HIITの休憩に暗算しても回復できる?動かない時間と頭の負担を分ける休み方

HIITの休憩中、脚を止めていても仕事の計算を続けてよいのか。認知課題を組み込む訓練と運動前に頭を疲れさせる試験を分け、走る速さ、注意力、主観的なきつさの違いを読む。中級者が休憩の過ごし方を考える際に、研究から判断できる範囲と日常の記録の仕方を整理する。

タイマーが休憩に切り替わった。脚は止めたが、頭の中では明日の売上の計算が始まる。運動を休んでいるのだから、これも回復時間に数えてよいのだろうか。

答えの芯は、脚を止めたことだけで注意力まで戻ったとは判断できない、という点にある。男性プロサッカー選手の試験では、運動前の認知課題による精神的疲労は反復スプリントの成績を有意に下げなかったが、刺激への反応の速さは低下した。走れることと、素早く気づけることは別だったのである。男性プロ選手の結果を18〜39歳の女性へそのまま当てはめることはできない。[4]

一方、HIITの低強度区間に認知課題を組み込んで続ける訓練では、後の複合課題に対する適応も報告されている。[1] したがって、暗算は必ず回復を妨げる、と決めつけるのも早い。既存記事「マシンピラティスで疲れるのは集中のせい?頭の疲労と体の負荷を分けて読む」が扱う集中と疲労の関係から問いを絞り、ここではHIITの合間に頭へ何を任せるかを考える。

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休憩の時計と、頭に任せる仕事は別に考える

高強度の運動と負荷を下げる区間を組み合わせるHIITでも、その間に何を行うかで課題の内容は変わる。訓練された成人を対象とした無作為化比較試験では、自転車運動だけの群と、低強度区間または高強度区間で認知課題を行う群が比べられた。体を動かすだけの練習と、体と頭を同時に使う練習を区別した設計である。訓練された成人の結果であり、18〜39歳の女性一般への適用には、運動経験の違いを考慮する必要がある。[1]

研究の認知課題は、暇つぶしというより、注意を働かせ続ける仕事だ。別の試験では、ストループ課題と呼ばれる認知課題を、精神的疲労を生じさせるために用いた。頭を使った後に短い全力走を繰り返し、走る速さと反応の速さを別々に調べている。[4] 日常の「座っていた」と研究の「負荷がなかった」は、同じ言葉には置き換えられない。

ただし、休憩中に家計を思い出す場面と、課題を長く続けて精神的疲労を生じさせる実験は違う。プロ選手の試験では、運動の前に30分間の課題を行った。[4] 休憩の合間に一瞬計算しただけで同じ結果になる、と読むことはできない。比べるべきなのは、頭を使ったかどうかだけでなく、いつ、どのくらい続け、何を測ったかである。

この区別は、仕事帰りの運動を考えるときにも役立つ。中央線の車内で資料を読み、立川に着いてから体を動かす日には、「今日は脚が重い」と「今日は判断を続けたくない」を別々の言葉で残せる。これは疲労の原因を自己診断するためではない。後で運動の記録を読み返したとき、同じ「疲れた」に違う経験を詰め込まないための工夫だ。

ここでの回復の問いも絞っておきたい。次の運動で出せる力を知りたいのか、説明を聞いて反応する余裕を知りたいのか。それによって見るべき結果は変わる。反復走の成績に差がなくても注意課題に差が出た試験は、回復をひとつの合否で表す難しさを示している。[4] 時計が休憩を終えたことと、自分が何を再開できるかは、分けて確かめるほうがよい。

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頭が疲れていても走れたが、反応は同じではなかった

男性プロサッカー選手17人を対象にした無作為化クロスオーバー試験では、同じ参加者が認知課題を行う条件と、ドキュメンタリーを視聴する条件を経験した。いずれも30分間を過ごした後、20mの最大努力のシャトルスプリントを10回、十分には回復しない間隔で繰り返した。[4] 人ごとの走力の違いだけに左右されにくい比較である。対象が男性プロ選手なので、18〜39歳の女性の回復の程度を直接示す比較ではない。

走りを重ねるにつれて、心拍数と主観的な運動のきつさは上がり、走る速さと脳の酸素化は下がった。しかし、この変化には認知課題条件と対照条件の間で有意差がなかった。[4] 精神的疲労を加えれば必ず走力が落ちる、という単純な予想は、この試験の反復スプリントでは支持されなかった。

ところが、刺激に気づいて応答する速さを測る精神運動覚醒検査では、違う結果になった。認知課題の後には応答速度が低下したが、ドキュメンタリーの後にはその低下がみられなかった。さらに反復スプリントの後には、どちらの条件でも応答速度が低下し、認知課題条件のほうが低いままだった。[4] 身体的疲労と精神的疲労が重なる結果が、注意の側に現れたのである。

