ヨガの呼吸法は小声で数えても同じ?発声する息と静かな腹式呼吸の違いを読む

ヨガの呼吸法で小声のカウントを加えると、声を出さない腹式呼吸と何が変わるのか。朗読や歌唱を調べた研究から、吸う時間、吐く時間、胸とお腹の動き、声量による換気の違いを読む。横隔膜の働きをお腹の見た目だけで決めず、数える声と呼吸の楽さを分けて確かめる視点を紹介する。

吐く息に合わせて、口の中で数字をつぶやく。声を出したほうが長さをつかみやすい気がする一方、黙って吐いたときとは息継ぎの場所が違う。ヨガの練習で、この小さな違いに気づくことがある。

答えの芯は、声を伴う息を、静かな呼吸と同じ条件で扱わないことだ。健康な成人の朗読や歌唱を測った研究では、発声中は静かな呼吸と比べて吸う時間が短くなり、吐く時間や呼吸に伴う空気量も変わった。数字を小声で言う行為にも発声という仕事が加わるが、その変化の大きさを朗読の結果からそのまま決めることはできない。[19]

既存記事「呼吸法は音楽に合わせると楽になる?曲の速さと息の同調を研究で読み解く」には外から聞く曲と呼吸の関係を譲る。腹式呼吸の効果一般は既存記事「腹式呼吸の効果」に譲る。ここで考えるのは、自分の口で数字を言うときの息である。声が聞こえる長さと、呼吸が楽に続くことを分けて読む。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

小声のカウントは、吐く息に言葉を乗せる課題である

健康なイタリア人の男女を対象とした実験では、静かな呼吸、朗読、歌唱、力を入れたささやきの際の胸とお腹の動きが測られた。対象は16人で、うち8人が男性である。男女混合の朗読・歌唱実験であり、18〜39歳の女性のヨガにそのまま当てはめるには、課題と対象の違いを考慮する必要がある。体に触れずに胸壁の動きから各部分の容積変化を測る方法が使われた。発声時には、静かな呼吸と比べて一息の空気量と吐く時間が増え、吸う時間は減った。[19]

この研究の読みどころは、吐く時間だけを取り出していない点にある。吐く時間が延びるのと同時に、吸う側の時間や空気量も変わっている。声が途切れずに続いたとしても、それだけで静かな呼吸をゆっくり行った状態と同じにはならない。発声中の呼吸は、言葉や音を作る条件に合わせて組み直されていたのである。[19]

たとえば、家で動画を止めて呼吸を確かめる場面を考えたい。黙って吐く場合と、数字を続けて言う場合では、確かめたい対象が少し違う。前者で注目するのは息そのものの流れや楽さであり、後者には数字を言い終える課題が入る。これは練習を整理するための区別であって、小声で数える方法を一律に避けるべきだという意味ではない。

大事なのは、数字を最後まで言えたことを、十分に呼吸できた証明にしないことだ。研究が示したのは、発声の課題によって呼吸パターンが変化するという事実である。静かな呼吸より長く声が続いたとしても、ヨガの上達や健康効果が増したという結論にはつながらない。[19]

さらに、力を入れたささやきでは、有声音の発声よりも吐き出す量や流れがかなり大きかった。吐き終わりの胸郭全体の容積も低下していた。ここで調べたのは、隣に聞こえないように自然につぶやく場面ではなく、努力を伴うささやきである。「ささやき」という言葉だけを見て、どの小声も同じ負担だと読むのは飛躍になる。[19]

静かさを求めて息を強く押し出す方法と、自然な小声とは区別しておきたい。周囲への音を小さくするという目的だけでは、呼吸の条件までそろわない。声の聞こえ方は観察の手がかりにはなるが、空気の出入りを丸ごと説明する計器ではない。[19]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

声を小さくすれば、いつも呼吸が省エネになるのか

声量を変えた実験は、この疑問をもう少し細かく扱っている。成人24人、女性12人と男性12人が、低い声量、快適な声量、高い声量で同じ文章を朗読した。それぞれの課題は7分間で、間に静かな呼吸の時間が設けられた。研究者は吸う時間や吐く時間、換気量、酸素消費量などを測った。男女混合の成人を対象とする朗読実験のため、18〜39歳の女性がヨガで短く数える場合への適用は、呼吸の変化を考える手がかりにとどまる。[20]

快適な声量での値は、全体として静かな呼吸に最も近かった。高い声量では空気量、換気量、エネルギー消費が基準の静かな呼吸より大きくなり、低い声量では小さくなった。ただし、低い声量での換気不足は、その後の静かな呼吸の期間に補われた。著者らは、快適な声量から上下に離れる発話では、呼吸に余分なエネルギーが必要になると解釈している。[20]

ここには、一見すると逆向きに見える結果が並ぶ。低い声量で話している最中の消費が少ないことと、その方法が全体として最も楽であることは同じではない。発声が終わった後まで観察すると、最中だけでは見えない呼吸の調整が入っていた。小声の時間だけ切り取って採点すると、その後の息継ぎを見落とす。[20]

