運動前の緑茶は摘む季節で違う?新茶のうま味とカフェイン量を分ける選び方

運動前に飲む緑茶は、新茶ならカフェインが少ないのだろうか。春と夏の茶葉、葉の成熟度、抹茶の等級を比べた研究から、季節で変わる成分と味だけでは分からない量を整理する。茶葉の分析値と実際に飲む一杯を区別し、いつものお茶を買い替える日にも使える確認の順序を考える。

新茶の袋を開け、朝の運動に持っていくお茶を用意する。湯を注ぐ前から、春らしい味を期待してしまう。「うま味が強いなら、カフェインも穏やかだろう」。そう考えたくなるが、茶葉の成分はそのようにひとまとめにはできない。日本の緑茶を扱ったレビューでは、摘む季節だけでなく、品種や栽培方法によってカフェイン、テアニン、カテキンの量と割合が変わると整理されている。[1]

季節で茶葉は変わる。ただし「春のお茶ならカフェインが少ない」「新茶なら運動前に向く」という順番では答えを出せない。春と夏を比較した研究で春に多かったのは、うま味に関わるテアニンなどであり、抹茶の等級比較では、上位の等級でアミノ酸とカフェインがともに多い傾向が見られた。うま味とカフェインの少なさを同じ目盛りに置かないことが、選び方の出発点である。[5][8]

既存記事「脂肪燃焼のお茶は二煎目も同じ成分?カテキンとカフェインの出方を研究で読む」には、同じ茶葉に湯を替える問いを譲る。ここでは湯を注ぐ前、袋の中に入っている茶葉がいつ摘まれ、どの程度育ち、どう加工されたかを考える。立川駅へ急ぐ朝に、茶葉の季節を運動の成績表へ読み替える必要はない。

既存記事「生理前のむくみにコーヒーと緑茶を選ぶ前に、運動日のカフェイン量を整理する」には、生理前の症状と運動研究の摂取量を区別する問いを譲る。こちらは原料の季節差を扱い、症状への対処量は決めない。

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季節の違いは、まず茶葉の中身の違いである

春と夏の生の茶葉を比べた成分分析では、4品種を対象に、脂質327種類と代謝物99種類が検出された。そのうち脂質221種類、代謝物58種類に有意な差があった。代謝物とは、植物の中でつくられたり変化したりする物質である。季節差は単に「カフェインが多いか少ないか」だけの話ではなく、香りのもと、味、色につながる成分の組み合わせに及んでいる。[8]

この比較では春の茶葉に、うま味を高めるアミノ酸や、テアニン、テオガリンなどの成分が多かった。また、香りのもとになる脂質の一部も春に多かった。一方、カテキンなどの成分の変化は一様ではなかった。「春になると茶葉の成分が全部増える」と一括りにすると、研究が示す細かな違いを消してしまう。[8]

ここで比べているのは、まず生の葉である。研究は春の葉を使って加工した紅茶の風味についても官能評価、つまり人が味や香りを確かめる評価で検討した。分析対象は茶葉であり、18〜39歳の女性の運動中の反応にそのまま当てはめることはできない。おいしさに関わる化学的な違いを示す結果と、人が運動中に感じる軽さや疲れの違いは、別の問いとして扱うべきである。[8]

「季節の影響がある」という結論は、買い物では役に立つ。ただし役立つ場面は、春摘みという表示だけで飲用量を決めることではなく、前の袋と成分が同じだと思い込まないことである。日本の緑茶のレビューも、収穫時期とともに品種や栽培方法を成分変動の要因として挙げている。季節は複数ある条件のひとつであり、商品の中身を単独で説明する札ではない。[1]

たとえば同じ産地のお茶でも、品種や栽培条件は商品ごとに確認する必要がある。春夏の比較では、成分ごとに変化の方向が異なった。春夏の比較で見られた多様な変化を踏まえるなら、商品を替えた際に「何が変わったのか」を分けて見るほうがよい。研究の平均的な傾向を、手元の袋の分析証明書にしない読み方である。[1][8]

季節を手がかりに風味を楽しむことと、カフェイン量を確かめることは両立する。前者には好みがあり、後者には量の情報が要る。春のうま味を選んだとしても、そこから「刺激の少ない一杯を選べた」と結論しない。味の選択を味の選択のままにしておけば、お茶を楽しむための情報と、運動前の準備で確かめたい情報を混ぜずに済む。[1][5][8]

