筋トレの腹筋で首に力が入るとき手は使う?首の曲げ方と腹部の筋活動を読む

腹筋運動でお腹より首が気になるとき、首の力を意識だけで抜こうとしていないだろうか。手で首の曲がりを制限した比較研究を軸に、首と腹部の筋活動の違いを読む。その場の電気信号と長期の筋力向上を区別し、研究の対象や測定方法を踏まえて、自分の練習で何を確認するかを考える。

腹筋運動で、先に疲れるのが首だったら何を変えるだろう。マットに仰向けになり、お腹を丸めるつもりで頭を上げる。ところが気になるのは首の前側だ。腹筋の練習なのに、首が先に仕事を引き受けたように感じる。そんなときは、気合で首だけを脱力しようとする前に、首の曲げ方を変えるという視点がある。

健康な男性13人の比較研究では、通常のカールアップと、本人の手で首の曲がりを制限するカールアップを比べている。後者では首の胸鎖乳突筋の筋活動が低く、腹部の腹直筋と外腹斜筋の筋活動は高かった。首の活動が減ればお腹の活動まで必ず減る、という結果ではなかったのである。健康な男性の比較なので、18〜39歳の女性に同じ変化が生じるかは、この結果だけでは判断できない。[7]

ただし、これは運動中の筋活動を測った結果だ。首が痛くなくなる確率や、腹筋が育つ速さを表した数字ではない。[7] 既存記事「女性の筋トレで肩幅が気になるとき握りすぎる?手の力と肩の筋活動を読む」が扱う握力と肩の関係はそちらに譲り、ここでは腹筋運動の最中に首をどう扱うかに絞る。

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首が働くことと、腹筋の失敗は同じではない

研究で使われたカールアップは、上体を丸める腹筋運動である。比べたのは通常の方法と、手で首の屈曲、つまり首を前へ曲げる動きを制限した方法だ。どちらでも、首と腹部の筋肉の電気信号を記録している。測定対象は胸鎖乳突筋、腹直筋、外腹斜筋だった。[7]

胸鎖乳突筋は首の筋肉、腹直筋と外腹斜筋は腹部の筋肉である。この研究が示すのは、同じ腹筋運動という名前でも、首の動かし方を変えると測定した筋肉の活動の組合せが変わる、という点だ。通常の方法より首の活動が小さく、腹部の活動が大きい条件があった。[7] 首に力が入る感覚だけで、その回の腹筋運動をすべて失敗扱いする必要はない。

「お腹を使う」と「首を使う」を、入れ替わりで点灯するランプのように考えると話が難しくなる。研究では首と腹部を同時に測り、それぞれの変化を比較している。どこかに活動があることと、別の場所が働いていないことは同じ意味ではない。[7] 自分の感覚を言葉にするなら、「お腹に効かない」と決める前に、「首の前側が気になって続けにくい」と表すほうが、見直したい場面が伝わる。

夜のスマホで動画を止め、見本と同じ高さまで上がろうとすると、画面上の形が目標になりやすい。だが、この研究で比較しているのは見栄えのよさではなく、条件を変えたときの筋活動だ。[7] 頭がどこまで高く上がったかだけを採点表にせず、首の曲げ方を含めて動作を説明する。そのほうが今回の結果を練習に結びつけやすい。

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手を使った比較で、首とお腹は逆に動いた

健康な男性13人は、通常のカールアップと、本人の手で首の曲がりを制限したカールアップの両方を行った。表面筋電図という、皮膚の表面から筋肉の電気的な活動を記録する方法で、首と腹部の信号を比べた研究である。[7] 別々の人の「きつそうな顔」を見比べた実験ではない。

首の曲がりを制限した条件では、通常の条件に比べて胸鎖乳突筋の活動が有意に低かった。一方、腹直筋と外腹斜筋の活動は有意に高かった。[7] 有意というのは統計的な比較で差が認められたという意味であり、「本人にとって十分に楽になった」という意味とは分けて読む必要がある。この結果の中心は、首と腹部で変化の向きが違った点にある。

ここから考えられるのは、手を使うことを一律に「腹筋をさぼる行為」と呼べない、ということだ。少なくとも、この研究で行った首の屈曲制限では、首の活動を抑えることと腹部の活動を高めることが両立した。[7] この比較で腹部の活動が高かったのは、手を使って首の動きを制限した条件だった。見た目の頑張りより、何を変えて何を測ったかに注目したい。

