
消費が増えても、同じ分だけ体重が減るとは限らない
母乳に伴うエネルギーの話を、運動の消費量に重ねて考える人もいる。ここで役立つのが、完全母乳栄養を行う、日常的な運動習慣のない産後女性33人の無作為化比較試験だ。産後6〜8週で運動群18人と対照群15人へ分け、監督下の有酸素運動を12週間行った。[9]
運動は心拍予備能の60〜70%の強度で、1日45分、週5日という設定だった。運動群は運動セッション中に約400kcal/日を消費したが、対照群より食事から多くのエネルギーをとっていた。[9] ここでも消費の数字だけでは、体全体の収支は閉じない。
産後18〜20週の摂取量は、運動群が平均2497±436kcal/日、対照群が2168±328kcal/日だった。[9] ±はここではばらつきを表す標準偏差である。この比較を読むとき、平均値を自分の食事の上限にしてはいけない。試験に参加した各群の摂取量を記述する値であり、授乳中の全員へ配る共通の献立表ではないからだ。
体重と脂肪の減少、母乳の量や組成、乳児の体重増加には、群間の有意差がなかった。一方、最大酸素摂取量という持久力の指標は運動群で25%、対照群で5%増加した。[9] 体重の群間差と、持久力の改善は別の結果である。運動を体重計の数字だけで採点すると、この違いを取りこぼす。
この試験から読み取れるのは、実施された条件では運動が授乳に悪影響を与えず、母親の心肺体力を改善したことだ。[9] すべての産後の人が同じ時期、同じ強度で始めてよいという許可証ではない。本人の回復や個別の健康状態については医師に判断を仰ぐ必要がある。
授乳と運動の消費量を足し、その合計に見合う体重減少を期待すると、食事の側の変化が計算から抜け落ちる。この研究では実際に、運動群の摂取量が対照群より多かった。[9] 予定していたほど体重が動かないときも、消費だけを見た計算では摂取の変化を捉えられない。計算に入れていなかった項目があるかもしれない、と考える余地がある。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
脂肪を使った結果と、体脂肪が減った結果は別に読む
食事を変えて「脂肪が使われた」と聞くと、産後ダイエットにも向いていそうに見える。その言葉を確かめる例として、肥満のある健康な完全母乳栄養中の女性7人と、肥満のある健康な非授乳女性7人を比べた無作為化クロスオーバー試験がある。[6] 対象は肥満のある女性に限られるため、18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめることはできない。クロスオーバーとは、同じ参加者が条件を変えて比較に参加する研究方法である。
この試験では、総エネルギーと窒素量をそろえた飲料で、糖の種類をグルコースとガラクトースに変えた。いずれも糖の種類であり、参加者は順序を無作為にして異なる条件を経験した。飲料は推定された必要エネルギーの約70%を供給し、そのエネルギーの60%を比較する糖からとる設定だった。[6] 普段の食事の小さな違いを、そのまま再現した試験ではない。
ガラクトース条件では、両群を合わせた解析で脂肪の酸化が高かった。酸化とは、ここではエネルギー源として使う過程を指す。一方、母乳産生量、エネルギー消費、炭水化物の酸化は糖の条件間で同程度だった。[6] 脂肪を使う割合や動員の変化と、消費全体の増加とは同義でないことが分かる。
著者らは、ガラクトースを唯一の炭水化物源とすることが長期の体脂肪減少につながるかについて、長期研究が必要としている。[6] この結果を食品や飲料を選ぶための近道として使うより、何を測って「脂肪が使われた」と言っているのかを確認する教材として使いたい。食後の代謝の測定値は、そのまま将来の体型の保証にはならない。
高脂肪食の試験でも、母乳量を保ちつつ消費や収支が変わったという結果と、長期に体重を減らせるかという問いは分けられていた。[4] 異なる食事試験を読む際にも、この区切りは共通する。目の前の代謝変化を、授乳期全体の食事方針へ広げる前に、測定対象と期間を見たい。

よくある誤解
「授乳回数が多いほど、食べるべき量をその割合で増やせる」。必要量の推定で用いられたのは母乳量、エネルギー密度、産生効率や組織からの供給である。[5] 回数を食事量の換算表にする読み方には、これらを確かめる段階が抜けている。逆に、回数が減ったからと機械的に食事を削る根拠にもならない。
「母乳量が変わらなければ、食事の影響もなかった」。高脂肪と高炭水化物の食事を比較した短期試験では、母乳量に影響がなくても母乳の脂肪やエネルギーに違いがあり、母親の消費にも差が認められた。[4] 変わらなかった項目を正確に読むと同時に、ほかに何が測られたかも確認したい。母乳量を保てたという結果だけで、どの食事法も同じとは判断できない。
