食欲を促す色は皿と料理の対比で決まる?甘さの印象と食べた量のずれを読む

白い皿なら料理が映え、赤い皿なら食欲が変わる。その印象は、食べる量や満腹感まで予測できるのだろうか。皿と料理の組み合わせを調べた実験から、明暗の対比、甘味や苦味の評価、実際の摂取量を分けて読む。結果が食い違う条件を確かめ、食卓で色を楽しむ際の見方を考える。

トマトソースのパスタを白い皿に盛る。棚には黒い皿もある。同じ料理でも見え方が違うなら、食べたい気持ちや食べる量まで変わるのか。食卓を整えるつもりが、皿に食欲の調整係まで頼みたくなる。

皿の色で食事中の摂取量や味の評価が変わった実験はある。ただし、赤い皿で摂取量が減った実験と、白い皿より増えた食事試験が並存する。明るさの対比だけでは摂取量を予測できなかった実験もあり、「料理がくっきり見えるほど食欲が高まる」と単純には結べない。[1][2][6]

既存の「食欲を抑える色は本当にある?赤い皿と青い皿を選ぶ前に読む食事量の研究」と「ダイエットの食事は皿の色でも増える?ワンプレートの色の差と量を研究で読む」には、色選びと量の問いを譲る。ここでは、背景との対比という説明がどこまで働くか、そして味の印象と実際に食べた量を同じ答えにしてよいかを考える。

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皿と料理の対比は、色の名前だけでは表せない

赤い皿に赤い料理、赤い皿に白っぽい料理。この組み合わせを、どちらも「赤い皿の効果」と呼ぶと、料理側の違いが消えてしまう。皿を調べる実験でも、食品と背景を組として考える必要がある。Brunoらは、食品と皿の組み合わせを測光し、明暗の対比と消費量の関係を調べている。[2]

この研究で扱ったのは、無彩色の対比、つまり色合いそのものではなく明るさに関する対比である。専門的にはMichelsonコントラストと呼ばれる指標で検討された。結果は、測定した対比から食品やクリームの消費量を予測できなかったというものだった。赤い皿で消費量が少なかったことを、そのまま「背景との明暗差が原因だった」と説明する見方は、この実験では支持されなかった。[2]

ここで「対比は関係ない」と広げ過ぎてもいけない。調べた組み合わせで、この指標が消費量を予測しなかったという結論である。皿を見たときに感じる印象すべてが、明暗の指標と同じものになるわけではない。色の名前、食品の種類、測定した評価をそろえて読むことが、この結果を日常に持ち帰る出発点になる。[2][6]

たとえば食器売り場で「白い料理には濃い色が合う」と感じたとする。それは自分の盛り付けの好みとして扱えばよい。そこに「だから食べる量が必ず増える」という別の主張を足すと、感想が食事量の法則へ飛躍する。実験で確かめられた結果は、見た目の好みを禁止するものではなく、その好みから何を予測できるかに境界を置くものだ。[2]

また、隣の記事「食欲をそそる色は鮮やかならよい?色相と彩度で違う見た目の期待を研究で読む」が扱うのは、料理の色そのものの問いである。ここでは皿を背景として置いたときに、食べ物との組み合わせに何が起こるかを追う。料理の鮮やかさと、背景との明暗差を同じ言葉で済ませないためである。

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決まった量をつまむ実験では、赤い皿で消費が減った

Brunoらの実験では、参加者を独立した群に分け、赤、青、白の皿に一定量のポップコーンやチョコレートチップを置いた。参加者は感覚評価の質問に答えながら、好きなように食品を試食した。赤い皿では、味わう際の消費量が少なかった。食事全体ではなく、用意された食品を試す場面の結果である。[2]

見逃せないのは、食品に対する全体的な好意の評価は、皿の色によって違わなかった点だ。赤い皿の食品を嫌いになったために食べなくなった、とは説明できない。消費が減ることと、意識して答える「好き」の評価が低くなることは、ここでは同じ動きをしていなかった。[2]

さらに同じ研究は、保湿クリームを手や前腕に塗る場面も調べた。赤い皿でクリームの消費が少なくなる結果が得られ、食品の試食を越えて触覚を使う行動にも広がった。皿に載せたクリームまで登場するところが、この実験の面白い点である。食べ物の味だけに閉じた説明では捉えにくい結果なのだ。[2]

