シニアヨガの呼吸法で肺機能は変わるか、吸う力と吐く力を育てる研究の話

ヨガの呼吸法は、吸う力と吐く力を育てる練習になりうる。平均年齢85歳の試験を軸に、呼吸筋と肺機能に見られた変化、差がなかった検査、姿勢と呼吸を組み合わせる練習の頻度を紹介する。COPD・ぜんそくのある人の注意点と、立川で常温のヨガから参加を考える際の確認点も示す。

家族との会話の途中で、ひと息ついてから続きを話す。そんなとき、ヨガに期待するのは難しい姿勢より、呼吸を少し扱いやすくすることかもしれない。研究には、その期待を支える結果がある。平均年齢85歳の施設入所者を対象にした無作為化比較試験では、ヨガの呼吸トレーニングによって、吸う力、吐く力、換気の持久力に改善が認められた。[2]

呼吸も練習の対象になる。大きく体を動かす運動に参加できない人にも、呼吸に焦点を当てた練習という入口があったことが、この試験の魅力だ。[2] 肺機能を調べた研究も、健康な成人のレビューから高齢女性の比較研究まで積み重なっている。[3][5][8]

ただし、呼吸にはいくつもの測り方がある。吸い込む力が変わることと、吐き出せる空気の量が変わることでは、意味が違う。本記事では呼吸筋と肺機能に焦点を絞る。姿勢の変化は背中と後弯の記事、歩く速さは歩行の記事に譲り、呼吸を練習すると何が変わりうるのかをたどっていく。

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息を吸う力と吐く力は、練習で変わりうる

呼吸法をヨガではプラーナーヤーマと呼ぶ。息のしかたを意識して行う練習であり、姿勢をとる練習と組み合わせた研究も、呼吸を主役にした研究もある。[8][10] 呼吸の研究を読むときは、ヨガという名前だけでなく、実際にどちらを行ったかを見ると、期待できる変化が具体的になる。

高齢者の呼吸を調べた研究では、最大吸気圧と最大呼気圧という指標が使われている。最大吸気圧は息を吸うときに生み出す最大の圧力、最大呼気圧は吐くときの最大の圧力で、呼吸筋の力を評価する検査だ。[2][3] 肺に入る空気の量を直接表す数字ではなく、呼吸を動かす側の力を見る。そのため、肺機能の研究と呼吸筋の研究は重なりながらも、別の面を照らしている。

平均年齢85歳の試験では、この吸う力と吐く力が改善した。[2] 呼吸を整えるという表現には、気分が落ち着くことだけを思い浮かべやすいが、この研究が測ったのは圧力である。呼吸法を、静かに過ごすための習慣に加え、呼吸に使う力を練習する方法として考える根拠になる。

健康な人を対象とした系統的レビューでも、最大吸気圧、最大呼気圧、最大随意換気量などに改善が報告されている。[8] 最大随意換気量は、努力して呼吸を繰り返したときの換気能力を見る検査で、施設入所者の試験では呼吸筋の持久力の指標として扱われた。[2] 吸える量だけでなく、呼吸を続ける働きにも目を向けている点が興味深い。

ヨガの呼吸法に期待する目標を言葉にするなら、息を大きくすることだけでなく、吸う動作と吐く動作を練習することだ。検査で使われる最大の努力と、日常の練習で毎回限界まで頑張ることは別である。研究の検査方法を、そのまま自宅で行う課題に置き換えず、指導を受ける際の相談材料にすると使いやすい。

このように呼吸筋を中心に読むと、ヨガの利点は体の柔らかさだけに収まらない。全身運動が難しい高齢者にも改善が見られた試験があることは、運動を始める入口を広げる結果である。[2] 床で複雑な姿勢をとれるかどうかだけで、呼吸の練習への関心を閉じる必要はない。

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全身運動が難しい人にも、呼吸から始める入口があった

施設入所者の試験には81人が参加し、女性が90%を占めた。対象者は自立して10mを超えて歩くことができず、全身運動のトレーニングに参加できない人だった。参加者を、対照群、器具を使った吸気筋トレーニング群、ヨガの呼吸トレーニング群へ無作為に分けた研究である。[2]

呼吸の練習は監督のもとで行われ、週5日、6週間続けられた。休息を挟みながら取り組む方式が用いられ、練習前、途中、練習後、追跡時点で測定している。[2] 指導のある継続的なプログラムで確かめた結果であり、呼吸のしかたを一度聞くだけの体験とは条件が違う。

研究を完了したのは71人で、対照群24人、器具の群23人、ヨガ呼吸の群24人だった。ヨガ呼吸の群では、最大吸気圧、最大呼気圧、最大随意換気量が改善し、対照群や器具の群との比較でも、指標に応じてより大きな改善が示された。[2] 吸う力と吐く力に加えて、呼吸を繰り返す持久力も測った点が特徴だ。

