
膝が軽くなると一言で片づけない
後ろ向き走の脚の特徴を読むと、膝を伸ばす筋肉と足首の筋肉の役割が前進と違うことが見えてくる。男性ランナー5人を調べた研究では、後ろ向き走の推進を主に担ったのは膝伸展筋、つまり膝を伸ばす筋肉だった。足首を下向きに動かす筋肉は、接地初期の衝撃を吸収する側で大きな役割を果たした。男性ランナーの小規模な比較なので、18〜39歳の女性で同じ分担になるかは別に確かめる必要がある。[3]
この研究では、後ろ向き走の膝のピーク関節モーメントは体重あたり3.60 N·m/kg、足首では1.92 N·m/kgだった。関節モーメントは関節を回そうとする力の作用を表す。数値は膝と足首の仕事の配分を示すが、数が大きい方が痛みや損傷につながる、と直結するものではない。前進の比較データが得られたのは対象者のうち1人であり、広い集団の標準値として読むべき数字でもない。[3]
一方、男性6人で筋電図と膝の運動を調べた別の研究では、後ろ向き走の方が膝の正負のピーク機械的パワーと正の総仕事量が小さかった。筋電図は筋肉が働くときの電気活動を測るものだ。太ももの前側の筋肉では、前進で主に見られた伸ばされながらの働きと縮みながらの働きに対し、後退では長さを保つ働きと縮む働きが中心だった。男性6人の結果を、18〜39歳の女性の膝の負担の基準にはできない。[4]
膝の役割が大きいという結果と、膝の機械的パワーが小さいという結果は、どちらかを消して整理する話ではない。関節を回す作用と、時間あたりの仕事であるパワーは別の指標であり、対象者や比較の条件も異なる。膝の負担という箱に一緒に入れると、研究が何を測ったかが見えなくなる。[3][4]
足裏にも負担の移り先がある。19人のランナーが、本人の選んだ前進速度と、その70%の速度での後ろ向き走を行った研究では、後退で足の親指・人さし指につながる中足骨頭の下や、足裏の内側中央部の荷重が増えた。最大力、ピーク圧、接触時間の増加がその特徴として示された。[19]
同じ研究では、接地中の太ももの前後や臀部の一部の筋活動が後ろ向き走で高かった。これは、速度を低く設定しても局所の負担が一律に小さくなるわけではないことを示す比較である。ただし速度は前後でそろえていない。方向だけを変えた純粋な差としてではなく、その実験での速度設定を含めて受け取る必要がある。[19]
足裏の圧が増えた場所を知ることは、後ろ向き走を危険な種目と決めることとも違う。全身を動かす負担が、どこに配られたかを知る作業である。膝のある測定値が小さくても、足裏の別の場所では力が増えうる。「脚に優しい」という短い紹介文では、この配分の変化が抜け落ちる。[4][19]
近い問いの「下り坂ウォーキングは楽でも脚に負担?息の軽さと翌日の筋肉痛のずれを読む」には、下りと翌日の筋肉痛の話を譲る。ここで扱うのは走る方向を替えた際の代謝、膝、足裏の違いである。切り返しの回数を扱う隣の記事とも区別し、前進と後退そのものを比べたい。[3][10][19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
続けた後の効果は、競技者の試験として読む
その場の負担と、続けて得た変化は別の問いである。13〜15歳の男子競技者43人を後ろ向き走と前向き走に無作為に割り付け、同年代の体育授業の参加者24人を対照とした研究がある。走行距離と強度を合わせた練習を週2回、8週間行い、短距離走、ジャンプ、脚の剛性などを調べた。脚の剛性は、ばねのような脚の変形しにくさを表す指標である。成長期の男子競技者の介入試験であり、18〜39歳の女性に同じ改善を当てはめることはできない。[5]
両方向の練習群とも成績が改善し、対照群に対して走力や剛性の改善が認められた。前向き走群との比較では、後ろ向き走群に10 mと20 mの走成績、垂直ジャンプで有利な効果が示され、効果量はそれぞれ−0.47、−0.26、0.51だった。タイムは短くなる方が改善なので、負の符号が悪化を意味するわけではない。[5]
ただし、後ろ向きが常に勝ると結論するには別の結果も読む必要がある。若い女子ハンドボール選手29人を前進、後退、対照の群に無作為に分けた試験では、8週間の練習によって、前後どちらの走行練習でも筋パワーや方向転換、反復スプリント能力などに似た改善が見られた。前進群と後退群の変化量には有意差がなかった。若い女性でも競技者を対象とする試験なので、18〜39歳の一般女性に同じ改善を約束する結果にはならない。[9]
この女子選手の研究でも、小さな違いの可能性は検討されている。しかし、それを群間の差が確定したという話に替えてはいけない。男子競技者の試験で後退に有利な結果があったことと、女子ハンドボール選手の試験で明確な群間差がなかったことを並べると、種目の優劣は対象と評価項目に依存すると読むのが妥当である。[5][9]
どちらも競技者の運動能力に関する試験であり、仕事帰りに運動を始める大人へ同じ伸びを約束するものではない。ジャンプの高さ、走るタイム、代謝コストは、そもそも同じ結果を測っていない。息が上がったから走力が向上した、あるいは短距離走が速くなったから消費量が増えた、と橋を架けずに読むことが大切だ。[5][9][10]
レビューは後ろ向き走を競技能力の向上に使える方法として整理しつつ、その場の反応と長期的な変化の研究をさらに進める必要があるとしている。選択肢にはなるが、前進をすべて置き換える根拠とはしない。この距離感なら、見慣れない走り方を過大評価せず、目的に応じて検討できる。[6]

よくある誤解
「前進より遅ければ、休憩に近い」は成り立たない。全力の後退が前進より遅い研究と、後退で代謝コストが高い実験がある。移動の遅さを、そのまま回復区間の軽さの証拠にはできない。走る方向を替えることと、休むことは区別して記録したい。[1][10]
「膝の測定値が小さいから、脚全体に負担がない」も言い過ぎである。膝の機械的パワーが小さかった小規模研究はあるが、足裏では荷重が増す場所が確認されている。痛みのある人に一般向け動画の後ろ向き走を治療として勧める読み方ではない。個別の痛みについては医師に相談する領域である。[4][19]
「きつく感じる程度を合わせれば、体の反応もそろう」とも限らない。体重を支える装置を使い、前後の走りで歩調を変えた実験では、好みの歩調から10%増やすと酸素摂取量や心拍数などが高くなった一方、主観的なきつさには明確な差がなかった。体の反応と感覚は、同じ方向に同じ幅で動くとは限らない。[18]
この歩調の実験は、同じ速度でも脚を動かす頻度が比較を変えることを示す。後退で足数が増えるというレビューの特徴と合わせると、速度表示だけを見て負担をそろえたつもりになる理由が見えてくる。だからといって、感覚を捨てて数字だけに従う必要もない。測定値と体感は別々の情報として残すのが、ここから導ける実用的な整理である。[6][18]
今日からできること
- メニューを読むときは、前進か後退かを走る区間ごとに確認する。20 mの全力加速で29%の速度差があった結果は、同じ距離でも同じ動きにならない手掛かりである。[1]
- タイムと体感を別の欄に書く。34人の男子競技者の自己調整走でも、主観的に選んだ各強度で前進の方が速かった。後退の遅さだけを理由に速めない。[16]
