セルライトは血行不良だけで説明できる?局所の血流と凹凸の関係を研究で読む

セルライトを見て血行不良だと決めてよいのか。局所の血流と肌の凹凸を測った研究から、同時に変わることと原因を証明することの違いを読む。配合クリームの比較試験、赤外線を反射する着圧衣類の試験、見た目の評価方法を照らし合わせ、血流を増やせば消えるという説明の確かめ方を考える。

太ももの凹凸を見ただけで、その下の血流まで分かるのだろうか。着替えの途中で肌が気になり、「巡りをよくする」というケアの説明を読むと、凹凸と血行を一続きに考えやすい。しかしセルライトの表面を眺めることと、その場所の血流を測ることは別である。凹凸のある肌を、そのまま血行不良の印と読み替えるのは早い。[3][6]

血流は研究されている要素である。ただし、皮下組織の構造や炎症なども関わると考えられており、血行だけですべてを説明できる段階ではない。血流と見た目がともに改善した比較試験がある一方、微小循環への働きかけを意図した工夫を加えても、凹凸の評価に差が出なかった試験もある。[4][6][9]

既存記事「セルライトは皮下脂肪が厚いほど多い?画像で見る脂肪の量と凹凸の深さを読む」には、脂肪の厚さと表面の形の問いを譲る。ここで確かめるのは、局所の血流が変わると凹凸も変わるのか、そしてその結果から何を原因と呼べるのかである。鏡は肌を映すが、血流計の代わりまでは引き受けない。年齢に伴うたるみと凹凸の区別は「セルライトは年齢とともに増える?皮膚のたるみと脂肪の凹凸を分けて研究で読む」に譲り、こちらは血流と外観の測定に絞る。

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血行という言葉を、皮膚のどこで測るか

セルライトは、主に女性の臀部や太ももの後面・外側に見られる、皮膚表面がくぼんだり引きつれたりする変化として説明される。総説では、皮下組織の構造、炎症、形態、生化学的な変化が発生に関わると考えられている。同時に、成り立ちは完全には解明されていないとされる。[6]

この話で登場する微小循環とは、細い血管を通る局所の血液の流れである。大まかに「脚の巡り」と呼ぶと、皮膚の血流、静脈の状態、皮下組織の変化まで同じ箱に入りやすい。研究で皮膚の血流を測った結果を読むなら、対象はその測定された場所と指標に置く必要がある。皮膚の流れを測る試験と、静脈の状態を確認する検査は、実際に別の評価として扱われている。[4][9]

血流が原因の候補になることには、研究上の背景がある。着圧衣類の試験で示された成り立ちの整理には、微小循環の変化とともに、皮下組織が真皮側へ張り出すこと、それを許しやすい線維性隔壁の向き、真皮の細胞外基質の変化などが挙げられている。真皮は皮膚を支える層、隔壁は皮下の組織を区切る線維の仕切りである。説明の出発点から、血管だけの話ではない。[4]

血液の流れという動きと、組織を支える仕切りという形は、同じ指標ではない。血流を狙う対策を紹介するなら、その後に肌の形を測る段階が要る。仕組みの説明がもっともらしいことと、読者が気にしている凹凸が変わることの間には、比較試験で確かめるべき距離がある。外用剤の総説も、微小循環を増やす成分を複数の作用候補の一つとして扱っている。[6]

また、女性の肌に凹凸があるという事実だけから、普段の過ごし方が悪かったと採点する必要はない。研究が挙げるのは組織の構造を含む複数の要素であり、「座っていた自分のせい」という説明はそこから導けない。体重を減らすことや温めることを急いで目標にする前に、そもそも何を変えたいのかを言葉にしておきたい。[4][6]

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血流と凹凸が一緒に変わった試験をどう読むか

健康な女性46人を対象にした二重盲検の無作為化プラセボ対照試験では、レチノール、カフェイン、ルスコゲニンを含む外用製品が調べられた。無作為化とは、比較する条件への割り当てを偶然に任せる方法である。プラセボは効果を比べるための対照製品であり、二重盲検はどちらの条件かを伏せて評価する工夫を指す。[9]

この試験は、皮膚表面の大きな凹凸、真皮と皮下組織の構造、皮膚の機械的特性、皮膚血流を、複数の非侵襲的な方法で評価した。その結果、配合製品は対照に比べ、いわゆるオレンジの皮のような外観の減少と、皮膚の微小循環の増加で優れていた。血流と見た目を同じ試験で扱った、肯定的な結果である。[9]

