全力30秒の反復で体脂肪は減るのか スプリント・インターバルの試験と続けやすさ

スプリント・インターバルは、全力で動く時間だけならごく短い。それでも休息を含む所要時間と、体脂肪が減る量は別に確かめたい。閉経後の女性や過体重の若い女性の比較試験、持続運動とのメタ分析から、体力の改善と減量の違い、短い反復の楽しさ、生活に取り入れる際の判断を考える。

全力の30秒の後に、4分の回復を置く。そんな自転車運動を週3回、6週間続けた試験がある。[18] 短時間の運動にも、違う時計が入っている。全力で動いている秒数を数える時計と、軽く動いて回復する間も含めて数える時計だ。スプリント・インターバルの研究では、短い全力運動と回復を交互に繰り返す。全力部分の秒数だけでは、その日の運動に必要な時間は分からない。

もうひとつ混ざりやすいのが、体力と体脂肪である。閉経後の女性の試験では両方に変化があったが、糖尿病のある男性の試験では有酸素能力が伸びても体組成に有意な変化はなかった。[1][8] 短く済むことと、大きく痩せることを結びつけず、それぞれの時計と測定結果を読むのが出発点となる。

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全力の反復は、休む時間まで含めて捉える

スプリント・インターバル・トレーニングは、ここではSITと略す。短い全力運動を繰り返す方法だが、研究によって秒数、回数、回復の仕方が異なる。全力の走運動を比較した試験では、30秒を少ない回数繰り返す方法も、5秒を多く繰り返す方法も使われた。[11][14] SITという同じ略称の中にも、異なる反復の組み合わせが含まれる。

REHITは、全力運動の回数などを減らした方法である。糖尿病のある男性を対象とした試験では、軽い自転車運動を含む10分の中に、10〜20秒の全力運動を2回入れていた。[8] この場合の全力時間は短いが、実施するまとまりは10分だ。「たった数十秒」という説明を読むなら、運動のどの部分を切り取った時間かを先に確かめたい。

休息にも中身がある。運動不足で過体重または肥満の若い女性を調べた試験は、全力運動の後に軽くこぎながら回復する方式だった。[18] この試験の回復部分も、自転車のペダルを動かす運動の一部だった。[18] 運動の名前より、実際に何をしていたかを追うほうが比較しやすい。

高強度インターバル全般は、この特集の「HIITで体脂肪はどれだけ減るのか」の記事に譲る。ここで中心にするのは、ごく短い全力の反復と、さらに全力部分を減らした方法である。種目を組み合わせる運動は「クロスフィットの試験が示した体組成の変化」の記事に譲り、秒数の短さが結果と体験をどう変えるかに絞る。

実施条件の違いは、忙しい人にとっても小さな問題では済まない。全力運動だけなら用事の合間に収まりそうでも、回復を含むまとまりを確保できるかは別に考えることになる。研究で使われた時間を読んだら、まず「全力部分」「回復部分」「セッション全体」のどれかに振り分ける。運動の案内では、反復と回復を合わせた長さを基準に参加する内容を探す。

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閉経後の女性では、脂肪と除脂肪量が別方向に動いた

過体重の閉経後女性40人を、SITを行う群と対照群に無作為に分けた試験がある。介入は8週間で、SIT群は週3回、8秒のスプリントと12秒の軽いこぎを交互に続ける20分の自転車運動を行った。[1]

SIT群の脂肪量は、開始前の29.5kgから終了時の29.1kgへ減った。一方、脂肪以外の部分を合わせた除脂肪量は48.1kgから48.8kgに増えた。いずれも群内の変化は統計的に有意であり、除脂肪量の増加は主に体幹と脚で見られた。[1] 脂肪量の数字は低下しているが、大幅な減少というより小さな変化だ。除脂肪量の増加と合わせて読むと、体重計だけでは伝えきれない結果になる。

測定には、エックス線で体の成分を調べる二重エネルギーエックス線吸収測定法を用いた。体幹の除脂肪量は24.4kgから24.8kgへ、脚では15.6kgから15.9kgへ増えていた。[1] 全身の数字に加え、部位ごとの変化も報告されている。

