疲労回復にスヌーズは役立つ?二度寝の時間と起きた後の注意力を研究で読む

目覚ましを止めてまた眠る朝、スヌーズは疲労回復の近道になるのか。習慣的な利用者の実験、大学生の実験、大規模なアプリ記録を読み比べる。起床直後の認知成績と眠気が一致しない結果や、研究で結論が分かれる条件を確かめ、二度寝を続けるか迷う朝の判断と予定の組み方につなげる。

目覚ましを繰り返すと、深い眠りからの覚醒を避けられるのか。習慣的なスヌーズ利用者の実験では、30分のスヌーズで徐波睡眠(N3)からの覚醒が避けられ、失われた睡眠は約6分だった。[1] 疲労回復を速攻で済ませたい朝には、眠りの長さだけでなく、どう目覚めたかも気になる。

答えは、スヌーズで起きた直後の認知成績がよくなる人はいるが、効果は実験の条件によって分かれる、である。習慣的な利用者を調べた実験では改善または変化なし、別の大学生の実験では睡眠慣性が長引くとの結論が出ている。睡眠慣性とは、目覚めてすぐに覚醒の程度や認知・行動の成績が低下している移行状態のことだ。[1][2]

したがって、ここで確かめるのは「起きたあとに頭が働くか」である。体の疲れがすべて取れたか、運動で出せる力が戻ったかとは区別して読む。スヌーズの実験が測った認知課題、眠気、気分は、同じ方向に変わったわけでもない。[1] 目覚ましの音の選び方は隣の記事に譲り、今回は鳴ってから起きるまでの過ごし方に絞る。

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スヌーズで取り戻したいのは、眠りか頭の働きか

「もう少し眠りたい」と「起きてすぐ動けるようになりたい」は、朝には同じ願いに聞こえる。だが、研究を読むときは分ける必要がある。眠っていた時間、起きた直後の検査成績、自分で感じる眠気は、別々の測定項目だからだ。習慣的なスヌーズ利用者の実験でも、認知課題の結果と朝の眠気への結果は一致していない。[1]

スヌーズは、目覚ましのあとに好きなだけ寝直すこと全般と同じではない。利用実態を調べた研究では、起きるために複数のアラームを使う行動として定義された。[3] 最終的に起きる時刻へ向けて目覚ましを繰り返す状況と、予定を取りやめて長く寝直す状況は分けて考えたい。今回の実験結果を後者にそのまま当てはめる理由はない。

たとえば、出勤の支度を始めるときに数字を読み違えた感覚と、まだ眠いという感覚を、日記では別の欄に置く。これは家庭で認知検査を再現するためではない。「眠かったが支度は進んだ」「眠気は軽かったが予定を取り違えた」と書き分けるためだ。感想をひとことで済ませない方が、翌朝に何を変えたいのかが明確になる。

「疲労回復に即効性がある」と言われると、こうした区別が消えやすい。起床直後の検査でよい結果が出ても、そのまま全身の回復の証明にはならない。睡眠とスポーツの感覚運動機能を扱ったレビューは、知覚と動作を結びつける働きに睡眠が関わると論じているが、目覚ましを繰り返せば競技の成績が戻るという話ではない。[7] スポーツの感覚運動機能を対象にしたレビューであり、18〜39歳の女性の日常的な疲労回復への直接の根拠にはできない。

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習慣的に使う人では、起床直後の成績が悪化しなかった

まず、起床直後の認知課題を調べた実験がある。Sundelinらは、普段からスヌーズを使う31人に、睡眠ポリグラフで眠りを測る実験を行った。同じ参加者の条件を比べ、30分のスヌーズをした場合と、急に起こされた場合で、起きてすぐの認知課題を比較した。[1] 習慣的な利用者を対象とする結果であり、18〜39歳の女性全般への当てはめには、普段の起き方の違いを考える必要がある。

結果は、スヌーズをした場合に認知課題の成績が改善したか、影響がなかったというものだった。ただし、結果を支持する証拠の強さは課題によって異なった。どの能力も一様に上がったという読み方はできない。それでも、スヌーズを使うと必ず頭が働かなくなる、という断言には反する結果である。[1]

この実験では、スヌーズによって失われた睡眠は約6分だった。また、深い睡眠に当たる徐波睡眠、すなわちN3からの覚醒が避けられた。[1] ここで混同したくないのは、スヌーズの設定時間と実際に眠った時間である。目覚ましが繰り返される区間のすべてを、連続した睡眠として数えることはできない。

布団にいた時間には、起きていた部分も含まれる。実験の数字を日常へ移すなら、アラームを最初に鳴らす時刻を早めた場合に、それまで眠れていた区間をどう変えたのかも考える必要がある。「布団から出るのを遅らせた」と「眠りを増やした」を、予定表の上だけで同じ扱いにしない、ということである。[1]