ここで大切なのは、「同じ製品で両方が改善した」という読み方である。複数の成分を含む製品が比較されているため、どの成分の作用だったかを単独で決める結果ではない。さらに、血流の増加が間に入って凹凸を改善したのか、それぞれが別の作用で変わったのかも、この比較の結果だけでは分けられない。製品の成績を、そのまま血流だけの成績に置き換えないことが肝心である。[9]

「効果があった」と読むこと自体を避ける必要はない。この配合製品には、対照を上回る外観と微小循環の変化が認められた。ただし、改善の有無と改善の大きさは別に受け止めたい。この試験を根拠に、すべての人の凹凸が消える、どの血行対策でも同じ結果になる、と話を広げることはできない。[9]

たとえば、店頭の説明に「血流への作用がある」と書かれていたら、次に探すべきなのは、その製品で肌の見た目をどう比べたかである。成分名が同じでも、試験された配合製品と自分が手に取った製品を同一視しない。外用剤の総説は、血流、脂肪の合成や分解、組織構造、酸化への働きかけをそれぞれ区別している。作用の候補を知ることは、製品の実績を確認する手間を省く理由にはならない。[6][9]

反射糸を加えても、凹凸の評価に左右差はなかった

別の角度から調べたのが、長波長の赤外線を反射する糸を使った着圧ストッキングの試験である。対象は太ももと臀部にセルライトのある25〜40歳の女性30人で、静脈などの循環不全がある女性は除外された。18〜39歳の女性に当てはめる際も、対象と重なる年齢だけでなく、循環不全を除外した条件を確かめたい。左右のうち無作為に選んだ側だけに反射糸を用い、条件を伏せて比較した。[4]

試験の背景には、長波長赤外線が水と相互作用し、微小循環や代謝過程に関わるという考え方があった。ただし、比較試験で問われたのは、その説明が魅力的かどうかではない。反射糸を加えた側が、加えない側よりもセルライトの評価で優れるか、という具体的な違いである。[4]

結果は、反射糸の有無による左右差を認めなかった。高周波超音波による真皮の指標の変化は有意ではなく、ほかの有効性評価でも改善はないか、あってもわずかだった。一方、皮膚の状態が生活に与える影響をみる質問票は改善した。見た目への作用は小さくても、本人の生活上の受け止め方が変わることはある、という結果である。[4]

この結果を「血流は無関係だった」と読むのも行きすぎである。反射糸を加えた着圧衣類の優位性が示されなかったことと、血流という要素全体を否定することは違う。反対に、赤外線や微小循環という言葉が使われているからといって、外観の改善が保証されるわけでもない。否定されたのは、この比較で反射糸の側が優れるという期待である。[4]

対象者の条件も見落とせない。この試験は循環不全のある人を含めていないため、結果を循環器の病気への対策として持ち出すことはできない。セルライトが気になる人を対象にした外観の研究と、病気の診断や治療の話をつなげない。その区別は、「血行不良」という広い言葉を使うほど必要になる。[4]

この試験の読みどころは、同じ人の左右で条件を比べた点にもある。生活の質の質問票は本人全体の受け止め方を表す一方、反射糸の有無による外観の差は左右の比較で問われた。質問票の点数が良くなったから、反射糸を用いた側の凹凸が特別に改善したとは言えない。評価の対象が人なのか、左右それぞれの肌なのかを意識すると、結果を混ぜずに読める。[4]

外観の成績が小さいという結果を、参加者の満足が無意味だったと扱う必要もない。逆に、生活への良い影響を、そのまま大きな外観変化の証明として使う必要もない。どちらも大切な評価だが、答えている質問が異なる。自分が知りたいのが肌の凹凸なのか、ケアを取り入れた生活の受け止め方なのかによって、見るべき項目を選びたい。[4]

比較の相手を変えると、質問そのものも変わる。配合外用製品とプラセボの比較が問うのは、その製品を使った場合の違いである。反射糸を加えた衣類と加えない衣類の比較が問うのは、糸の工夫を足す意味である。前者の肯定的な結果と後者の差のなさを並べても、「血流対策は全部効く」「全部効かない」という共通の判定にはならない。それぞれの工夫に対する評価として読むのが正確である。[4][9]

数字で読む血流と凹凸の試験

46人:配合外用製品による外観と皮膚微小循環の変化を比較した、健康な女性の人数である。[9]

30人:赤外線を反射する着圧衣類の左右比較に参加した女性の人数を示す。[4]

20人:凹凸の見た目と機器による測定の関連を調べた評価研究の対象である。[3]

0.780:表面形状の測定から得たくぼみの体積と、見た目の評価との相関係数を表す。[3]

18人:血流を副次評価に含めた植物由来配合外用剤の比較試験に参加した女性の人数である。[16]

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宮川涼 Founder

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