ダイエットの酢の香りは酸味と同じ刺激?鼻のツンと舌の感じ方を読み解く

酢の瓶を開けたときの香りと、鼻がツンとする刺激は同じではない。ダイエットに使う酢を刺激の強さで選ぶ前に、嗅覚と三叉神経の働き、左右の鼻を使う感覚実験、呼吸への反応を読む。口で感じる酸味との区別や個人差を整理し、強い刺激を体重への効き目に結びつけない見方を考える。

夕食の小鉢に酢を足そうとして、瓶の口を近づけたら鼻がツンとする。まだ口にしていないのに、「これは酸っぱそうだ」と顔が動く。ここで感じたものを全部、舌の酸味と呼んでよいのだろうか。

答えの芯は、鼻に届いた酢の香りと刺激を分けることにある。空気中の物質は鼻の嗅覚を刺激してにおいを生じさせる一方、三叉神経を刺激して刺激感も生じさせる。酢酸を含む物質を調べた人の実験では、この両者を別々に測っている。口に入れる前のツンとする感覚は、そのまま舌で味わった酸味の点数にはならない。[3]

「ダイエットに効く酢」を探していても、鼻への強さを効き目の物差しにはしない。本記事が扱うのは酢酸が鼻でどう感じられるかという問いだ。既存記事「ダイエット中のキムチ鍋は菌も摂れる?煮た具の酸味と香りから加熱を読み解く」に加熱の論点を譲り、ここでは瓶を開けてから口に運ぶまでの感覚をほどく。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

香りがすることと、鼻に刺激があることを分ける

嗅覚はにおいを感じる働きであり、三叉神経による感覚は鼻で感じる化学的な刺激にも関わる。鼻に入る物質が同じでも、研究で尋ねる内容は「どんなにおいか」だけではない。どれほどにおうか、どれほど刺激を感じるかを分ければ、日常語の「きつい香り」の中身を細かく見られる。[3][5]

酢酸などのカルボン酸とアルデヒドを調べた感覚実験では、においを感じ始める境目と、鼻の刺激を感じ始める境目を測った。この境目を閾値という。鼻の刺激を測る際には嗅覚のない人を対象にし、においによる判断の偏りを避けている。嗅覚のない人の刺激閾値を、18〜39歳の女性一般の感じ方へそのまま当てはめることはできない。香りの印象が使えない条件でも刺激を調べられる点が、感覚を分ける手掛かりになる。[3]

この研究では酢酸の刺激閾値が、物質の溶け込みやすさなどから作った予測より低かった。著者らは、鼻の粘膜との直接的な化学反応が閾値付近の刺激に関わる可能性を挙げている。これは刺激が生じる仕組みについての推論であり、家庭の酢を順位づけした結果ではない。[3]

同じ研究では、調べた同族の物質の炭素鎖が長くなるにつれて、においと刺激の閾値が低くなる傾向もあった。ただし、さらに鎖が長くなると刺激が薄れる領域があるとされる。化学物質の性質と鼻での感じ方の間には、単純な「成分が強そうなら感覚も強い」では済まない関係がある。[3]

台所で役立つのは、分子の構造を暗記することではない。「においに気づいた」と「鼻が刺激された」を別の言葉にすることだ。小鉢を前にして香りだけが気になるのか、鼻の奥の刺激が気になるのか。どちらも同じ「酸っぱい」に押し込めると、何を不快と感じたのかまで曖昧になる。研究の測定項目を日常の言葉に置き換えるなら、まずこの区別になる。[3][5]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

左右の鼻を当てる実験は、何を測っているのか

鼻の刺激を調べる方法に、左右どちらの鼻に物質が入ったかを答える検査がある。片側にはきれいな空気、もう片側には化学物質の蒸気を同時に入れる。においだけでは左右を特定できないが、刺激として感じられる強さになると特定できる。この性質を利用するのが鼻の側方弁別である。[19]

この方法が面白いのは、「酢が苦手か」と尋ねるだけではない点だ。好き嫌いを聞けば、料理の記憶や香りの好みも答えに混ざる。左右を当てる課題では、刺激された位置を答えるという別の仕事をしてもらう。香りの評判を集める代わりに、刺激を区別できる境目を探る設計なのだ。[19]

嗅覚の状態がさまざまな参加者50人を対象にした前向きコホート研究では、ユーカリプトール、からし油に関わる刺激物質、酢酸による側方弁別を比較した。満点20点に対し、平均はそれぞれ16.18点、14.94点、15.28点だった。研究では、においの検査や本人が回答する質問票も併せて用いている。嗅覚の状態が混在する集団の平均を、18〜39歳の女性一般の基準にすることはできない。[1]

