HIITとクロスフィットの違いは強度だけ?動作の技術と筋力の要素を読み解く

HIITとクロスフィットは、どちらもきつい運動だから同じとは限らない。運動と休息の組み方、多関節の動作、筋力と心肺体力の測り方を研究から読み分ける。女性を対象にした比較試験や競技者の分析も手がかりに、心拍数や回数だけで優劣を決めず、自分の目的と動作経験から選ぶ視点を示す。

走って息が上がる練習と、重りを持ち上げてから跳ぶ練習。同じ「高強度」でも、終えた後に確かめたい成果は違う。HIITとクロスフィットは、きつさ以外に何を比べればよいのだろうか。

違いを分ける軸は、時間の組み方と動作の内容だ。HIITは高強度の運動と休息または軽い運動を繰り返す組み方が軸であり、クロスフィットには重量挙げや体操、筋力種目とインターバル運動の要素が含まれる。運動の時間構成と、何をどう動かすかという内容を分けると、重なる部分と異なる部分が見えてくる。[3][15]

心肺体力を伸ばしたいのか、力を出す動作も練習したいのか。選ぶ前に決めたいのはそこだ。女性を対象とした比較試験では、走る方式と多様な動作を使う方式で心肺体力の改善に差がなく、筋機能の結果には違いがあった。息が上がったという感想だけでは、その日の練習内容を言い表せないのである。[16]

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HIITは時間の組み方、クロスフィットは動作の内容も見る

HIITは高強度インターバルトレーニングの略である。定義を整理したレビューでは、比較的短い強い運動を繰り返し、その間に休息か低強度の回復運動を挟むものとしている。何の種目を行うかだけでなく、頑張る区間と回復する区間がどう配置されているかが大事になる。[3]

一方、高強度機能的トレーニングを表すHIFTは、複数の関節を使う機能的な動作を重視し、種目や運動の長さが変化する方式である。同じレビューは、HIFTでは休息を含む場合も含まない場合もあると整理している。「強く動いて、必ず同じ長さだけ休む」という型に収まらない点が、HIITとの区別になる。[3]

クロスフィットの動作構成を扱う整形外科領域のレビューは、重量挙げ、体操、パワーリフティング、高強度インターバルトレーニングの動きを組み合わせると説明する。したがって、クロスフィットとHIITを完全に別世界の運動として並べるのも、同じものの別名とするのも粗い。含まれる要素が重なっているのである。[15]

研究を読む際には、クロスフィットとHIFTも無条件に置き換えない。本記事では、クロスフィットの構成を確認したうえで、多関節動作と高強度運動を組み合わせる研究を比較の手がかりにする。HIFTの試験で得られた成績を、そのまますべてのクロスフィットのクラスの成績として扱うわけではない。[3][15]

たとえば予定表にHIITとだけ書いてあっても、走る方式か、自重で動作を切り替える方式かで、確認したいことは変わる。前者なら運動区間と回復区間、後者ならそれに加えて種目の構成や動作の調整方法を聞くとよい。レビューが示す定義を、申し込み前の質問に置き換えるのである。[3]

既存記事「HIITのもも上げは高く上げるほどよい?動きの幅と心肺の負担を読み解く」では単一種目の動く幅を扱う。ここでは、種目を組み合わせたときに、技術・筋力・心肺体力をどう区別するかを追っていく。

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同じ心拍数でも、同じ仕事をしているとは限らない

心拍数が高いほど、すべての能力を強く鍛えたことになるのだろうか。この疑問には、健康で活動的な成人を対象に、こぐ運動と自重の複合運動を比較した研究が役立つ。参加者は22人で、平均年齢は25歳だった。健康で活動的な成人の結果であり、18〜39歳の女性でも運動経験が異なれば、そのまま当てはめることはできない。[19]

こぐ方式では、測定した最高出力の85%で1分間の運動を6回行い、間に75秒の回復を置いた。HIFTでは腕立て伏せ、ジャンプスクワット、マウンテンクライマー、自重スクワットを使い、同じく1分間の運動と75秒の回復を組み合わせた。時間の枠を似せながら、動作の内容を変えた比較である。[19]

最大心拍数に対する強度は両方式とも92〜96%だったが、最高心拍数はHIFTで174、こぐHIITで167拍/分だった。ところが運動中の平均酸素摂取量は、HIFTが1.73、こぐHIITが1.93 L/分と逆の並びであった。最高心拍数が高い方で、平均の酸素摂取量まで高かったわけではない。[19]

