観葉植物を選ぶとき、葉の形への好みと研究が測った効果をどう結びつければよいか。植物の有無で比べた血圧や学業成績、学生60人の休憩、26人の世話の試験を読む。種類による汚染物質の除去と品種の毒性も確かめ、形ごとの癒しの差へ答えを広げる前に、比較条件を押さえる。
細長い葉と幅の広い葉。机の端に置くなら、どちらを見ると落ち着くのだろう。店頭で鉢を持ち替えると、輪郭だけでなく、葉の重なりや机との釣り合いも気になる。毎日目に入るものだから、好みに合う姿を選びたい。
観葉植物には、気分や生理反応への好ましい結果がある。ただし、ここで扱う研究が比べたのは主に植物の有無や世話の有無で、葉の形ごとの癒しの差には答えていない。種類について具体的に調べられているのは、汚染物質の除去や品種の成分などである。好みの姿を選ぶことと、研究で裏づけられた効果を選ぶことには、この距離がある。[4][2][1][18]
鉢を眺める休憩と、世話する時間の反応を比べる問いは、既存記事「観葉植物でストレスは和らぐ?鉢を眺める休憩と世話する時間の反応を比べる」に譲る。こちらでは「種類による違い」として実際に測られた対象をたどる。

試験が並べた相手は、無い部屋と待機と瞑想である
研究によって、植物に関わる条件の作り方が異なる。2022年の系統的レビューとメタ分析は、室内植物なら種類を限らない、と参加者も種類も広く採った。比較の相手は、植物が全く無いか、植物以外の要素である。メタ分析に進んだ問いは、有る条件と無い条件の差である。18〜39歳の女性だけを対象にした統合ではなく、その年代の女性への当てはまりは個別に検討する必要がある。[4]
学生60人を、室内植物のある休憩、誘導瞑想、対照の休憩へ無作為に分けた試験も、植物の側は「室内の植物」という一条件である。対象は学生で、18〜39歳の女性全体への当てはまりは、この集団だけから決められない。休憩のあとで動いたと書かれているのは、情動の回復の側である。[5]
痔核の切除から回復する90人を、植物のある病室と対照の病室に分けた試験も、置いたのは生きた植物と花である。報告された反応は、収縮期血圧、痛み、不安、疲労の評価、部屋への満足である。18〜39歳の女性の普段の部屋にそのまま当てはめるには、術後の回復期という条件の違いがある。[19]
種類が1つに固定されるのは、別の試験である。ストレスになる生活上の出来事のあと、26人を13人ずつに分け、一方だけがザミオクルカス・ザミフォーリアを1か月世話した。相手は待機群である。18〜39歳の女性全体へ適用するには、ストレスになる出来事を経験した参加者という条件を考える必要がある。[2]
比較条件を読むときは、植物以外に何が変わったかも見る。世話の試験では、見るだけでなく植物に関わる行動が加わる。休憩の試験では、植物のある環境で休む条件と、声に導かれて瞑想する条件が用意される。病室では植物と花を含む環境全体を経験する。それぞれが、日常で鉢を迎える行為の異なる面を切り取っている。[2][5][19]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
有る無しで有意だったのは、拡張期血圧と学業成績である
室内植物が人の機能に何をするかを、メタ分析まで進めた研究は、それ以前の系統的レビューが3本、メタ分析は無かった、と自分の位置を書いている。対象は、生理、認知、健康に関わる機能、行動である。探したのは英語と中国語で、Web of Scienceは1990年以降、Scopusは1970年以降、万方データは1980年以降、台湾の定期刊行物は1970年以降。最終の検索日は2021年2月18日。採否は、参加者の種類を限らず、室内植物の種類も限らず、植物が無いか別要素との比較があり、人の機能を客観的に測り、研究デザインも限らない、という広い網だった。質の評価も掛けている。[4]
