体力を伸ばす方法は体質で決まる?同じ運動を再び試して見えた伸び方の揺れ

体力を伸ばす方法を試しても変化が小さいと、自分は運動に反応しない体質なのかと考えてしまう。同じ人が同じ持久力トレーニングを繰り返した研究から、伸び方の再現性と個人差を読み解く。測定の誤差、途中経過の記録、体力の指標の違いを分け、結果を次の運動選びにつなぐ考え方を示す。

同じ運動ノートを開き、前の期間と今回の記録を並べる。運動を続けている友人は楽になったと言うのに、自分の記録は動かない。そこで「私は体力が伸びない体質なのだ」と決めるには、まだ材料が足りない。同じ人に似た持久力トレーニングを繰り返した研究では、その人の伸び方は必ずしも再現しなかったからだ。[3][5]

中年の運動習慣のない男女42人が、休止期間を挟んで似た運動を再び行った研究は、酸素を使う能力や運動成績だけでなく、血液と筋肉の変化まで調べた。それでも、前の期間によく伸びた人が次も同じようによく伸びるという関係は弱かった。今回の結果は、その条件での記録である。中年男女の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と運動条件をそろえた検証が必要だ。[3]

「運動習慣の効果はいつから?体力が増えない日の測定誤差と個人の反応を研究で読む」が扱う測定誤差と効果の時期はそちらに譲る。ここで追うのは、同じ運動をもう一度経験したとき、同じ人の適応まで繰り返されるのかという問いだ。測る手順が正確であることと、伸びやすさが固定していることは、別に確かめる必要がある。[2][3]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

体力の伸び方は、その人に貼りついた性質なのか

運動への「反応」とは、運動の前後で測った指標の変化を指す。一方、トレーナビリティという言葉で論じられるのは、ある運動負荷に対して適応する性質である。対象となる機能を特定して考える必要があり、体力という大きな言葉だけで全身の変化を代表させることはできない。[2][19]

たとえば友人と同じ運動に参加して、自分の持久力の検査だけがほとんど動かなかったとする。そこで直接分かるのは、その期間、その運動、その検査で観察された変化だ。その結果から、別の時期にも伸びない、別の機能にも変化がない、と話を広げるには、それぞれ別の根拠が要る。特定の機能の適応が小さいことは、他の機能にも利益がないことを意味しない。[19]

統計的な観点を整理したレビューは、観察された伸び方の違いに、測定誤差だけでなく、同じ人の中で運動の効き方が変わることも関わりうると指摘した。人と人を比べるだけでは、この後者を十分に捉えられない。そのため、運動介入そのものを繰り返す設計が必要になる。[2]

ここには問いの段差がある。「人によって結果が違った」は観察であり、「結果の違いは、その人が持つ変わりにくい性質による」は説明である。観察から説明へ進む際に、同じ人が別の期間にも似た結果を出すかを調べる。個人差という言葉を使う前に、個人の中の揺れを確かめるのである。[2][3]

運動ノートの空欄を埋めるように、伸びなかった理由へすぐ「体質」と書き込みたくなる。しかし研究が問題にしているのは、その欄を何と呼ぶかよりも、同じ現象が再び起こるのかだ。体質という説明をいったん保留するのは、努力を否定するためではない。観察された変化と、その変化を生んだ性質を区別するためである。[2]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

似た運動を繰り返した42人では、何が再現しなかったか

2026年の研究では、中年の運動習慣のない男女42人が、似た内容の持久力トレーニングを8週間ずつ行った。標準化され、細かく監督された持久力運動を繰り返す介入研究である。運動期間の間には8週間の脱トレーニング期間、つまり練習をやめる期間を置いた。18〜39歳の女性の運動選びに、この中年男女の試験結果をそのまま適用することはできない。運動を続けたまま後半の伸びを測る設計とは違い、いったん区切って再び運動を始める比較だった。[3]

参加者が行ったセッション数の平均は、前の期間が23.9回、後の期間が23.8回で、同じ人の中での実施回数の違いは小さかった。記録された伸びの違いを「後の期間はほとんど通わなかったから」とだけ説明するのは、この研究には合わない。標準化し、細かく監督された条件でも、適応の再現性が問われたのである。[3]

測定したのは、最大酸素摂取量、一定時間に出せる平均の力、ヘモグロビン量、筋肉の酵素活性、筋線維当たりの毛細血管数などだった。最大酸素摂取量は、運動中に取り込んで使える酸素の最大量を表す指標である。ヘモグロビン量は血液側、筋肉の酵素や毛細血管は筋肉側の適応を見るものとして扱われた。検査の画面だけでなく、その背後の生理的な変化も追っていた。[3]

