プロテインを飲む期間は長いほど有利?筋力の伸びと測定への慣れを読み分ける

プロテインを続けて飲み、扱える重さが増えたら補給の成果なのか。女性を対象にした試験やメタ分析から、飲む期間、運動による変化、比較群との差を読み分ける。筋力と筋肉量を同じ意味にせず、測定への慣れを決めつけない見方と、日々の記録で確認したい点を考える。

シェイカーを洗うのが日課になったころ、トレーニングの記録も伸びてきた。「続けて飲んだから効いたのか、それとも動きに慣れただけか」。洗ったシェイカーを伏せ、手帳の重さを見直す。飲み続けた日数は数えられても、増えた重さの内訳までは見えない。

プロテインを飲む期間は、長ければ長いほど有利とは決められない。運動経験のない閉経前女性を対象にした試験では、筋力と除脂肪量は増えたが、運動後のホエイ補給の上乗せは小さかった。反対に、筋力トレーニングと補給を組み合わせた試験の統合では、除脂肪量への利益が推定されている。期間だけでなく、誰が何を行い、何を測ったかが答えを左右する。[12][1]

測定への慣れを疑うことと、伸びをすべて慣れで説明することも違う。ここでは補給開始からの経過を、筋力、筋肉量、比較群との差に分けて読む。既存記事「マシンピラティス週2回と週3回の効果、筋力の記録は測定への慣れも分けて読む」には通う頻度の比較を譲り、こちらでは補給期間の評価に問いを絞る。

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飲み始める前と後だけでは、補給の分を取り出せない

まず押さえたいのは、自分の過去との比較と、補給を変えた群同士の比較の違いだ。無作為化比較試験とは、参加者を偶然の割り付けで群に分け、介入の違いを比べる研究である。運動と補給を同時に始めた人の前後差には、運動を含む取り組み全体の変化が入る。補給の上乗せを読むには、同じように運動した比較群の経過が必要になる。[12]

閉経前で運動経験のない女性27人、平均年齢33.6歳を対象にした無作為化比較試験では、上半身の筋力トレーニングを週2回、自転車の高強度インターバルトレーニングを週3回、12週間続けた。運動後のたんぱく質量は対照群3g、補給群24gだった。比べているのは「運動をしない人と飲む人」ではなく、運動に取り組む群同士である。[12]

この試験では、筋力の測定値が両群で19〜113%増えた。幅があるのは複数の筋力測定を含むためで、どの人も同じ割合で伸びたという意味ではない。除脂肪量の変化は対照群で0.84±0.80kg、補給群で0.56±1.4kgだった。研究全体では除脂肪量の増加が認められた一方、補給の効果は小さいと結論された。[12]

ここで「筋力が大きく伸びたから、プロテインが大きく効いた」と読むと、群同士の比較が抜け落ちる。補給群の変化だけを広告の見出しにすれば、対照群でも伸びた事実が見えなくなる。自分の記録を見るときも、飲んだ日数と成績を並べるだけでは、補給による部分を切り出せない。この試験は、その区別を具体的に教える。[12]

ただし、補給の上乗せが小さかったことは、取り組んだ時間が無意味だったという話ではない。両群で筋力と除脂肪量が増えたという結果は、そのまま残る。「運動を続けた結果」と「補給を追加した結果」を別々に受け取ればよい。シェイカーは記録に写りやすいが、同じ期間に積んだ運動は写真の外にもある。[12]

個人の記録を、試験の比較群の代わりにすることもできない。先月の自分と今月の自分では、補給以外の取り組みを同じ条件に固定できないからだ。記録は続け方を振り返る道具にはなるが、補給の効果を証明する実験とは役割が違う。研究の群間差と個人の手応えを混ぜないことが、期間を考える出発点である。[12]

女性の試験では、日々のたんぱく質摂取量の変化も調べている。対照群の増加は5.0±16.6g、補給群は20.5±13.9gで、群間に有意差があった。実際に摂取量は異なったが、それでも補給による筋力や体組成への上乗せは小さかったという組み合わせで読む。飲んだ量の違いが確認されたことと、期待する結果の違いが確認されたことは、別々の情報である。[12]

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筋力が増えたことと、筋肉が増えたことを分ける

筋力の記録と筋肉量の記録は、交換できるものではない。女性の試験は筋力を、3回反復できる最大負荷である3RMで評価し、体組成をDXAという検査で評価した。同じ参加者でも、力を発揮した成績と体の構成を別に測っている。筋力の増加率を、そのまま筋肉の増加率と読み替えることはできない。[12]

