踏み台昇降は続けやすいか ステップ運動の実施率と体脂肪の変化を分けて考える

踏み台昇降は続けやすく、ダイエットにも役立つのか。中高年の短期試験で示された実施率と、体組成が変わらなかった結果を並べ、ステップ運動の価値を考える。体脂肪、筋力、心肺体力の違いや、筋トレを組み合わせた研究も確認し、自宅で始めるときに何を目標にするかを整理する。

踏み台を買うところまでは、運動は順調である。困るのは、そこから先だ。部屋の隅に置いた台を見るたび、今日こそ使おうと思う。外へ出ずにできる手軽さと、実際に続くことの間には、まだ暮らしが挟まっている。

座りがちな中高年を対象に、自宅や職場で行った踏み台運動の小規模試験では、プログラムの実施率が96%だった。ただし、体力は改善しても体組成や脚の筋力には変化が検出されなかった。[20] この組み合わせは、踏み台を選ぶときのよい出発点になる。続いたことと、痩せたことを、同じ成績表の欄に入れないのである。

ここでは、階段を何段上るかという計算から少し離れ、踏み台を使う運動が暮らしに収まるのか、何を変えうるのかを考える。床の上で足を運ぶ運動まで一緒にしてしまうと、期待する効果も、必要な準備もぼやけてしまう。

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「ステップ運動」の名前だけで選ばない

台に上って下りる運動、足元のペダルを踏む機器、階段が動く機器は、同じように脚を動かしていても仕組みが違う。女性を対象とした実施可能性のレビューは、このような複数の方法を比較している。研究で運動量を厳密に管理する用途には、動く階段式の機器が有利だと評価しており、高血圧の女性11人による実例も扱っている。[2]

この評価を、自宅の踏み台が最も続けやすいという順位表に置き換えることはできない。実験で条件をそろえやすいことと、家で準備が面倒に感じられないことは、選ぶ基準が違うからだ。レビューの対象となった機器で実施できたという結果は、その機器と対象者の条件を添えて受け取る。[2]

また、スクエアステッピングと呼ばれる足運びの運動もある。高齢者を対象とした無作為化比較試験では、屋内のスクエアステッピングと屋外の歩行を比較している。[7] 一方、ベンチステッピングの試験は、台の高さを段階的に変えながら上り下りを行う内容だった。[9] 同じステップという言葉でも、足を置く位置を変えることと、段差に体を持ち上げることは区別したい。

自分が購入を考えている道具、動画で見た運動、研究の運動が同じかを確かめる。たとえば、床で足順を覚える運動の成績を読んで、台を高くすれば同じ効果が増すと考えることはできない。最初に運動の姿をそろえるだけで、情報の混線はかなり減る。

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短く分けても続いたが、観察したのは短期間だ

Mairらの予備的な試験では、健康だが座りがちな55〜64歳の成人31人が参加した。このうち男性は12人で、自宅または職場で行える、短時間で強度の高い踏み台プログラムが検討された。実施した期間は4週間で、週3日、合計で1日最大9分までの運動を短く分けて積み重ねる内容だった。[20]

研究者は、まず運動介入を行わない4週間の前後を測定し、その後に運動期間を設けて再び測定した。運動をしない別の集団と同時に無作為に比べた試験ではなく、同じ参加者の対照期間と介入期間を比較する設計である。実施率96%という高さには目を引かれるが、少人数の予備的な研究という位置づけも一緒に残しておきたい。[20]

変わったのは心肺体力に関する指標だった。体組成と下肢筋力には変化が検出されなかった。[20] 心肺体力とは、呼吸や循環を使って運動を支える能力のことだ。この研究では、短い運動を積み重ねて実行できたという成績と、体を構成する脂肪などの変化が確認できなかったという成績が同居している。[20]

ここから暮らしに持ち帰れるのは、長い運動時間を確保できない人にも検討できる方法がある、という見通しである。試験の時間をそのまま全員の開始量にする話とは分けたい。もともと座りがちな人が取り組んだとはいえ、内容は強度の高い運動だった。短いという形容詞だけで負担の軽さまで決めない。[20]

実施率という数字を見るときは、何を実施した割合なのかもそろえておきたい。自宅や職場で運動した割合と、会場へ集まるプログラムへの出席率は、どちらも続け方の手がかりだが、同じ条件を測っているとは限らない。[4][20] 予定した運動をどの程度行えたかを見るのか、決まった場に来られたかを見るのかで、自分の生活への当てはめ方も変わる。数字だけを比べて、より高い方の運動を買うという選び方は避けたい。

