朝ごはんのフレンチトーストは、卵液で増えた重さと焼き油の量を分けて考えたい。じゃがいもの揚げ調理研究を手がかりに、水分の減少、加熱方法、調理後の条件で油の残り方が変わることを読む。研究の数字をパンへ置き換えず、運動前の付け合わせも含めた一皿の確認方法を考える。
卵液を吸ったパンをフライパンへ移す。表面に焼き色が付いたところで、油を足すか迷う。皿へ移す直前に気になるのは「このしっとりした一切れに、どれほど油が入ったのか」ということだろう。
答えの芯は、卵液を含んだ量と、調理で残る油の量を別々に見ることだ。揚げたじゃがいもの実験では、水分が失われる程度や加熱方法によって油の含有量が変わっている。ただし、その変化率をフレンチトーストの吸油率として使うことはできない。[11][13]
「朝ごはんに食べると太るか」を、焼き上がりの見た目だけで判定するのはやめたい。ここでは体重変化の予言ではなく、入れた材料と調理条件を区別するところから始める。既存記事「オートミールのフレンチトーストは中まで固まる?卵液の浸透と食感を分けて読む」に卵液と固まり方の話を譲り、こちらでは焼き油の読み方に焦点を当てる。

卵液を吸った重さと、油を吸った量は別である
料理の途中でパンが重くなったからといって、その増加を全部油と呼ぶわけにはいかない。台所で記録するなら、パン、用意した卵液、容器に残った卵液、フライパンへ加えた油を、それぞれ別の項目にする。この分け方は吸油量を測る実験の代用ではない。何を材料として使ったかを、後から見失わないための整理である。
油の研究を読むときにも、食品の水分と油分を混ぜない姿勢が役に立つ。フライドポテトの従来の揚げ調理とマイクロ波を使う揚げ調理を比較した実験では、水分の減少に伴う油含有量の増え方が、方法によって異なった。水分の減少と油の増加の関係は、加熱方法ごとに異なっていた。[11]
この研究は、食べた人の体脂肪を測った試験ではない。フライドポテトに温度と圧力のセンサーを用い、加熱中の変化と仕上がりを調べた食品実験だ。18〜39歳の女性が食べたときの体重変化へ、そのまま当てはめることはできない。「油の含有量が少ない」と「これを朝に食べれば体重が減る」は、測っているものが違う。[11]
家庭でフレンチトーストを作る際も、最初に知りたいのが材料の使用量なのか、出来上がった食品の組成なのかを分けるとよい。油の容器から出した量は前者である。パンへ実際に残った油を知るには後者を測る必要がある。フライパンに残った油の見た目は、吸油率の測定値とは区別する。
たとえば同じ皿の写真を撮っても、卵液の配合、焼く前のパンの状態、加えた油の量までは写らない。写真は形と盛り付けの記録として残し、材料の記録は文字で添える。家庭の朝食を比較する目的なら、その方が「昨日よりふっくらしたから油が多いはず」という印象に頼らずに済む。
また、計量した値には名前を付けたい。「使用した焼き油」と書いた記録を、後になって「吸収された油」へ読み替えないことである。難しい分析装置を持ち込まなくても、測ったものを正しく呼ぶことはできる。料理の記録は、細かい数字を並べる前に、数字の意味を固定するところから始まる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
水が減るほど油が増える、にも条件がある
水分と油の関係を具体的に見たのが、フライドポテトをマイクロ波で揚げる実験である。従来の方法では、水分含有量が固形分あたり3 g/gを下回る領域で、水分が減るにつれて油の含有量が急増した。一方、マイクロ波の5.8 GHzでは増加が比較的緩やかで、2.45 GHzではほとんど見られなかった。[11]
ここでの3 g/gは、家庭でパンの水分を判定する目盛りではない。分母を食品全体の重さではなく固形分とした、研究上の水分表示である。同じ「水分の量」という言葉でも、何に対する割合なのかで意味が変わる。この数字を「卵液をここまで吸わせればよい」というレシピへ変換しないことが大切だ。[11]
別のフライドポテトの実験でも、揚げ方にかかわらず、水分の損失が増えると油の取り込みが増加した。ただし、油を減らすうえでは揚げた後の条件が重要であり、調理中の水分変化に加え、調理後の工程も検討していた。対象はフライドポテトであり、18〜39歳の女性が食べた後の変化をそのまま示す結果ではない。[13]