各期間の開始時の値はよく一致していた。最大酸素摂取量の級内相関係数は0.98、15分間の最大平均出力では0.96だった。級内相関係数は、ここでは繰り返しの一致を評価する統計量である。研究者は、こうした開始時の一致を、脱トレーニングが有効だったことを示す結果と解釈している。[3]

ところが、開始時の値がそろっていても、そこからの「変化」は同じようには一致しなかった。最大酸素摂取量の適応の級内相関係数は0.19で、95%信頼区間は0.00〜0.37。15分間の最大平均出力の適応では0.20、信頼区間は0.00〜0.37だった。信頼区間は推定の不確かさを表す幅であり、値だけを切り離して読むべきではない。[3]

この試験では、開始時の体力が近い値でも、次の伸びは再現しにくかった。通った回数も開始時の状態も比較的そろえたうえで、変化の再現性は低かった。研究は持久力運動への適応を、安定した個人の属性というより、状況に依存して変わる生物学的な過程として捉えている。[3]

ただし、参加者は中年の未訓練者であり、これは持久力トレーニングの研究だ。ここで比較したのは、8週間の持久力運動、8週間の休止、再び8週間の持久力運動という条件だ。ヨガの参加頻度や筋トレの負荷を決める処方には使えない。日常では、過去の伸びを次の伸びの保証や限界と決めず、実施した運動の条件を添えて振り返る材料になる。[3]

検査の誤差と、運動期間ごとの反応を分ける

測定器の誤差さえ小さくすれば、残った違いはその人の本当の反応だと考えたくなる。しかし統計レビューは、運動の効果そのものが同じ人の中でも変わる可能性を挙げている。検査の揺れと、運動した期間ごとの反応の揺れを、ひとまとめにはできない。[2]

運動しない対照群は、この問題を考えるうえで役立つ。運動群に見られたばらつきが、運動をしなくても生じるばらつきと比べてどうなのかを調べられるからだ。ただし、対照群を置いたことだけで、ある人の伸び方が繰り返し安定することまで確かめたわけではない。レビューは、同じ人の効果の変動には反復介入が必要だと整理している。[2]

この区別を日常の場面に置くと分かりやすい。測るたびに数値が違うのか、ある期間の前後差が小さかったのか、別の期間でも前後差が小さいのか。これらを全部「体力が伸びない」とひとくくりにすると、次に確かめたいことが見えなくなる。記録を整理する際は、検査そのものと運動期間の結果を別に眺めたい。[2][5]

2021年の系統的レビューは149研究を対象としたが、伸びやすさの個人差を統計的に推定した研究は9本だった。その少数の研究でも、個人差の存在を支持する結果は一様ではなかった。多くの研究で人ごとの変化が描かれていることと、変化の違いが確かな個人差だと検証されていることには距離がある。[16]

同レビューが検討したのは、反応した人を分ける基準でもある。誤差と、意味のある変化の基準を考慮するかどうかで分類の読み方が変わる。グラフの棒が上を向いた人を数えただけでは、確かな適応を数えたことにはならない。「何人に効いた」という見出しを読むときも、分け方まで見たい。[16]

血液や筋肉の指標でも事情は似ていた。適応の級内相関係数はヘモグロビン量で0.00、筋肉のクエン酸合成酵素活性で0.15、筋線維当たりの毛細血管数で0.00だった。95%信頼区間はそれぞれ0.00〜0.30、0.00〜0.33、0.00〜0.36である。運動成績だけが揺れ、体の内部の適応は毎回同じだった、という結果ではなかった。[3]

さらに、血液や筋肉の適応に見られた個人内の変動は、最大酸素摂取量や平均出力の反応の個人内変動をほとんど説明しなかった。だから、検査値が動かなかった理由を、血液か筋肉かのどちらかに即断することもできない。複数の場所を調べた研究ほど、単独の数値から体質を語る難しさが見えてくる。[3]

数字で読む、繰り返した運動の反応

42人:似た持久力トレーニングを繰り返した中年の未訓練男女の人数である。[3]

8週間:それぞれの運動期間の長さであり、間の脱トレーニング期間も同じ長さだった。[3]

0.19:最大酸素摂取量の適応の再現性を示す級内相関係数。95%信頼区間は0.00〜0.37だった。[3]

11人/20人:別の持久力研究で、異なる解析法の間で一貫した分類となった人数である。[6]

9本/149本:系統的レビューで、伸びやすさの個人差を統計的に推定した研究数と対象研究数である。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約