ダイエットのオートミールはクッキーでも同じ?手作りの配合と構造を読み解く

ダイエット用にオートミールのおやつを手作りするとき、材料名だけで消化や体重への効果は決められない。クッキーの配合で変わる生地の硬さ、たんぱく質の網目、食物繊維の量を食品研究から読む。健康的という表示への印象と実際の摂取量も分け、研究の数字を家庭のレシピへ持ち帰る際の見方を示す。

天板に並んだクッキーには、朝のお粥と同じオートミールが入っている。同じ材料なら、焼いた後も体への働きは同じだろうか。配合と焼き上がりの構造まで見て比較したい。オート麦を使ったビスケットでも、ほかの粉や油脂などの配合を変えると、生地の硬さや焼き上がりの構造が変わることが食品研究で示されている。[8][9][12]

ただし、硬さが変わったという結果から、消化が遅い、血糖が上がりにくい、体重が減る、と話をつなげることはできない。顕微鏡で見た構造、成分分析の数字、人が食べた量は、それぞれ別の結果である。クッキーの配合研究と、人を対象に表示の影響を調べた実験を並べると、この区別が見えやすくなる。[3][8][12]

高温調理と成分の変化は既存記事「オートミールのおやつは焼き色を控える?高温調理と成分の変化を読み解く」に譲る。ここで考えたいのは、手作りのおやつを前にしたとき、何をそろえれば比較になり、どこから先は期待の足し算になるのか、という問いである。

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オートミール入り、は完成品の説明の入口である

食品の「構造」とは、ここでは粉や脂肪、たんぱく質などが生地の中でどのように組み合わさっているかを指す。多穀物のビスケット研究では、穀物や豆などを混ぜた粉の導入により、たんぱく質がつくる網目が乱れたことが電子顕微鏡で観察された。材料の一覧に穀物名が増えることと、生地の中の組み立てが変わることは、別々に確認できる事実なのだ。[12]

この研究で使った混合粉には、大麦、ソルガム、トウモロコシ、オート麦などの穀物に加え、豆類、雑穀、小麦胚芽が含まれている。小麦粉の一部をこの混合粉に置き換えた実験であり、オートミールだけを増やした比較ではない。混合粉の結果を「オートミールの作用」と短く呼んでしまうと、ほかの材料の参加が消えてしまう。[12]

家庭の手作りでも似た読み違いが起きる。小麦粉入りのレシピをオートミールと種子を使うレシピへ変えれば、変えたのは穀物名だけではない。研究でも、オート麦、エンドウ、フェヌグリークの混合粉に、種子や乾燥果実による油脂・砂糖の置き換えを組み合わせている。その結果は、組み合わせた完成品について読む必要がある。[8]

レシピの見出しは短くてもよい。しかし、比較する側のメモまで短くすると、大事な違いがこぼれる。「オートミール使用」の横に、ほかに使った粉、油脂、甘みの材料を書いておく。それは厳密な研究を家庭で再現するためではなく、違うものを同じものとして比べないための整理である。

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混合粉を増やすと、硬さも広がり方も変わった

多穀物の混合粉を使った食品実験では、小麦粉の置換率を10、20、30、40、50%と変えている。混合粉の導入に伴い、ビスケットの広がりを表す比は10.28から8.15へ低下し、割るのに必要な力は13.25から28.68 Nへ増加した。Nは力の単位であり、この数字は機械で試料を壊すときの値である。[12]

焼き上がりが広がりにくく、壊すのに大きな力を要する方向へ変わったという結果だ。同時に、生地の硬さも311.66から460.26 Nへ増加した。生地を押して調べる硬さと、焼いたビスケットを割る強さは、同じ「硬い」という日常語で済ませたくなるが、測っている段階も性質も異なる。[12]

水を吸う性質にも変化があった。吸水率は56.0から50.9%へ低下し、加熱中のでんぷんの変化に関わる温度は67.10から79.20℃へ上昇した。粉を替えたときの違いは、焼けた後の歯応えだけではなく、生地をつくる段階や加熱中にも現れている。[12]

ここから持ち帰れるのは、「食物繊維を増やしたら必ず硬くなる」という一般則ではない。特定の混合粉を特定の割合で使うと、複数の物性が一緒に変わったという結果である。研究では混合粉の種類も比較し、栄養成分とビスケットの品質の両面から、ある混合粉は40%の置換でも適していると評価している。[12]

