チョコレートとダイエットの科学 高カカオは食欲と体重で答えが違う

ダイエット中のチョコレートは控えるべきか、高カカオなら食べた方がよいのか。食欲を測った短期試験、体重と腹囲の統合解析、閉経後女性の体脂肪を調べた試験を比較する。次の食事が減ることと長期に痩せることの違いから、好きな甘味を暮らしに残す考え方を探る。

チョコレートの売り場では、好きな味を探していたはずが、いつの間にかカカオの数字を比べている。「甘いものを楽しみたい」と「体重を増やしたくない」が同じ棚の前で相談を始める。苦い方を選べば、その相談は解決するのだろうか。

研究の答えは、何を測るかで違う。ダークチョコレートを使った食品の後に昼食量が減った試験がある一方、カカオやダークチョコレートの無作為化比較試験の統合解析では、体重の有意な減少は認められていない。[3][7] 「次の食事が少なくなる」と「暮らしの中で痩せる」の間には、まだ確かめるべき距離がある。

ここでは、チョコレートを悪者にすることも、減量の道具として買い足すことも急がない。食欲、食べた量、体脂肪、体重という別々の結果をたどり、好きなものを残す判断の材料を探したい。

器の中に盛られたカカオ豆を砕いて作った細かなカカオニブの写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

体重への答えは、まず統合解析から見る

個々の成功例を探す前に、試験全体を見渡す。カカオやダークチョコレートが体重、体格指数、腹囲に及ぼす影響を調べた系統的レビュー・メタ分析は、35件の無作為化比較試験を統合した。参加者の群分けにくじ引きのような方法を使う試験を35件集めた解析である。カカオを摂った群と比較群との体重差などを統合することで、個々の試験で見える増減が、試験全体でも同じ方向を示すかを調べている。[7]

体重の統合された差は−0.108 kg、95%信頼区間は−0.262〜0.046 kgだった。減少側の数字ではあるが、統計的に有意な差は認められなかった。[7] ここで信頼区間とは、推定した差にどの程度の不確かさがあるかを表す範囲である。今回の範囲は、減少側から増加側にまたがる。[7]

体格指数は、身長に対して体重がどれほどあるかを見る指標である。この指標の差は−0.014 kg/m²、95%信頼区間は−0.105〜0.077だった。腹囲の差も0.025 cm、95%信頼区間は−0.083〜0.129 cmで、いずれも有意差はなかった。[7] この解析で調べた体の大きさの指標は、全体として明確な改善を示さなかった。

ただし、結果はそこで終わらない。試験を条件別に分ける解析では、チョコレートが1日30 g以上、期間が4〜8週間の条件で、体重と体格指数の減少が見られた。[7] この部分だけなら、毎日その量を食べる提案に見える。この条件別の解析は限られた条件のまとまりに絞った結果だ。全体の結果を踏まえたうえで、追加の検証につながる発見として読む。

売り場に持っていくなら、「チョコレートで減量できる」という結論より、「全体の平均では体重を減らす効果が確かめられず、条件によって違いが残った」という理解が近い。[7] 食べる量を決める際には、全体の結論を先に置く。

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昼食が減った試験では、何を比べたのか

短期の食事量に目を移すと、興味深い差がある。健康な参加者25人を対象にした無作為化クロスオーバー試験では、同じ人が別の日に異なる食品を食べた。比べたのは、ミルクチョコレートを使う対照食品、オート麦由来のβグルカンを加えた食品、カカオ70%のダークチョコレートに替えた食品、その両方を組み合わせた食品である。食品のエネルギー量は近くなるようにそろえられていた。βグルカンを加える条件では、その量は3 gだった。食べた後の感覚は4時間にわたって尋ねられ、その後に自由に食べられる昼食が出された。[3]

βグルカンは、この研究で加えられたオート麦由来の成分である。ここで注目したいのは、ダークチョコレートだけを追加した試験ではなく、レシピの一部を替えて比較した点だ。何も食べない時よりチョコレートを足す方が有利なのか、という問いとは出発点が違う。[3] おやつを普段のものから替える場面と、普段のおやつにさらに加える場面を、研究を読む時から分けておきたい。

自由に食べられる昼食の摂取量は、対照食品の後で849.46 kcal、ダークチョコレート食品の後で677.69 kcal、βグルカンとダークチョコレートを組み合わせた食品の後で691.08 kcalだった。群間の違いは統計的に有意だった。[3] 次の食事を実際にどれほど食べたかに差が出た点は、食欲についての印象だけを尋ねた結果より具体的である。

