ダイエットのたんぱく質は尿で分かる?食事記録と窒素の数字がずれる理由

ダイエット中のたんぱく質摂取量は、食事記録と尿の検査で同じになるのか。尿中窒素を使った研究から、記録のずれ、集団の平均と個人の違い、採尿条件の意味を読む。20代男性の食事を考える際にも、研究の対象年齢と測定方法を確かめ、数字をそのまま目標量にしないための視点を示す。

外食の肉を目分量で食事アプリに入れる。たんぱく質の欄には、量った覚えのない細かな数字が並んだ。その数字は、自分が実際に食べた量とどこまで重なるのだろう。研究では、この問いを尿に含まれる窒素の測定と照らし合わせて調べている。[8][16]

答えの芯は、尿はたんぱく質摂取量を推定する手がかりになるが、食事の成績表をそのまま印刷するものではない、である。食事記録と尿由来の推定値はずれることがあり、集団の平均の一致と、個人ごとの値の一致は別である。[8][20]

「20代 男性 ダイエット 食事」と検索して献立を探している人にも、この区別は役立つ。ただし、ここで扱う研究には中高年の女性や思春期の参加者も含まれる。研究で観測された摂取量を、自分の必要量へ読み替えてはいけない。[3][8] 記録を続ける工夫は既存記事「食事記録とダイエットの科学 細かく書くより続けるために知っておきたい研究の答え」に譲り、ここでは記録の数字を何で確かめるのかに絞る。

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尿で調べているのは、食べた量の手がかりである

尿中窒素とは、尿に排出された窒素である。栄養研究では、食事として摂ったたんぱく質の量を推定する生体指標として用いられる。生体指標とは、本人の記憶や申告とは別に、体から採取した試料などを測って得る手がかりのことだ。食事の質問票を尿中窒素と比べれば、回答と身体側の測定がどれくらい重なるかを検討できる。[6][8]

たとえば、50〜80歳の女性544人を対象とした比較研究では、食物摂取頻度質問票と、24時間集めた尿の窒素を比較している。食物摂取頻度質問票は、食品をどれくらいの頻度で食べるかなどの回答から摂取量を見積もる方法である。この研究では、尿中窒素に6.25を掛け、0.81で割って、たんぱく質の推定量を算出した。18〜39歳の女性に同じ換算による推定精度が得られるかは、この比較だけでは判断できない。[8]

ここで大事なのは、尿の測定値と、そこから算出した食事量を分けることだ。「尿を測った」と「食べたたんぱく質を直接量った」は同じではない。研究者は一定の換算方法を使って、尿の数字を食事の単位へつなげている。したがって、その式で得た値にも推定という性格がある。[8]

食事記録の側は、食べた食品や量を残せる。一方、尿中窒素の側は、記録とは異なる方法で総量を検討できる。この研究の比較対象はたんぱく質の摂取量であって、献立そのものの優劣ではない。[8] 昼食の内容を見直したいのか、記録の総量を確かめたいのか。まず知りたいことを言葉にしておくと、測定に期待する役割を取り違えにくい。

尿の数字が食事欄の数字と違ったとき、すぐに「自分の記録が全部間違いだった」と受け止める必要もない。検証の問いは、どの測定法が、どの対象者に、どの程度のずれを生むかである。個人を採点するためではなく、道具の性質を確かめるために、異なる測り方を並べている。[6][8]

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食事記録は少なく書く場合も、多く書く場合もある

食事の自己申告は、いつも少なめにずれるのだろうか。地域で生活する成人244人を対象にした検証研究は、そう単純ではないことを示す。前日の食事を聞き取る方法による平均摂取量と、24時間尿の窒素から推定した摂取量を比べたところ、男性139人では、申告したたんぱく質が12〜19%多かった。一方、女性105人の申告値は、尿由来の推定値とほぼ一致した。男女を含む成人の結果であり、18〜39歳の女性にも同じずれ方が生じるかは別途検証が必要である。[16]

同じ研究では、やせた男性の申告量は、尿中窒素に反映された量より約3分の1多かった。[16] これは「男性は正確に記録できない」という意味ではない。特定の研究の中で、集団の分け方によってずれの様子が異なったという結果である。年齢や生活背景の異なる読者が、自分のアプリの数字から一定割合を差し引く根拠にはならない。

逆方向のずれもある。先ほどの女性544人の比較研究では、質問票による未補正の平均たんぱく質摂取量は66.7 g、尿由来の平均推定量は74.9 gだった。両者の相関係数は0.31である。[8] 相関とは、ある人の値が高いときに、もう一方の値も高い傾向があるかを見るものだ。値そのものの一致とは異なる。

