睡眠不足だと喉の渇きも変わる?運動前の飲みたい感覚と尿の調節を読み分ける

睡眠不足の朝、喉が渇いていなければ水分は足りているのか。睡眠制限で渇きが弱まった実験と、強い関連がなかった実験を比べ、尿量やホルモンの変化とは分けて読む。寝不足の日に運動へ向かう前の確認を、飲む量の決めつけに頼らず、感覚と身体の働きの違いから考える。

寝不足の朝、運動着と一緒に水のボトルを用意した。まぶたは重いのに、飲みたい感じはない。そんな朝、「渇いていないから水分は足りている」と判断したくなる。けれど、睡眠を制限した人の実験では、喉の渇きが弱まった結果がある。一方、別の人の実験では、睡眠不足と渇きに強い関連はなかった。[7][14]

睡眠不足による渇きの変化は、実験によって結果が異なる。さらに、飲みたい感覚と、腎臓から尿を出す調節は同じ測定ではない。寝かせない条件で夜間の尿量が増えた試験でも、血中のバソプレシン濃度は変わらなかった。[4]

既存記事「適度な運動後の睡眠は水分で変わる?喉の渇きと夜中のトイレを分けて読む」には、運動後から就寝までの問いを譲る。ここでは逆向きに、寝不足の状態で運動へ向かうとき、飲みたいという感覚をどう受け取るかを考える。眠気、渇き、尿量を同じ名前で片付けないための読み物である。

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睡眠を短くすると、飲みたい感覚は弱まるのか

直接の手がかりは、日常の行動への意欲を調べた実験にある。参加者は56人で、うち31人が女性だった。十分に寝る条件では2晩、それぞれ9時間の就床時間を設け、睡眠制限の条件では2晩、それぞれ4時間とした。さらに、ワクチン接種による免疫への刺激を組み合わせ、睡眠と炎症が別々に、また一緒に行動意欲へどう影響するかを調べた研究である。女性を含む集団全体の結果であり、18〜39歳の女性だけに同じ変化が起こるかは、この比較から判断できない。[7]

睡眠制限と接種は、どちらも睡眠に関する行動への意欲を高め、身体活動や社会活動への意欲を下げた。ただし、喉の渇きの方向は同じではなかった。接種では渇きが増し、睡眠制限では渇きが減った。空腹や食べ物の好みには、どちらの条件も影響しなかった。[7]

ここで見たのは、本人が評価した渇きである。渇きが弱まったことを、そのまま「水分が十分だった」と読み替えることはできない。同じく、飲みたい感じが弱いからといって「腎臓も水を出さなくなった」とつなげるのも早い。この実験の渇きの結果と、尿の排出を調べる実験の結果は、それぞれ別に受け止める必要がある。[7][4]

また、この条件は単に「昨日は少し夜更かしした」という曖昧な分類ではない。就床時間を決めて睡眠を制限している。普段の生活では、寝不足と感じる程度も、続いた期間も人によって違う。実験の方向を知ることと、自分の今朝の渇きが同じ理由で弱いと決めることの間には距離がある。[7]

この研究から持ち帰れるのは、飲みたい感覚にも睡眠条件の影響が現れうる、という点だ。「寝不足なら体が水を欲しがるはず」という一本線の説明では、逆方向に出た結果を取り落とす。飲みたい気分が静かでも、睡眠条件はすでに変わっているかもしれない。[7]

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渇きが変わらなかった研究も、同じ重さで読む

別の実験では、123人を睡眠剝奪、つまり眠らせない条件と、通常の睡眠の条件へ無作為に割り付けた。研究者が調べたのは、眠気と、さまざまな日常行動に取り組みたい気持ちとの関係である。集団全体の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめる判断は控えたい。眠気も睡眠剝奪も、空腹、喉の渇き、食べ物の好みとは強い関連を示さなかった。[14]

一方で、眠気は目を閉じる、休むといった睡眠の準備につながる意欲と強く関係した。眠気の尺度が1段階高いと、休みたい意欲のオッズ比は3.20、95%信頼区間は2.46〜4.16だった。運動したい意欲のオッズ比は0.65、信頼区間は0.56〜0.76であった。オッズ比は、ある回答の出やすさを比較する指標であり、運動量そのものの減少率ではない。[14]

つまり、この実験では、運動意欲と喉の渇きは異なる反応を示した。眠気と運動意欲の関係がはっきりしていても、同じ調査の渇きには強い関係がない。休みたい気持ちが強まる一方で、渇きとの結び付きは弱かった。[14]

渇きが減った研究と、強い関連がなかった研究は、単純な多数決にしない。前者は就床時間を短くした条件を含み、免疫への刺激との組み合わせも調べている。後者は睡眠剝奪と通常睡眠を比べ、眠気と多様な行動意欲との関係を調べた。睡眠の崩し方と問いの立て方が違うのである。[7][14]

