ピラティスは自分の前回と比べて教わる?男性も気になる順位と学びの関係を読む

ピラティスで周りより上手と言われることと、自分の動きの変化を知ることは同じだろうか。成人の運動課題や子どもの投球の研究を手がかりに、比較を加えた声かけの効果と個人差を読む。男性・メンズという検索語だけで教え方を決めず、次の練習で確かめたい情報を具体的に考える。

隣のマットの人は、もう次の動きに移っている。こちらは足を置く場所を確かめている。「周りより上手」と言われたら安心できそうだが、いま欲しいのは順位なのか、それとも前の動きから何が変わったかという情報なのか。ピラティスを始める前に、案外迷うところである。

答えの芯は、他人より良いと伝える声かけの効果には個人差がある、という点にある。成人の運動課題では、実際の所要時間だけを伝える条件と、そこに他人との好意的な比較を加える条件とで、学び方の個人差が見つかっている。[2]

ただし、これはピラティスのクラスで前回比と順位を直接比べた試験ではない。自分の成績を知らせる情報と、社会的な比較を添える情報の違いを考える手がかりとして読む記事である。「ピラティス 男」「ピラティス メンズ」と調べた人にも、性別から声かけの正解を決める前に、何を伝えてもらいたいかを考える材料になる。[2][4]

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「できた」と「周りよりできた」は別の情報である

フィードバックとは、行った動作の結果などを本人に返す情報である。ここで扱う成人の研究では、課題を終えるまでの反応時間を伝える場合と、その時間に加えて「他の人より速い」という好意的な比較を伝える場合が分けられている。社会的比較とは、このように他人を物差しにして自分の成績を位置づけることである。[2]

たとえば同じ課題を終えたとき、所要時間を聞けば、自分の結果として受け取れる。そこに他の人より速いという言葉が続くと、結果だけでなく、集団の中での位置についても情報を受け取る。数字が同じでも、付け加えられた言葉は別の働きを期待されている。研究では、その比較が運動学習を助ける可能性が検討された。[2]

ここで区別したいのは、実際の成績を伝えることと、本人の過去からの変化を伝えることも、完全には同じではない点だ。この試験の比較条件は「反応時間だけ」と「反応時間と他人との比較」であり、「前回の自分より良くなった」という専用の声かけの優劣を試したものではない。前回比を用いる声かけの優劣は、別に検証する必要がある。[2]

レッスンの場面に置き換えるなら、「前より脚を遠くへ動かせた」と「隣の人より遠くへ動かせた」を同じ助言として扱わない、という問いが立つ。前者を求める人も、後者に励まされる人もいるだろう。これは声かけを選ぶための例であり、どちらがピラティスの習得を速めるかを示す試験結果ではない。[2][4]

既存記事「ピラティスはほめられると動きを覚えやすい?その場の出来と翌日の学びを読む」が扱う問いには譲り、ここでは、ほめるかどうかよりも、誰を比較の相手にするかに焦点を絞る。励ましの言葉の中にも、自分の結果と他人の順位という違う材料が入っている。[2]

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成人の課題では、比較の上乗せに個人差があった

成人52人を対象とした研究では、ジョイスティックを使って決まった動作の並びを行う課題を、連続する2日間練習した。初日は、反応時間だけを知らせる群と、反応時間に好意的な社会的比較を加える群に無作為に分けられた。身体全体の動きを整えるレッスンではなく、操作課題での実験である。成人を対象としたこの結果を、18〜39歳の女性のピラティスにそのまま当てはめるには、対象と課題を合わせた検証が必要だ。[2]

学習の評価には、初日の最初の練習ブロックと、翌日の最初のブロックとの反応時間の変化が使われた。その日に調子が良かったという感想だけでなく、時間を置いたあとにどのような成績が残るかを見ている。保持とは、練習のあとにも課題の成績が残ることを指し、この研究では翌日の成績で評価された。[2]

研究者は唾液からドーパミンに関連する遺伝的な特徴も調べた。ドーパミンは神経の情報伝達に関わり、好意的な比較がその経路に働く可能性が研究の背景にある。複数の遺伝的情報をまとめた得点から、伝達特性が低い群と高い群に分類し、声かけの条件との関係を分析している。[2]

結果は単純な「比較した群の勝ち」ではなかった。低い群では、好意的な比較を加えるより、反応時間だけを知らせた条件で改善が大きかった。高い群では、フィードバックの種類によらず同程度の改善が見られた。時間、遺伝的な分類、フィードバックの条件の相互作用は、p=0.048と報告された。[2]