たとえば、集団の中で摂取量の多い人と少ない人をある程度並べ分けられても、各人が食べた量を当てる精度とは区別する必要がある。この研究で比較したのは、平均の違いと相関の両方であった。[8] 食事欄が細かい小数点まで表示されていても、それだけで実際の食事を同じ精度で捉えたことにはならない。表示の細かさと測定の確かさを分けて考えたい。

食事の回答方法同士を比べる場合にも注意がいる。35〜74歳の男女を対象とした8件の検証研究を分析したレビューでは、質問票と、聞き取りや秤量記録などの比較用の自己申告法に、互いに関連する個人特有の偏りが見られた。食事の報告同士が合うだけでは、真の摂取量への近さを過大に評価する場合がある。18〜39歳の女性における偏りの大きさまで、この年齢構成からそのまま当てはめることはできない。[6]

スマホと紙の記録が合ったら安心する、という感覚は自然だ。ただ、その両方を同じ記憶から書き起こしたなら、照合したいのは媒体の違いなのか、食べた量との違いなのかを考えたい。自己申告の方法を替えただけでは共有する偏りが残り得る、というのがこの分析の論点である。[6] 記録の一致を見つけた後に、何と何が一致したのかを確かめる一呼吸がいる。

平均が合うことと、あなたの値が合うことは違う

シンガポールの成人126人(女性84人、男性42人)を対象とした研究では、食事質問票や食事の聞き取りを検証するため、24時間尿も採取した。前日の食事を聞き取って推定した窒素摂取量と、尿から推定した値の平均差は0.0 gだった。一見すると、完全に同じ数字に見える。18〜39歳の女性だけでも同じ精度になるかは、この集団全体の結果からは判断できない。[20]

しかし、その差の標準偏差は0.4 g、相関係数は0.55で、相関の95%信頼区間は0.31〜0.72であった。[20] 標準偏差は値の散らばりを示す。平均差がゼロでも、各人の差までゼロとはいえない。また、ここで示された差の単位は窒素のgである。たんぱく質のgと同じ欄にそのまま置かないようにしたい。

この違いは、日常の食事を考える際にも重要だ。集団全体として大きな偏りがない記録法であっても、ある人の食事を細かく調整する道具として同じ精度を持つとは限らない。研究の平均値がよく合うという結果を読んだら、個人のばらつきも見ているかを確認する。今回の研究は平均差だけでなく、その散らばりと相関も示している。[20]

さらに、先ほどの女性544人の研究では、報告したエネルギー量を使う補正方法も比較した。二重標識水法という、体内での標識された水の動きを利用してエネルギー消費を推定する方法による補正では、たんぱく質の平均値が90.7 g、尿由来の値との相関が0.47になった。相関は未補正の0.31より高まったが、平均値は尿由来の74.9 gを上回った。[8]

つまり、並び方が以前より近づくことと、量のずれがなくなることは別である。研究者も、エネルギーによる補正だけでは自己申告の偏りをすべて取り除けないと結論している。[8] 「補正済み」の文字は、数字のすべてが確定した印ではない。何を改善した補正なのかまで読む必要がある。

数字を見る順序としては、まず単位を確かめ、次に平均の違いを見て、その後に個人の散らばりや相関を見ると整理しやすい。これらは別々の問いに答える指標である。[8][20] 食事記録を見返す場面でも、「昨日より数値が違う」と「自分の食事が確かに変わった」を、すぐに同じ意味にしない姿勢につながる。

質問票の値と尿由来の推定量を比べるときは、同じ人を比べている点にも意味がある。別の集団の平均を持ち寄った比較では、対象者の違いと方法の違いが混ざってしまう。女性544人の研究は、参加者の質問票と生体指標を対応させたうえで、複数の補正方法を比較している。[8] 数字の大小だけでなく、比較の組み立てを見ると、結論が何を支えているかが分かりやすい。

数字で読む尿中窒素と食事記録

544人の女性の比較では、質問票による平均66.7 gに対し、尿由来のたんぱく質推定量は平均74.9 gだった。[8]

244人の成人の検証では、男性の申告たんぱく質摂取量は尿由来の推定量より12〜19%多かった。[16]

126人の成人を対象とした研究では、聞き取りと尿による窒素推定値の平均差は0.0±0.4 gだった。[20]

健康な男性9人の給食試験では、摂取量が72 g/日から212 g/日へ高い条件になると、たんぱく質由来の硫黄と窒素の尿中回収率は84%から70%へ低下した。[5]

12〜18歳の給食試験では、たんぱく質摂取量と尿中窒素の相関係数は0.69だった。[3]

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