ダイエットの脂質は揚げ油の使い回しでも違う?回数だけでは読めない酸化の研究

ダイエット中の揚げ油は、脂質の量だけでなく繰り返す加熱による変化も気になる。油の種類、揚げる食品、味の変化を調べた実験と、健康な男性の食後の血管反応を比べた試験を読む。研究に登場する使用回数を家庭の安全基準にせず、油の酸化と体への影響を分けて考える記事である。

揚げ物を終えた鍋を前に、油をもう一度使うか迷う。食事の記録には脂質の量を書いたが、その油がどんな加熱を経てきたかを書く欄はない。鍋に残った油には、栄養成分表示とは別の履歴がある。

答えの芯は、同じ種類の油でも繰り返す加熱によって成分は変化する、ということだ。ただし、油の酸化を測った結果と、それを食べた人の健康への影響は同じ証拠ではない。レビューが扱う長期的な懸念と、人を対象とする短期試験の結果を重ねて読む必要がある。[1][3][10]

また、実験で示された使用回数を、そのまま家庭の「ここまで安全」にすることはできない。油の種類や揚げる食品によって測定結果が異なり、油と揚げ物のどちらを測るかでも判断が変わるためである。この記事では脂質を一律に減らす話から離れ、揚げる過程で何が変わり、その数字をどう読むかに絞る。[7][9]

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脂質の量と、油が受けた加熱は別の情報である

食事の脂質を気にするとき、最初に目に入るのは量だ。しかし揚げ油の研究は、同じ量の油を前にしても、その中にどんな変化が起きているかを調べる。植物油の加熱を扱ったレビューでは、繰り返す加熱に伴う脂質の酸化によって、新たな化学的な構造が生じる点が論じられている。油の名前だけで、調理後まで同じ状態だとは考えられない。[3]

酸化とは、ここでは油の成分が酸素の関わる反応で変化していくことを指す。高温での加熱によって反応性の高いフリーラジカルが生じ、脂質の酸化的な分解が進み、油にもともと含まれる抗酸化成分も減っていく、という流れがレビューで整理されている。抗酸化成分は、酸化に対抗する働きを持つ成分である。[1]

その際に注目されるのがアルデヒド類だ。これは酸化に伴って生じる化合物の一群で、レビューではマロンジアルデヒドなどを取り上げ、炎症に関わる経路と高血圧、動脈硬化との関連を論じている。ここで扱われているのは、体に影響が及びうる仕組みである。家庭の鍋の使用履歴を入力すれば病気の確率が出る、という話ではない。[1]

この区別を置くと、「古い油は太りやすいのか」という疑問も整理しやすい。酸化物が増えたという測定だけで、体重がどれほど変わるかは決まらない。油の化学的な変化を調べた実験の結論は、まず油の状態について受け取る。体重の増減へ話を飛ばさず、食べる人を調べた研究は別に確認するのが筋である。[7][9][10]

たとえば、揚げ物の献立を考えるときに、量を記録することと油の扱いを振り返ることは両立する。脂質の数字を気にしているから油の履歴は無関係、あるいは油の酸化が気になるから量の話は不要、とはしない。研究が投げかける問いは、量だけでは表せない調理中の変化にも目を向けることだ。[1][3]

開封後の保存という問いは、既存記事「ダイエットのナッツは開封後も同じ栄養?運動日の間食と油の酸化を読む」に譲る。また「ダイエットの自炊ランチで油は使い回す?繰り返す加熱と体への影響を読む」とも題材が近いため、ここでは特に、回数の数字と測定対象の違いを読むことに重点を置く。

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揚げる回数の数字は、油と食品の組み合わせで変わる

食品の品質管理を目的に、酢豚を10日間にわたって反復調理した食品実験では、大豆油、菜種油、パーム油、豚脂を比較し、調理中の油と揚げた食品の変化を調べている。測定したのは酸価と過酸化物価である。いずれも油の変化を捉える指標であり、この研究では両者に強い相関がみられた。[7]

油の鮮度を判断軸にした場合、研究が算出した再使用回数は、大豆油で約37回、菜種油で約32回、パーム油で約58回、豚脂で約87回だった。ところが、揚げた食品の鮮度を判断軸にすると、順に約78回、約78回、約81回、約286回となる。同じ調理実験でも、測る対象が変わると数字がこれほど変わる。[7]

これらは家庭で夕食のたびに油を保管して使い直す場面を調べた数字ではなく、品質管理のために反復調理する特殊な実験条件と鮮度の判断方法から得た値である。10日間にわたる調理の積み重ねを、家庭で使った日数に読み替えることはできない。[7]「油がこの状態になった」という判定と、「食べた人に長期的な問題が生じない」という判定は別である。この研究の目的も、動物性食品を揚げる油の品質管理に役立つ情報を得ることにある。家庭でその回数まで使い続けるための処方箋として読むものではない。[7]

