
断ったチョコを前にすると、位置を覚える成績が落ちた
欲求は気持ちだけの問題では済まない。女子大学生96人を2組に分け、片方は24時間チョコを断って、目の前にチョコがある状態で課題を受けた[16]。すると、ブロックの位置を覚える課題の成績だけが対照より悪く、数字の記憶ともう1つの記憶課題では差がなかった[16]。チョコの映像と、位置を覚える力が同じ資源を取り合っている、と著者たちは考えている[16]。
ただ、誰でもそうなるわけではない。同じように24時間断った女子学生の2つの実験では、断った組全体の成績が落ちたわけではなく、差が出たのは、ふだんからチョコを強く欲しがる性質との組み合わせだった[18]。新宿の地下で乗り換えの出口を間違えた夕方を、チョコのせいにしてよいのかは分からない。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
15分歩くと下がる、四旬節の女性でも
動くと欲求が下がることも確かめられている。ふだんチョコを食べる女性41人(標準体重20人、過体重または肥満21人)が24時間チョコを断ち、これに四旬節で1週間以上チョコを断っていた女性17人を加えた試験がある[12]。四旬節はキリスト教の節制の期間で、チョコをやめる人がいる。全員が、15分の早歩きをする日と休む日を別々に体験した[12]。
早歩きのあとは、休んだ日より欲求が低く、その差は運動直後だけでなく5分後、10分後の測定まで続いた[12]。チョコの絵に最初に目が向く傾向も弱まった[12]。体重の区分でも、断った期間でも、結果は変わらなかった[12]。
逆に、寝不足は欲求を押し上げる。ふだん7〜9時間眠る肥満のない女性24人で、寝床にいる時間を33%削った翌日を通常の夜の翌日と比べると、空腹と食べたい気持ちが高まり、チョコを報酬にした課題でより多くのチョコを食べ、昼食に盛る量も増えた[10]。たった1晩の、わずかな削り方である。

欲しさと食べる量は、別々に動くことがある
この記事でいちばん奇妙なのはここだ。欲しさを下げれば、食べる量も減る。普通はそう考える。そうならなかった実験がある。
若い女性94人と、チョコを減らしたい人97人の2つの実験では、考えから距離をとる方法で考えの割り込みも映像の鮮やかさも欲求の強さも下がった[5]。それなのに、チョコを食べた量には、どちらの実験でも組の差がなかった[5]。
反対の結果もある。オキシトシンという物質を鼻から入れる12本の試験をまとめたメタ分析では、精神疾患のない人で食べる量は減り(標準化平均差マイナス0.66)、チョコビスケットの量も抑えられたが、欲求や空腹はプラセボと変わらなかった[6]。1回の投与での結果で、日常の方法として勧める話ではない。
スマホの試験はさらに愉快だ。チョコをふだん食べる105人を、チョコの絵を指で上へ払い続ける組、払ったり引き寄せたりする対照組、何もしない組に35人ずつ分けた[7]。10日後、欲求も食べた量も下がった。ただし3組ともである[7]。何もしなかった35人にとっては、不戦勝のような結果だ。
片頭痛の犯人説は、プラセボとの比較で支持されなかった
チョコの濡れ衣として、いちばん大きいのは片頭痛かもしれない。片頭痛の人が食べ物の引き金として最もよく挙げるのがチョコで、25本の研究がその割合を調べている[14]。23本で引き金とされたが、割合は1.3〜33%と幅があり、いずれも少数派である[14]。
決め手はプラセボと比べた試験で、3本ともチョコで発作が増えるという差を出せなかった[14]。総説の結論は、チョコが引き金だという根拠は不十分で、医師が避けるよう勧めるべきではない、というものだ[14]。さらに総説は、頭痛の前触れの症状としてチョコへの欲求が起き、食べたあとに頭痛が来ているのではないかと問う[14]。もしそうなら、犯人に見えたチョコは、先に現場にいただけである。

よくある誤解
「チョコが欲しいのはマグネシウム不足のサイン」。可能性として語られてはきたが[24]、カカオの成分をカプセルで渡しても欲求はほとんど収まらなかった[23]。不足のサインと言い切れる根拠は弱い。
「生理前に欲しくなるのはホルモンのせいだ」。閉経後の減りは予測より小さく[21]、国によって答えが大きく違う[25]。主な原因とは言いにくい。ホルモンとの関係を示唆する総説もあるので[24]、無関係とまでは言えない。
「チョコを食べると片頭痛になる」。プラセボと比べた3本の試験で、差は出ていない[14]。
「欲しくてたまらないのは意志が弱いから」。控えることへの反動という読みがあり[22]、位置を覚える課題の成績まで落とし[16]、1晩の寝不足でも強まる[10]。強い欲求が続いて生活に響くなら、抑うつや不安などとの関連を挙げた総説もあるので[17]、1人で抱えず医師に相談する。
今日からできること
- 生理前に欲しくなる人は、その時期に高カロリーのものを控えすぎていないか見直す。控えることへの反動という読みがある[22]
- 欲しくなったら15分歩く。24時間断った人でも、10分後の測定まで休んだ日より欲求が低かった[12]
- 気を紛らわすなら、音ではなく見た目か匂いを細かく想像する。音の課題より欲求が下がった[20]
- 考えを追い払わず「いまチョコのことを考えている」と一歩引いて眺める。2分の音声でも欲求が下がった[3]
- 寝不足の翌日は、欲しくなりやすい日と先に知っておく。1晩33%削っただけで量が増えた[10]
- 頭痛の日にチョコのせいと決める前に、頭痛と食べた時刻を並べて書いて医師に見せる[14]
オンザショアで、欲しくなる前の時間を埋める
15分の早歩きで欲求が下がったのは、歩いた直後から10分後までの話だ。チョコが頭に割り込む日に、別のことを体でする予定が入っていれば、それで十分なこともある。
オンザショア立川店には、溶岩プレートのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上。欲求が下がるとは約束しない。頭に入れる映像の種類を、週に1〜2回変える場所として使うくらいがよい。
JR立川駅北口から徒歩1分で、水曜と金曜は21時開始の遅い回もある。体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、タオルとヨガマットのレンタル込み。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。体験の予約のほか、料金も載せている。
参考文献
[2] The effect of a 14-day Gymnema sylvestre intervention to reduce sugar intake in people self-identifying with a sweet tooth — Wh H, et al., 2025, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2025.107871
[3] The effect of visualisation and mindfulness-based decentering on chocolate craving — Wilson E, et al., 2021, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2021.105278
[4] The Effect of a 14-Day gymnema sylvestre Intervention to Reduce Sugar Cravings in Adults — Turner S, et al., 2022, Nutrients. DOI: 10.3390/nu14245287
