笑う人ほど健康寿命は長いのか。毎日の頻度と暮らしの条件を分けて読む

よく笑うほど健康寿命は長いのか。福島の60〜79歳916人では、毎日笑うことと口の働きの弱さの低さが関連した。年数ではない。希望の点数を寿命と呼ぶ試験と、暮らしの条件を調整したあとに残る毎日の笑いと抑うつを分ける。ストレスの統合では効果の大きさが揃わない。

食卓で昔の失敗談が出て、食べ終わった皿を前にまた笑う。「よく笑う人は長生きする」と誰かが言う。楽しい夕食だったことは確かだ。では、その日の笑いを、健康で過ごせる年数へ換算できるのか。

換算できる、とこの論文群は年数で示していない。いちばん近い数字は、福島の60〜79歳916人を2020〜2021年に一度調べた横断研究にある。毎日笑うことの、口腔フレイルに対する性・年齢調整のオッズ比は0.38(95%信頼区間0.26〜0.57)だった。口腔フレイルとは口の働きが弱った状態で、オッズは、その状態がある確率とない確率の比を指す。対象が中高年なので、18〜39歳の女性に同じ関連があるかは別に確かめる必要がある。[3]

作り笑いと自然な笑いで、息と筋肉がどう違うかは、既存記事「ラフターヨガは作り笑いでも同じ?自然な笑いと息・筋肉の働きを研究から読む」に譲る。笑いが健康にいいか、作り笑いでも効くかを試験で見る問いは、「笑うことは健康にいいのか、作り笑いでも効くかを試験で確かめる」に譲る。ここで分けるのは、健康寿命という語がどの数字を指すかと、笑う回数を暮らしの条件から切り離せるかだ。

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希望の点数に、寿命という名前が付いていた

健康寿命と聞くと、介護や大きな病気なく過ごす年数を想像する。ここでは、口の機能を調べた観察研究と、希望を質問票で測った介入試験を分けて読む。

質問票に寿命という名が付いた例がある。ゴルガーンの退職者220人は、便宜的に集められ、その後ブロック無作為化で110人ずつに分かれた。介入は、資格を持つ指導者と研究者による45分の笑いヨガを8回。幸福はオックスフォードの質問票、寿命は希望尺度で、介入の前後を比べた。両群は性別、年齢、婚姻、教育、職業が似ていた。希望尺度の介入前平均は、介入群65.86(標準偏差7.64)、対照群65.70(標準偏差7.58)で、差の検定は0.96だった。幸福も63.18(標準偏差8.88)と63.29(標準偏差7.56)で、検定は0.37だった。[2]

介入後の希望尺度は、介入群69.4(標準偏差42.32)、対照群65.77(標準偏差8.99)で、検定は0.001を下回った。幸福は69.86(標準偏差10.91)と64.55(標準偏差9.28)で、同じく0.001を下回った。著者は、笑いヨガが幸福を有意に高め、高齢者の寿命を改善したと結論し、精神的な健康を高める非侵襲的な方法であり、予防的な手段にもなると書く。地域の支援者や介護する人へ、高齢者ケアに取り入れるよう勧めている。この試験の読みどころは、同じ質問票を介入前後に使い、対照群とも比較した点にある。[2]

ここで限界を整理しておく。口の状態との関連、希望や幸福の点数、神経症状の治療需要は、それぞれ異なる指標である。この論文群から笑う頻度を健康寿命の延伸年数には換算できない。以降は、各研究が実際に測った指標に沿って読む。[1][2][3]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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毎日笑う人のオッズは、口の働きの弱さの話だった

916人の研究は、笑いの頻度と口腔フレイルの有病率の関連を、二項ロジスティック回帰で見ている。口腔フレイルの割合は41.5%だった。60〜79歳では、まれな例外として片付ける割合ではない。[3]

性・年齢を調整したオッズ比は、毎日笑うこと0.38(0.26〜0.57)、週に1〜5回笑うこと0.51(0.35〜0.76)だった。1を下回るので、その答え方をした人の側で、口腔フレイルのオッズが低い方向にある。毎日のほうが、週数回より1から遠い。どちらも、口腔フレイルの有病率との関連として、この大きさで報告されている。[3]

