ダイエットの寝る前の間食は同じ時刻でも違う?眠りの位相と食欲を分けて読む

ダイエット中の寝る前の間食は、時計の時刻だけで判断できるのか。メラトニンが増える時刻と普段の就寝時刻を手がかりに、食欲、実際に食べる量、糖を処理する反応を分けて読む。夜型でも間食量が増えなかった実験や睡眠制限の研究を照らし合わせ、一律の禁止時刻に頼らず生活を見直す視点を示す。

夕食の皿を片づけた後、菓子の袋を開けようとして手が止まる。「もう寝る前」と言われても、自分はまだ仕事を終えていない。同じ台所の時計を見ている家族でも、いつ眠るかはそれぞれ違う。

寝る前の間食を考えるときは、時計の時刻に加え、体内のリズムのどの位置で食べるかという見方がある。ただし、糖を処理する反応に差が出ることと、夜型の人が必ず多く食べることは別である。就寝に近い時間の糖負荷で血糖反応が大きくなった試験がある一方、朝型と夜型で間食量に差が出なかった実験もある。[4][8]

既存記事「夜遅い食事は太るのか 体内時計と食べる時刻の試験で夕食の悩みをほどく」に夕食全体と体重の問いを譲り、ここでは同じ時刻に食べる間食を、体内時計の位置と普段の眠りに照らして読む。食べたい感覚、手が伸びた量、食後の体の反応を別々に見ることが出発点だ。[2][4][8]

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時計の時刻と、体内の夜はどう違うか

体内時計の「位相」とは、繰り返すリズムの中で今どの位置にいるかを表す言葉である。研究では、薄暗い条件でメラトニンが増え始める時刻を、体内の夜の始まりを捉える目印として用いる。これが薄暗条件下メラトニン分泌開始時刻である。朝型・夜型を自己申告の印象だけで分けず、この目印を使った研究がある。[2][8]

健康な成人72人、女性と男性が36人ずつ参加した夜勤の模擬実験では、この開始時刻で参加者を早い群、中間の群、遅い群に分けた。各群の平均時刻は順に20時24分、21時31分、22時56分だった。実験に参加した人たちの中でも、体内の夜を示す目印には幅があったのである。同じ時刻の間食でも、メラトニンが増え始める前後の位置はそろわない。男女を含む模擬夜勤の結果を、18〜39歳の女性の普段の就寝前にそのまま当てはめることはできない。[8]

ここで、普段の就寝時刻とメラトニンの開始時刻は分けて考えたい。就寝時刻は生活の予定として把握しやすい。一方、メラトニンの開始時刻は研究で測る生理的な目印である。夕食の試験は普段の就寝までの時間を使い、間食の試験はメラトニンの開始時刻を測っている。それぞれ何を基準に比べたかが違う。[2][4]

たとえば帰宅後に食べたとき、「遅かった」という感想だけでは、食事の時刻を指すのか、普段の就寝に近かったのかが曖昧になる。生活を見直すメモでは、食べた時刻と普段眠る時刻を並べるほうが問いを整理しやすい。これは自宅で位相を測定できるという意味ではなく、就寝との位置関係を使った試験を日常に引き寄せるための考え方である。[4]

体内時計を知ることは、夜型という肩書きで食べ方を決めることではない。実際に位相を測った研究でも、間食への現れ方はそろっていない。体内の夜の目印が違うという事実から、個人の間食量や体重の先行きまでを続けて決めることはできない。[2][8]

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就寝に近い糖負荷では、何が変わったか

スペインの遅い時間に食べる生活を背景に行われたランダム化クロスオーバー試験では、845人が早い条件と遅い条件の両方を経験した。普段の就寝の4時間前と1時間前に、8時間の絶食後、75gの糖を飲む検査を受けている。早い夕食と遅い夕食の時刻を模した比較だが、ふだんの菓子を自由に選ぶ間食実験とは異なる。スペインの遅い食事習慣を持つ集団での検査結果であり、18〜39歳の女性の日常の間食にそのまま当てはめることはできない。[4]

遅い条件では血中メラトニンが早い条件の3.5倍だった。糖負荷後の反応を時間全体で積み上げた面積で比較すると、インスリンは6.7%低く、血糖は8.3%高かった。インスリンは糖の処理に関わるホルモンである。血糖の上がり方を時間に沿ってまとめた数値が違ったのであり、体脂肪が8.3%増えたという結果ではない。[4]

この試験が示すのは、同じ糖負荷でも、普段の眠りとの位置関係を変えると反応が違い得るという点だ。参加者が両方の条件を経験する設計なので、単に早寝の人と遅寝の人を比べる観察より、時刻の条件を比べやすい。読み取るべき効果の大きさは血糖とインスリンの反応である。[4]

