インナーマッスルは画面を見ていても先に働く?注意の分散と腹筋の準備を読む

視覚の合図に応じた腕の運動では、腹横筋が肩の筋肉より先に活動した。動作の選択や開始時刻の予測を調べた研究から、深い腹筋の準備を読む。スマホを見ながらの運動へ広げられる話と区別し、腰痛の有無による違い、筋活動の早さと痛みの改善を混同しない考え方、練習を振り返る視点を示す。

腕を上げる合図が光った。その瞬間、肩より先に動き始める腹筋がある。お腹を固めようと考えるより早く、身体は次の動作に備えているのだろうか。視覚の合図に反応して腕を動かす実験では、腹横筋が肩の筋肉より先に働いた。腹横筋は腹部の深い層にある筋肉であり、ずっと意識を向けていなければ働かない、とする見方はこの実験に合わない。[20]

ただし、動く合図を見ることと、別の内容を読みながら動くことは違う。動作を選ぶ課題を複雑にした研究では、腰痛のない人とある人で腹横筋の反応が異なった。「画面があると働かない」「自動だから何を見ても同じ」のどちらにも飛びつかず、何を見て、何を判断していた実験なのかを読む必要がある。[18][20]

既存記事「インナーマッスルは咳より先に働く?息の勢いと深い腹筋の準備を研究で読む」には呼吸に伴う準備を譲り、ここでは腕の動きと視覚の合図に焦点を絞る。お腹を強く固めた感覚より、動き出す前後の順序を見ていく。準備の早さが変わることと、腰痛がよくなることも別の結果である。[1][19]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

腹筋の準備は、腕の動きより前にも始まる

腕を素早く上げる場面で、腹部の筋肉がいつ働き始めるかを調べる方法がある。筋電図は筋肉の電気的な活動を記録する検査だ。腹横筋のような深い筋肉には細いワイヤーの電極を使い、肩の三角筋の活動開始と時刻を比べる。目で見える腕の上がり方だけではなく、動きの裏で起こる筋活動の順番を扱っている。[20]

視覚刺激に応じて肩を素早く動かす実験には、15人が参加した。腕を前、横、後ろへ動かす条件で調べたところ、腹横筋の活動は動作方向によらず三角筋より先に始まった。他方、内腹斜筋、外腹斜筋、腹直筋、腰部の多裂筋は、腕を動かす方向によって開始時刻が違っていた。腹筋ごとに、動作方向への応じ方が違っていた。[20]

このように、これから起こる動作に備える姿勢の調整を予測的姿勢調整と呼ぶ。フィードフォワードという言葉も使われる。動きが起きた後に対応する仕組みと区別して考えるための言葉だ。健康な男性14人に外から前後の揺さぶりを加えた実験では、予測できる前方からの刺激で腹横筋と大腰筋が先行して活動し、予測できない刺激では深い体幹筋の事後の反応が観察された。男性を対象とした結果であり、18〜39歳の女性にも同じ活動順序が現れるかは別に検証する必要がある。[6]

つまり、準備をする働きと、起きてから調整する働きがある。予定外の動きの後に腹筋が反応したからといって、それだけで失敗とは呼べない。同じ実験でも、刺激を予測できるか、どの方向から来るかによって活動開始と活動量は変わった。身体の支え方を「先に働いたか」だけの採点表に縮めないことが大切だ。[6]

動画を止めてポーズを考える日常の場面にも、この区別は役立つ。ただし、実験で使われた素早い肩の運動と、ゆっくり姿勢を取る練習は同じ課題ではない。腕の実験で得られた順序を、そのままどのポーズにも当てはめない。研究が示すのは、腹筋には動作に先行する活動があり、その組み合わせが課題に応じて変わるというところまでである。[6][20]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

光を見る課題と、画面に気を取られる課題は違う

最初の実験で視覚刺激は、運動を始めるための合図だった。見た情報と行う動作がつながっている。動画を見て動きをまねる場合も、画面は練習の手がかりになり得るが、メールの文章を読みながら動く場合には、読む内容の理解という別の仕事が加わる。視覚刺激があるという共通点だけで、両者の腹横筋の反応を同じとすることはできない。[20]

関連する研究では、腕を前に上げるか横に上げるかという指示への予期を変え、運動課題の複雑さを高めた。腰痛のない対照群では、課題が複雑になると三角筋と表層の腹筋の反応時間は延びたが、腹横筋の反応時間は一定だった。肩の動作の判断が遅くなっても、腹横筋が同じように遅れるとは限らなかったのである。[18]