- 慣れる過程の記録を、効果判定と分けておく。自己調整走の試験では初期の測定間に変化があり、慣れた後の比較で変動係数4.3%以下という再現性が得られた。[16]
- 後ろ向き走を検討するなら、速度だけでなく足の運びと局所の感覚も指導者と確認する。19人の研究では、前進の70%の速度でも足裏の一部に荷重増加があった。[19]
- 8週間の競技者の試験を、自分の成果の期限にしない。女子ハンドボール選手では前進・後退間の変化量に有意差がなく、後退を選ぶだけで成果が上乗せされるとは読めない。[9]

オンザショアで、速さ以外にも目を向ける
後ろ向き走の遅さだけで負荷を決めず、息のきつさと脚の感覚を分けて振り返る。その視点を持って続ける種目を考えたい。オンザショア立川店にはHIITやパーソナルトレーニングのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズがある。研究で扱った後ろ向き走と、当店のレッスン内容は区別して選ぶ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。種目や料金は店のトップと料金で確認できる。
営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約で予定を選び、続けられる運動の時間を具体的に考えたい。
参考文献
[1] Acceleration mechanics during forward and backward running: A comparison of step kinematics and kinetics over the first 20 m — Uthoff A, Zois J, Van Den Tillaar R, Nagahara R., 2021, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2021.1898193
[3] Lower extremity joint kinetics and energetics during backward running — DeVita P, Stribling J., 1991, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/00005768-199105000-00013
[4] Mechanical power and muscle action during forward and backward running — Flynn TW, Soutas-Little RW., 1993, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. DOI: 10.2519/jospt.1993.17.2.108
[5] Sprint-Specific Training in Youth: Backward Running vs. Forward Running Training on Speed and Power Measures in Adolescent Male Athletes — Uthoff A, Oliver J, Cronin J, Harrison C, Winwood P., 2020, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000002914
[6] A New Direction to Athletic Performance: Understanding the Acute and Longitudinal Responses to Backward Running — Uthoff A, Oliver J, Cronin J, Harrison C, Winwood P., 2018, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-018-0877-5
[9] The effects of backward vs. forward running training on measures of physical fitness in young female handball players — Sammoud S, Bouguezzi R, Uthoff A, Ramirez-Campillo R, Moran J, Negra Y, Hachana , 2023, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2023.1244369
[10] Biomechanical and metabolic aspects of backward (and forward) running on uphill gradients: another clue towards an almost inelastic rebound — Rasica L, Porcelli S, Minetti AE, Pavei G., 2020, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-020-04474-7
[16] Prescribing Target Running Intensities for High-School Athletes: Can Forward and Backward Running Performance Be Autoregulated? — Uthoff A, Oliver J, Cronin J, Winwood P, Harrison C., 2018, Sports (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/sports6030077
[18] The effects of stride frequency manipulation on physiological and perceptual responses during backward and forward running with body weight support — Masumoto K, Denton D, Craig-Jones A, Mercer JA., 2020, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-020-04380-y
[19] In-shoe plantar pressure distribution and lower extremity muscle activity patterns of backward compared to forward running on a treadmill — Sterzing T, Frommhold C, Rosenbaum D., 2016, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2016.03.009
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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