プロテインは低価格でも同じように補える?値札より先に見る量と原料の比較条件

プロテインを低価格で選ぶとき、袋の値段とたんぱく質の質はどう比べればよいのか。乳由来と植物由来、加工の違い、ロイシン添加を調べた人の試験から、表示量と体内での反応を分けて読む。高いほど筋肉によいと決めず、普段の食事と続けられる予算に合わせて選ぶ視点を示す。

台所に並べたプロテインの袋は、似た大きさなのに値段も原料も違う。安い方を選ぶと、たんぱく質まで頼りなくなるのだろうか。計量スプーンを袋に戻す前に、表示のどこを比べるか決めておきたい。

値札だけから栄養上の優劣は決められない。比較の出発点は、実際にとるたんぱく質の量と原料である。ただし、同じ量をとっても、乳由来と植物由来では食後の必須アミノ酸の反応が違う場合がある。その違いと、長く続けたときの筋肉や健康への影響は、分けて判断する必要がある。[7][17][19]

「プロテインと必須アミノ酸は同じ量で比べる?筋合成の試験と補給の選び方を読む」では補給形態の比較を扱っている。ここでは、買い物の画面で粉末を見比べる場面に絞る。価格を効果の順位に読み替えず、研究でそろえた条件を自分の比較にも持ち込む、という話である。

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袋の価格を比べる前に、何をそろえるか

袋を見比べる際は、総重量、表示の基準となる分量、その分量に含まれるたんぱく質を別々にメモすると整理しやすい。「粉末の量」と「たんぱく質の量」を同じ欄に書かないことが肝心だ。研究で原料間の反応を比較する場合も、たんぱく質量をそろえた試験がある。[8][17]

たとえば、健康な若い男女を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、エンドウ豆由来の原料とホエイを含む食事を、それぞれたんぱく質25 gになるように比較した。クロスオーバーとは、参加者が異なる条件を順に経験する方法である。袋の見た目や計量器具の大きさを合わせた比較ではなく、摂取するたんぱく質量を合わせている。男女を合わせた結果なので、18〜39歳の女性だけでも同じ差になるかは別に確かめる必要がある。[17]

予算を整理するときも、袋の値段だけを並べた表とは別に、自分が実際に使う分量での費用を書くとよい。これは商品の効果を計算する方法ではなく、支出を比べる方法である。使用量を増やすつもりがないのに、研究で使った量に合わせて購入計画まで変える必要はない。試験量は比較条件として読み、自分への摂取指示として扱わない。

次に原材料名を見る。ホエイは乳由来のたんぱく質であり、植物由来には大豆やエンドウ豆などがある。植物性という大きな括りの内側にも、異なる原料や組み合わせがある。植物と動物のたんぱく質を比較したナラティブレビューでは、消化されやすさやアミノ酸組成の違いが、筋肉のたんぱく質を作る反応に関係すると整理されている。[7]

ナラティブレビューは、複数の研究をまとめて論点を整理したものである。個々の商品の試験結果として読むものではない。このレビューが扱うのも、原料や食事の組み合わせと生理的な反応であって、通販の価格帯による順位ではない。原料の研究を読む際は、価格の評価とは別の欄に置いておくのが妥当だ。[7]

表示にアミノ酸の情報があれば、その内容も残せる。必須アミノ酸の構成やロイシンへの注目は、筋肉の反応を考えるうえで意味を持つ。一方、植物性たんぱく質を増量する、アミノ酸を補う、異なる原料を組み合わせるといった工夫は、摂取量や対象者と一緒に評価する必要がある。成分名の横に、摂取量と対象者も書き添えたい。[7]

購入メモは、分からない欄を空欄にしても役に立つ。表示のない消化性を原料名から推測して埋めたり、価格の高さをアミノ酸の多さの代わりにしたりすると、異なる情報が混ざってしまう。食事全体と栄養指標を分けて考える姿勢は、たんぱく質の質を論じたレビューでも重視されている。[19]

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同じ量でも血中の反応は違う、ただし筋肉とは別の測定だ

先ほどの試験に参加したのは、平均年齢24歳の健康な男女20人である。エンドウ豆の濃縮たんぱく、分離たんぱく、押出加工したたんぱく、ホエイの食事を比較した。どの条件でも、食後の血中必須アミノ酸濃度は上がった。しかしホエイと比べると、エンドウ豆由来の条件では、その反応が低かった。18〜39歳の女性にとっては年齢の近い参加者を含む試験だが、女性だけの反応としては扱えない。[17]

押出加工したエンドウ豆では、ほかの加工形態との比較で必須アミノ酸の反応に遅れも見られた。ここで見ているのは食後の血液の変化である。研究者は空腹時と食後に採血し、食後300分までの反応を評価している。「口にした量が同じ」と「同じ速さ、同じ形で血中に現れる」は区別される。[17]

