プーアル茶の抽出物を使った人の試験では、内臓脂肪や体重に変化が報告された。ただし、体重と体脂肪では比較結果がそろわず、普段の一杯への置き換えにも限界がある。日本人の画像測定、脂質や血糖の結果、後発酵茶の成分研究を分け、飲む量を増やす前に確かめたい点を整理する。
プーアル茶の抽出物を使うと、体のどの脂肪が変わるのだろう。日本人を対象にした試験には、腹部の画像で内臓脂肪を測り、比較相手より小さくなったという報告がある。一方、別の試験では体重に群間差があっても、体脂肪の減少には群間差がつかなかった。同じ茶の名が付いていても、「痩せた」の中身はそろっていない。[4][1]
お茶を選ぶとき、体重、腹囲、血液検査の数字を一つの期待にまとめたくなる。だが、プーアル茶の臨床試験が確かめたのは、それぞれの対象者が、それぞれの抽出物を摂った場合の変化である。茶の成分と生物学的な働きを整理したレビューも、人での試験が限られ、治療効果の主張を十分には支えられないと指摘している。[6]

内臓脂肪を画像で測った日本人の試験
題名の問いに最も直接答えるのは、日本人の成人36人を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。参加者は、体格の指標であるBMIが25より大きく30未満の人だった。無作為化とは参加者を偶然の割り振りで分けること、二重盲検とはどちらの処置かを参加者と研究側に分かりにくくして比較する方法である。この試験では、プーアル茶の水溶性抽出物を含む粉末麦茶と、含まない粉末麦茶を比べた。[4]
研究で使ったのは、茶葉を急須でいれたプーアル茶そのものではなく、抽出物を加えた飲料だった。抽出物333 mgを含むもの、または含まないものを、毎日3回の食事の前に飲み、12週間調べた。その後、摂取を終えてから4週間も追跡している。抽出物には没食子酸が多く含まれるという特徴があり、動物での所見を背景に、人でも体重や内臓脂肪を調べる設計となった。[4]
内臓脂肪は、腹部の同じ位置をコンピューター断層撮影、いわゆるCTで写して面積を評価した。摂取開始から12週後、抽出物の群の内臓脂肪面積は、含まない群より有意に小さかった。体重やBMIも調べられ、対照群との有意差が現れたのは摂取開始8週後からだった。腹囲の平均値にも似た傾向が報告されている。[4]
画像で内臓脂肪を見た点には意味がある。腹部の同じ高さで撮った断面を使うため、測定対象が内臓脂肪の面積だと明確になる。体重は体全体の重さ、腹囲は外から測った周囲の長さ、画像は腹部内部の脂肪面積というように、同じ試験の中でも観察する場所と単位が違う。今回の結果では、腹囲にも似た傾向があり、内臓脂肪面積の群間差と併せて報告された。[4]
摂取終了後の追跡も、読み落としたくない点である。抽出物を摂った群の体重とBMIは、摂取前との比較では終了後にも低下が報告された。この追跡では、摂取中だけでなく終了後の体重とBMIも評価の対象になった。参加者が飲料を摂る期間と、研究者が変化を追う期間にずれがある設計である。毎日の摂取を続ける間の変化に加え、摂取を終えた後の経過にも関心を向けた点が特徴だ。[4]
また、検査された生化学指標には有意差がなかった。抽出物を摂った群では、腹部膨満などの有害な訴えも報告されなかった。体重や腹囲、内臓脂肪には変化が報告され、生化学指標には有意差がつかなかったという組み合わせである。体格の変化と血液の結果を両方示したことで、この試験で変化した項目が具体的になっている。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
体重差がついても体脂肪の証明は別になる
脂質が高い人を対象にした別の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、過体重または軽度肥満の59人が登録された。空腹時の総コレステロールが220 mg/dL以上という条件で選ばれた、非アジア人の集団である。食事制限を課さず、プーアル茶抽出物を1日3 g摂る群と、プラセボを摂る群を20週間比べた。普段からお茶を好む人を長く観察した研究とは、問いの立て方が異なる。[1]
