では、仲間がいる感覚や、話し手との擬似的なやり取りが、その経験として語られている。[2]

社会的支援の実感は、情報の面や感情の面で支えを得ていると感じることを指す。存在を感じる段階と、その存在が自分の支えになっている段階を分けると、単なる音の有無では捉えにくい聴取体験が見えてくる。研究では、こうした感覚を経由する形で、聴取と幸福感との関連が示された。[2]

ただし、幸福感との関連があるからといって、孤独感の変化まで同時に答えが出たわけではない。高齢者の番組評価が気分と孤独感で異なる結果を示したように、何を測ったかが結論を左右する。「昨日より台所に立つのが苦ではない」と「困ったときに頼れる相手がいる」は、日常でも別々に尋ねられる問いである。[1][2]

既存記事「運動のストレス発散は画面の仲間でも変わる?つながりの中身と気分を読み分ける」には運動場面のつながりを譲り、ここでは体を動かしていない時間の話し声と、聴き手が感じる支えを考える。運動への参加を、音声を聴くことの代わりとして評価する記事ではない。

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高齢者向け番組では気分と孤独感が分かれた

オーストラリアのラジオ番組「Silver Memories」は、高齢者が育った時代に関連する音楽を中心に、連続番組などを放送するものだった。その評価には、地域で暮らす人と居住型施設で暮らす人を含む、60歳以上の113人が参加した。毎日の聴取を依頼し、3か月の前後で抑うつ、生活の質、孤独感を調べている。18〜39歳の女性への適用は、世代と番組内容の違いを踏まえて考える必要がある。[1]

結果は、抑うつと生活の質の指標に統計的に有意な改善があり、孤独感の指標には変化がないというものだった。生活の質とは、暮らしのよさを捉える指標である。番組を聴いた後に好ましい変化があった点と、孤独感が減らなかった点を、同じ重さで受け取る必要がある。[1]

この評価は、聴取前と聴取後を比べた研究である。改善が見られたことは重要だが、それをすべて放送の効果と決めることはできない。また、若い女性が夜に雑談番組を聴く場面と、高齢者が懐かしい音楽中心の番組を毎日聴く場面では、対象も内容も違う。結果を移し替えるときは、その距離を残しておきたい。[1]

暮らす場所の違い、もともとの孤独や社会的孤立の有無、評価期間中の重要な健康・社会状況の変化によって、結果は異ならなかった。少なくともこの研究から、施設で暮らす人だけに有用だった、もともと孤独な人だけが変わった、と読み替えることはできない。[1]

ここでの実用的な読み方は、「孤独感まで消えなかったなら無意味」と切り捨てないことである。気分の指標と生活の質には改善が見られた。ただし、それは孤独感への対策を終えてよいという合図にもならない。放送に任せる役割を、測られた結果に合わせて考えるということだ。[1]

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若い成人の研究が示す「誰かがいる」から支えへの道

中国の研究では、357人への質問紙調査に続き、20人への聞き取りを行った。数値による関連と、聴き手が経験をどう語るかを組み合わせる混合研究である。質問紙では、ポッドキャストの聴取と主観的幸福感に有意な正の関連があった。[2]

分析では、社会的存在感と社会的支援の実感を順に経由する関連が示された。聞き取りでも、音声に没入する経験が、仲間がいる感覚や話し手との擬似的な交流と結びつき、それが情報面と感情面の支えとして受け止められる様子が語られた。話し声を背景の音だけとして扱うと、こうした経験を取りこぼす。[2]

例えば、話題そのものが役に立ったのか、話し手の受け答えに親しみを感じたのか、自分だけではないと思えたのか。聴き終えて感想を言葉にするなら、こう分けてみるとよい。これは番組に点数をつける作業ではなく、自分が何を受け取っているかを整理するための問いである。

もっとも、統計上の経路は、時間の順序や原因を確定するものではない。この調査から、聴取を始めれば存在感が生まれ、必ず支えに変わって幸福感が上がる、と約束することはできない。「このような感じ方が関連していた」と読むのが適切だ。生活の中で自分に当てはまるかは、別に確かめる必要がある。[2]

この研究を、高齢者の番組評価と勝敗で比べるのも違う。片方は若い成人の幸福感との関連を調べ、片方は高齢者向け番組の聴取前後に孤独感も測っている。対象、聴く内容、研究の型、結果の指標が違うため、肯定と否定の札だけでは整理できない。[1][2]

聴取時間と体験の中身を分けて読む

複数の国の成人306人を対象とした、事前登録済みのオンライン調査もある。この研究は、性格や好奇心などの個人差、ポッドキャストの聴き方、心理的な状態との関連を調べた。事前登録は、研究の計画を先に登録する手続きである。成人全体の関連が18〜39歳の女性にもそのまま当てはまるかは、別に検討する必要がある。[7]

この調査では、聴取時間は、自律性、有能感、関係性、意味の感覚、今の体験に注意を向けるマインドフルネス、スマートフォン依存と関連していなかった。一方、話し手との擬似的な関係や社会的な関与など、聴き方の一部は好ましい結果と関連していた。量と体験の中身を一緒にしない結果である。[7]

また、新しい経験への開放性、興味に基づく好奇心、考えることへの欲求は、聴取と正に関連していた。所属したいという欲求は、予想に反して負に関連した。ポッドキャストは、孤独を埋めたい人だけが聴くものではなく、情報を知りたいという動機も関わる媒体だと読める。[7]

夕食中に好きな話題を聴くのと、寂しさを感じないよう次々に番組を探すのとでは、自分が番組に頼んでいる仕事が違う。研究を生活へ持ち帰るなら、再生時間を増やす前にその違いを見たい。再生履歴よりも、聴いた後の自分の感想を確かめたい。[7]

同じ「よかった」という感想にも、続きを知れて満足した場合と、話し手の考えに共感した場合がある。成人の調査で情報を求める動機も聴取に関わっていたことを踏まえると、知識を得る楽しさを、寂しさを埋める働きに読み替える必要はない。興味のある番組を楽しめた日は、それをそのまま感想にしてよい。[7]

翌日も同じ番組を選ぶか考えるなら、内容への興味と、聴いている間の親しみを別に振り返れる。若い成人の研究が示した存在感や支えとの関連は、どちらの感想も同じ言葉で片づけずに聴取体験を見る手掛かりになる。[2]

数字で読む音声とつながりの研究

113人:高齢者向け番組の評価に参加した人数。地域と施設の居住者を含む。[1]

3か月:同番組の評価期間。気分などは改善したが、孤独感は変わらなかった。[1]

357人:若い成人のポッドキャスト研究で質問紙に回答した人数。幸福感との関連を分析した。[2]

20人:同研究で聞き取りに参加した人数。存在感や支えの経験を検討した。[2]

306人:聴取動機と心理的な状態を調べた成人の人数。聴取時間と各指標には関連がなかった。[7]

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宮川涼 Founder

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