除脂肪量という言葉にも注意したい。これは脂肪を除く体の成分を指す指標であり、測定した筋力そのものではない。研究の見出しに「筋肉」とあっても、本文では除脂肪量なのか、特定の筋肉の厚さなのか、扱えた負荷なのかを確認する。それぞれ異なる結果を並べて初めて、何が変わったかを言葉にできる。[1][2][12]

2型糖尿病の高齢男性60人を対象にした、三重盲検の無作為化試験の二次解析も、この違いを示している。参加者はホエイ20g、糖質20g、色を付けた水の群に分かれ、週2回の筋力トレーニングを12週間行った。多くの種目で扱う負荷が増えたが、超音波で測った上腕と太ももの筋肉の厚さには有意な変化が認められなかった。糖尿病のある高齢男性の結果を、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[2]

この結果を「力だけが増えたから全部慣れだ」と言い切るのも早い。負荷の記録と筋肉の厚さが同じようには変化しなかった、というのが読み取れる結果である。伸びの原因を慣れ、筋肉の変化、それ以外に配分する数字としては扱えない。測定結果が違うことを、原因の内訳が分かったことと取り違えない姿勢が必要だ。[2]

測定への慣れは、補給の評価で確かめたい条件として置くのがよい。論文を読むなら、本測定前の練習がどのように扱われたか、群で測定手順がそろっているかに注目する。ただし「慣れを確認したい」という問いと、「この研究の伸びは慣れが原因だ」という答えは別である。補給試験の成績から、学習効果の割合まで逆算しない。[12][2]

生活の場面では、以前より重い物を扱えたという手応えを残しつつ、「筋肉が同じ割合で増えた」とは書かない記録が役に立つ。重さ、動作、測り方を言葉で残せば、後から別の指標と混同しにくい。体組成の表示が動かなかった日にも、動作の記録まで消す必要はない。研究が別々に測っているものを、手帳の中でも別々に扱うのである。[12][2]

数字で読む補給期間と測定の違い

27人:運動経験のない閉経前女性の無作為化比較試験の参加者数である。[12]

12週間:同試験で筋力とインターバルトレーニングを続けた期間であり、全員への必要補給期間ではない。[12]

19〜113%:同試験の両群でみられた筋力測定値の増加の幅であり、補給だけの効果ではない。[12]

60人:筋力の進歩と筋肉の厚さを別に調べた、2型糖尿病の高齢男性の試験の人数である。[2]

36試験・1,552人:筋力トレーニングとたんぱく質補給を比較したネットワークメタ分析の規模である。[1]

長い研究を選ぶ前に、何と何を比べたかを見る

単独の試験で上乗せが小さい一方、複数の試験を合わせると補給の利益が見える場合がある。36件の無作為化比較試験、計1,552人をまとめたネットワークメタ分析は、監督下の筋力トレーニングを6週間以上行い、各種たんぱく質とプラセボを比較した。ネットワークメタ分析は、複数の介入を直接の比較だけでなく、共通の比較対象も介して推定する方法である。高齢者を含む集団の統合結果であり、18〜39歳の女性に同じ効果量が当てはまるかは別に検証が必要だ。[1]

この分析で、ホエイの除脂肪量への差はプラセボに対して推定1.24kg、95%信用区間0.61〜1.87kgだった。信用区間は、分析モデルの下で推定値の不確かさを表す範囲である。平均の差が推定されたことは補給の利益を支持するが、読者自身の体がこの数値だけ変わるという約束にはならない。[1]

また、この分析に入る条件が「6週間以上」だったことと、「6週間で効果が出始める」ことは同義ではない。参加した試験の期間の条件を、体内の変化が始まる日付に置き換えない。女性の12週間の試験との結果の違いも、長さだけで説明できる比較ではない。対象者や補給内容、運動、測定指標を含めて読む必要がある。[1][12]

メタ分析の推定には不確かさも伴う。たとえば植物由来と乳由来の比較では、植物由来の推定効果が小さかったものの、根拠の確実性は低いか非常に低く、信用区間も広かった。順位が付いたという理由だけで、特定の種類を長く飲むべきだと結論しない。選択肢を比べる分析でも、期間や種類に関する判断では、こうした根拠の確実性も重み付けに入る。[1]

期間を延ばす効果を知るには、延ばした場合と延ばさなかった場合の比較が重要になる。別々の研究を短い順に並べて、長い研究の数字が大きいだけでは、期間の因果効果にならない。研究の対象者と方法も一緒に入れ替わるからだ。長期の結果を読む意味はあるが、日数の順位表から自分の終了日を選ぶのは別の作業である。[1][12]

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宮川涼 Founder

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