効果の読み方には順番がある。まず、何に差がなかったかを見る。次に、何には差があったかを見る。「精神的疲労は影響しない」とだけ紹介すれば注意力の低下を落とし、「頭が疲れると動けない」と紹介すれば走力の結果を逆にしてしまう。[4] 同じ試験の中に、保存された成績と低下した成績が共存している。

中級者が運動を記録するなら、この違いをそのまま記録欄へ移せる。予定の動作を終えたという事実と、開始の合図を聞き直したという出来事は別々に書く。後者を即座に精神的疲労の証拠と決める必要はない。研究が教えるのは、走行成績だけをもって注意の状態まで良好と判定しない、という見方である。[4]

なお、この対象は競技として走ることに慣れた男性だ。一般の女性が室内で行うHIITへ、成績の保たれ方をそのまま移すことはできない。プロ選手でも注意の検査には変化が出たという対象条件を添えて読むことで、「鍛えている人なら頭の疲れは無関係」という広げすぎも避けられる。[4]

低強度区間の認知課題は、休息にも訓練にも見える

別の無作為化比較試験では、訓練された成人40人が、自転車だけ、低強度区間で認知課題を追加、高強度区間で追加、という群に分かれた。期間は4週間、頻度は週2回だった。各回には、自覚的に「とても強い」3分と「とても弱い」3分を組み合わせる区間を4組含めた。[1] 暗算の有無だけを変えた短い休憩の実験ではなく、複合課題を続ける訓練の試験である。訓練された成人の結果から、18〜39歳の女性一般にも同じ適応が起こるかは判断できない。

訓練前後には、負荷を段階的に上げる自転車運動と注意課題を組み合わせ、継続できなくなるまで測定した。持続的注意の成績だけでなく、膝を伸ばす筋肉の神経筋機能、脳の前頭前野の酸素化、運動と頭の仕事それぞれのきつさも評価した。[1] 何が変わったかを、運動時間だけに任せない設計だった。

全群でテストの持続時間は延び、平均の変化は3.0±4.2分だった。認知課題を加えた群では、自転車だけの群に比べて、中枢性疲労を反映する随意的な筋の活性化の低下が緩和され、頭の仕事をきついと感じる程度もより減った。[1] 複合課題への備えとしては、体と頭を一緒に使う訓練が役立つ可能性を示している。

ただし、この結果を「休憩中は頭を忙しくしたほうが回復する」に変換してはいけない。訓練後に複合テストへ適応したことと、その場の休憩で次の力が戻ることは、評価する時間の幅が違う。[1] たとえば計算問題の練習を続けて後日の問題に慣れたとしても、問題を解いている最中が休息だったことにはならない。それと同じ区別だ。

低強度区間への課題追加という設計は、休憩をどう捉えるかを考えさせる。「動きの負荷が低い区間」を、別の能力を練習する時間として使う選択はある。だが、それを選ぶなら目的も複合課題への対応になる。[1] 休憩を空白と呼ぶか、追加の練習と呼ぶか。言葉を変えるだけでも、その日に何を優先するのかが見えやすくなる。

この研究から、低強度区間に追加する方法が高強度区間に追加する方法より優れる、とまでは選べない。認知課題を加えた両群で適応が報告されているからだ。[1] 日常へ移すときも、難しいことを足すほど中級者らしい、という序列を作る必要はない。運動だけを行う日と、判断を伴う練習を行う日では、そもそもの目的が異なる。

訓練後の筋の活性化については、訓練前に継続できなくなった時点に対応させて比べている。その時点での変化は、低強度区間に認知課題を加えた群で4.5±3.6%、高強度区間に加えた群で5.0±3.7%、自転車だけの群で0.9±4.0%だった。[1] ここで比べているのは、その瞬間の脚の休まり具合そのものではなく、訓練を経て複合テストに対応する筋の活性化だ。数字の横に測定の場面を置くと、「回復が何%速まった」という別の話への取り違えを防げる。

数字で読む頭の負担とHIIT

40人:認知課題を低強度または高強度区間へ組み込む訓練を調べた成人の人数だ。[1]

4週間・週2回:複合課題の訓練を続けた期間と頻度であり、休憩の推奨量ではない。[1]

17人:反復スプリントと注意の応答速度を別々に評価した男性プロ選手の人数だ。[4]

30分:その試験で、走る前にストループ課題を続けた時間だ。[4]

18人:精神的疲労と方向転換を伴う走りの関係を調べた男性アマチュア選手の人数だ。[6]

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宮川涼 Founder

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