この試験で体重減少は、抽出物の群がプラセボ群に比べて統計的に有意だった。一方、体の構成は、二重エネルギーX線吸収測定という方法で開始時と終了時に調べている。腕、脚、腰や腹部に当たる領域、総脂肪量の減少は見られたが、体脂肪の減少が有意だったのは抽出物の群内で開始前後を比べた場合で、群と群を比べると有意には達しなかった。[1]
「群内」と「群間」は、小さな言葉の違いに見える。前者は同じ人たちの始めと終わり、後者は比較相手に対してどれだけ違ったかを問う。抽出物を摂った人の体脂肪が減った、という説明だけでは対照群との比較が抜ける。試験の題名に体脂肪の減少が出ていても、本文を読む際は、どの比較で差が出たのかまで確かめると期待を整えやすい。[1]
日本人の試験とは、測定方法にも違いがある。片方は腹部の断面画像による内臓脂肪面積、もう片方は体組成測定による総脂肪量や部位別の脂肪を扱っている。対象者の条件や抽出物、観察期間も違う。画像で腹部を詳しく調べた試験と、体全体を部位に分けて測った試験を並べると、脂肪を調べる方法の幅も見えてくる。[1][4]
食欲についても、この試験には別の測定がある。参加者は各来院時に、食欲や心身の活力を、線上で程度を答える尺度で評価した。抽出物の群ではプラセボ群と比べて一時的な食欲低下が記載されているが、その結果に添えられたP値は0.1未満である。この尺度は0〜100で答えるもので、食欲に加えて身体的・精神的な活力も各来院時に評価していた。体重と採血だけに絞らず、参加者の主観的な感覚も追っていたことになる。[1]
採血は開始時に加え、4週間ごとに行われた。脂質、C反応性たんぱく、空腹時血糖を同じ間隔で追う一方、体組成の画像測定は開始時と終了時である。血液の経過は途中にも観察し、体脂肪は始めと終わりを比べるという、項目ごとの測定の組み立てだった。[1]
血糖と脂質は体重のおまけとして扱わない
メタボリックシンドロームの患者90人を対象に、プーアル茶抽出物とプラセボのカプセルを3か月比べた無作為化二重盲検試験もある。この研究では、BMIやウエストとヒップの比に加え、血糖、血中脂質、炎症や酸化に関する指標を調べた。腹部の体格、血液の代謝指標、炎症や酸化の状態をまとめて追う構成である。[3]
抽出物の群では、空腹時と食後2時間の血糖、総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールなどが低下し、HDLコレステロールは増加した。LDLやHDLは、コレステロールを運ぶ粒子に関係する検査項目である。研究は、摂取前やプラセボ群と比べて有意な差があったと報告している。アポリポたんぱくB-100も低下し、アポリポたんぱくA-1には増加傾向が見られた。これらは脂質の運搬にかかわるたんぱくで、脂質の量だけでなく関連する指標も評価していた。[3]
これに対し、先ほどの非アジア人の試験では、空腹時血糖と、炎症にかかわるC反応性たんぱくの変化に群間の有意差はなかった。脂質については軽度の改善が記載されるものの、中性脂肪などの記述にはP値が0.08未満という表現が使われている。総コレステロールと総コレステロール対HDLの比には4週で軽度の低下が記載され、中性脂肪などの平均値は8週に正常範囲に入り、その後も範囲内にとどまったと報告されている。[1]
90人の試験では炎症関連の項目にも変化があった。C反応性たんぱく、腫瘍壊死因子α、インターロイキン6は低下し、インターロイキン10は増加した。酸化に関係する指標のMDAは低下し、スーパーオキシドジスムターゼは増加したと報告される。これらを含め、治療前やプラセボ群との比較で有意差が示された。[3]
数字で読むプーアル茶の人の試験
36人:腹部の画像で内臓脂肪面積を評価した日本人の試験の対象者数である。[4]
12週間:その試験で抽出物を含む飲料を摂った期間であり、摂取終了後にも追跡があった。[4]
59人:脂質の条件を満たして登録された、過体重または軽度肥満の試験の人数である。[1]
20週間:食事制限を課さずに抽出物とプラセボを比べた試験の期間である。[1]
90人:メタボリックシンドロームを対象にした抽出物の試験の人数である。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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