ブルガリアンスクワットで筋肉痛ゼロは失敗?筋損傷・疲労・筋肥大の時間差

ブルガリアンスクワットの翌日に筋肉痛がないと、脚に刺激が足りなかったのかと迷う。痛み、運動後の筋損傷、続けた先の筋肥大は同じ指標ではない。筋肉が育つ仕組みと回復の研究を読み、重さや回数、動作の条件を残す意味、痛みを求めて練習を変える前に確認したいことを整理する。

昨日は後ろ足を台に載せ、前の脚で立ち上がるたびに息を整えた。ところが翌朝、自宅の階段を普通に下りられる。「あれだけ頑張ったのに」と、昨日使った台を見て練習が足りなかったのかと迷う。

ブルガリアンスクワットの成果を、翌日の筋肉痛だけで不合格にする必要はない。筋肥大の仕組みを整理したレビューでは、筋肉が受ける力に関わる刺激が有力な候補とされ、運動による筋損傷は筋肥大に必須ではない可能性が示されている。痛みを感じることと、筋肉が長期に育つことは同じ検査ではない。[10]

既存記事「ワイドスクワットで内ももが筋肉痛にならない?翌日の感覚と次の負荷を分ける」には、内ももの感覚から次の負荷を考える問いを譲る。ここではブルガリアンスクワットを続けた結果を何で確かめるか、運動直後、回復中、継続後という時間の違いから考える。

前傾と股関節にかかる抵抗の問いは、既存記事「ブルガリアンスクワットは前傾してよい?胸を張る合図と股関節の負担を読み解く」で扱っており、ここでは翌日の反応と長期の適応の時間差に絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

筋肉痛の欄だけでは、練習の成績表にならない

まず区別したいのは、本人が感じる痛み、運動後の筋損傷を調べる指標、出せる力、そして筋肉量である。実際の研究でもこれらは別々に測られる。運動経験のない男女を対象とした無作為化比較試験では、脚の筋力運動後に筋肉痛、押されたときの痛みの閾値、脚の周囲径、関節が動く範囲、血中の酵素、最大筋力を調べていた。ひとつの「効いたか」という質問を、異なる検査へ分けている。男女を含む運動未経験者の結果なので、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢や運動経験の違いを考える必要がある。[6]

この試験の対象は男性8人、女性16人で、乳たんぱく質を摂る群と同じエネルギー量の対照群に分かれた。運動で軽い筋損傷が生じた一方、筋力を損なうことはなかったと研究者は結論している。血中のクレアチンキナーゼという酵素などで見る変化と、出せる力が必ず同じ方向へ動くわけではなかった。[6]

ここから「痛くなくても必ず筋肉が増えた」と言い切るのも飛躍である。この試験が見たのは単回の運動後の回復であり、ブルガリアンスクワットを続けた先の筋肥大ではない。読み取れるのは、運動後の反応をひとつの感覚へ畳み込まないことだ。回復の指標が分かれている以上、家庭の記録も「痛かった・痛くなかった」だけで完結させないほうが研究の見方に近い。[6]

たとえば昨日のメモに「脚がきつかった」としかなければ、次回に何を再現するかが分からない。重りを持ったか、途中で手を添えたか、どこまで下ろしたかを書けば、実施した内容が残る。これは筋肥大を測る検査ではないが、自分がどんな練習をしたかを後から確かめる土台になる。筋肉痛の欄は消す必要がない。そこへ全権を渡さなければよい。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

筋肉を育てる刺激と、痛みを増やす刺激を混同しない

筋肥大とは、筋肉が大きくなる適応を指す。筋力運動による筋肥大の仕組みを扱ったレビューでは、筋たんぱく質の合成を増やす経路が重要である一方、それだけが仕組みのすべてではないとされている。とくに筋肉へ加わる力に由来する機械的な刺激が、成長を始める有力な候補に挙げられている。[10]

ここでいう刺激は、「翌日に痛かった」という感想そのものではない。筋線維の損傷や代謝に伴う変化も候補として検討されているが、損傷が筋肥大に不可欠とは考えにくく、損傷が成長をどの程度上乗せするのかは明確でない。したがって、わざと痛みを強くすれば脚の成長も増える、という順番では説明できない。[10]

別のレビューは、筋力運動を単なる「壊して大きくする」作業より広く捉えている。運動は筋たんぱく質の合成を刺激すると同時に筋原線維の損傷も起こし、その後には修復や筋肉内部の構造の調整が必要になる。筋肉量を増やし、周囲の構造も適応させるには運動を繰り返す必要があるという整理だ。[7]