この違いを踏まえると、睡眠不足による渇きの変化を、誰にでも同じ方向で起こる症状として数えるのは適切ではない。渇きが変わらない人を「寝不足ではない」と扱うことも、渇きが弱い人を「必ず水分不足だ」と扱うことも、この比較からは導けない。感覚の変化を知る実験は、感覚だけで状態を診断する道具ではない。[7][14]

尿量の増加とホルモンの変化を分けて読む

身体の調節を見た無作為化比較試験では、健康な若い成人20人、うち男性10人が、食事条件をそろえた24時間の調査を別々の機会に受けた。そのうち一方は眠らない条件だった。調べたのは尿量だけでなく、ナトリウムなどの排出、血中の複数のホルモン、血圧や腎機能に関する変化である。男女を含む若い成人の試験なので、18〜39歳の女性への適用では、後述する男女の反応の違いも考慮する必要がある。[4]

睡眠剝奪では尿量が増え、腎臓から出るナトリウムも増えた。増加は男性でより顕著だった。著者らは、急性の睡眠剝奪が、ナトリウム排出と浸透圧利尿を起こし、夜間の尿産生を増やすと結論している。ここでいう浸透圧利尿とは、尿に出る溶質に関わって水の排出が増える現象を指す。[4]

注目したいのは、同じ試験で、腎臓の水の扱いとバソプレシン濃度は変わらなかった点だ。バソプレシンは体液の調節に関わるホルモンである。尿量が増えたから「このホルモンが減ったに違いない」と、結果から原因を逆算する説明は、この試験には当てはまらない。[4][10]

変化したのは別の側面だった。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と呼ばれる、腎臓や循環の調節に関わるホルモン群の時刻によるリズムが影響を受けた。通常は夜間に下がる血圧の低下も弱まり、クレアチニンクリアランスという腎臓のろ過に関わる指標は上昇した。著者らは、循環の変化が腎臓やホルモンを介して関わる可能性を挙げている。[4]

したがって、渇きの話を尿の話へ移すときには、間に検査の違いを挟む必要がある。「飲みたくない」と答えた人の体で、この試験と同じ尿量変化を確認した実験ではない。別の研究の結果をつなぎ合わせて、同じ参加者の一連の出来事として描くと、別々の測定の意味が失われる。[4][7]

尿の試験で食事条件をそろえた意味も見逃せない。寝ない日に普段と違う食べ方をした人を後から集める方法では、睡眠以外の違いも重なりやすい。この試験は、条件をそろえて同じ参加者が別の機会に調査を受ける設計だった。そのうえで夜間の尿産生に変化が出たことは、日常の印象だけで「夜更かしするとトイレが近い」と話す場合より、睡眠条件の比較として受け取りやすい。[4]

ただし、若い健康な成人の急性の睡眠剝奪という範囲は残る。寝不足を何日も繰り返す人、年齢の違う人、もともと夜間の排尿に困っている人に、同じ大きさの変化を約束する研究ではない。男性で尿量の増加が大きかった結果も、その参加者と実験条件に結び付けて読むべきである。平均的な結果を個人の予測へ移すときほど、対象を省略しないほうがよい。[4]

行動意欲の実験にも、別の意味で範囲がある。睡眠制限と免疫への刺激は、どちらも休息に向かう意欲を高めたが、睡眠制限の影響はより広い行動に及んだ。両方の刺激を組み合わせると、一部の行動意欲では単独より変化が大きくなった一方、互いの効果を増幅する形ではなかった。刺激が重なれば、すべての回答が同じ割合で強まるという単純な仕組みではない。[7]

そこで、前夜の過ごし方を振り返るときにも、渇きだけに説明役を任せないようにしたい。運動へ向かう気持ち、休みたい気持ち、飲みたい気持ちを別々に記せば、少なくとも自分の回答を一つに丸めずに済む。実験が示したのも、それぞれの行動意欲が異なる反応をする姿であり、渇きの強さから活動全体を判断できるという結果ではない。[7][14]

数字で読む睡眠と渇きの研究

56人、うち女性31人。睡眠制限と免疫への刺激を組み合わせ、行動意欲を調べた実験の対象である。[7]

2晩ずつ、就床時間9時間と4時間。渇きが弱まった実験で比較した睡眠条件である。[7]

123人。睡眠剝奪と通常睡眠へ無作為に割り付けた実験では、渇きとの強い関連はなかった。[14]

20人、うち男性10人。夜間の尿量増加を確認した若い成人の試験であり、男性で変化が大きかった。[4]

10人、平均23.1歳。睡眠とは独立したアルドステロンの時刻によるリズムを調べた実験の対象である。[10]

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