空腹の筋トレは最後のセットで差が出る?一回の力と反復回数を研究で読み分ける

朝食前の筋トレで最初は動けても、終盤の回数が気になる。最大筋力と筋持久力の違いを手がかりに、口すすぎのメタ分析、ラマダン中の比較試験、糖の補給試験を読む。空腹なら必ず力が落ちるとも、食べなくても同じとも決めつけず、食事条件と測った結果から練習の記録を考える。

朝食前の最後のセットだけ、記録帳に空欄が残った。最初はいつもの重さを持ち上げられた。ところが後半になると、予定の回数に届かない。「空腹だからか、それとも今日は疲れているだけか」。記録帳の余白に、そんな疑問が残る朝がある。

答えの芯は、重いものを一度動かす力と、同じ動きを繰り返す力を分けることだ。糖質を含む液で口をすすぐ研究をまとめたメタ分析では、最大筋力に有意な効果はなかった一方、筋持久力には平均で反復回数が増える効果があった。ただし、これは朝食を食べる場合と抜く場合の直接比較ではない。「空腹だと最後のセットが必ず減る」という答えには置き換えられない。[10]

健康な成人男性を対象に食事条件を比較したラマダン中の試験も、食後の練習に筋力面の利点を示しながら、空腹での練習による筋力や筋肉の大きさの悪化を一律には示していない。18〜39歳の女性の朝食前の練習に、そのまま当てはめるには対象と生活条件が異なる。[7] 空腹を気合の試験にする必要はない。ここで確かめたいのは、お腹を空かせた長さより、予定した練習をどの条件で終えられたかである。

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最初に持てた重さだけでは、終盤を説明できない

最大筋力は、どれだけ大きな力を出せるかを捉える指標である。ラマダンの試験では、スクワットなどで一度持ち上げられる最大の重さを調べている。一方、筋持久力を扱った口すすぎの研究では、繰り返せた回数が評価に使われた。同じ筋トレの話でも、成績表の欄が違う。[7][10]

たとえば、普段の重さで動き始められたことと、その日の予定をすべて終えたことは、記録として分けられる。前者だけを見て「空腹でもいつも通り」と書くと、後半の様子が消える。逆に、終盤に回数が減っただけで最大筋力そのものが低下したと呼ぶのも早い。口すすぎのメタ分析で結果が指標によって分かれたことは、この区別の実例である。[10]

総運動量を考えるときは、扱った重さだけでなく、実際に行えた回数やセットにも目を向けたい。これは「多ければ必ずよい」という主張ではない。何を行った練習なのかを、後から読み返せる形にするという提案だ。重さを維持できた日と、回数まで維持できた日を同じ記号で塗りつぶさなければ、朝食前の練習を見直す材料が残る。

既存記事「二の腕の筋トレは声をかけてもらうと力が出る?一人の練習との違いを研究で読む」には、声かけの問いを譲る。こちらで扱うのは励まし方ではなく、食事条件と、最大の力・反復回数という測り方の関係である。男女で使う燃料が同じかという隣の記事の問いとも分け、今回は筋トレの成績を読むことに絞る。

「できた」「できなかった」の間には、練習の内容がある。出だしの重さ、後半の回数、予定を変更した場面。それぞれを文章にすれば、空腹という目立つ条件だけが、その日の説明を独占しにくくなる。お腹の音は記録係を務めてくれない。

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口をすすぐ研究は、一回の力と回数で答えが分かれた

糖質を含む液で口をすすぐ方法を調べた系統的レビュー・メタ分析は、無作為化臨床試験を13本まとめている。糖質の液とプラセボ、つまり比較用の液との差を集計したもので、最大筋力の平均差は0.25kg、95%信頼区間は−1.81〜2.32kgだった。有意な効果は認められていない。[10]

これに対し、筋持久力では平均差が1.24回、95%信頼区間は0.70〜1.77回で、糖質の口すすぎが有利だった。平均差は全員が同じ回数だけ伸びるという意味ではない。研究をまとめたときに、その程度の差が得られたという読み方になる。最大筋力と筋持久力を一緒にして「糖質で筋トレ能力が上がる」と広げると、結果の輪郭を失う。[10]

研究間の違いを調べた分析では、高い負荷や複数の種目を使う条件などで、筋持久力への利点が大きかった。練習内容によって反応が違う可能性を考える手がかりである。ただし、これは全員に共通する最適な練習構成や、口すすぎの手順を決定する結果ではない。平均の効果が出たことと、個人向けの処方が完成したことは別だ。[10]

