ダイエットのプロテインは食前の量を倍にする?食欲ホルモンと食事量の違いを読む

食前のプロテインを増やせば、満腹感が強まり食事量も減るのか。ホエイの量を変えた比較試験から、食欲に関わる血液の指標、自分で感じる空腹、実際に食べた量の違いを読む。女性を対象にした試験の食い違いと、血糖の改善を減量の証拠に置き換えられない理由を確かめる。

夕食を作る前、シェイカーに粉を入れてから、もう少し足そうかと迷う。食前に飲むのがよいなら、濃くした方が食べすぎを防げそうに見える。しかし、ホエイの量を増やした試験では、その後の食事量が減った場合も、差が確認されなかった場合もある。量を倍にすれば腹持ちも倍になる、という答えにはならない。[3][5][7]

さらに、食欲に関わる血液中の物質が変わること、本人が空腹を感じにくくなること、実際に食べる量が減ることは、同じ結果ではない。食事量が変わっても空腹の自己評価に差がない試験があり、逆に空腹感が変わっても昼食の摂取量に有意な差が出ない試験もある。[5][7]

既存記事「ダイエットのプロテインは食前の何分前?待つ時間と食事まで足した総量を読む」に時間の問いは譲る。ここで確かめるのは、食前の量を増やす判断に、どの測定結果が使えるかである。ダイエットという言葉から食事を減らすことを急がず、まず「何が変わった試験なのか」を読む。[1][3][5]

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食前の量は、粉の重さだけでは比べられない

食前に飲食物をとり、その後の食事への反応を測る方法が、ここで扱うプレロードである。ホエイを含む飲料を先に飲み、後で自由に食べられる食事を用意する試験では、飲料の組成と、その後に食べたエネルギー量を対応させている。飲料を先にとること自体が比較条件の一部になっている。[3][5]

量を読むときには、たんぱく質のグラム数、飲料全体の量、飲料のエネルギーに占めるたんぱく質の割合を区別したい。正常体重の成人男女を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、飲料は400mLにそろえられ、同じエネルギー量の中でたんぱく質の割合が変えられた。単純にいつもの粉を追加する場面とは、比較の作り方が異なる。男女を合わせた結果のため、18〜39歳の女性だけでも同じ反応になるかは、この比較からは判断できない。[5]

一方、過体重・軽度肥満の女性を対象とした別のクロスオーバー試験では、500mLの飲料に含まれるホエイが0g、5g、10g、20gと変えられた。飲料のエネルギーはそれぞれ8kJ、93kJ、178kJ、348kJである。同じ容量でも、ホエイを増やすと飲料から入るエネルギーも変わる設計だった。[7]

この違いは、台所での判断に直結する。「同じエネルギーの飲料を、たんぱく質の多い組成に替える」と「普段の飲料に粉を足す」は別の操作だ。前者の結果を、そのまま後者の増量の根拠にはできない。用量反応、つまり量の違いに伴う反応を見るには、何の量が増え、何が一定だったかまで確認する必要がある。[5][7]

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食事量が減った試験でも、空腹の点数は同じだった

正常体重の男女を対象とした無作為化クロスオーバー研究では、先行飲料の90分後に自由摂取の食事が用意された。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、男女をまとめた結果である点に注意が必要だ。研究内の第1試験では、飲料のエネルギーは1675kJで、そのうちたんぱく質が占める割合を12.5%、25%、50%としている。比較対象には風味を付けた水が使われた。[5]

その後の食事でとったエネルギーは、水の条件で4136kJ、たんぱく質の割合が低い条件から順に3520kJ、3384kJ、2853kJだった。各たんぱく質飲料の条件は水より低く、12.5%の条件は25%と50%の条件より高かった。著者らは、先行飲料のたんぱく質含有量に応じた食事量への影響と捉えている。[5]

ただし、25%から50%へ変えれば、誰でも食事量が一定の比率で下がるという意味ではない。平均値が並んで下がることと、隣り合う条件の差が統計的に確かめられることは分けて読むべきだ。この試験が支えるのは、設定された条件の中で、低い割合の条件と高い割合の条件に差があったという範囲である。[5]

同じ研究の第2試験では、飲料のエネルギーを1047kJとし、たんぱく質の割合を10%、20%、40%に変えている。食事の摂取量は水で4801kJ、各飲料で4205kJ、3988kJ、3801kJとなり、各飲料と水の間に有意差があった。ここでも、飲料と水を比べる問いと、たんぱく質の量同士を比べる問いは異なる。[5]