一方、この試験では食後の尿素、血糖、インスリンや満腹感に、食事条件による差は認められなかった。必須アミノ酸の反応で違いがあったからといって、測った項目ごとに結果は異なる。原料の差を読むときは、違いがあった項目と、差が認められなかった項目を同じ重さで受け取る必要がある。[17]

これは、食後の必須アミノ酸が低かった植物性原料を、買い物かごから一律に外す理由にはならない。ナラティブレビューでは、若い人で総たんぱく質摂取が十分な場合、原料間の筋合成の差は小さくなると整理されている。また、たんぱく質量やエネルギー摂取などが整った長期の筋力トレーニング研究では、植物性と動物性で筋量や筋力の増加が同程度となる報告を扱っている。[7]

食後の血液検査と、長期のトレーニングで得た筋力は、別の問いへの答えである。夕食までの間に補いたい人が知りたいことと、長期の筋力向上を目指す人が知りたいことも、完全には重ならない。自分がどちらを知りたいのかを決めると、血中濃度のグラフを、そのまま商品の総合順位として読むことを避けやすい。[7][17]

加工という言葉にも、同じ注意が要る。加工の程度が違えば反応が必ずよくなる、とはこの試験からいえない。エンドウ豆の加工形態を変えてもホエイより低い必須アミノ酸反応という傾向は共通し、押出加工では反応の遅れがあった。加工名の長さは、体内での結果の説明にはならない。[17]

配合と添加は、誰に何を測った試験かで読む

混合原料なら必ず単独原料より優れるのだろうか。高齢男性32人、平均年齢69歳を対象とした無作為化比較試験では、乳由来と植物由来を異なる割合で混ぜた飲料を比較している。カゼインと大豆の組み合わせ、ホエイ・カゼイン・大豆・エンドウ豆の組み合わせ、カゼインとホエイの組み合わせなどである。対象が高齢男性なので、18〜39歳の女性に同じ配合の結果をそのまま当てはめることはできない。[8]

いずれも総たんぱく質量は20 gで、少しずつ摂取させる条件で調べた。消化性には配合間の有意な差がなく、筋たんぱく質合成にも各時点で配合間の差は認められなかった。原料を混ぜる考え方自体を否定する結果ではないが、原料の種類を増やした数だけ筋合成が高くなるという結果でもない。[8]

別の無作為化二重盲検試験では、健康な高齢男性45人を対象に、大豆とエンドウ豆の混合たんぱく質20 g、その混合物にロイシン2 gを加えたもの、ホエイ20 gを比べた。ホエイでは食後の血中必須アミノ酸反応が、植物性の条件より高かった。一方、どの条件でも筋たんぱく質合成は摂取前に比べて増えなかった。18〜39歳の女性での添加効果を直接調べた試験ではない。[1]

血中に違いが出ても、筋合成では同じ結論にならない。この結果は、ロイシンを加えればどんな摂取条件でも筋肉の反応が高まる、という読み方を退ける。ただし、高齢男性への単回摂取の試験である。日常の食事や長期の運動への応用では、摂取の回数や運動条件も合わせて考える必要がある。[1]

混合飲料の試験と、まとめて飲む試験では、摂取のさせ方も異なる。前者に配合間の差がないことと、後者で摂取後の筋合成が増えなかったことは、競合する商品の勝敗として並べられない。対象、量、摂取方法、測定の時間を合わせて読むことで、それぞれの結果が答えている範囲が見えてくる。[1][8]

年配の家族にも同じ粉末を勧めたいとき、この対象の違いは特に大切だ。若年成人と高齢成人をそれぞれ10人ずつ比べた無作為化クロスオーバー試験では、乳、ソルガム、黒豆のたんぱく質を調べた。ソルガムでは、リジンとスレオニンに関する消化性の指標が高齢群で19%低かったが、乳と黒豆では年齢群の有意差は認められなかった。若年群と高齢群の比較であり、18〜39歳の女性に絞った原料選びの順位を示す結果ではない。[6]

年齢の影響も原料によって違うのである。自分に使いやすいものを家族に渡す場合も、「同じ袋だから同じ反応」とは置かない。家族の食事量をどう補うかという問いと、自分の買い物の予算の問いをいったん分ける。それが、対象者の違いを価格差にすり替えない読み方になる。[6][7]

数字で読む、比較条件の違い

25 g:若い成人の試験でそろえた各食事のたんぱく質量。推奨量の提示ではない。[17]

20人:加工したエンドウ豆とホエイを比較した健康な若い男女の人数。[17]

32人:異なるたんぱく質配合を調べた高齢男性の人数。配合間の消化性に有意差はなかった。[8]

2 g:高齢男性の試験で植物性混合たんぱく質に追加したロイシン量。添加条件でも筋合成の増加はなかった。[1]

19%:ソルガムのリジンとスレオニンに関する消化性指標で認められた高齢群の低さ。乳と黒豆では年齢群の有意差はなかった。[6]

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宮川涼 Founder

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