大事なのは、平均の順位より、刺激物質同士の成績に有意な相関がなかったことだ。ある刺激の成績だけでは、別の刺激への感度を予測できなかった。著者らは、刺激の受け取り口となる受容体の種類によって、測られる感度が異なる可能性を示している。確定した個人分類ではなく、追加の検証が必要な結果である。[1]

したがって、「ミントの香りには平気だから、酢の刺激も平気だろう」とは決めにくい。逆に酢で顔をしかめたからといって、あらゆる香りに敏感な人と決める必要もない。この研究が扱ったのは複数の刺激に対する検査成績であり、感覚の得意不得意をひとまとめにしない読み方を支えている。[1]

この50人は、全員が嗅覚に問題のない参加者という集団ではない。嗅覚が正常とされた人が38%、嗅覚の異常がある人が62%を占めた。嗅覚の検査の総合点の平均は27.1点で、範囲は7.0〜39.5点だった。鼻の感覚を幅広く含む集団で得られた結果であり、健康な人だけの平均として扱わないことが必要だ。[1]

酢による側方弁別の平均15.28点には、標準偏差3.68点というばらつきも添えられている。標準偏差は参加者の点数の散らばりを表す数字で、平均点の周囲に個人差があることを示す。平均だけを見て「酢の刺激はこのくらい」と固定すると、参加者間の違いが消えてしまう。[1]

また、ユーカリプトールの成績は嗅覚検査の閾値の点数と有意に相関し、酢酸の成績は本人の回答による複数の指標と有意に相関していた。どの検査とつながるかも物質ごとに同じではなかった。年齢と側方弁別の点数には相関が認められず、この研究から年齢だけで酢の刺激への反応を予測する読み方もできない。[1]

ここでいう相関は、検査の値同士が一緒に変わる関係を調べたものである。酢の刺激を感じやすくすれば嗅覚がよくなる、といった介入の効果を意味しない。対象者の状態と複数の検査を並べて調べた研究を、刺激への慣らし方の研究として読むことはできないのだ。[1]

食卓で「私はこの酢が強く感じる」と言うとき、相手に同じ点数をつけてもらう必要はない。研究でも嗅覚検査、位置を当てる検査、本人の回答を併用していた。別の測定を重ねた設計は、感じ方を尋ねる言葉をひとつに絞り過ぎないための参考になる。香りの好みの話と刺激の場所の話を分けると、相手との違いも記述しやすい。[1]

なお、左右の鼻を当てる検査は実験の道具である。家庭で瓶に鼻を寄せ、片側ずつ強く吸って再現するための手順ではない。料理を味わう場面では「鼻に来る感じ」と「口に入れた印象」を分けて言葉にできればよい。検査の点数を家庭の酢選びに持ち込む必要はない。

鼻の反応は場所と濃度でも変わる

健康なボランティア15人を対象にした無作為化比較試験では、酢酸などを装置で鼻に届け、鼻の粘膜で生じる電気的な反応を記録した。18〜39歳の女性の生活場面へ応用する際は、装置で測った反応と日常の感じ方を区別する必要がある。これは「どれくらい嫌だったか」という回答とは異なる指標で、鼻の中の部位ごとの反応性を比べるための測定である。[4]

反応の振幅は鼻中隔の中央部で大きく、鼻腔の底では小さかった。また刺激の濃度と反応の振幅には関係があった。調べた刺激物質と測定部位の組み合わせについては、物質ごとに異なる反応の分布を示す有意な差は認められなかった。鼻の中の場所によって反応が異なる、という結果だ。[4]

この結果を「濃い酢ほどよい」と読むのは向きが違う。大きくなったのは粘膜の電気的な反応であり、食事の質や体重の変化を表す数字ではない。測った対象を置き換えると、研究から離れてしまう。刺激が増すことと、食生活にとって望ましいことは、別々に判断する必要がある。[4]

また、装置で刺激を届ける条件と、夕食の小鉢に顔を近づける条件は同一ではない。実験で部位差があるからといって、家庭で鼻のどこに当てるかを工夫する話にもならない。ここで受け取るべきなのは、鼻で感じた強さを液体そのものの性質だけで説明し切らず、受け取る側の反応も含めて考える視点である。[4]

数字で読む酢の鼻刺激

50人:嗅覚の状態がさまざまな人で、異なる刺激の側方弁別を比較した対象人数である。[1]

15.28点:満点20点の検査で、酢による側方弁別の平均値。味のおいしさの得点ではない。[1]

15人:鼻の複数の部位から粘膜の電気的な反応を記録した試験の参加者数である。[4]

10人:におい、鼻の刺激、呼吸の変化を同時に調べた比較試験の対象人数である。[5]

14人と12人:鼻への酢酸刺激に対する脳の反応を光で調べた、別々の実験の参加者数である。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約