ダイエットの運動を想像すると筋肉も動く?頭の練習と微かな実収縮を分けて読む

ダイエットの運動を頭で想像すると、筋肉にも力が入っているのか。運動イメージの研究から、脳の反応、筋電図の信号、実際に出した力を分けて読む。健康な成人の筋力研究と脳卒中リハビリの結果を比べ、微かな実収縮をどう扱うか、動く練習の予習として取り入れる際の考え方を示す。

椅子に座ったまま、これから行うスクワットを頭の中でたどる。膝を曲げ、床を押し、立ち上がる。その途中で脚に少し力が入った気がする。これは頭の練習なのか、それとも、もう筋肉の運動が始まっているのか。

答えの芯は、動きを想像したときの神経の反応と、実際に筋肉が出した力を分けることだ。参加者15人を調べた実験では、想像を含む心の課題に伴う信号の変化が、力の制御に寄与しない成分にも現れた。「信号が変わったから、同じだけ体を動かした」とは読めない。[16]

既存記事「女性の筋トレは自分の目線で想像する?外から見る姿と力の変化を研究で読む」に想像の視点の比較を譲り、ここでは想像と微かな実収縮をどう区別するかを考える。ダイエットという検索語から来た人にも、まず届けたいのは減量の約束ではなく、測った反応を取り違えないための読み方である。

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頭で動かすことと、筋肉で力を出すこと

運動イメージとは、動作を心の中で再現する練習である。研究には、動いている自分を思い描く課題や、動きを見ることと想像を組み合わせる課題がある。脳卒中後のリハビリを扱う系統的レビュー・メタ分析では、想像は従来のリハビリなどに追加する手段として調べられていた。運動の代わりに座って考えるだけ、という単純な比較ではない。脳卒中後の患者の回復を扱うため、18〜39歳の健康な女性の運動にそのまま当てはめることはできない。[5]

日常では「想像しただけ」とひとくくりにしやすい。だが、研究を読むときは、想像するよう指示されたことと、その間に体が何をしたかを別々に確かめたい。動かすつもりはなくても足先が動けば、その部分は実動作である。反対に、見た目が静かだからといって、脳の活動まで休息時と同じだと決めることもできない。実際、想像と休息を脳や心臓などの指標から区別しようとする研究がある。[20]

ここで登場する筋電図は、筋肉の電気的活動を記録する測定である。脳の電気的活動を記録する脳波と組み合わせると、頭と筋肉の信号がどのように関連するかを調べられる。ただし、信号の関連が強いことと、筋肉が大きな力を出したことは同じ意味ではない。筋電図から取り出した神経活動と脳波の関係を調べる実験では、まさにこの区別が論点になっている。[16]

たとえば、椅子から立つ動作を思い浮かべている最中、太ももが硬くなったと感じたとする。その感覚は、自分が何をしていたかを振り返るきっかけにはなる。しかし、研究で報告された信号の変化と同じものか、力がどれだけ増えたかまで、その感覚だけで判定する必要はない。生活のメモと測定器の役割を分ければよい。

読む側が押さえたいのは、どの場面の記録かである。想像している最中の筋電図なのか、練習後に実際に動かしたときの筋電図なのか。さらに、外から刺激を加えて測った反応なのか。同じ「筋肉の反応」という言葉でも、これらを混ぜると研究の答えが変わってしまう。[14][16][19]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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筋電図の変化と、実際に出した力を分ける

参加者15人を調べた実験では、足首を持続的に反らす動作をしながら、足の運動の想像、手の運動の想像、暗算、特定の心の課題なし、という条件を比較した。前脛骨筋というすねの前側の筋肉から高密度の筋電図を記録し、同時に脳波も測っている。ここで大切なのは、参加者が最初から実際の筋収縮を続けていた点である。この条件で得た反応を、18〜39歳の女性が安静に想像する場面へそのまま当てはめることはできない。[16]

研究者は筋電図から、脊髄の運動ニューロン、つまり筋肉へ信号を送る神経細胞の活動を取り出した。その活動には、筋力を変動させる低い周波数の成分と、力の制御に寄与しない10 Hz超の高い周波数の成分があるという問題設定である。心の課題に伴って、脳と脊髄の振動的な活動に共通する変化があるかを調べた。[16]

結果は、脳波と脊髄側の活動の強さに有意な相関を認めた、というものだった。研究は、進行中の力の制御には寄与しない脳の振動が、脊髄の段階まで伝わりうるという見方を支持した。一方、脊髄側の信号から心の課題を当てる成績は偶然をわずかに上回る程度で、信号に対する雑音の大きさが制約になっていた。[16]