回数は、調理の中身を圧縮した数字でもある。何を揚げたかが違えば、油へ移る成分も変わりうる。大豆粉を加えた生地をコーン油で揚げた実験は、この点を具体的に示している。生地中の大豆粉の割合を0%、10%、20%、30%と変え、180℃で2.5分の揚げ操作を行い、計60回調べた食品実験である。[9]

この実験では、最初の揚げ操作後に、油のトコフェロールが増える場合があった。トコフェロールは抗酸化成分の一種であり、大豆粉を含む生地から油へ移ったためと説明されている。しかし繰り返し揚げるとトコフェロールは減り、その分解は大豆粉を加えた生地を揚げた油で速かった。初回の増加と、その後の減少が同じ実験で観察された。[9]

さらに遊離脂肪酸や極性化合物など、酸化を評価する複数の値が上がり、大豆粉を加えた生地を揚げた油で高かった。極性化合物は、油の劣化を評価するときに測定される成分群である。この結果を「大豆食品は避けるべきだ」と読むのも飛躍になる。調べたのは、その生地とコーン油を組み合わせて繰り返し揚げたときの油の変化だ。[9]

家庭の献立では昨日は野菜、今日は衣付きの肉、と食材が入れ替わる。研究を生活に移すなら、使った回数だけを書いて安心するより、何を揚げた油なのかも意識する、という考え方になる。回数の記録には意味があっても、それだけで油の状態を代表させない。鍋の中の変化は、カレンダーだけでは追えない。[7][9]

おいしくなった油が、そのまま安全の証拠にはならない

揚げたての香りがよいと、油もまだよい状態だと思いたくなる。しかし大豆油で衣付きの肉を繰り返し揚げた食品実験では、風味の評価は単純に下がり続けたのではなかった。最初は改善し、その後に悪化するという経過を示した。研究では感覚による評価と、揮発性成分や油の理化学的な測定を組み合わせている。[4]

この条件では6〜30バッチで望ましい感覚特性が得られた一方、揚げ続けると油っぽさ、酸化臭、油が傷んだような風味が強くなった。脂質の酸化に由来する揮発性成分は、油の劣化や好ましくない感覚と密接に結び付いていた。つまり味には変化が表れるが、味の評価が最もよい範囲を、そのまま健康上の安全範囲とは呼べない。[4]

ここでのバッチは、研究における揚げ操作のまとまりである。家庭で夕食を作った日数と同じ意味にはならない。おいしいと評価された数字を見て「その回数までなら使える」と決めると、実験が答えた風味の問いを、答えていない健康の問いに置き換えることになる。味の研究には、味の研究としての役割がある。[4]

別の食品実験では、大豆油に牛脂を混ぜ、飽和脂肪酸の割合が18.95〜28.82%となる配合を比較している。牛脂の割合を増やすと加熱を繰り返した際の安定性が改善し、最も割合の高い配合では、純粋な大豆油より酸価が38.2%、過酸化物価が30.0%低かった。油の配合そのものが結果を動かした例である。[5]

ただし「加熱中に安定していた」は、「その油に替えれば健康になる」と同義ではない。この実験で評価しているのは、繰り返し使用した油の酸化指標、成分、風味などだ。さらに牛脂が多すぎると好ましくない牛脂由来のにおいも生じた。単一の数字をよくすることと、食事全体の選択を決めることには距離がある。[5]

牛脂を混ぜた実験では、20回の揚げ操作後に、純粋な大豆油と比べて総極性化合物が17.5〜27.1%少なかった。ベンゾピレンという化合物も10.6〜34.1%少なかったが、これらは配合による幅を持つ比較値である。「混ぜれば一定の割合だけ減る」と固定して読むことはできない。どの配合を、どの油と、どの段階で比べた数値なのかが、改善率の意味を決めている。[5]

数字で読む揚げ油の研究

19人:加熱油と未加熱油の食後の反応を比べた、健康な男性の試験の参加者数である。[10]

4時間:その試験で血管反応や血中の成分を測った食後の観察時間に当たる。[10]

23.8%と7.2%:その試験の加熱油と未加熱油に含まれた極性化合物の割合である。[10]

約37回と約78回:酢豚の実験で、大豆油そのものと揚げた食品を判断軸にしたときの回数の違いである。[7]

6〜30バッチ:衣付き肉の実験で風味の評価がよかった範囲であり、家庭用の安全基準ではない。[4]

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