酸素摂取量は、運動中に体が取り込む酸素の量である。この比較では、最大酸素摂取量に対するピークの酸素摂取量はHIFTが81%、こぐHIITが82%で、有意差はなかった。同じ実験でも、心拍の最高値、酸素摂取の最高値、運動中の平均値では見える景色が違う。[19]

これは、その場の体の応答を測った研究である。心拍数の差を根拠に、数か月後の筋力や持久力の伸びまで決めることはできない。短時間の比較で問うのは「今どんな負荷がかかったか」であり、継続試験で問うのは「何が変わったか」だ。運動直後の画面の数字と、練習の成果は別々に読む必要がある。[19][16]

最大心拍数の85%以上で過ごした時間も測っており、HIFTは6.1±2.2分、こぐHIITは5.0±2.8分で、HIFTの方が有意に長かった。運動区間と回復区間を同じにしても、高い心拍が続く時間まで同じにはならない。心拍の高さだけでなく、その強度にいた時間と使った動作を合わせて読むと、負荷の違いが具体的になる。[19]

筋力が伸びたかは、息切れと別の検査で確かめる

健康で運動習慣のない女子大学生20人を、走るHIITとHIFTへ無作為に割り付けた試験がある。期間は12週間で、走る群では30秒の最大努力のシャトルランと30秒の回復を交互に行った。HIFTでは複数の機能的な動作を使い、運動と軽い回復運動の時間比を2対1とした。[16]

最大酸素摂取量は、走る群で17.1±5.6%、HIFT群で12.7±6.7%改善した。最大酸素摂取量とは、最大限の運動時に酸素を取り込んで使う能力の指標である。見た目の改善率には差があるが、群間の差は統計的に有意ではなかった。ここを「走る方が心肺体力に優れる」と言い切ることはできない。[16]

筋機能では、HIFT群で上体起こしが16.5±3.1%、立ち幅跳びが5.1±2.2%有意に改善し、走る群では改善が認められなかった。ただし、この結果を「最大筋力がその割合で増えた」と読み替えない。測ったのは上体起こしと跳躍の成績であり、重い物を持ち上げる限界の重量そのものではない。[16]

筋力、繰り返し動く能力、跳ぶ力は、日常会話では一緒に「筋肉が付いた」と表現されがちだ。しかし、試験でどの検査を使ったかを知ると、期待を具体的にできる。跳ぶ成績が伸びた話を聞いて、自分の扱える重さも同じように変わると想像する前に、何が測られたかを確かめたい。[16]

重さを使う検査を行った別の予備的研究では、運動習慣のない中年女性8人が、監督下で最初に2週間のHIIT、その後6週間のHIFTに参加した。介入前後で、ベンチプレスの1回だけ持ち上げられる最大重量と、デッドリフトの5回反復できる最大重量が改善した。標準化した変化の大きさは、それぞれ2.51と1.83だった。中年女性の小規模な結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできず、年齢と運動経験の違いを考える必要がある。[8]

ただし、これは前後を比べる小規模な準実験であり、HIITだけを続ける比較群との試験ではない。変化の数値が大きくても、HIFTがHIITより優れる証拠とはならない。運動から遠ざかっていた女性にも筋力面の変化が観察されたという可能性と、比較による優劣の判定を分けて受け取る研究である。[8]

重さを使う検査の読み方にも注意がいる。1回の限界を調べたベンチプレスと、5回の限界を調べたデッドリフトは、種目も反復条件も異なる。同じ研究に載った変化の大きさを見ても、腕と脚のどちらがよく育つかという順位にはできない。自分の記録を残すなら、種目名と反復条件を一緒に書く方が、単に「筋力が伸びた」と記すより変化を確かめやすい。[8]

また、この中年女性の研究では、運動への障壁の感じ方が減り、自分にもできるという自己効力感が高まった。体力の検査に加えて、参加する本人の認識も調べた点が特徴である。ただし、少人数の前後比較である以上、こうした気持ちの変化が必ず起きるとは約束できない。内容を調整しながら取り組めるかという視点とともに読む結果だ。[8]

数字で読むHIITと多様な動作の比較

20人・12週間:運動習慣のない女子大学生を対象とした無作為比較試験。[16]

17.1%と12.7%:走るHIITとHIFTの最大酸素摂取量の改善率。群間有意差なし。[16]

174と167拍/分:成人の単回比較での最高心拍数。HIFTとこぐHIITの順。[19]

32人・週2回:女子バレーボール選手の比較試験。通常練習に追加して実施。[5]

18研究・490人:競技者の跳躍を扱うメタ分析の対象規模。[11]

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