プロテインと寿命は結びつく?死亡リスクの差を日本と米国の追跡研究で確かめる

植物性と動物性のプロテインで寿命は変わるのか。日本と米国の追跡研究、たんぱく源を置き換える研究の統合結果を読み、死亡リスクの低下と寿命の延長を分けて考える。肉や卵の代わりに何を食べるか、食事全体の関連を粉末プロテインの優劣に読み替えないための比較の視点も示す。

夕食の肉を豆に替える話と、シェーカーに入れる粉を替える話。どちらも「植物性か動物性か」だが、寿命との関連を調べた大規模研究の中心は、日々の食事から何を食べていたかである。粉末の製品を選び分けて長年追った比較と、同じものにはできない。[1][3][5]

答えの芯は、植物性たんぱく質を多く取る食生活や、動物性の一部を植物性に置き換えた食生活が、低い死亡リスクと関連していることだ。ただし、これらは主に人々の食事とその後を追う観察研究であり、「植物性を選べば寿命が何年延びる」という保証ではない。[2][7]

体重の変化は既存記事「植物性たんぱく質と動物性たんぱく質で体重に差は出るか 6か月以上の18試験と菜食の16週」に譲る。ここで見るのは、長期の死亡という別の結果である。問うべきは食卓のどちらの陣営が勝つかではなく、何を何に替えた人を比較した数字なのかだ。[1][5]

既存記事「座りっぱなしは死亡リスクあり」が扱う座位の問題とは問いを分け、ここでは食事のたんぱく源と死亡の関連に絞る。

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植物性が多い人と、動物性が多い人は鏡写しではない

まず全体像を押さえる。成人の前向きコホート研究、つまり食生活を調べてから将来の経過を追う研究を集めた2020年の系統的レビューでは、32研究が対象となり、31研究がメタ分析に入った。合計715,128人を含み、追跡期間は3.5〜32年、死亡は113,039件だった。対象は18歳以上の成人で、18〜39歳の女性に限った結果ではないため、この年齢層の女性にも同じ大きさの関連があるかは別に検討する必要がある。[2]

植物性たんぱく質の摂取が最も多い群は、最も少ない群に比べて、全死因死亡の統合効果量が0.92、95%信頼区間は0.87〜0.97だった。全死因死亡とは、死因を限定しない死亡のことである。心血管疾患による死亡についても低い方向の関連があり、統合ハザード比は0.88、信頼区間は0.80〜0.96だった。一方、がん死亡との有意な関連は認められなかった。[2]

ここで「では動物性は同じだけ危険なのか」と裏返すと、読み違える。この統合では、総たんぱく質も多い群の全死因死亡が低く、効果量は0.94だった。総たんぱく質と動物性たんぱく質については、心血管疾患死亡、がん死亡との有意な関連はなかった。植物性に低い死亡との関連があることは、動物性すべてに高い死亡との関連があることと同義ではない。[2]

多い群と少ない群を比べる方法は、長く続く食生活の特徴を捉える。ただし、植物性を増やした人が、代わりに何を減らしていたかまで単純な対称形にはならない。著者らも、たんぱく源の選択は食事のほかの成分にも影響するという視点を示している。食材には、たんぱく質だけを抜き出すためのファスナーが付いていない。[1]

したがって、植物性の摂取量という入り口から読んだ結果を、そのまま特定の粉末の評価に移すことはできない。食事由来の動物性・植物性たんぱく質と死亡を調べた研究が支えるのは、長期の食事選択を見直す視点である。製品の袋の原料表示だけで、この比較と同じ条件がそろうわけではない。[1][3][5]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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日本の追跡研究は「肉を何に替えるか」を示す

日本人の食事でも似た方向なのか。2019年に発表された研究は、開始時にがん、脳血管疾患、虚血性心疾患の既往がない45〜74歳の70,696人を追った。食物摂取頻度の質問票からたんぱく質摂取量を推定し、総エネルギーに占める割合で群に分けている。追跡では12,381件の死亡が確認された。対象年齢が異なる18〜39歳の女性に、この関連の大きさをそのまま当てはめることはできない。[5]

動物性たんぱく質の摂取量には、全体の死亡にも、死因別の死亡にも明確な関連がなかった。植物性では、最も少ない群を基準に、最も多い群の全死因死亡のハザード比は0.87、95%信頼区間は0.78〜0.96だった。ここでも「動物性を取ること自体が危険」という結論にはなっていない。[5]

途中の群の値も読みどころだ。少ない方から順に基準群を除く各群のハザード比は0.89、0.88、0.84、0.87だった。全体として低い死亡との関連がある一方、最多の群が最も低い値だったわけではない。「多くすればするほど際限なくよい」という食べ方の指示は、この並びからは作れない。[5]