この試験の価値は、参加者の条件にある。元気な若い人の結果を高齢者に当てはめたのではなく、活動に制約のある高齢者自身が呼吸練習に取り組んだ。[2] 運動への不安がある本人や家族にとって、呼吸から始める方法が研究されたことは、相談のきっかけになる。

著者らは、このヨガ呼吸トレーニングを効果が期待でき、受け入れられやすい運動方法と評価している。[2] 器具を使う群とヨガ呼吸の群は、どちらも休息を挟む監督付きの練習に取り組んだ。呼吸法という名前だけでなく、休みながら指導を受ける仕組みも、この試験のプログラムに含まれていた。[2]

施設で行われた呼吸練習と一般のヨガ教室では、参加者への配慮や監督の条件も異なる。付き添う家族が確認したいのは、研究と同じ名前の呼吸法かどうかだけではない。歩行や姿勢の制約を伝えられるか、途中で休めるか、体調に合わせて内容を相談できるかという、参加するための条件である。

「体全体を動かせないから、呼吸も練習できない」と決めるのはもったいない。全身運動に参加できなかった人を対象にして、呼吸筋の改善が示された試験がある。[2] できる運動を探す会話に、呼吸という選択肢を加えられる。

高齢女性の研究では、呼吸の回数と力が一緒に変わった

高齢女性36人をヨガ群と対照群に分けた研究では、ヨガ群の平均年齢は63.1歳、対照群は61.0歳だった。ヨガ群は65分のセッションを週3回、12週間行った。[3] 以下の数字はヨガ群の練習前後の変化である。

ヨガ群の呼吸数は毎分18.61回から16.72回へ低下した。同時に、吸気の最大圧力は62.17から73.06cmH2Oへ、呼気の最大圧力は80.56から86.39cmH2Oへ増加した。[3] cmH2Oは圧力を表す単位である。この試験は、呼吸の回数と呼吸筋の力という異なる面に、同じプログラムの後で変化を認めた。

この研究では、肺活量、一回の呼吸量、毎分の換気量にも改善が報告された。[3] 呼吸数と呼吸筋の力に加え、空気を動かす量を同じ参加者で測っている。医学的に安定した65歳以上の20人が、理学療法士の監督で週2回、6週間、動きと姿勢と呼吸法を組み合わせた別の前後比較でも、呼吸筋の力と呼吸機能に改善があった。[1] 施設の呼吸練習[2]と合わせると、全身運動の可否に応じた異なる方法が試されている。ただし、20人の研究には対照群がなく、補助的な材料として読む。

COPDの30人を対象とした非無作為の研究では、本人が実施できる範囲でヨガを行い、約3か月間、毎月末に測定した。肺機能、末梢の酸素飽和度、6分間歩く検査による運動耐容能が評価の対象だった。[11] 呼吸器の病気がある参加者が、一律の課題ではなく、実施できる範囲で取り組んだ点にも注目したい。

この研究で、1秒量を割合で示した指標の平均増加は、65歳未満で5.2、65歳を超える群で11.4と報告され、年齢群の比較では高い年齢の群の増加が大きかった。一方、罹病期間や病気の重症度による有意な差はなかった。[11] 高い年齢の参加者にも改善が報告されたことは利点だが、30人の非無作為研究の中での比較であり、年齢が高いほど誰でも効果が増すという結論には広げない。

COPDの研究では、1秒量と努力性肺活量の比も評価し、年齢の両群が同様の反応を示した。[11] 1秒量の割合の増加では高い年齢の群が大きかった一方、この比の反応は両群で似ていた。年齢による違いが、測った項目のすべてに現れたわけではない。著者らは呼吸筋の力や肺機能に加え、呼吸症状の頻繁な増悪からの軽減も報告している。[11] 呼吸器疾患の人を含む解析[6]、ぜんそくの解析[7]、COPDの小規模研究[11]は、対象も研究の規模も異なる。持病があっても、治療と並行する活動として呼吸や姿勢の練習が検討されていることが、共通する前向きな点である。

数字で読む呼吸の練習

  • 平均年齢85歳、参加者81人。全身運動が難しい施設入所者の無作為化比較試験である。[2]
  • 週5日、6週間。施設の試験で行われた、監督付きの呼吸練習の期間である。[2]
  • 36人、週3回、12週間。高齢女性の研究で用いたヨガの規模と頻度である。[3]
  • 最大吸気圧62.17から73.06cmH2O。高齢女性のヨガ群で報告された変化だ。[3]
  • 呼吸数は毎分18.61回から16.72回。高齢女性の同じ研究で測定された値である。[3]
  • 健康な成人の11研究をまとめた解析では、努力性肺活量の効果量は0.53、信頼区間は0.10〜0.96だった。[5]

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