同じ調整で、毎日話すことは0.42(0.20〜0.89)、週に1回を超えて地域活動に参加することは0.40(0.22〜0.72)、抑うつ症状がないことは0.29(0.20〜0.43)だった。抑うつ症状のなさは、毎日の笑いよりさらに小さいオッズ比である。笑いだけが突出して、他の暮らしの因子が無関係だった、という絵は、この段では成り立たない。[3]

対象は福島の住民で、年齢は60〜79歳だ。立川周辺で夜にこの語を検索する世代へ、同じ倍率を貼れない。口腔フレイルは口の働きの指標であり、外見の若さでも、体重でもない。口の機能が落ちると食事の席の笑いが減る、という逆向きも、一度きりの横断調査では残る。設計上、どちらが先かは決まらない。これは結果の読みであって、著者は関連と、その先の可能性を分けて書いている。[3]

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暮らしの条件を調整すると、毎日の笑いと抑うつが残る

性・年齢だけの調整では、笑い、会話、地域活動、抑うつのなさが、そろって関連していた。多変量で調整したあとに関連が残ったのは、毎日の笑いと、抑うつ症状がないことだけだった。週に1〜5回の笑い、毎日の会話、週1回を超える地域活動は、この調整のあとには残っていない。[3]

ここが、笑う回数と暮らしの条件を切り離せるか、へのいまの答えになる。切り離しは中途半端だ。会話と地域活動は、多変量のあとには口腔フレイルとの関連として残らなかった。一方で抑うつ症状のなさは残った。毎日の笑いも残った。気分の条件を外しても笑いだけが立つ、とまでは言えない。毎日という頻度と、抑うつ症状のなさが、同じモデルに並んで残った。[3]

調整とは、比べる人たちの条件の違いを統計的に考慮する手続きだ。性別と年齢だけを考慮した段階と、複数の条件を入れた段階では、問う内容が変わる。前者では一緒に見えた関連のうち、後者でも残るものを確かめる。そのため、調整の前後を並べて読むことに意味がある。福島の60〜79歳の結果を、18〜39歳の女性の生活へ移す際にも、この比較条件を省けない。[3]

数字で読む笑う頻度と健康寿命

916人:2020〜2021年に福島で調べた60〜79歳。笑いの頻度と口腔フレイルを同時に見ている。[3]

41.5%:その916人に口腔フレイルがあった割合。口の働きの弱さは少数派の話ではない。[3]

0.38(0.26〜0.57):毎日笑うことの、性・年齢調整のオッズ比と95%信頼区間。[3]

0.51(0.35〜0.76):週に1〜5回笑うことの、同じ調整でのオッズ比。毎日より1に近い。[3]

0.29(0.20〜0.43):抑うつ症状がないことの、性・年齢調整のオッズ比。毎日の笑いより小さい。[3]

69.4と65.77:笑いヨガ8回のあと、希望尺度の平均。介入群と対照群。介入前は65.86と65.70だった。[2]

会話の中身が違うと、笑いの量も違って見えた

米国では、ラティーノの人々が社会経済的、心理社会的に不利でも、他の集団より平均余命が長い現象が知られ、健康についての逆説と呼ばれてきた。この現象を文化と社会的ネットワークから照らすために、母親の日常を録音した研究がある。ラティーナの母親26人と、白人・ヨーロッパ系の母親24人が、生活のあいだデジタル録音機を身につけた。対象は米国の母親であり、文化や家族環境も異なる18〜39歳の女性全体に、そのまま当てはめることはできない。[4]

会話は、軽い雑談か中身のある会話か、相手が父親か他の大人か、という四つの型で質を見た。笑いを、会話中の健康の良い指標として数えた。結果は、ラティーナの母親のほうが笑う傾向にあり、その関係は他者との中身のある会話によって媒介されていた、というものだ。文化的な過程が意味のある会話を可能にし、それが行動としての笑いの多さに関わり、健康に良い意味を持ちうる、と著者は示唆する。会話の相手と中身まで観察したことが、この研究の特徴である。[4]

暮らしの条件を「調整して消す雑音」とだけ見ると、会話は笑いの邪魔に見える。この研究では逆で、会話の質が笑いの量の通り道だった。福島の多変量で毎日の会話の関連が落ちたことと、母親の録音で中身のある会話が笑いを媒介したことは、矛盾というより問うている単位が違う。前者は口腔フレイルの有無、後者は会話中に起きた笑いの回数である。[3][4]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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