栄養の数字だけを採用し、食べにくさは調理の失敗として片づける必要はない。食べ物としての品質も研究の評価対象だった。家庭で配合を変えるなら、どんな食感になったかも記録に残すとよい。材料を増やす競争より、自分が作って食べられる完成品を見つける作業として考えたい。

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同じ穀物入りでも、柔らかくなる配合がある

別の食品実験では、小麦粉に対してロールドオーツを25、35、45%の割合で配合し、さらにチーズを加えたビスケットを検討した。オート麦を配合した生地では、機械で測った硬さが対照の25.05 Nに対し21.73 Nとなった。先ほどの混合粉の研究とは、硬さの変化の向きが異なる。[9][12]

これは研究同士が勝ち負けを決める場面ではない。配合した材料も、生地も、試験条件も異なるからだ。多穀物と豆の混合粉を加えることと、ロールドオーツを配合することは同じ操作ではない。「穀物を足すと硬くなる」「オートミールは柔らかい」という見出しだけでは、どちらの結果も正確に持ち帰れない。[9][12]

ロールドオーツを25%配合した生地へチーズを加えると、生地の硬さはさらに低下し、粘りと弾力に関わる性質も変化した。焼いた製品の広がりを表す比も、チーズを含むものではオート麦配合のものより高くなった。追加した材料は味付けだけを担当していたわけではない。[9]

官能評価、つまり人が食べて味や食感などを評価する試験では、オート麦を25%配合した生地のビスケットが、多くの項目で最も高く評価された。研究の「よい品質」は、最大限にオート麦を増やすことと同じではなかった。この順位を、減量効果や消化のよさの順位に置き換えることもできない。[9]

チーズを含む完成品で測った水分とβ-グルカンの割合も報告されている。β-グルカンはオート麦の成分を考える際に注目されるが、ここでの測定は完成したビスケットの成分値である。レシピの「オート麦25%」と、製品中のβ-グルカンの割合は、何のうちの割合かが違う。[1][9]

計量スプーンを持つ前に、その数字の分母を見る。「粉に対して」なのか「出来上がった食品に対して」なのか。ここを分けるだけで、研究の配合率を自分のクッキー全体の成分率として受け取る混乱を避けられる。材料の袋と焼き上がった皿は、同じ計量の場面ではない。

網目が見えることと、消化を測ることは違う

油脂や砂糖の置き換えを扱った研究では、全粒小麦粉の一部をオート麦などの混合粉に替え、油脂をカボチャ種子やスイカ種子、砂糖を乾燥デーツやレーズンで置き換える条件を調べた。物性と官能評価に基づき、混合粉への置換率75%を、その後の配合検討に用いている。[8]

種子を加えると、生地の硬さは1235から4103 gへ増加した一方、クッキーの広がりを表す比は低下した。前の研究で使ったNとは測定値の表し方も違う。数字が大きい研究のクッキーほど必ず硬い、と研究間でそのまま並べるのは適切でない。測定した試料と方法の中で変化を読む必要がある。[8][12]

電子顕微鏡では、でんぷん粒が覆われ、たんぱく質の網目によるシート状の覆いが現れる様子が観察された。食品の内部には、材料を混ぜたという説明だけでは尽くせない配置がある。ただし、覆いが見えたという観察は、そのクッキーを食べた人の消化速度の数字ではない。[8]

この完成品では、たんぱく質が2倍、食物繊維が3倍に増え、脂肪酸の組成も変化したと報告されている。比較対象と配合条件を伴う、成分分析の結果として読む数字だ。「食物繊維が3倍」という部分だけを抜き出しても、家庭の別のレシピの繊維量や、食べた後の体重の変化は計算できない。[8]

数字を読む際は、材料の割合と、機械で測った力と、人の人数を区別したい。

数字で読む手作りクッキーの比較

10〜50%:多穀物混合粉による小麦粉の置換率として試した範囲。[12]

13.25→28.68 N:混合粉の導入に伴うビスケットの破断強度の変化。[12]

25.05→21.73 N:ロールドオーツ配合に伴う生地の硬さの比較。[9]

2倍と3倍:油脂・砂糖などの置き換え研究で報告された、たんぱく質と食物繊維の増加。[8]

164人と188人:同じクッキーに異なる説明を添えた実験に参加した成人男性と成人女性の人数。[3]

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宮川涼 Founder

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