HIITの有酸素運動メニューは同じ秒数で?平均に隠れる時間のばらつきを読む

HIITの有酸素運動メニューは、平均の運動時間が同じなら同じ負担になるのか。短い区間と長い区間を比べた自転車研究から、休憩の入り方、酸素摂取、疲れの違いを読む。秒数を毎回変える方法の優劣とは分けて、一定間隔と変化のあるメニューを比べる際に残したい記録を考える。

短い運動の終わりには、まだ脚を動かせそうなのに、長い運動の終盤には休憩の合図が待ち遠しい。タイマーに表示される平均時間が同じでも、この途中の違いは消えるのだろうか。

答えの芯は、平均だけでは決められない、である。運動と休憩を短く区切った場合と長く区切った場合では、全体の平均的な酸素摂取が似ていても、運動中の反応の山は異なった研究がある。[10] ただし、これは「毎回秒数をばらつかせるほど効果が高い」という証明ではない。

既存記事「HIITのおすすめメニューは長い運動が先?合計時間だけでは選べない順番と疲れ」には並べる順番の問いを譲る。既存の案内ページ「メニュー」や、記事「ダイエットの朝の運動メニューは種目を替える?移動と休憩まで含めた消費の比べ方」とも問いを分ける。ここで扱うのは、区間の長さを平均値に畳んだとき、運動と回復のどんな違いが見えなくなるか、という問いである。

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同じ平均でも、区間の組み方は違う

HIITは、高い強度の運動と回復の区間を組み合わせる練習である。分類を整理したレビューでは、区間の長さ、強度、運動と回復の比率の相互作用から、目的に応じた種類を考えている。[3] タイマーの秒数は、メニューを形づくる条件の一部なのだ。

たとえば、長さのそろった区間を並べる場合と、短い区間と長い区間を混ぜる場合を考える。平均が等しくても、長く連続して動く場面があるかどうかは違う。計画表では、平均に加えて各区間の長さを読む必要がある。平均時間という表示から、区間ごとの運動の姿まで復元することはできないのである。

さらに、運動時間が同じでも、出している力が異なれば比較の意味が変わる。自転車ならペダルに出すパワーを設定できるが、自宅の筋トレでは、動作の種類や動く速さにも違いが生じる。時間の違いを見たいときに種目も替わっていたら、何が変化の理由かを切り分けにくい。区間の長さと強度を組み合わせて考えるというレビューの視点は、動画のメニューを読むときにも役立つ。[3]

「変化をつける」という言葉にも注意が要る。運動する長さを変えるのか、強度を変えるのか、休憩を変えるのか。そのどれもが別の条件である。一定の秒数が退屈だから変えたいという希望と、体への刺激を変えたいという目的は、記録の中でも区別しておきたい。

研究で使われる「ランダム」という言葉も、区間の長さではなく、実施する順番を指すことがある。参加者が異なるメニューを試す順番を無作為にした研究もある。[7][10] 無作為な順番で比較したことと、運動時間そのものを無作為に変えたことを取り違えると、「ばらつきが有効」という結論を早まってしまう。

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平均の酸素摂取が似ても、反応の山は違う

この違いを具体的に示すのが、参加者24人が両方のメニューに取り組んだ比較研究である。運動と軽い運動による回復を、それぞれ3分ずつ交互に行う条件と、30秒ずつ交互に行う条件を、無作為の順番で実施した。全体の仕事率と練習時間をそろえた実験である。[10] この結果だけでは、18〜39歳の女性が自宅で行う運動でも同じ反応になるかは判断できない。

酸素摂取とは、体が取り込んで使う酸素の量である。この研究で、各人のピーク酸素摂取量に対する練習中の平均の割合は、長い区間で65.23%、短い区間で64.39%であり、有意な差はなかった。一方、負荷をかけている区間の心肺の反応は、長い区間で高かった。[10] 平均値だけを見ると、途中の山と谷を見落とす。

研究では、短い区間の条件では回復が不完全なまま次の運動につながり、長い区間の条件では反応の振れ幅が大きかったと説明している。筋肉の局所的な血液の動きには、両条件で差がなかった。[10] 心肺の反応と筋肉で測る反応も、同じ指標ではないのだ。

この研究では、短い区間でも平均的な酸素摂取は保たれ、長い区間で高かったのは負荷中の心肺の反応だった。[10] タイマーの平均欄が同じでも、運動中のどこを見ているかで比較は変わる。タイマーの終了画面には、最後の区間で休憩の合図を待った時間までは映らない。平均は便利だが、途中の場面までは引き受けない。

