ダイエット中の昼寝は空腹対策になる?眠気の回復と食欲の変化を分けて読む

ダイエット中、昼寝をすれば空腹も落ち着くのか。若い成人の睡眠実験、思春期の睡眠日誌、昼寝と健康のレビューをもとに、眠気の回復と食欲の変化を分けて読む。夜の睡眠や食事時刻と合わせて記録する視点を示し、昼寝を食事の代わりにせず、運動のある日の休息を考える。

昼食の皿を片づけたばかりなのに、まぶたが重くなる。それなのに、お菓子のことも頭から離れない。「少し寝れば、眠気と空腹をまとめて片づけられるのでは」。夕方に運動の予定がある日ほど、そんな近道を探したくなる。

昼寝を空腹対策として当てにする根拠は強くない。若く健康な成人を対象に、徹夜後の昼寝と空腹を直接調べた実験では、昼寝による空腹への影響は認められなかった。一方、睡眠不足の思春期の参加者を対象にした試験では、昼寝によって眠気や注意力が改善した。眠気が軽くなることと、食べたい感覚が弱まることは、分けて考える必要がある。[1][17]

既存記事「疲労回復の昼寝は上体を起こして眠る?横になる場合と眠りの深さを研究で読む」には寝る姿勢の問いを譲る。また「昼寝と肥満は長さで関係が変わる 体重の研究から考える短い休息と長い眠り」とも問いを分ける。ここで確かめるのは、昼寝をした日の空腹を、睡眠の回復とどう区別して受け取るかである。

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昼寝で空腹が変わるかを直接調べた実験

Pejovicらの実験には、若く健康な21人が参加した。男性10人、女性11人で、連続した睡眠の夜のあとに徹夜を置き、その後に回復のための夜を設けた。参加者の半数を、徹夜翌日の午後に昼寝をする条件へ無作為に割り付けている。自分で昼寝を選ぶ人同士を比較した研究とは違い、昼寝の有無を実験として比べた点が重要である。男女を含む徹夜実験の結果を、18〜39歳の女性が日常で感じる空腹へそのまま当てはめるには、性別と睡眠条件の違いを考える必要がある。[1]

昼寝の時間帯は14時から16時までの2時間だった。徹夜前後の採血と空腹の評価から、睡眠を失ったことによる変化と、昼寝を加えた影響を調べた。結果は、徹夜後にレプチンの値が有意に上昇した一方、空腹には変化が認められず、昼寝も空腹やレプチンへの影響を示さなかった、というものだった。[1]

この結果は、「昼寝をすると空腹が治まる」という期待を裏付けてはいない。ただし、もともと徹夜によって空腹が増えていない実験でもある。「増えた空腹を昼寝が元へ戻せなかった」と読むのも正確ではない。最初の変化が起きたかどうかと、その変化を介入が戻したかどうかは、別々に確認する必要がある。[1]

たとえば、午後に寝たあと、お菓子を食べたくなくなった日があったとする。その経験を否定する必要はない。しかし、本人の経験から「空腹が強い人なら昼寝で食欲を抑えられる」という一般的な方法へ進むには距離がある。この試験が示したのは、特定の徹夜条件での平均的な反応であり、日常の食事制限を続けている人の空腹を対象にした効果ではない。[1]

また、実験の2時間は、おすすめの昼寝時間を意味しない。昼休みに取れる休息と、研究で設けた睡眠の条件を同じものとして扱わないことだ。研究の数字は処方箋の形をしていなくても、検索結果ではいつの間にか「正解の時間」に化けやすい。ここでは、その数字は比較が行われた条件として読む。[1]

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ホルモンの値と食べたい感覚は同じ答えではない

この実験が興味深いのは、睡眠不足に関する単純な筋書きと結果が合わなかった点である。研究では、ストレス反応を伴う短期の睡眠短縮ではレプチン低下や空腹増加が報告されてきたことを背景に、ストレスの少ない環境で徹夜を調べた。その結果、レプチンは逆に上昇し、空腹は変わらなかった。睡眠を減らせば常に同じ方向の反応が出る、とはいかなかったのである。[1]

著者らは、睡眠を失うことだけでなく、それにストレス系の活性化が伴うかどうかが、空腹やホルモン変化に関わる可能性を挙げている。これは仕組みについての示唆であって、「ストレスがなければ徹夜してよい」という結論ではない。日常の寝不足を一括りにせず、どのような状況で睡眠を失ったのかを見る手掛かりになる。[1]

夜遅くまで仕事をしていた日と、予定がずれて眠る時間が短くなった日とでは、本人が抱えている出来事も違う。立川駅北口に着いたときの空腹だけを比べても、そこへ至る条件まではそろわない。自分の日誌なら、眠った時刻だけでなく、忙しさや食事が遅れた事情も短く添えたい。これは空腹の原因を自分で診断するためではなく、違う日を同じ実験のつもりで比べないための工夫である。