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若い葉、育った葉、茎は同じ材料ではない

収穫時期と葉の成熟度は近い言葉だが、指している条件が違う。季節はいつ摘むか、成熟度はどの程度育った葉を使うかという視点である。抹茶を扱うレビューでは、気候、品種、茶葉の成熟度、粉砕工程、調製時の温度が品質に影響する要因として整理されている。日付に加えて、原料と工程も比較条件になる。[3]

芽、葉、茎などの部位に注目したレビューでは、茶の新芽の中でも成分の役割が分かれていることが論じられている。芽にはアミノ酸や特定のカテキンなどが蓄積し、葉では成熟に伴って苦味や香りが変わる。茎はテアニンの輸送と貯蔵に関わり、可溶性の糖やペクチンにも富むとされる。茶葉というひとつの言葉の中に、性質の違う材料が入っている。[2]

このため「若いお茶」「葉が細かいお茶」「茎の入ったお茶」を、すべて同じ方向の濃淡として並べるのは難しい。部位ごとの違いは、単に全成分が多いか少ないかではない。新芽のレビューが示すのは、どの組織に何が集まり、味の組み合わせがどうできるかという構造である。うま味があったから成熟度が分かった、という逆算にも慎重でありたい。[2]

葉の部位と成熟度を実際に比較した研究もある。タイで栽培したアッサム系の茶を対象に、上部の葉、中ほどの葉、成熟した葉から抽出物をつくり、抽出法や乾燥法による違いを調べた研究である。超音波を使って抽出し、凍結乾燥した上部の葉の試料では、比較した条件の中でカテキンとカフェインの含量が最も高かった。[9]

その試料のカフェインは抽出物1g当たり93.20±0.36mg、カテキンは抽出物1g当たり341.38±0.11mgであった。大切なのは「抽出物1g当たり」という単位である。家庭でいれた緑茶の湯のみ当たりでも、乾いた茶葉そのものの重量当たりでもない。抽出と乾燥を経て得た材料の数値を、そのまま運動用ボトルの中身の量に置き換えることはできない。[9]

この結果から持ち帰れるのは、葉の成熟度と処理条件を無視して含量を語れないという点である。タイのアッサム系の抽出物で上部の葉に多かったことを、日本のあらゆる新茶へ広げるのも飛躍になる。植物の材料を比較する実験には、品種、部位、抽出法という住所がある。その住所を外して数字だけを持ち歩くと、別の商品を説明する数字に化けてしまう。[9]

上等な抹茶のうま味は、カフェインの少なさを示さない

抹茶の等級を比較した成分分析は、味と成分を混同しないための具体例になる。対象は儀式用の等級1、等級4、食品用という3等級であった。分析では、等級1から食品用へ向かってアミノ酸とカフェインが減る傾向が見られ、ポリフェノールなど別の代謝物は反対に増える傾向を示した。[5]

これは「高い等級ならどの成分も多い」という結果でも、「食品用なら成分が全部薄い」という結果でもない。成分によって並び方が逆になるのである。研究は収穫時期や成熟度などが組成に関わることを示唆しているが、等級比較を、そのまま季節だけを変えた実験として読むべきではない。等級には原料の性質など複数の違いが重なり得る。[5]

うま味に関わるアミノ酸とカフェインが同じ方向に並んだ点は、運動前の選択では特に見落としたくない。おいしくて飲みやすいことを、カフェインが少ない根拠にはできないからである。舌は味を教えてくれるが、成分表示の仕事まで引き受けてはいない。等級の数字は、カフェインの少なさを保証する順位表でもない。[5]

抹茶のレビューでは、収穫前に十分に遮光すると、テアニンと葉緑素の含量が増えることも整理されている。葉緑素は緑色に関わる色素である。鮮やかな色とうま味には栽培の背景があるが、色の濃さだけでは、飲む一杯のカフェイン量は決まらない。日本の緑茶のレビューも、含まれる成分の量だけでなく割合と相互作用に注目している。[1][3]

数字で読む茶葉の季節と成熟度

4品種:春と夏の生の茶葉を比較した研究の対象である。[8]

327種類と99種類:同じ研究で検出された脂質と代謝物の数で、飲むべき量ではない。[8]

221種類と58種類:季節間で有意な差があった脂質と代謝物の数である。[8]

3等級:抹茶の分析で比較された区分であり、すべての市販品を代表する順位ではない。[5]

93.20±0.36mg/g:特定の方法で調製した上部の葉の抽出物のカフェイン含量で、湯のみの濃度ではない。[9]

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宮川涼 Founder

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