興味深いのは、どちらの試験でも飲料間で主観的な食欲の評価に差がなかった点だ。食欲は、本人が空腹や満腹を尺度上で示す方法で測定された。実際の食事量には違いがあるのに、本人の点数には違いが出なかった。「お腹が空いている気がする」だけでは、その後に食べる量まで読み切れない例である。[5]

夕方の立川駅北口で感じる空腹を、実験室の平均値と同じにする必要はない。ただ、飲んだ直後の感想だけで量の適否を決めると、この研究では変化した食事量を見落とす。反対に、食事量の結果を読んで「強い満腹感が得られる」と期待すると、研究とは違う効果を待つことになる。[5]

女性の比較では、濃くしても昼食が減らなかった

女性を対象とした低用量の試験では、別の結果が出ている。50人の過体重・軽度肥満の女性が参加し、46人がすべての飲料条件を完了した研究では、朝食などの条件を整え、飲料を昼食の120分前に飲んだ。色、風味、甘さをおおむねそろえて、ホエイの量を比較している。[7]

ホエイを含む飲料では、水と比べて空腹感の低下が認められた。しかし、自由に食べた昼食のエネルギー量には有意な差がなかった。平均は水で3028kJ、5gで3080kJ、10gで2924kJ、20gで2781kJだった。数値だけを見れば高用量で低く見えるが、この結果を「増やすほど確実に減る」とは読めない。[7]

ここでの有意差なしは、参加者全員の食事量がまったく同じだった、という意味ではない。条件間の差を効果として確認できなかったということだ。空腹感には変化があった一方で、飲料の追加分を昼食の減少で十分に埋め合わせたわけではなかった。このずれこそ、飲みごたえと食事量を分ける理由になる。[7]

さらに、過体重・肥満の若年から中年の女性60人を対象に、55人が全条件を完了した二重盲検の無作為化クロスオーバー試験では、結果はより控えめだった。ホエイ濃度2%と4%の飲料などを、容量、色、風味、甘さをそろえて比較したが、対照の甘味付き水と比べて空腹、満腹、食べ物への思い、満足感のいずれにも有意な差がなかった。中年女性も含む結果であり、18〜39歳の女性に限った効果としてそのまま当てはめることはできない。[3]

この試験でも昼食は飲料の後に自由摂取とされ、エネルギーや主要な栄養素の摂取量に有意差はなかった。飲料から入ったエネルギーを、昼食を減らす形で補償する反応も確認されなかった。ホエイを加えれば自動的にその後の食事が調整される、という期待は、この条件では支持されなかったのである。[3]

空腹感が変わった女性の試験と、変わらなかった女性の試験を、片方だけ採用するわけにはいかない。共通しているのは、低用量のホエイ飲料から、その後の食事量の有意な減少を確認できなかった点だ。正常体重の男女の試験では異なる結果だったことも含め、研究対象と飲料の設計を添えて読む必要がある。[3][5][7]

比較試験の盲検とは、どの条件の飲料かを参加者などに分かりにくくして比較する方法である。女性の試験で色や甘さまでそろえたのは、違う見た目の飲料をただ飲み比べたわけではないことを示す。粉を増やして濃くなった自分の飲料を見て、その印象だけから研究の効果と同じだと判断するのは早い。[3][7]

また、クロスオーバーでは同じ参加者が別の機会に異なる飲料条件を経験する。人の違いだけで比べるのではなく、同じ人の条件による違いを調べられる設計だ。それでも女性の食事量に有意差が出なかった点を、対象者が違うからという一言で片付けることはできない。飲料の条件を整えたうえで得られた結果として受け止めたい。[3][7]

このため、家庭での振り返りも実験の再現とは区別する必要がある。昼食の予定も朝食も異なる日の感想を並べて、粉の量だけが原因だったと決めないことだ。研究が事前の食事を整えている事実は、日常の感想を否定するのではなく、量の影響を切り分ける難しさを教えている。[3][7]

数字で読む食前の量と反応

400mL:正常体重の男女の試験でそろえた先行飲料の容量。たんぱく質のエネルギー割合を変えている。[5]

12.5%・25%・50%:1675kJの飲料内で比較したたんぱく質の割合。粉のグラム数ではない。[5]

5g・10g・20g:女性の試験で比較したホエイの量。空腹感は変わったが、昼食量に有意差はなかった。[7]

2%・4%:別の女性の試験のホエイ濃度。対照に比べ、食欲の自己評価と昼食量に有意差はなかった。[3]

12.5g・50.0g:女性24人の試験で水と比較した量。血液の指標だけによる食欲の予測には限界があった。[1]

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宮川涼 Founder

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