ところが、本人が答えた満腹感の尺度には、試験食品による改善が見られなかった。[3] 食べた量が減れば必ず「お腹がいっぱい」と感じるはずだと思っていると、この結果は少し意外だ。胃袋の報告書と、皿に残った量の報告書が一致しなかった。どちらかを捨てるより、別々に測る価値があると考えたい。

この試験が扱ったのは、試験食品を食べた後の短期の反応である。昼食が少なくなったという結果を、そのまま夕食や翌日までの摂取量、さらに長期の減量へ広げることはできない。[3] 昼に控えめになっても後の食事をどうしたか、家庭や職場でも同じように替えられるかは別の問いになる。ここから持ち帰れるのは、ミルクチョコレートを含む食品からダークチョコレートを含む食品への変更が、特定の試験条件では次の食事量に違いを生んだ、という限定された発見だ。[3]

成分を詳しく調べた別の試験は、話をさらに複雑にする。健康な若い男性28人が参加した無作為化クロスオーバー試験では、カカオに含まれるエピカテキンやプロシアニジンという成分に注目し、飲料を比べた。主な評価は、飲んでから150分後に自由に食べたピザの量だった。通常の比較では、非アルカリ処理のカカオ混合物を含む飲料で、対照飲料より有意に摂取量が減ることはなかった。[2]

飲料の中身も数値で確認されていた。通常の比較で用いた混合物は、体重1 kg当たりエピカテキン0.6 mg、カテキン0.2 mg、プロシアニジン2.9 mgを含んでいた。追加試験ではエピカテキンが体重1 kg当たり1.6 mgとなる組み合わせを調べている。対照は、これらの成分をほとんど含まないアルカリ処理済みのカカオ混合物だった。[2] 比較の軸はカカオの表示割合だけでなく、測定された成分量と処理の違いにあった。

一方、14人で行った小規模な追加試験では、エピカテキンを補ったカカオ混合物によりピザの摂取量が18.7%減った。[2] 同じ「カカオを飲む」という言葉でも、成分の組み合わせや濃度、試験の規模が違えば結果も変わる。市販の板チョコレートを選ぶ場面でも、表示割合と、実験飲料で測った成分の濃度を混同しないことが判断の出発点になる。

食欲の仕組みは、ホルモンだけで説明できるか

食欲が減るという話には、体内の仕組みも添えたくなる。成人のチョコレート摂取と食欲に関わるホルモンを調べた系統的レビューでは、結果のばらつき、参加者数の少なさ、証拠の質の低さ、方法や製品の違いが指摘されている。[1] 満腹感を説明するには、ホルモンの変化に加えて研究方法の違いも検討する段階にある。

このレビューでは、食欲に関わるグレリンやレプチンがチョコレート製品の満腹効果を説明するとは考えにくいとされた。また、胃に直接ミルクチョコレートを入れる実験と、口から食べる場合とで、消化管ホルモンの反応が異なる例も取り上げられている。[1] 胃への注入で大きく増えたのは、コレシストキニンという消化管ホルモンだった。比較相手は口からミルクチョコレートを食べる場合と、エネルギーのない製品を胃へ入れる場合である。また、粘度の違いは、活性型のコレシストキニンや別の消化管ホルモンの反応に影響しないとされた。[1] 日常の間食は口で味わって食べるものだ。同じチョコレートでも、実験方法を取り去って仕組みだけを紹介すると、暮らしから離れた説明になる。

短期の食品試験で満腹感と食事量が一致せず、成分を調整した飲料試験でも通常の比較と追加試験の結果が分かれたことは、単一の説明を急がない理由になる。[2][3] 「食欲を抑える成分が入っている」という宣伝文句を見る時も、その成分をどの形で、誰に、何と比べたのかまで戻ってみたい。食品名の先にある実験条件が、結果を読む鍵になる。

食欲の研究を買い物に結びつける時は、比較相手を省かないことが大切だ。「この食品の後は少なかった」という結果には、何と比べて少なかったのかが含まれる。対照食品を使った試験と対照飲料を使った試験は、同じ問いの繰り返しとは限らない。[2][3] 食品名を共通の見出しにすると似た話に見えるが、実験の組み立てを確認すると、持ち帰れる答えの範囲も見えてくる。

数字で読むチョコレートと食欲・体重

35件:体重などを調べた無作為化比較試験の統合数である。[7]

−0.108 kg:統合された体重差。有意な減少は認められなかった。[7]

25人:食品のチョコレートを替え、次の昼食量を比較した短期試験の参加者数である。[3]

18.7%:成分を補った飲料の小規模な追加試験で見られた、ピザ摂取量の減少である。[2]

−0.63 kg:閉経後女性の試験で見られた体脂肪量の群間差。体重そのものの減少とは異なる。[17]

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