だからといって、小声のカウントをすると必ず換気不足になる、と決めることもできない。この研究は一定の文章を続けて読む実験であり、ヨガの姿勢を取りながら短く数字を言う試験ではない。対象、課題、時間が違う。使える知見は「小さい声ほど常に楽」という単純な並びにはならないことである。[20]

中央線で帰宅した後、家族が寝ている部屋の隣で練習するとしよう。音を小さくする配慮はできても、声を絞ること自体を練習の目標にする必要はない。数字を聞かせたい相手がいないなら、声を出す方法を続ける理由もいったん見直せる。これは声量の研究を踏まえた練習の選び方であり、特定の声量を健康上の基準として勧めるものではない。[20]

研究の「低い」「快適な」「高い」は、ヨガ教室で共通に使える音量目盛りではない。小声のつもりでも人によって出し方は違う。比較したいのが呼吸の楽さなら、聞こえた音の大小に加え、言い終えた後の吸い直しまで観察するほうが、この実験の問いに近い。[20]

腹式呼吸でも、胸とお腹を一枚の板のようには扱えない

腹式呼吸や横隔膜という言葉が出ると、お腹が大きく膨らめば成功だと思いやすい。しかし、声の生理学を扱ったナラティブレビュー、つまり研究を概念に沿って統合する総説は、吸い込む能力だけでなく、吐く圧力の調整に目を向けている。発声は吐く局面で行われ、声帯より下の圧力を、吸気側と呼気側の筋の協調で調整するという整理である。[1]

この総説は、歌や話し声の指導を対象にしたものである。ヨガの腹式呼吸を比較した試験ではない。それでも、「たくさん吸えた」「お腹を膨らませた」という観察だけでは、声を出している間の息の使い方を説明しきれないことを考える足場になる。横隔膜という名前を添えるより、吐く息をどう調整しているかがこの総説の焦点になる。[1]

実際の計測も見たい。職業的なクラシック歌手7人と未訓練者4人を対象に、静かな呼吸と歌唱を比べた研究では、静かな呼吸に群間差はなかった。歌うときには両群とも吸う時間が短くなり、空気の流れのピークが増えた。一方、歌手ではお腹が肺容積の変化に寄与する割合が大きく、胸とお腹の動きの時間的なずれも大きかった。職業歌手を含む少人数の歌唱実験であり、18〜39歳の女性のヨガにそのまま当てはめるには、発声経験と課題の違いがある。[2]

歌手には、声を出す前に腹壁が内側へ動くパターンも見られた。未訓練者は、すべての課題で胸とお腹がより同調して動いていた。お腹が外へ膨らみ続ける姿だけが、発声を支える代表的な動きではなかったのである。ここで比較されたのは歌唱に応じた協調の仕方であり、初心者向けの腹式呼吸の習得手順ではない。[2]

見た目と本人の説明のずれにも注意が要る。総説では、歌手が主観的に語る呼吸と、測られた仕組みが大きく食い違うことも整理されている。「お腹だけで息を出した感じ」は大切な感覚の記録だが、それをそのまま筋や横隔膜の動きの測定結果として扱うことはできない。感覚には感覚の役目がある。[1]

ヨガの小声のカウントを考えるときも、歌手の複雑な調整を再現することが目的ではない。お腹が動いたかだけで採点せず、声を伴う課題と黙って行う課題を区別する。そのうえで胸とお腹のどちらかを無理に止めていないか、自分の言葉で伝えられるようにする。研究は、見える動きを単純な合格印にしない読み方を支える。[1][2]

発声時の男女差も、呼吸法の名前だけで分類しないほうがよい。胸壁を測った実験では、平均すると女性の呼吸は男性より胸側の寄与が大きかったが、研究者はその違いを性別そのものより体の大きさと関連づけている。「女性だからお腹を使えていない」と読み替える結果ではない。体格を含む条件を飛ばして、動きだけを比べないことが必要になる。[19]

また、歌手の実験では参加者ごとの違いも認められた。研究者は、胸とお腹の動きや空気の流れから複数の指標を取り出し、共通するパターンを分析している。目立つ人の動きを一例見ただけの観察とは違う。自宅の鏡で追えるお腹の動きと、空気の流れを組み合わせた分析には、観察できる範囲に差がある。[2]

数字で読む発声と呼吸

16人の計測では、朗読・歌唱・努力を伴うささやきで胸壁の動きを比較した。[19]

24人の声量比較では、女性12人、男性12人が参加した。[20]

7分間の朗読課題では、声を出している最中だけでなく、その間の静かな呼吸も比較対象になった。[20]

歌手7人と未訓練者4人では、歌唱中の胸とお腹の協調の仕方に違いがあった。[2]

女性5人の黙読と音読の計測では、吸う空気量のゆっくりした変動が両方に認められた。[17]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約