ただし、クリームの実験を食生活の方法に読み替える理由はない。研究者が探ったのは、食品の味に限られない消費行動の共通性である。クリームも減ったから夕食でも同じはずだ、とはならない。むしろ「赤い皿は食べ物をまずく見せる」という身近な説明だけでは足りないことを示している。[2]

日常で比べるなら、映画を見ながらつまむ食品と、空腹を満たすための夕食は、同じ皿を使っていても別の場面として記録したい。試食の研究を読む際には、食べ物が先に一定量用意されていたことと、好きなように試す課題だったことを残しておく。その条件を消すと、後で別の食事試験と並べたときに、どこが違うのか見えなくなる。[1][2]

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自由に食べる昼食では、反対向きの結果になった

Akyolらは、標準的な体格指数の範囲にある、18〜30歳の女性54人を対象に無作為化クロスオーバー試験を行った。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験して比較する方法である。実験日は朝食をそろえ、その後の昼食で、同じ大きさの白、赤、黒の皿を使って自由に食べてもらった。料理はトマトソースのパスタで、清涼飲料も含まれた。[1]

昼食の平均総エネルギー摂取量は、白い皿で945.72 kcal、赤い皿で1102.16 kcal、黒い皿で1113.19 kcalだった。赤と黒は、それぞれ白より有意に多く、赤と黒の間には有意差がなかった。赤い皿がいつでも食事量を抑えるという見方は、この試験の結果と合わない。[1]

この比較では皿の大きさが同じである。そのため、少なくとも研究の設定は「赤い皿だけ大きかった」という比較ではない。一方、測定された熱量はパスタだけの重さではなく、昼食の総エネルギー摂取量である。「赤い皿には麺を多く盛った」と具体的な動作まで断定せず、測られた食事全体の結果として読む必要がある。[1]

また、食事中の摂取量を記録したことと、参加者に感覚を答えてもらったことは、測定の窓口が違う。前者は食べた内容から昼食のエネルギーを捉え、後者は本人の経験を回答として捉える。感覚の尺度が役に立たないのではなく、別の問いに答えているのである。夕飯を振り返るときも、「お腹が満たされた」と「何を食べた」を別々に尋ねる形なら、この研究の比較を取り違えにくい。[1]

もう一つの結果が、満腹に関する主観評価である。感覚を線上の位置で答える視覚的な尺度を使ったが、平均の評価には群間で有意差がなかった。食べた熱量に差があっても、本人が回答した満腹の評価は同じようには分かれなかった。皿の色で摂取量が変わることと、満腹感が強くなることをつなげるには、このずれを通らなければならない。[1]

この試験は若い女性の昼食であり、読者の生活と接点はある。しかし、自宅の夕食、家族で取り分ける料理、違うソースの麺まで、同じ熱量差を約束するものではない。数字は皿の色に印刷された性能表ではなく、この参加者と食事条件で得られた平均である。白い皿の値を、その人に適切な食事量の基準として使うこともできない。[1]

反対の結果を、料理との組み合わせから読む

試食で赤い皿の消費が減り、昼食では白より赤い皿の摂取熱量が多かった。この並びは、片方を間違いとして捨てるより、比較条件を確認する理由になる。前者はポップコーンやチョコレートチップなどの試食、後者はパスタと飲料の昼食である。食品も、行動も、測定した量の意味も重ならない。[1][2]

ただし、この違いを並べるだけで原因が確定するわけではない。「パスタが赤いから」「試食はお腹が空いていないから」と、もっともらしい物語を足すのは控えたい。実験で違った条件を指摘することと、結果の違いを生んだ原因を特定することは別だ。現時点では、赤という名前だけで方向を固定できないと受け取るのが妥当である。[1][2]

皿と食品の組み合わせを重視するのは、都合の悪い結果を「人それぞれ」で片づけるためではない。どの食品を、どの場面で、どんな評価方法で比べたかを残すためである。消費量を調べた実験から味の強さを言い当てたり、満腹感に差がない結果から摂取熱量も同じだったと考えたりしない。この読み方なら、異なる結果をそれぞれの位置に置ける。[1][2][6]

数字で読む皿と料理の研究

54人:昼食の試験に参加した、標準的な体格指数の範囲にある女性の人数。[1]

18〜30歳:その昼食試験の対象年齢であり、全年代を代表する数字ではない。[1]

945.72 kcal:白い皿を使った昼食の平均総エネルギー摂取量。[1]

1102.16 kcal:赤い皿を使った同じ試験の平均であり、推奨量ではない。[1]

1113.19 kcal:黒い皿の平均。赤い皿との間に有意差はなかった。[1]

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