呼吸法はガムを噛みながらでも同じ?咀嚼のリズムと息のタイミングを研究で読む

ガムを噛みながら呼吸を整えると、息の回数や吸い始めるタイミングはどう変わるのか。健康な成人の実験と神経回路のレビューから、咀嚼と呼吸の関係を読む。自然な速さと速く噛む条件、ガムと食べ物の違いも確かめ、リズムの同調を呼吸法の上達と混同しない練習の考え方を示す。

机に向かう前、口に残ったガムを噛みながら、ゆっくり息を吐こうとする。顎はいつもの速さで動くのに、息だけが落ち着かない。呼吸の数え方が下手なのだろうか。噛む動き自体が呼吸を変えるなら、練習の出来だけでは説明できない。

健康な参加者9人がガムを噛んだ実験では、自然な速さでも呼吸数と分時換気量が増え、咀嚼のリズムが呼吸のリズムを引き込む現象も認められた。咀嚼とは食べ物などを噛む動きである。噛む動きは、息の回数やタイミングにも影響する。[8]

ただし、リズムが関係することを、ガムで呼吸法が上達することに読み替えてはいけない。にんじんを噛む成人の別の実験では、顎が開く局面に吸い始める傾向は弱く、飲み込みが近づいても結び付きは強まらなかった。息と顎は、いつも同じ拍子で動くわけではない。[10]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ガムを噛むだけで息の回数は変わる

ガムの実験を行ったFontanaらは、健康な参加者に5 gのガムを自然な速さで5分間、さらに可能な限り速く1分間噛んでもらった。これは呼吸法の講習を続けた試験ではなく、噛んでいる最中の呼吸活動を測った小規模な実験である。まず分かるのは、その場で生じる変化である。18〜39歳の女性にも同じ変化が同じ程度に起こるかは、この小規模実験だけでは判断できない。[8]

自然な速さで噛む条件では、吸う時間と吐く時間の両方が短くなり、呼吸数が有意に増えた。吸う息だけを急いだのではない。息の往復そのものが短くなったのである。吐く時間を長くしようとしている人には、噛むという別の動作が同時に進んでいる点が大切になる。[8]

呼吸数だけを見ると、息が浅くなったのではないかと考えたくなる。だが、この条件での一回換気量、つまりひと息で出入りする空気の量は、わずかに減ったものの有意な変化ではなかった。一方、一定時間に出入りする空気の量を表す分時換気量と、吸う間の平均的な空気の流れは有意に増えた。[8]

「回数が増える」「ひと息の量が変わる」「全体の換気が増える」は、同じ意味ではない。自然な速さの咀嚼で支持されたのは、回数と全体の換気の増加である。ひと息の量の小さな減少まで確実な変化として並べると、結果を必要以上に単純化してしまう。[8]

さらに、呼吸周期のうち吸う時間が占める割合は、この条件では有意に変わらなかった。吸う時間も吐く時間も短くなる一方、周期内の配分は大きく変わらないという組み合わせだ。呼吸法を考えるときも、速さと吸う・吐くの比率は別々に見る必要がある。[8]

たとえば休憩中、ガムを噛みながら息を数え、いつもより数え終わるのが早かったとする。その場面だけで「今日は緊張が強い」「練習に慣れていない」と決める必要はない。少なくともこの実験では、噛むことが呼吸の時間構成を変えている。口の中の仕事を、比較条件から消してしまわないことだ。[8]

この研究には、ヨガの呼吸法の習得や気分の改善を示す役割を持たせない。測っているのは呼吸活動であり、レッスン後の満足感ではない。噛みながら息が速くなったことと、その練習が役立ったかどうかは、別の問いとして残る。[8]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

速く噛むと、深く吸えるようになるのか

可能な限り速く噛む条件では、自然な速さで噛むときと似た変化が、より強く現れた。加えて、一回換気量は有意に減り、呼吸周期に占める吸気時間の割合は有意に増えた。速く噛むほど、ひと息も大きくなるという結果ではない。[8]

ここで区別したいのは、「息をたくさん動かしている」と「ゆったり大きく吸っている」の違いである。回数が増えれば、ひと息が小さくても全体の換気は増えうる。ガムを忙しく噛んだときの換気の変化を、そのまま深呼吸の練習として受け取るのは無理がある。[8]

自然な速さで噛むときにも、総気道抵抗は有意に増えた。気道抵抗は空気の通りにくさに関わる指標である。同じ条件で吸気筋の電気的活動のピークと立ち上がりも増し、低い水準で持続する筋活動が現れた。空気の量だけでなく、息を吸う側の活動も変わっていた。[8]