一方、腰痛のある人では、課題が複雑になるにつれて腹横筋の反応時間もほかの筋肉とともに延びた。研究は、腹横筋を動員する違いを、単純な神経の伝達の遅れだけでなく、姿勢反応の組み立て方の変化として考察している。腰痛のある参加者の反応を、18〜39歳の女性全般の注意の分散への反応にそのまま当てはめることはできない。身体が先回りする仕組みは、動作をどう計画するかとも関係する可能性がある。[18]

ここから「集中力が低い人は腹横筋が弱い」とは言えない。調べたのは動作の選択を含む課題での反応時間であり、性格の評価でも筋力測定でもない。検索語の「インナーマッスル メンタル」に答えるなら、動作の計画を扱う神経の働きと、本人の気の持ちようを分けたい。研究参加者の腰痛の有無による違いを、努力や気合いの差に置き換えない。[18]

スマホを使うすべての場面に、腹筋への同じ影響を予告するのも早い。画面を見たという外形より、画面が開始の合図なのか、次の動作の説明なのか、運動と無関係な読み物なのかを区別する方が研究に近い。通知を消すことは練習環境の整理として選べるが、それを腹横筋の活動を早めると実証された方法として宣伝することはできない。[18][20]

動く時刻を知るだけでも、準備の条件は変わる

開始時刻の予測に注目した実験には、健康な男性10人が参加した。予測できる条件では3秒のカウントダウンに従い、予測しない条件では光の刺激に反応して、利き手側の肩を素早く動かした。腕を動かすこと自体をそろえつつ、始まりを待てる場合と、不意の合図に応じる場合を比較した実験である。対象は男性であり、18〜39歳の女性で同じ変化が得られるかは、この比較だけでは判断できない。[9]

腕を横に上げる動作と後ろへ動かす動作では、開始時刻を予測できると、腹横筋、内腹斜筋、腰方形筋の前後の層が早く活動した。活動が早まったのは、横と後ろへ動かす条件だった。予測が関わるという点は重要だが、すべての筋肉に、あらゆる運動で共通する効果と広げてはいけない。[9]

視覚の研究と並べると、興味深い整理ができる。目を使うこと自体が邪魔なのではなく、光を合図として使う条件もあれば、動き始めをあらかじめ知っている条件もある。さらに、動作の種類を選ぶ必要がある条件もある。これらをまとめて「注意がそれた」と呼ぶと、開始時刻の予測と動作の選択という異なる要素が消えてしまう。[9][18][20]

立川駅から帰って動画を開き、まだ動き方を覚えていない場面を考えてみる。画面を止めて説明を確かめるか、動きながら次の指示を追うかは、自分で選べる練習の組み立て方だ。これは研究結果を眺めるための生活上の例であり、停止ボタンに筋肉を鍛える効果があるという話ではない。再生速度と筋活動の開始時刻は別の時計である。[9][18]

研究を生かす際には、自分が何を変えたのかを言葉にしておくとよい。「今日は始まりがわかった」「次の動きが不明で途中から追いかけた」といった記録なら、予測の条件を振り返れる。「深い筋肉が使えた気がする」という感想だけから、筋電図で測る開始時刻を推定することはできない。[9][16]

開始時刻という数値にも、測り方の違いがある。健康な14人で、細いワイヤーを用いた筋電図と、超音波で組織の動く速度を見る方法を比べた研究では、超音波の方法で腹部の筋肉群の最も早い活動を捉えられた。ただし、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋をそれぞれ区別した開始時刻として扱うことはできなかった。[16]

両方法の開始時刻の平均差は20ミリ秒で、一致の限界は−40〜80ミリ秒と幅があった。研究では、筋肉の電気活動から組織が動くまでの遅れが平均差を説明する可能性が挙げられている。腹部の動きを感じた時刻を、電極が拾う時刻と同じものと考えないために役立つ数字である。[16]

家庭で鏡や画面を見ていると、見える変化こそ身体の全情報と思いやすい。しかし、研究では活動の順序を専用の方法で測っている。服の上からお腹が動いて見えたかどうかは、それと同じ検査にはならない。映像を見ながらの感想は感想として残し、腹横筋の開始時刻という測定結果とは分けておきたい。[16]

数字で読む腹横筋の準備

15人:視覚刺激に応じた腕の運動で、腹横筋が三角筋より先に活動した実験の参加者数である。[20]

10人:開始時刻を予測できる条件とできない条件を比べた健康な男性の人数である。[9]

3秒:予測できる条件で使われたカウントダウンの長さであり、家庭の練習に必要な秒数を定めた数字ではない。[9]

22人:反復性腰痛のある参加者を、腹横筋の分離した収縮練習と腹筋運動に無作為に割り付けた試験の人数である。[3]

15編:腹横筋などの変化と腰痛・生活上の支障の変化の関係を整理した系統的レビューの採用論文数である。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約