有酸素能力の指標である最大酸素摂取量も、SIT群だけで有意に増加した。ただし、限界まで運動させて直接測定した値ではなく、最大下の運動試験から予測した値だった。[1] 最大酸素摂取量は、運動時に酸素を取り込んで使う能力を表す指標として扱われる。脂肪量の測定と体力の評価では、使われた方法も違っていた。

予測した最大酸素摂取量は、体重当たりで21.7mL/kg/分から24.4mL/kg/分へ増えた。[1] 対照群とSIT群はそれぞれ20人で、同じ8週間の経過を追っている。週ごとの運動を積み重ねた介入の中で、体組成と有酸素能力の両方を測っていたのが、この試験の特徴だ。

若い女性の好結果を、持続運動との平均差で確かめる

運動習慣が乏しく、過体重または肥満の若い女性52人を対象にした無作為化試験では、SITと中強度の持続的な自転車運動を比べた。期間は6週間、週3回で、運動中の推定消費エネルギーが同程度になるよう設計されていた。[18] 全力の有無だけでなく、消費量をそろえようとした比較という特徴がある。

体脂肪の総量の相対的な減少はSITで3.6%、持続運動で0.6%となり、群間差は有意だった。一方、体重には有意な変化がなかった。[18] この数値は、脂肪量の開始時からの相対変化である。腹部周辺の脂肪量についても、相対的な減少はSITで6.6%、持続運動で0.7%となり、SITの減少が有意に大きかった。[18]

同じ若い女性の試験では、有酸素能力も両群で伸びた。開始時からの相対的な増加はSITで14.09%、持続運動で7.06%であり、SIT群の伸びが有意に大きかった。[18] 脂肪だけでなく体力にも群間差が見えた試験である。参加者の平均年齢は20.4歳、平均BMIは30.3だった。[18] BMIは身長と体重から体格を表す指標で、この研究は若い女性の過体重・肥満という背景の中で行われた。

運動は、一般のフィットネス施設の自転車クラスを模した集団形式だった。平均参加回数はSITで15.0回、持続運動で15.8回。1回の推定消費エネルギーはそれぞれ541.8kJと553.5kJで、参加回数にも消費量にも有意な群間差はなかった。[18] 運動の形式に加え、参加の実績も報告した比較である。

個別試験から視野を広げると、違う景色も見える。SITと中強度持続運動を直接比較した無作為化試験23本の系統的レビューとメタ分析では、総脂肪量にも体脂肪率にも、全体として有意な群間差がなかった。[7] 好結果の出た若い女性の試験を残したうえで、この全体像も並べる必要がある。

総脂肪量の標準化平均差は−0.11、95%信頼区間は−0.30〜0.08だった。[7] 標準化平均差は、研究ごとに違う尺度をそろえて比べる単位のない指標だ。信頼区間がゼロをまたぎ、総脂肪量についてSITが持続運動を上回る差は明確にならなかった。[7] 個別試験の好結果と、複数試験を集めた平均の結果が並んでいる。

別のメタ分析は、過体重または肥満の成人343人を含む10研究を集め、SITとHIITを比較した。どちらでも体脂肪率、脂肪量、体重の低下が報告されたが、体組成の変化に有意な群間差はなかった。SITに費やした時間はHIITより約50%少なかった。[20] 比較相手が持続運動なのか、別のインターバル運動なのかを添えると、時間の利点を語れる範囲もはっきりする。

このHIITとの統合解析で、SITの体脂肪率の変化の標準化平均差は−0.57、95%信頼区間は−0.85〜−0.29だった。[20] 同じ解析で、HIITの体脂肪率の変化は標準化平均差−0.56、95%信頼区間−0.89〜−0.24だった。[20] どちらの運動でも体脂肪率の有意な低下が報告された一方、運動同士を比べた体組成の変化には有意差がなかった、という組み合わせの結果である。

数字で読むスプリント・インターバル

40人:閉経後の女性をSIT群と対照群に分けた試験の参加者数。[1]

29.5kgから29.1kg:同試験のSIT群で測定された脂肪量。[1]

23研究:SITと中強度持続運動の体組成を直接比較した統合解析の規模。[7]

−0.11:総脂肪量の標準化平均差。95%信頼区間は−0.30〜0.08。[7]

約50%:HIITとのメタ分析で、SITの実施時間が短かった割合。[20]

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宮川涼 Founder

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