ホルモンの値が変わったこと、空腹の評価が変わったこと、実際に食べた量が変わったことも、異なる結果である。この実験でレプチンが上昇したからといって、昼寝を食事量の調整法にする根拠にはならない。空腹への影響がなかったという結果を、ホルモンの話で上書きしない読み方が必要になる。[1]

「体の中で何かが動いた」と聞くと、食卓でも同じ向きの変化が起きたように感じやすい。しかし、採血の結果と、帰宅して何を食べたかの間には、測っている対象の違いがある。研究から日常へ持ち帰るなら、難しい物質名を覚えることより、自分が知りたい結果は何かを決めるほうが役に立つ。今回なら、それは午後の眠気なのか、空腹なのか、それとも食事量なのかという問いである。[1]

昼寝が多い人ほど食べたい、は因果関係ではない

空腹とは別に、「特定のものを強く食べたい」という感覚を調べた観察研究もある。Landisらは、健康な思春期の85人を対象に、睡眠や空腹、満腹感などの日誌を7日間集めた。平均年齢は15.6歳で、18〜39歳の女性のダイエットへそのまま当てはめるには、成長段階の違いがある。[7]

自己申告による7日間の合計は、夜間睡眠が平均52.9時間、昼間睡眠が平均3.7時間だった。解析では、食べたい欲求の総得点が高いことと、昼間睡眠が多いことに関連があった。昼寝が多いほど食欲が弱い、という単純な期待とは逆向きの関連である。[7]

ただし、この関連だけでは、昼寝を増やすと食欲が強くなるという因果関係は証明できない。昼寝の時間を無作為に増減させた試験ではなく、同じ集団の睡眠と食行動を観察した研究だからである。著者らも、睡眠や食欲を客観的に測る縦断研究の必要性を述べている。時間の流れを追う研究が必要だという指摘からも、この関連だけで行動の原因を決められないことが分かる。[7]

ここには、実験とは異なる日常の情報がある。本人の暮らしのなかでは、昼寝と夜の睡眠と食事が並んで起こっている。日誌はその組み合わせを捉える一方で、昼寝だけを取り出した効果とは区別しなければならない。参加者の年齢、性別、人種なども空腹や食行動の指標に関連しており、昼寝の有無だけで全体を説明する読み方は合わない。[7]

自分の記録に置き換えるなら、「昼寝をした」「お菓子が欲しかった」だけで矢印を結ばないことだ。昼寝より前から食べたい気持ちがあったのか、昼食はいつだったのか、前夜はどう眠ったのかを残す。そうすれば少なくとも、昼寝の前から続いていた感覚を、起きた後に新しく生じた変化と取り違えずに済む。

日誌で使われた「食べたい欲求の総得点」は、実際に口にした食事量そのものではない。研究は空腹、満腹感、食べたい欲求、摂取エネルギーを区別して調べていた。昼間睡眠との関連が示された指標を、すべての食行動へ広げないことも大切である。「食べたいと思った」から「多く食べた」、さらに「体重が増えた」までを、一息でつなげない読み方になる。[7]

日常の記録でも、こうした区別は難しい計算をせずに取り入れられる。たとえば「昼食のあとに甘いものが気になったが、空腹という感じではなかった」と書く日もあれば、「昼寝前からお腹がすいていて、起きたあとに食事をした」と書く日もある。どちらも単に「食欲あり」とすると消えてしまう違いだ。細かい点数を付けることより、自分の言葉で感覚を分けることを優先したい。

研究の対象が思春期だった点も、成人が読むときには残しておくべき情報である。成人の徹夜実験とこの日誌研究は、年齢だけでなく、睡眠を実験で変えたかどうか、何を結果として測ったかも異なる。片方では空腹への影響がなく、片方では食べたい欲求との関連があっても、比較条件が違うため、結果の向きだけを対比できない。異なる研究を並べる意味は、多数決で昼寝の善悪を決めることではなく、答えが届く範囲を見分けることにある。[1][7]

数字で読む昼寝と空腹の研究

21人:徹夜後の昼寝と空腹を直接調べた若い健康な成人の人数である。[1]

2時間:その実験で設けた午後の昼寝の時間であり、空腹対策としての推奨時間ではない。[1]

85人:睡眠と食行動の日誌を集めた思春期の観察研究の対象である。[7]

111人:昼休みの昼寝機会と静かな覚醒休息を比べた、睡眠不足の思春期の試験の人数である。[17]

30分:その試験で設けた昼寝の機会の長さで、実際に眠った時間と同じ意味ではない。[17]

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宮川涼 Founder

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