このp値は、どれだけ速くなったかを表す効果の大きさではない。また、この結果を自分の体質を判定する道具として使うこともできない。ここで受け取りたいのは、好意的な比較の上乗せを全員に勧めるには、反応の違いを無視できないという点だ。本人が喜びそうな言葉と、課題の学習に役立つ条件は、同じ問いではない。[2]

たとえば「みんなより良い」と言われても、次にどこをどう確かめればよいか分からないなら、結果そのものを聞きたいと伝える余地がある。一方、比較が励みになったという感覚を打ち消す必要もない。研究が示す個人差を、日常では自分の受け取り方を確かめる入口として使うのである。遺伝的な分類を、気分の自己採点で置き換える話ではない。[2]

脳の変化だけで「覚えやすくなった」とは決めない

別の予備的研究では、30人が運動の順序を学ぶ課題を練習し、反応時間だけを伝える群と、好意的な比較も伝える群に分けられた。練習の前後に磁気共鳴画像を撮り、安静にしているときの脳領域どうしのつながりの変化を調べた研究である。この30人の操作課題での結果から、18〜39歳の女性がピラティスを学ぶ際にも同じ効果があると判断するには距離がある。[4]

両群とも課題の成績が改善し、自分はできそうだという見通しも高まった。一方、比較を加えた群では、報酬との関わりが研究されるドーパミン経路の領域間でつながりが増加した。反応時間だけの群では、それとは異なる、運動に関わる領域とのつながりの増加が見られた。[4]

目を引くのは脳の画像だが、著者らは、好意的な比較による期待や運動学習への効果が得られなかったことも踏まえている。脳のつながりに違いが見えたからといって、その条件なら誰もが動きをよりよく覚えられる、とは結べない。神経の指標と、実際にできるようになった程度は、分けて確かめる必要がある。[4]

「脳に働く」と聞くと、その先の動作まで保証された気がする。しかし研究で測る対象はそれぞれ違う。レッスンで求めたいものが次に同じ動きを再現できることなら、脳の説明に納得したかだけで終わらず、動作の結果に戻って考えたい。この読み方は、脳の変化を否定するものではなく、その変化から言える範囲を守るためのものだ。[4]

成人52人の研究と、この30人の研究は、異なる指標から比較の効果を検討している。前者は遺伝的な分類による反応の違いを検討し、後者は脳のつながりを検討した。共通するのは、好意的な比較を加えるだけで運動学習が一律に高まるという、単純な説明には収まらない点である。[2][4]

比較研究を読む際には、何を同じにして、何を追加したかにも目を向けたい。反応時間だけの群も、自分の結果に関する情報を受け取っている。比較を加えた群だけが指導を受け、もう片方が何も知らされなかった実験ではない。どちらにも結果の情報があるうえで、他人との位置づけを加える意味を検討した点が、この問いの中心になる。[2][4]

したがって、比較を添えない説明を選ぶことは、自分の成績を知らずに練習することとは違う。レッスンで「周りとの比較は要らない」と感じた場合にも、動作について知りたいことまで引っ込める必要はない。何ができたのかを知ることと、集団の中でどこにいるかを知ることを分けて相談する、という使い方が考えられる。これは実験の条件の違いから立てる実践上の問いである。[2][4]

また、翌日の成績で評価する場合には、初日と翌日で対応する場面を比べている点に意味がある。成人の研究は、初日の最後の好成績を、そのまま翌日の出発点と比べたのではなく、それぞれの最初のブロックの反応時間の変化を評価した。どことどこを比べた数字かが変われば、学習の説明も変わる。[2]

自分の記録でも、指導を受けながら動いた場面なのか、あとで自分で思い出した場面なのかを添えておく、という提案につながる。研究と同じ検査を家庭でする必要はない。比較の物差しを言葉にすることが、単なる「前より良かった」という印象から、次に質問できる具体的な場面へ進む助けになると考えるためである。[2]

数字で読む比較の声かけ

成人52人:反応時間だけの情報と、好意的な社会的比較を加えた情報を比べた運動課題の研究である。[2]

連続する2日間:初日から翌日への反応時間の変化を、保持の成績として評価した。[2]

p=0.048:時間・遺伝的分類・フィードバックの相互作用の値であり、改善量そのものではない。[2]

30人:脳のつながりを調べた予備的研究の参加者数である。[4]

24時間後と72時間後:子どもの投球研究で保持を調べた時点である。[3]

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