両方の研究を重ねると、水分は吸油を考える手掛かりになるが、単独の決定役ではないと読める。食品の中でどのように熱が伝わり、どの程度の圧力が生じ、どの状態で調理を終えるかも関係する。少なくとも「乾かせば必ず油が減る」という単純な図式は、これらの実験に合わない。[11][13]
朝のフライパンでできることは、研究の境界値を再現することではない。仕上がりを比べる際に、油だけでなく焼き方も記録に残すことだ。しっとり、かりっと、といった言葉は食感の記録として使い、そこへ勝手に油の多い少ないという判定を付け足さない。水分と油を測り分けた研究にならい、家庭ではまず観察の項目を分ける。[11]
同じマイクロ波でも、研究の答えはそろわない
マイクロ波は食品へ電磁波でエネルギーを与える加熱方法である。フライドポテトの比較実験では、2.45 GHzでの加熱は5.8 GHzや従来の揚げ調理より食品内部の圧力が高かった。研究者は、この高い圧力が油の侵入への抵抗を高めると考えている。[11]
その実験の最高内部ゲージ圧は、2.45 GHzで24.9 kPa、5.8 GHzで20.8 kPa、従来の方法で13.8 kPaだった。ゲージ圧とは周囲の圧力との差を表す値である。表面に油があるかどうかだけでなく、食品の内部状態を測っていた点が、この研究の読みどころだ。[11]
ところが、別のフライドポテト研究では、2.45 GHzより5.85 GHzの方が油含有量が有意に低く、色や食感も良かった。また、その研究ではマイクロ波で揚げると調理時間は30〜40%短くなったが、油含有量、色、食感は通常の油で揚げる方法と同等だった。[13]
これは「マイクロ波なら必ず油が少なくなる」と決められないことを示している。周波数の近い数字が並んでいても、研究全体を同じ実験として扱うことはできない。片方の好ましい結果だけを取り出し、もう片方を消してしまうと、調理技術の評価を誤る。[11][13]
家庭用レンジで卵液を含んだパンを温めることと、油の中でマイクロ波を使ってフライドポテトを調理することも区別したい。ここで紹介したのは後者の研究である。器具の名前に加え、食品が油の中にあるかも比較条件として確認したい。[11][13]
これらは、朝の支度に新しい工程を増やすための話ではない。同じ食品名と調理器具名だけでは、油の量を決められないという話である。「レンジを使った」という短い説明を読んだら、何を、どんな状態で、どの方法と比べたかまで確認する。その読み方なら、研究と家庭の料理の間にある距離を見失わない。
研究同士を比べる際は、油を「減らした」の比較相手にも注目したい。通常の揚げ調理に対して少ないのか、別の周波数に対して少ないのかでは、答えている問いが違う。同じ論文の中でも、調理時間の短縮と油含有量の低下は別の結果である。時間が短くなったという数字だけを見て、油も同じ率で減ったと読まないようにしたい。[11][13]
また、油含有量が少ないという評価と、食感が好ましいという評価も分けている。5.8 GHzの加熱でより硬く、かりっとしたフライドポテトができた実験では、強い表面加熱が関係する可能性が示されていた。油の量に関する順位と、好みの食感に関する順位を、初めから同じものにしない読み方が必要だ。[11]
家庭へ戻せば、目標を「油を吸わない料理」に固定するより、「同じ朝食をどう作ったか分かること」に置くと記録が具体的になる。自分が食べたい食感を言葉にし、使った材料を横に書く。数値がないところを想像の割合で埋めなくても、比較できる部分は残せる。朝のフライパンに、実験室の答えを無理に演じさせる必要はない。
数字で読む、揚げたじゃがいもの油
3 g/g固形分未満:従来の揚げ調理で、水分低下に伴う油含有量の急増が見られた領域。パンの基準値ではない。[11]
24.9 kPa:マイクロ波2.45 GHzの揚げ調理で測定された最高内部ゲージ圧。食品実験での値である。[11]
30〜40%:別の実験でマイクロ波の揚げ調理により短くなった調理時間。油含有量などは通常の方法と同等だった。[13]
18〜23%:揚げた後に60秒のマイクロ波加熱を加えたフライドポテトでの油含有量の減少率。[13]
36.2%:最適化した空気噴流併用のエアフライ調理で、通常の揚げ調理と比べて減ったフライドポテトの吸油量。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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