この結果は「想像すると必ず新しい収縮が起きる」という証明ではない。すでに足首を反らしている条件で、そこへ心の課題を重ねた研究だからだ。暗算も比較に含まれている。筋肉から頭の課題の手がかりを拾えたとしても、その手がかりから運動量を換算することはできない。[16]

帰りの電車で脚に力が入った人にとっては、少し拍子抜けする話かもしれない。筋肉から取った信号にも、力を増やすための成分とは違う情報が乗りうる。筋肉の記録だから全部が筋トレの成績表、とはいかない。この実験が面白いのは、動いたかどうかの二択よりも、信号の中身へ問いを進めている点だ。[16]

もうひとつ注意したいのは、関連と原因の違いである。脳波と筋肉側の信号の連動は、微かな実収縮が想像の効果をすべて生んだという因果関係の証明にはならない。研究が支持する神経信号の伝わり方と、生活の中で感じた力みの説明は、同じ段落で無理につながなくてよい。[16]

刺激で出た反応と、自分で入れた力も分ける

健康な成人21人の研究では、片脚で椅子から立つ動作の映像を見ながら、その動作を想像した。映像はゆっくりした動作で、想像する速さは条件によって変えた。見る動作と頭で再現する動作が完全には同じでなくても、運動に関わる経路の反応が変わるかを調べた実験である。健康な成人の結果だが、18〜39歳の女性に同じ反応の大きさをそのまま当てはめることはできない。[19]

測定には、頭の外から磁気で刺激する方法を用いた。その刺激に応じて膝を伸ばす筋群に生じた電気的反応を、運動誘発電位として記録している。これは、参加者が想像中に自分からどれだけ脚へ力を入れたかを、そのまま測った数字ではない。刺激への反応を通じて、脳から筋肉へ至る経路の興奮しやすさをみている。[19]

映像を見ることと想像を組み合わせた条件では、比較条件より運動誘発電位が大きくなる場面があった。想像する速さと刺激のタイミングによって、どの比較で差が出るかも異なった。研究は動作観察と想像を組み合わせる方法を神経生理学的に支持しているが、ここから脚の実運動量を読み取ることはできない。[19]

動画のタイトルに「脳から筋肉が活性化」と書かれていたら、まず、何への反応を測ったかを見るとよい。外部の刺激で出た反応の増加、想像している間の自発的な筋活動、後から力を測った結果。この区別ができれば、興味深い実験を、そのまま消費エネルギーや体脂肪の話へ運ばずに済む。[14][16][19]

想像の検出自体にも、測り方の問題がある。健康な参加者の動作、想像、休息を比べた研究では、38人中15人が脳波を使った特定の解析で運動イメージを示し、その人たちについてネットワークなどの分析が進められた。選ばれた集団の解析と、参加者全体の印象を混同しないことが大切である。健康な参加者を調べた検出研究であり、18〜39歳の女性の筋力の成果へそのまま当てはめることはできない。[20]

この解析では、さまざまな特徴を使う分類器は想像と休息を区別できたが、脳と筋肉の機能的ネットワークは全体の分類成績に寄与しなかった。検出に重要だったのは心臓の活動と脳の信号の強さだった。筋肉とのつながりが必ず決め手になる、という結果ではなかったのである。[20]

想像できた実感が薄い日も、そのことだけで練習の成否を決める必要はない。逆に、鮮明に想像できたから筋肉へ十分な負荷がかかった、と採点する必要もない。この研究は、頭の中で課題を行っていることを検出する工夫を扱っている。力を出す能力や体組成を採点する研究とは、答える問いが違う。[20]

この研究の出発点は、体を動かしたり言葉で返したりすることが難しい患者の意識を、将来どう検出するかという課題だった。ただし、実際の検討対象は健康な参加者である。心の中で指示に応じたことを検出したい研究と、運動による体の変化を測りたい研究では、同じ脳波や筋電図を使っても目的が異なる。測定器の名前が共通していることは、結論を共通にしてよい理由にはならない。[20]

数字で読む想像と筋肉の研究

15人:持続的な足首の収縮に、想像や暗算を重ねた実験の参加者数である。[16]

21人:片脚の立ち上がりを見ながら想像し、磁気刺激への反応を測った健康な成人の人数である。[19]

24人:足首を反らす筋肉のイメージ練習を調べた健康な成人で、女性12人を含む。[14]

7.1±10.7%:その研究で練習後に増えた最大の随意的な足首の力の指標で、平均とばらつきが示されている。[14]

10件:脳卒中後のリハビリへの想像の追加を扱ったメタ分析に含まれた無作為化比較試験の数である。[5]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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