さらに同じ研究は、総エネルギーをそろえ、赤身肉のたんぱく質からのエネルギー3%分を植物性に置き換える統計的な比較を行った。その全死因死亡のハザード比は0.66、信頼区間は0.55〜0.80だった。加工肉由来からの置き換えでは0.54、信頼区間は0.38〜0.75だった。いずれも観察された食事から推定した関連である。[5]

同じ「植物性を選ぶ」でも、比較の出発点が違う。肉由来の一部を植物性に振り向けた食事と、動物性全体の摂取量が多い食事は、別の問いに答えている。動物性全体には明確な関連がなくても、特定の食材からの置き換えには関連が見られる。この組み合わせは矛盾ではなく、分類の粗さが違うのである。[5]

日常の夕食なら、いつもの主菜の一部を豆などの植物性の食材に振り向ける場面が、この問いを考えやすい。反対に、いつもの献立をそのままにして植物性の食品だけ追加する場面は、総エネルギーをそろえる置き換えとは異なる。研究の数字を使うなら、増えたものだけでなく、減らしたものも同じ紙に書く必要がある。[5][7]

この比較を献立に引き寄せるなら、置き換え元の食品まで言葉にしたい。「植物性にした」だけでは、肉の主菜を替えたのか、付け合わせを替えたのかが分からない。研究が比べたのは総エネルギーをそろえた配分であり、夕食の品数だけを増やす工夫とは比較条件が異なる。[5]

米国の大規模研究は、比率と生活背景を分けて読む

米国の医療従事者131,342人を含む研究では、食生活の質問票を定期的に更新して追跡した。平均年齢は49歳で、動物性たんぱく質はエネルギー10%分増加当たりの全死因死亡ハザード比が1.02、信頼区間は0.98〜1.05で、有意な関連はなかった。心血管疾患死亡では1.08、信頼区間は1.01〜1.16だった。中年を含む男女の医療従事者の結果であり、18〜39歳の女性に同じ関連の大きさを適用するには対象の違いがある。[1]

植物性では、エネルギー3%分増加当たりの全死因死亡ハザード比が0.90、信頼区間は0.86〜0.95だった。ただし、こうした関連は、喫煙、多量飲酒、過体重や肥満、身体活動不足のうち少なくともいずれかの生活上のリスクを持つ人に限って見られ、それらがない人では明瞭でなかった。植物性という分類だけで全員に同じ差を期待するのは強すぎる。[1]

この研究でも置き換える食品によって値が違う。植物性へエネルギー3%分を置き換えたとき、加工赤身肉からでは全死因死亡ハザード比0.66、未加工の赤身肉からでは0.88、卵からでは0.81だった。信頼区間はそれぞれ0.59〜0.75、0.84〜0.92、0.75〜0.88である。すべてを「動物性から植物性」の短い見出しにすると、この差が消える。[1]

別の米国研究は416,104人を対象とし、男女の年齢中央値はいずれも約62歳だった。この中高年の男女の結果から、18〜39歳の女性にも同じリスク差が生じるとは判断できない。植物性摂取が多いことと低い死亡との関連を認め、動物性から植物性へエネルギー3%分を置き換える比較では、全死因死亡リスクが男女とも10%低い関連だった。卵由来、赤身肉由来からの置き換えが主に関わると報告している。[3]

ただし相対的な差と絶対的な差は区別したい。同じ研究では植物性たんぱく質が1標準偏差、つまり摂取量の個人差を表す幅だけ多い場合、男女ともハザード比は0.95だった。一方、その比較に対応する調整後の16年間の絶対リスク差は、男性でマイナス0.36ポイント、女性でマイナス0.33ポイントだった。[3]

「5%低い」と「5ポイント低い」は違う。比率での差を、そのまま集団全体の死亡割合の差として読まないことだ。さらにこの絶対差は、この研究の対象と観察期間に対応した推定値である。若い人の来年のリスク差にも、何歳まで生きるかという年数にも、そのまま移せない。著者らも全体の死亡リスクの減少を小さいものとして述べている。[3]

数字で読むたんぱく源と死亡の研究

715,128人:2020年のレビュー全体の参加者数。統合に入ったのは31研究である。[2]

0.87:日本の研究で植物性摂取が最多の群と最少の群を比べた全死因死亡ハザード比。[5]

3%:日本の置き換え解析で使った総エネルギーの割合。食品の重量の割合ではない。[5]

0.91:2026年の置き換え研究の統合で示された全死因死亡ハザード比。[7]

マイナス0.33ポイント:米国女性の植物性摂取1標準偏差増加に対応する16年間の調整後絶対リスク差。[3]

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宮川涼 Founder

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