「授乳に運動を足せば、その消費分だけ体重が落ちる」。産後の有酸素運動試験では、運動群で消費が加わるとともに摂取量も多く、体重や脂肪の減少に群間の有意差はなかった。[9] 消費量の足し算と、体重の変化は同じ計算ではない。ただし、持久力は改善しており、体重差がないことを運動全体の無意味さに置き換えるのも誤読になる。[9]
いずれの誤解も、手元にある分かりやすい指標に、別の役割まで任せたところから始まる。授乳回数、母乳量、消費量、脂肪の酸化は、それぞれ違う質問への答えだ。[4][5][6][9] 検索結果に出てきた数字を自分へ当てはめるときは、「何の量か」を先に読む。数値が大きいか小さいかを比べるのは、その後でよい。
今日からできること
- 授乳の記録を食事相談に使う際は、回数だけで追加量を決めず、完全母乳かどうかなどの状況も伝える。749g/日はレビューの推定に使われた平均であり、自分の母乳量の目標ではない。[5]
- エネルギーの情報を読むときは、総量、授乳のコスト、食事の追加分のどれかを確かめる。2.62MJ/日と1.9MJ/日は役割の異なる推定値であり、どちらも食事を削るノルマにはしない。[5]
- 食事法の紹介を見たら、対象と期間を数字と一緒に読む。7人が各8日間経験した食事比較を、そのまま授乳期全体の献立へ移さない。[4]
- 運動の記録には体重以外に何を期待しているかも書く。12週間の試験では体重減少に群間差がなくても、運動群の最大酸素摂取量は25%増加していた。自分の運動再開の判断は医師に相談する。[9]
- 「脂肪を使う」という表現に出会ったら、体脂肪量の変化を測った話か、代謝を測った話かを確認する。授乳女性7人と非授乳女性7人の糖の比較試験では、長期の体脂肪減少について追加研究が必要とされた。[6]

オンザショア立川店で、授乳期の運動の予定を考える
授乳期の運動は、消費量の上乗せだけを目的にせず、回復の状況と通える時間を医師に相談してから考えたい。オンザショア立川店では、医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。
営業時間は8:00〜23:30、全曜日同じで年中無休だ。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分である。通える時間と移動の条件を合わせ、運動を続ける場所として検討できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
候補を確認する入口は店舗トップ、通い方を検討する入口は料金案内である。体験を選ぶ場合は予約ページへ進める。時間、場所、利用条件を並べてから、続ける予定を考えたい。
参考文献
- Effect of dietary macronutrient composition under moderate hypocaloric intake on maternal adaptation during lactation — Mohammad MA, Sunehag AL, Haymond MW., 2009, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.2008.26877
- Energy requirements during pregnancy and lactation — Butte NF, King JC., 2005, Public health nutrition. DOI: 10.1079/phn2005793
- Galactose promotes fat mobilization in obese lactating and nonlactating women — Mohammad MA, Sunehag AL, Rodriguez LA, Haymond MW., 2011, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.110.005785
- A randomized study of the effects of aerobic exercise by lactating women on breast-milk volume and composition — Dewey KG, Lovelady CA, Nommsen-Rivers LA, McCrory MA, Lönnerdal B., 1994, The New England journal of medicine. DOI: 10.1056/nejm199402173300701
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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