一方、起床後のコルチゾール反応、朝の眠気、気分、一晩の睡眠構築には明確な影響がなかった。睡眠構築とは、一晩の中で各睡眠段階がどう現れるかという構成のことである。[1] 認知課題の一部でよい結果が出ても、認知課題の改善と気分の爽快さは分けて評価する必要がある。

対象が普段からスヌーズを使う人だった点も大切だ。著者らは、夜型の傾向がある人や朝の眠気がある人に、短いスヌーズが睡眠慣性を和らげる可能性を示している。[1] これから初めてスヌーズを導入する人にも同じ結果が出る、あるいは長く繰り返すほどよい、という意味ではない。

大学生の実験では、ぼんやりが長引く結果もある

逆の方向を示したのが、Ogawaらによる大学生の実験である。睡眠実験室で、別に集めた大学生10人について、通常の夜間睡眠から目覚める際にスヌーズを使う場合と使わない場合を比較した。[2] 先ほどの結果だけを読んで設定を決める前に、この研究も並べておきたい。対象は大学生であり、18〜39歳の女性のうち、学生以外の生活にも同じ結果が当てはまるかは別に確かめる必要がある。

起床前の睡眠の質と量には、最後の20分を除いて差がなかった。しかし、スヌーズを使った最後の20分では、覚醒している時間とN1睡眠が長くなった。N1は、まどろみに近い浅いノンレム睡眠の段階である。[2] 夜全体に大きな差が見えなくても、起きる間際の過ごし方には違いが生じていた。

また、スヌーズを使わない条件では、就寝前と比べて起床後の活力を表す評価値が高まった。研究者らは、スヌーズは単独のアラームに比べて睡眠慣性を長引かせると結論し、繰り返し強制的に起こされることが関係する可能性を挙げた。[2] 「浅い眠りになれば必ずすっきりする」という説明だけでは、この結果を扱えない。

両実験の対象人数は小さく、対象者の集め方やスヌーズの条件、重視する測定項目も同じではない。[1][2] 結論が違うこと自体を、どちらかの研究が間違いである証拠にはできない。習慣的な利用者で認知課題が悪化しなかった結果と、大学生で睡眠慣性が長引いた結果を、それぞれの条件付きで受け取る必要がある。

さらに、測ったものの名前をそろえて読みたい。「認知成績が改善または変化なし」と「活力の評価がどう動いたか」は、完全に同じ問いではない。[1][2] 朝に必要なのが資料を読む注意力なのか、起き上がりやすさの実感なのかによって、読者が知りたい結果も変わる。よいか悪いかだけを取り出すと、この大切な違いが落ちてしまう。

ここで、同じ人を条件違いで調べる意味も押さえておこう。普段スヌーズを使う人と使わない人を別々に比べるだけでは、もともとの夜型傾向や生活の違いも結果に混ざる。同じ参加者の条件を比べた実験は、その個人差をそろえて起き方の違いを見る設計である。[1] 日常の利用者調査と、実験室で条件を比べる研究は、答えられる問いが異なる。

ただし、同じ人を比べた設計でも、参加者の範囲が広がるわけではない。習慣的な利用者で得た結果は、まずその人たちの起床方法についての知見だ。[1] 朝が得意でスヌーズを使わない人まで、わざわざ新しいアラームを増やす理由にはしなくてよい。実験の比較相手が「急に起こされること」だった点も、結果を生活へ移すときの条件になる。

利用する目的には、寝坊への不安を減らすこともある。Ogawaらが健康な日本の大学生から集めた有効回答293件では、70.5%が携帯電話のスヌーズをよく使うと答え、その主な理由は寝坊への不安を減らすことだった。[2] 頭を早く働かせるための道具としてではなく、起き損ねないための備えとして選ばれる場合がある。

そのため、朝の設定を評価するときは「寝坊しなかったから頭もよく働いたはず」とまとめない方がよい。予定の時刻に起きられたことと、起床後のぼんやりがどうだったかを分けて振り返る。利用動機を尋ねた調査と、睡眠慣性を調べた実験を別々に行った研究も、この違いを考える手がかりになる。[2] 自分がボタンに求めている役割を先に言葉にすれば、研究結果のどこを参考にするかも選びやすくなる。

数字で読むスヌーズ研究

31人:習慣的な利用者を集め、同じ人の条件を比べた実験の参加人数。[1]

30分:その実験では、この長さのスヌーズ区間を設定した。[1]

約6分:同じ実験でスヌーズによって失われた睡眠時間に当たる。[1]

10人:睡眠慣性が長引くと結論した実験では、大学生をこの人数調べた。[2]

55.6%:大規模なアプリ記録における、スヌーズで終わった睡眠セッションの割合。[8]

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