ただし、この比較は、短い区間だけのメニューと長い区間だけのメニューを比べている。両者を混ぜたメニューの反応を、そのまま計算して求められるとは扱えない。混ぜる案を考える際の手掛かりは、「平均に隠れる反応がある」と知るところまでにしておく。

平均値の差が小さかったことも、両者が完全に等しいことの証明にはならない。この研究で有意差がなかったのは、測定された平均的な酸素摂取の割合である。[10] 体への負担という広い言葉を使うなら、心肺、筋肉、本人のきつさのどれを指しているのかを添えたい。数値を絞って測った実験の答えを、体験全体の同一性へ広げないためである。

休憩も含む練習全体の平均と、運動している最中の値は、集計する範囲が違う。[10] 自分の記録で考えるなら、タイマーを開始してから終了するまでの印象と、長い区間の終わり際の印象を別々に言葉にしておく方法がある。「今日はきつい」で終えるより、「長い区間の終盤がきつかった」と書いた方が、後からメニューのどこを見直したいかが分かる。感想を生理学的な測定値に見立てる必要はない。

同じ仕事量で止めるか、限界まで続けるか

疲れの比較では、いつ測ったかが答えを左右する。健康な参加者12人、うち女性6人を対象とした自転車研究では、ピークパワーの90%で運動し、1分運動・1分完全休憩と、3分運動・3分完全休憩、さらに一定負荷の連続運動を比較した。[7] 運動と休憩の比率は同じでも、区切り方が違う条件である。18〜39歳の女性の日常のメニューに、この実験の疲れ方をそのまま当てはめることはできない。

同じ仕事量を終えた段階では、短い区間の条件で、最大限に出せる膝伸ばしの力や電気刺激で確かめた力の低下が小さかった。短い区間では、限界までに行えた仕事量も多かった。[7] 同じ比率だから同じ疲れ方になる、という説明では、この結果を捉えられない。

ところが、限界まで続けた時点では、短い区間で神経から筋肉を働かせる程度が、長い区間や連続運動より低かった。[7] 途中で力の低下が小さかったことと、限界時点で全項目が良好だったことは同義ではない。長く続けられた分だけ、比べる地点そのものが変わっている。

同じ運動量をこなす日のメニューを探している人と、どこまで続けられるかを調べる人では、この結果の使い方が異なる。「短い区間は楽だった」と聞いたら、それは同じ量を終えたときの話か、終わるまで続けた話かを確認したい。研究の数字を日常へ持ち帰るには、測定の終点も持ち帰る必要がある。

休憩の中身も見逃せない。先の研究は軽い運動を続ける回復であり、こちらは完全休憩である。[7][10] どちらにも「休憩」と書けるが、同じ条件として扱うことはできない。動画を止めて座った日と、足踏みをしながら次を待った日を、秒数だけで同一の記録にしない方が比較の筋道は明確になる。

測った力の種類にも意味がある。自分の意思で最大限に出す力と、神経への電気刺激を使って調べる力を、同じ実験で追っている。[7] したがって、ここでいう疲れは、単に「気分が乗らない」という感想だけではない。反対に、この実験で力の低下を測れたからといって、読者が感じる疲れを手元のタイマーだけで同じように判定することはできない。

日常の比較なら、予定の終了まで取り組んだ日と、途中で切り上げた日を区別して書くだけでもよい。後者を失敗として消してしまうと、どんな条件で予定が合わなかったかも消える。ただし、それを研究の「限界までの仕事量」と同じ検査結果にはしない。測定方法を写すことより、比較した地点をそろえるという考え方を取り入れるのである。[7]

数字で読む区切り方の違い

24人:3分区間と30秒区間の両方に取り組んだ、全体の仕事率と時間をそろえた比較研究の参加者数である。[10]

65.23%と64.39%:同研究の平均の酸素摂取の割合であり、両条件に有意な差はなかった。[10]

12人、女性6人:1分区間と3分区間を、同じ強度・同じ運動休憩比で比較した研究の対象である。[7]

3週間:過体重・肥満の男性を対象に、長さと強度の異なる区間を比較した介入期間である。[5]

29試験:2型糖尿病の人のHIITの特徴を整理したメタ分析に含まれた試験数である。[2]

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宮川涼 Founder

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