ただし「手を使う」という言葉だけで方法をまとめるのは粗い。研究で比較した条件は、本人の手で首の屈曲を制限する方法だった。[7] 後頭部を強く引く、腕の力で上体を持ち上げる、頭の下へ何かを置く、といった別の動作を同じ実験の結果として紹介することはできない。似た姿勢でも、何を制限しているのかを確かめたい。

レッスンで相談するときも、「手を添えてよいか」だけでは情報が足りない。「頭を上げると首の前側に力が集まる。首を曲げすぎない方法を見てもらいたい」と伝えると、研究が扱った条件に近い問いになる。これは痛みの治療法を選ぶ会話ではなく、運動の形を確認するための会話だ。研究の操作を言葉にしておくことが、自己流の再現を避ける手がかりとなる。[7]

頭の重さを数字にするより、何を変えたかを見る

「頭は何キロだから首が疲れる」という説明は、腹筋運動の理由として分かりやすく聞こえる。しかし今回の問いに直接答える研究が変えたのは、頭の重量ではなく首の屈曲の扱いである。[7] 日常の感覚として頭が重いことと、実験で頭の重さを増減させて原因を確かめたことは区別したい。

同じように、首の筋活動が小さくなった結果を、そのまま首にかかるあらゆる負担の減少へ広げることもできない。研究が測定したのは、特定の筋肉の電気的な活動だ。[7] 「筋肉の信号」「首の痛み」「動作のしやすさ」という別々の言葉を、すべて「負担」で片づけると、何が分かったかがぼやける。首が気になる読者ほど、この違いを残しておく価値がある。

たとえば、手で支えたら首が楽に感じたという経験があっても、それだけで筋電図と同じ変化が起きたと判定する必要はない。逆に、実験で首の筋活動が低かったからといって、自分も同じ感覚になるはずだと待ち構える必要もない。比較研究の結果は方法を見直す材料であり、自分の感覚を上書きする命令ではない。[7]

研究の参加者が健康な男性だった点も大切だ。18〜39歳の女性や、首に症状のある人に同じ結果が当てはまるかは、別に確かめる必要がある。[7] 自分と参加者が同じか違うかを確認するのは、研究を役に立たなくするためではない。どこまでを手がかりにし、どこからを個別に相談するかを決めるためだ。

さらに、この結果から「首をまったく動かさないことが正解」という標語を作るのも急ぎすぎである。比べたのは具体的な運動条件であり、すべての腹筋種目やすべての人の首の使い方ではない。[7] 動画の見本に新しい禁止事項を重ねるより、今の動作のどこで気になるかを言えるようにしておきたい。首を意識し続けること自体を、新たな宿題にする必要はない。

首の活動が低くなったという結果は、「首を強く鍛えること」を目標にしている場面とは意味が違う。今回は腹筋運動で首の前側が気になるという問いなので、測定した首の筋肉の活動が下がった条件に注目している。同じ結果でも、何を目的に読むかで注目する場所が変わる。[7] 腹筋の練習に首の我慢比べまで追加するかどうかは、別に考えてよい。

腹部についても、測った腹直筋と外腹斜筋の結果を、腹部の筋肉すべての結果として扱わないようにしたい。研究では測定した筋肉ごとに信号を比較し、それぞれの増減を報告している。[7] 「体幹に効く」という大きな言葉に置き換えるより、「この条件では測定した腹部の筋肉の活動が高かった」と読むほうが、練習を変える理由が具体的になる。

一方で、数字が細かいほど自分向けの処方になるわけでもない。参加人数の13人という数字は研究の規模を表し、自分が行うべき反復回数ではない。[7] 数字を使ってよい場所を見分けることも、研究を読む練習の一部だ。首が気になる日の運動回数を、論文の人数や別の試験の実施期間から作ることはしない。手で動きを制限する方法に関心があれば、まず現在のカールアップと何が違うかを確認するところから始めたい。

数字で読む腹筋運動と測定の違い

13人:首の屈曲を手で制限するカールアップと、通常の方法を比べた健康な男性の人数である。[7]

3つの筋肉:直接の比較では胸鎖乳突筋、腹直筋、外腹斜筋の活動を記録した。[7]

40人:自宅運動の予備的な無作為化比較試験に参加した、思春期特発性側弯症の女子の人数だ。首の手の添え方を比べた人数ではない。[4]

52週間:高齢女性の筋力変化を調べた漸進的な抵抗運動の実施期間である。その場の筋活動とは時間の尺度が違う。[6]

33%:胸髄の脊髄損傷がある参加者の症例集積で、運動プログラム前後の腹筋の反復回数に見られた増加である。首の筋活動の減少率ではない。[10]

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宮川涼 Founder

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