さらに、メラトニン受容体に関わる遺伝子MTNR1Bのうち、糖尿病リスクに関連する型を持つ人では、遅い条件による耐糖能の悪化が強かった。耐糖能とは、取り込んだ糖を処理する能力のことである。食べる時刻と体の反応を考える際、参加者の特性も無視できないという結果である。[4]

MTNR1Bのリスク型を両親から受け継いだ人と、持たない人を比べた別のランダム化クロスオーバー試験でも、体内のメラトニンが高い時間と夕食が重なると耐糖能が悪くなり、その影響はリスク型を持つ人で強かった。この試験では、遅い夕食で有意な悪化が出たのはリスク型を持つ人であり、持たない人では有意ではなかった。遺伝子型で分けた集団の結果であり、18〜39歳の女性全体に同じ影響が出るとは判断できない。[5]

この違いを「特定の型なら夜食は禁止」と読むのは飛躍である。研究は反応の違いを示しているのであって、読者の遺伝子型を推定する道具ではない。日常に持ち帰れる問いは、帰宅後の食事が毎回就寝の直前に集まっていないか、という程度からでよい。研究の比較時刻は生活を点検する手がかりであり、そのまま全員共通の締め切りにはならない。[4][5]

糖負荷検査と日常の間食を分ける理由は、食べる物の名前だけではない。検査では糖の量、絶食の長さ、開始する時点をそろえて反応を見る。仕事帰りの間食では、それまでに食べた物や食事間隔が人によって違う。試験にある比較を理解しても、そこから自分の菓子の許容量を計算することはできない。条件をそろえて得た反応を、条件の違う生活へ移す際には、この距離を残す必要がある。[4]

また、遅い条件のインスリン反応が低かったことを、体に負担が少なかったと読み替えない。この試験では同時に血糖反応が高く、遺伝子型による差には糖を受けてインスリンを分泌する機能の低下が関わっていた。数値は単独で良し悪しを決めず、一緒に測った反応と組み合わせて読むものである。[4]

夜型なら、食欲も間食量も増えるのか

食べたい感覚と実際に食べる量を分けると、研究の答えが読みやすくなる。成人113人、うち女性57人、平均年齢35.6歳の研究では、朝と夕方に、空腹でない状態で間食を食べる課題を行った。オートミールを出した後に間食を取れるようにし、種類ごとの摂取エネルギーを調べている。翌日の測定で得たメラトニンの開始時刻が遅い人ほど、食欲の評価は高かった。男女を含む集団での関連であり、18〜39歳の女性だけで同じ関連が成り立つかは別に確かめる必要がある。[2]

しかし、夕方の摂取量の変化は食品によって違った。淡白な味の食品と塩味の食品は、夕方のほうが摂取量が低かった。また、課題を受けた順番にも影響があり、後に受けた回のほうが総摂取エネルギーや各種類の摂取量が多かった。夜型の食欲への関連と、時間帯による食べた量の違いは、同じ方向に一直線ではなかった。[2]

条件にも注意が要る。朝の課題は9時で、その前の絶食は8時間以上、夕方の課題は20時で、その前の絶食は2時間だった。朝夕の比較には、体内時計だけでなく食べる前の条件の違いも含まれる。夕方の摂取量が低かったことを「夜なら間食を抑えられる」という方法に変えることもできない。[2]

一方、先ほどの成人72人の模擬夜勤研究では、女性と男性が36人ずつ参加した。夜勤前と夜勤中に間食の機会を設け、空腹感、食べられそうな量、果物やファストフードを食べたい気持ちも調べた。メラトニンの開始時刻で分けた朝型・中間型・夜型の間で、これらの主観評価にも間食量にも有意差はなかった。[8]

この実験では、朝型と夜型で測定時刻による変わり方が違うという結果も出ていない。体内時計の位置が違っていても、急な睡眠不足を伴う模擬夜勤という条件では、その違いが空腹や間食に表れなかったのである。「夜型は必ず食欲が強い」という言い切りは、この結果と合わない。[8]

前者は空腹でないときの間食課題、後者は睡眠不足を伴う模擬夜勤である。食べる状況も評価する場面も違うため、単純に多数決にはできない。現時点で言えるのは、遅い位相と食欲に関連を認めた研究はあるが、その関連から、夜型なら必ず多くつまむと予測することはできないということだ。[2][8]

数字で読む寝る前の間食と体内時計

845人:普段の就寝に対して早い時間と遅い時間の糖負荷を比べたクロスオーバー試験の参加者数である。[4]

4時間前と1時間前:上の試験で検査を始めた就寝までの間隔であり、間食の禁止時刻ではない。[4]

8.3%:遅い条件で高かった血糖反応の面積であり、体重増加率を指さない。[4]

113人:空腹でない状態の間食課題を朝夕に行い、位相と食欲の関連を調べた研究の人数である。[2]

72人:位相で分けた群の間で、模擬夜勤中の間食量に有意差がなかった研究の人数である。[8]

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宮川涼 Founder

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