ここで気をつけたいのは、口すすぎと食事を同じ介入にしないことである。この研究が比べたのは口すすぎに使う液であって、朝食の有無そのものではない。反復回数に差が出たという発見は大切だが、「朝食を抜いても口をすすげば代わりになる」とは読めない。自分の食事を決める際の答えを、そのまま借りられる研究ではない。[10]

また、反復回数の差が見られたからといって、最後のセットだけに差が集中すると決めることもできない。この記事の問いに対して言えるのは、一回の最大の力が変わらなくても、反復の成績は別に評価する価値があるというところまでだ。終盤に起きた変化を記録する理由と、終盤で必ず低下するという断定を分けておこう。[10]

ラマダンの比較は、食事と時間帯が一緒に違う

健康な成人男性40人を対象にした無作為化比較試験では、ラマダン中、空腹状態で夕方遅くに全身の筋トレをする群と、食事を取った状態で夜遅くに行う群へ、20人ずつ割り付けている。練習は週4日、一回の最大挙上重量のおよそ75〜85%を使い、12回を3〜4セットという設定だった。対象が男性であり、18〜39歳の女性にも同じ結果が得られるかは別に確かめる必要がある。[7]

食後群では、ラマダン開始前と比べ、29日目のスクワットとデッドリフトの最大挙上重量が有意に改善した。報告された効果量は、それぞれ0.21と0.24である。空腹群では有意な変化は見られず、筋肉の断面積については両群とも有意な変化がなかった。著者らは、食後に行うほうが筋力への効果は大きいとし、ラマダン中は断食を終えてからの練習を提案している。[7]

同時に、この試験では、空腹群の筋力や筋肉の大きさに有意な悪化は見られなかった。「食後群で改善した」と「空腹群で失われた」は、異なる主張だ。前者の結果から後者を作ると、食べる前に運動した人を必要以上に不安にさせる。[7]

普段の朝食前の筋トレに当てはめるときは、比較の組み合わせを見る必要がある。食事の有無に加え、夕方と夜という練習時間も違う。したがって、観察された差をすべて食事だけに帰する読み方は避けたい。ラマダンという生活条件の中での比較として扱うのが適切である。[7]

参加者が健康な成人男性だったことも残しておきたい。立川駅へ向かう前に自宅で練習する女性と、対象も時間帯も同じではない。研究を読む価値は、自分と完全に同じ人がいたかどうかだけでは決まらないが、対象の違いを飛ばして「あなたも食後なら同じだけ伸びる」と言うことはできない。[7]

この試験を練習日誌に生かすなら、回数の横に食事と時間帯を書くという形になる。朝食を抜いた朝と、夕食後の夜を比べて差があっても、変更したのは食事だけではない。比較する条件が多くなるほど、原因の名札を急いで付けない姿勢が必要になる。

結果の読み方にも区別が要る。食後群で開始前からの改善が有意だったという結果は、食後群の全員が空腹群の全員よりよい成績だったという意味ではない。群の変化と個人の経過を分け、効果量も添えて読むことで、食事を取っただけで練習の成果が決まるような印象を避けられる。[7]

また、筋肉の断面積は超音波で調べたものであり、スクワットの重さとは測定方法も評価する対象も違う。筋力に改善があり、断面積に有意な変化がないという組み合わせを、矛盾と考える必要はない。この試験では別々に測り、別々の結果が得られたのである。[7]

生活の中で比較を試みる場合も、記録が示すのは自分のその日の経過である。朝食を食べた日のほうが予定を終えやすかったなら、それは予定を組む材料になる。しかし、その経験だけで、食事を取らない人全体の筋力へ一般化することはできない。集団を比較する研究と、日々の予定を調整する記録では、使い道が異なる。

数字で読む空腹の筋トレの比較

13本の無作為化臨床試験:糖質の口すすぎと筋力・筋持久力をまとめた分析である。[10]

0.25kg:口すすぎによる最大筋力の平均差。95%信頼区間は−1.81〜2.32kgで、有意な効果はなかった。[10]

1.24回:口すすぎによる筋持久力の平均差。95%信頼区間は0.70〜1.77回だった。[10]

40人:ラマダン中の練習時間と食事状態を比較した試験の健康な成人男性の人数である。[7]

16人:糖の追加と筋肉内のリボソームの変化を調べた、男女を含む交差試験の参加者数である。[11]

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宮川涼 Founder

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