筋活動の増加は、その場での働きが強まったことを示す。その場で筋が強く働くことと、練習後に能力が向上することは異なる。ガムの実験から受け取るべきなのは、噛む最中の呼吸が、休んでいるときの息に別の仕事を加えた状態になりうるという点である。[8]

研究者は、噛む運動と代謝の水準を合わせた、リズミカルに手を握る運動も比べている。手の運動でも、呼吸を促す働きや時間の構成には似た変化が生じた。一方、一回換気量は、対応する条件で有意でない増加または有意な増加を示し、咀嚼時と同じ方向にはそろわなかった。[8]

この比較があるため、噛むと息が変わる理由を「顎を動かす運動をしたから」だけでは片付けにくい。著者らは、上気道や胸壁の筋肉が担う呼吸以外の働きと、呼吸との複雑な相互作用も反映すると考察している。運動による換気反応を否定するのではなく、それだけでは説明が足りないという位置付けだ。[8]

最大の速さで噛む実験は、毎日の練習目標ではない。実験条件を自宅の課題表に写す必要はないのである。呼吸法の「やりすぎ」が気になって検索した場合も、この結果から安全な咀嚼速度や練習時間を決めることはできない。速さを足す前に、何を確かめたい練習なのかを分けたい。[8]

息と顎の結び付きは、測る局面で違う

ガムの研究で見られた引き込みとは、咀嚼の周期が呼吸の周期に影響する関係である。噛む速さと息が無関係に動く、という見方には修正が必要になる。ただし、これを「顎を動かすたびに、決まった位置で必ず吸う」と読むと、研究が示した範囲を越える。[8][10]

McFarlandとLundの成人実験では、座った状態でにんじんを噛む前、噛んでいる間、噛み終わった後を記録した。胸郭と首の動きに加え、顎と頭の動きも測っている。呼吸数を数えるだけでなく、口の動きのどの局面で息の変化が起きたかを追った研究である。対象は成人であり、18〜39歳の女性の呼吸練習へそのまま当てはめるには、性別や練習条件の違いを考える必要がある。[10]

多くの参加者では、噛んでいる最中に呼吸数が増え、噛み終わると基準より低くなった。吸い始めは顎を開く局面に生じやすかったが、その傾向は弱かった。統計的に関係が認められることと、毎回はっきり同じ組み合わせになることは違う。[10]

ガムの実験とにんじんの実験を、どちらかだけが正しいという話にしなくてよい。前者は咀嚼の速さによる呼吸の引き込みを報告し、後者は顎の開閉と吸い始めの位置関係が弱いと報告している。見ている関係の細かさも、噛んでいるものも異なる。共通するのは、噛む最中の呼吸数が増えたという点である。[8][10]

日常なら、息を数える横で顎も別の拍子を刻んでいる場面を想像するとよい。顎の動きを呼吸の合図に使いたくなっても、にんじんの実験は強い固定関係を示していない。自然に起きる弱い傾向を、全員が守るべき呼吸の正解にする理由はない。[10]

タイミングを読む際には、呼吸周期そのものが短くなったのか、周期の中の特定の場所で顎が動いたのかも分ける。前者は息の速さの問題であり、後者は動作同士の位置関係の問題である。呼吸数が増えたからといって、顎の開閉と息が強く固定されたとは限らない。成人の両実験を合わせると、この区別が見えてくる。[8][10]

測る道具にも役割があった。にんじんの実験で首の動きを記録したのは、飲み込みを示す目印を得るためであり、顎の動きの記録は咀嚼の局面を確かめるためだった。別々の信号を時間に沿って重ねることで、単に「食べると息が変わる」より細かな関係を調べている。[10]

また、噛み始めから噛み終わりまでを平均するだけでは、終わった直後の呼吸数の低下は同じようには扱えない。実験で前・最中・後を記録した意味はここにある。自分の練習を比べるときも、ガムを噛んでいる最中の息と、噛み終えた後の息を混ぜて評価しないほうが、何を感じたか整理しやすい。[10]

ガムはにんじんの代用品として完全に同じ条件ではなく、にんじんもガムの速さを変えた実験の再現ではない。日常の食事へ話を広げるほど、飲み込みを含む動作の組み合わせを見る必要がある。呼吸に合わせやすい食品を順位付けするのではなく、研究が比較した動作の違いを読むところに、この結果の使い道がある。[8][10]

数字で読む咀嚼と呼吸

9人:ガムを噛む最中の呼吸活動を調べた健康な参加者数である。[8]

5 g:実験で用いたガムの量であり、呼吸法の推奨量ではない。[8]

5分間:自然な速さでガムを噛んだ測定条件である。[8]

1分間:可能な限り速く噛んだ条件であり、練習の目標時間ではない。[8]

1〜2周期:にんじんの実験で、多くの飲み込みが長くした呼吸周期の数である。[10]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約