系統的レビューに残ったのは42件である。まとめでは、室内植物は参加者の機能に良い影響を与え、とくにリラックスした生理と、高まった認知に及ぶ、とされた。メタ分析に進んだのは16件だけで、問いは植物の有無である。有意に益するとされたのは二つ。拡張期血圧は−2.526、95パーセント信頼区間は−4.142から−0.909。学業成績は0.534、信頼区間は0.167から0.901。脳波のアルファ波とベータ波、注意、反応時間は、有意な影響としては示されなかった。[4]
42件の「認知が高まる」と、メタ分析の「注意と反応時間は有意でない」は、同じ論文の中で並んでいる。レビュー全体の結論と、数字に乗った少数の機能は、同じ強さではない。著者らが限界として書くのは、灰色文献を入れておらず、機能ごとのメタ分析が2件か3件だ、という点である。1機能あたりの本数がその少なさなので、拡張期血圧の−2.526を、あらゆる種類とあらゆる部屋の保証にはしない。著者らの結びは、健康な都市には街の緑地だけでなく、建物の中の植物も要る、という提案である。[4]
オフィスで気分の回復と注意課題の成績を分ける読み方は、既存記事「観葉植物のオフィス効果は仕事にも届く?気分の回復と注意課題の成績を分けて読む」に譲る。ここでは、種類に関する結論を読む前提として、客観的な成績にも項目ごとに異なる結果があったことを押さえる。[4]
痔の手術のあと、植物と花のある病室は収縮期血圧と痛みが低かった
病室で生きた植物を見ることが、手術を受けた人のストレスと回復に何をするか。著者らは、その利益についての臨床試験はそれまで報告されていない、と書き、この試験を行った。痔核の切除から回復する患者90人を、対照の病室と、植物を置く病室に無作為に分けた。半数の患者の部屋には、回復の期間、生きた植物を置いた。18〜39歳の女性の日常への適用は、術後患者を対象にした試験という範囲を踏まえて考える。[19]
植物と花のある部屋の患者は、より肯定的な生理の反応を示し、その中身は収縮期血圧の低さだった。痛み、不安、疲労の評価も低かった。部屋をより肯定的に感じ、満足も高かった。患者のコメントとして著者らがまとめるのは、植物が部屋を明るくし、ストレスを減らし、世話をする職員への肯定的な印象も伝えた、という内容である。著者らの結論は、植物と花が、侵襲が小さく費用を大きくかけない、有効な補完的な方法だ、という確認である。医療者と病院の管理者に、癒しの環境への利用を検討するよう書いている。[19]
病室の評価に使われた項目は、痛みの強さと苦痛、不安と疲労、状態不安の尺度、環境の評価、病室の満足度である。入院期間、鎮痛薬、バイタルサインも収集した。測る項目を広く用意した試験だが、結果として取り上げられた改善は前述の血圧や自覚評価である。鎮痛薬を減らせると期待するより、患者が回復期をどう過ごしたかを見る研究として読む方が、報告された結果に沿う。[19]
数字で読む観葉植物の種類
−2.526(95パーセント信頼区間 −4.142から−0.909)。植物の有無を統合したメタ分析で、拡張期血圧に付いた差。学業成績は0.534(区間 0.167から0.901)。注意と反応時間は有意ではなかった。レビュー42件、うちメタ分析は16件。[4]
90人。痔核切除のあとを、植物と花のある病室と対照に無作為に分けた規模。収縮期血圧、痛み、不安、疲労の評価が植物側で低く、部屋の満足は高かった。[19]
60人。学生を室内植物、誘導瞑想、対照の休憩に分けた人数。情動の回復は小さく有意で、認知の回復は有意でなかった。[5]
13人対13人。ザミオクルカス・ザミフォーリアを1か月世話した群と待機群。抑うつ症状のpは0.003、知覚されたストレスは0.001未満、否定的感情は0.017、反すうは0.015、レジリエンスは0.03。[2]
マイナス25パーセントから100パーセント。BTEX除去の系統的レビュー43件(687件から採択)での効率の幅。仕組みは植物による除去が82.4パーセント、微生物による分解が17.5パーセント。[1]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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