別の比較試験では、地域で暮らす高齢者36人が、青竹型の器具を使うステップ運動か歩行に非無作為に分けられた。10週間にわたる出席率は、ステップ群が91.1%、歩行群が89.7%だった。脚の機能などは改善したが、変化の仕方に群間の有意な差はなかった。[4] 高い出席率は踏み台側だけの専売特許ではなく、歩行にも見られたのである。

この試験で使ったのは、足裏を刺激する凹凸のある低い器具だった。[4] 一般的な踏み台昇降とは条件が異なる。両研究から、家の踏み台なら誰でも長年続くとまでは言えないが、運動を実施できたかを結果として確かめる姿勢は参考になる。運動のメニューに加えて、準備、場所、参加のしやすさにも目を向けるための資料である。

体重が動かなくても、研究で変わったものはある

以前は運動習慣がなかった高齢女性13人を調べた研究では、12週間のステップエアロビクス後に、体格指数であるBMIには有意な改善が見られなかった。一方、腹囲や、椅子から立つ動作、柔軟性、動的なバランスや敏捷性、歩行による心肺体力などの評価は改善した。[6] 体重に身長を加味した指標と、体を動かす機能は、別の結果を示しうる。

この研究では、腹囲の変化に関する効果量が1.6、椅子立ち上がりが1.49、歩行による評価が1.06と報告された。[6] 効果量は変化を比較しやすくする指標であり、腹囲がその数値だけの長さ減ったという意味にはならない。数字が大きく見えても、センチメートルやキログラムの代わりとして読まないことが大切だ。

さらに、運動をやめて1か月後には、上半身の筋力を除いて、改善が逆方向へ動く様子も見られた。[6] ただし、参加者は少なく、同時に比較する対照群を置いた研究ではない。長期的な減量効果を証明する資料というより、体重だけでは見落とす変化や、休止後にも測る意味を示す研究として扱いたい。

体力検査の内容にも目を向けよう。椅子から立つ、歩く、体を伸ばすといった動作は、運動を続けるうえで自分が何を変えたいのかを考える材料になる。[6] たとえば買い物へ歩いて行きたい人と、立ち座りを楽に行いたい人では、同じ体重でも気になる成績が違うはずだ。研究の検査を家庭で自己判定するというより、体重以外の目標を言葉にする手がかりとして使う。日常で楽に感じたという感想と、研究で測定した改善は区別しながら、自分が運動に求めることを具体的にしていく。体重計は便利だが、椅子から立つ様子までは表示してくれない。

骨量が低い閉経後女性48人を無作為に分けた別の試験では、10週間の集団ステップエアロビクスによって、上肢と下肢の筋力、心肺持久力が改善した。しかし、骨密度には両群とも有意な変化がなかった。[3] 動く力が改善したことを、骨そのものが短期間で丈夫になったという説明へ広げることもできない。

骨の分解に関わる指標では、変化率に群間差があった一方、介入と時間の交互作用には有意差がなかった。[3] 交互作用とは、群によって時間経過の変化が異なるかを調べる見方である。同じ研究でも分析の切り口によって結果の表情は違う。骨の指標を一言で「改善」と片づけず、比較的はっきりした体力の結果と、解釈に幅が残る結果を分けるのが妥当だ。

この骨量が低い女性の試験では、平均年齢は58.2歳で、運動は週3回、1回90分だった。心拍数に基づく強度の指標である心拍予備能の75〜85%が設定された。骨の分解の指標であるCTXの変化率は、運動群で−13.1%、対照群で11.0%だったが、標準偏差というばらつきの指標はそれぞれ24.4%、51.5%と大きかった。骨形成に関わるオステオカルシンにも有意な変化は見られなかった。[3]

数字で読むステップ運動

31人・4週間:座りがちな中高年の予備的試験。心肺体力が改善し、体組成は変化しなかった。[20]

96%:同じ試験のプログラム実施率。長期の継続率を示す数字とは区別する。[20]

91.1%と89.7%:青竹型ステップと歩行の出席率。高齢者の非無作為化比較試験での成績である。[4]

13人・12週間:高齢女性のステップエアロビクス研究。BMIの有意な改善は見られなかった。[6]

45人・12週間:台の高さを段階的に変えた高齢女性の無作為化試験。太ももの筋量や脚の機能は改善したが、バランスは改善しなかった。[9]

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