つまり、筋肉の仕事は壊れるところで終わらない。修復して、また動ける状態を作り、その過程を重ねる。レビューでは、練習の強度や量などを変えると分子レベルの反応が変わっても、筋肉の成長が変わらない場合があるとも指摘されている。体の中で大きな反応が起きたという話と、長期の成果が大きいという話の間には距離がある。[7]

ブルガリアンスクワットの記録でも、「いつもと違う強い感覚があった」は練習条件を確認する入口になる。しかし、その新鮮さを毎回の目標にすると、前回との比較は難しくなる。今日は重り、次回は深さ、その次は下ろす速さを変え、毎回違うきつさだけを集めても、何を続けた結果なのかが見えない。記録の目的は感動の保存より、条件の保存である。

下ろす速さを変えた日は、同じ回数でも別の比較になる

痛みがないからと、次回だけゆっくり下ろす人もいる。筋肉が力を出しながら伸ばされる局面を遠心性の局面という。競技選手、健康な運動実践者、筋力トレーニング経験者を含む成人を対象に、この局面の時間と運動直後からの回復を調べた系統的レビューは、17研究を整理している。競技選手も含む対象全体の傾向を、18〜39歳の女性のブルガリアンスクワットへそのまま当てはめることはできない。[2]

その結果、速い局面では運動直後の疲労や一時的な能力低下が大きい傾向があり、中程度から遅い局面では筋肉へ張力がかかる時間、代謝ストレス、本人が感じる努力が増える傾向があった。ただし、総仕事量や負荷をそろえるとテンポ間の違いは概して小さくなった。研究全体の偏りのリスクは中程度と評価されている。[2]

この整理が扱う中心は、その場の反応と短期の回復である。ゆっくり下ろすほうが長期の筋肥大に必ず優れる、と読み替えてはいけない。テンポだけを変えたつもりでも、力を出している時間や完了できる仕事量まで変わり、その違いが疲れ方へ表れるという話である。[2]

昨日と同じ重りで同じ回数を終えても、下ろす時間を変えていたなら、同一条件で成果を更新したとは扱いにくい。記録には「下ろす動きをゆっくりに変更」と残せばよい。筋肉痛が出た場合も、成長を確認した日ではなく、練習条件を変えた後の反応を観察した日として読む。[2][10]

さらに、このレビューには遠心性の動作だけの運動と、下ろしてから持ち上げる運動が含まれ、両者の構造も分けて整理されている。持ち上げる局面を含むと、その疲労も混ざるからだ。日常のブルガリアンスクワットへ移す際も、「下ろす局面の研究だから、この種目の成長率が分かる」とは考えず、運動条件を言葉で残す理由として使いたい。[2]

痛みを記録するときも、どの場面の感覚かを添えたい。先ほどの乳たんぱく質の試験では、自分で評価する筋肉痛と、圧を加えられて痛みを感じる閾値を別に測っていた。前者は本人の痛みの評価、後者は押された刺激への反応であり、同じ「痛い」という言葉でも測定の入口が異なる。研究が指標を分けていることを知ると、朝の階段の感覚と、夜に太ももを押した感覚を無条件に比べずに済む。[6]

たとえばメモに「朝、階段では気にならなかった」とあれば、その場面の情報として読める。「筋肉痛なし」とだけあれば、座っていたときなのか、歩いたときなのかまでは分からない。記録を詳しくする目的は、小さな違和感を探し続けることではない。後から読んだ自分が、何を観察したのか迷わないようにすることだ。痛みを採点する作業が、生活の中心になる必要はない。

また、運動の翌朝に判定を終えると、研究が追っている時間の広がりを見失う。乳たんぱく質の試験では、運動直後に加えて24、48、72、168時間後にも筋肉痛などを測定している。これは全員がその間ずっと痛むという意味ではなく、反応の経過を調べるために測定を重ねたということだ。単一時点の感覚と、回復の経過全体を区別して読む習慣を持ちたい。[6]

数字で読む痛みと回復の研究

17研究:下ろす局面のテンポと短期の疲労・回復を整理した系統的レビューの対象数である。[2]

24人:脚の筋力運動と乳たんぱく質による回復を比較した試験の対象者数で、男性8人、女性16人だった。[6]

24・48・72時間:異なる筋力運動の後に、筋肉痛と出せる力を追った比較試験の測定時点に含まれる。[3]

14人:たんぱく質摂取量を変え、運動後の痛みや反復能力などを比較した交差試験の対象者数である。[14]

ここに並ぶ人数や時間は、研究の条件を知るための数字だ。「この時間まで痛くなければ失敗」「この人数で確認されたから自分も同じ」と線を引く数字ではない。とくに短期の回復を測った試験は、継続した後の筋肉量を直接確かめる試験とは問いが違う。数字の大きさより先に、何を測っているかを読む必要がある。[2][6][14]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約