[5] Acceptance- and imagery-based strategies can reduce chocolate cravings: A test of the elaborated-intrusion theory of desire — Schumacher S, et al., 2017, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2017.02.012
[6] Effects of intranasal oxytocin in food intake and craving: A meta-analysis of clinical trials — Chen CY, et al., 2021, Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland). DOI: 10.1016/j.clnu.2021.08.011
[7] Effects of a Smartphone-Based Approach-Avoidance Intervention on Chocolate Craving and Consumption: Randomized Controlled Trial — Meule A, et al., 2019, JMIR mHealth and uHealth. DOI: 10.2196/12298
[10] Increased Hunger, Food Cravings, Food Reward, and Portion Size Selection after Sleep Curtailment in Women Without Obesity — Yang CL, et al., 2019, Nutrients. DOI: 10.3390/nu11030663
[12] A brisk walk, compared with being sedentary, reduces attentional bias and chocolate cravings among regular chocolate eaters with different body mass — Oh H, Taylor AH., 2013, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2013.07.015
[13] The effects of three mindfulness skills on chocolate cravings — Lacaille J, et al., 2014, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2014.01.072
[14] To Eat or Not to Eat: A Review of the Relationship between Chocolate and Migraines — Nowaczewska M, et al., 2020, Nutrients. DOI: 10.3390/nu12030608
[16] The selective impact of chocolate craving on visuospatial working memory — Tiggemann M, et al., 2010, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2010.03.010
[17] [Chocolate craving] — Almada AL, Silva M., 2012, Acta medica portuguesa. DOI: なし
[18] Food cravings consume limited cognitive resources — Kemps E, et al., 2008, Journal of experimental psychology. Applied. DOI: 10.1037/a0012736
[20] Modality-specific imagery reduces cravings for food: an application of the elaborated intrusion theory of desire to food craving — Kemps E, Tiggemann M., 2007, Journal of experimental psychology. Applied. DOI: 10.1037/1076-898x.13.2.95
[21] Perimenstrual chocolate craving. What happens after menopause? — Hormes JM, Rozin P., 2009, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2009.07.003
[22] All cravings are not created equal. Correlates of menstrual versus non-cyclic chocolate craving — Hormes JM, Timko CA., 2011, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2011.03.008
[23] Pharmacological versus sensory factors in the satiation of chocolate craving — Michener W, Rozin P., 1994, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/0031-9384(94)90283-6
[24] Chocolate: food or drug? — Bruinsma K, Taren DL., 1999, Journal of the American Dietetic Association. DOI: 10.1016/s0002-8223(99)00307-7
[25] Chocolate craving and the menstrual cycle — Zellner DA, et al., 2004, Appetite. DOI: 10.1016/j.appet.2003.11.004
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- あくびはなぜ人にうつる?共感の証拠と言い切れない理由を、魚と胎児とアンドロイドで読む
- 音楽で鳥肌が立つ人と立たない人の違い、家族のつながりで最大29%、献血の意欲は動かない
- 泣くとスッキリする理由は本当か、涙のあとに気分が戻る仕組みと人に届く涙の研究
- 指を鳴らすと太くなるは本当か、腫れが割れた2つの調査と60年決着しない音の正体
- 白髪はストレスで増える?1本の毛を読むと黒に戻っていた研究と、戻す手立てがまだ無い理由
- 血液型と性格は関係ない?1万人調査の0.3%と、日本だけの話でもなかった信じられ方
- 満月の夜に眠れないのはなぜ?電気のある街でも眠りが短くなった研究と、苦情が出る日のずれ
- ととのうの科学的根拠はあるか、サウナと水風呂の快感は脳と血液の部品どまりだった
- 犬を飼うと寿命が延びる?384万人の24%減と、双子の登録で再現しなかった研究を読む
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
2







