有酸素運動の自転車は上で踏み止まる?ペダル一周の力の抜け方を読む練習

自転車のペダルが上を通るとき、力が抜ける感覚は直すべきなのか。競技者と自転車に慣れていない人の研究から、回転数、脚の負担、エネルギー効率の違いを読む。室内の器具と屋外の条件を分け、強く踏み続ける前に確かめたい設定と、研究の数字を自分へ当てはめる際の注意点を考える。

ペダルがいちばん上に来ると、足だけが一瞬待っている。室内の自転車で、そんな感覚を覚えることがある。下へ踏む間は力が入るのに、上を越える瞬間は頼りない。画面の回転数が安定していても、脚の中では均等に回っていない気がする。

その感覚だけで、こぎ方が失敗しているとは決められない。競技者を調べた研究では、一周のどこで力を生むかとエネルギー効率に関連があった。一方、回転数を変えると力の配分も変わり、自転車に慣れていない人が選ぶ速さは、最も省エネな速さとは一致しなかった。滑らかさ、脚の楽さ、省エネは同じ採点欄ではない。[3][5]

既存記事「有酸素運動の自転車は惰性でも回せる?固定ペダルと脚が担う仕事の違いを読む」には器具の仕組みと脚の仕事の分担を譲る。ここで考えるのは、回っているペダルの上と下で力がどう切り替わるか、そして「上で止まる感じ」を何と比べればよいかである。また、足裏とペダルの接点の問いは「有酸素運動の自転車は足のどこで踏む?ペダルの位置とふくらはぎの負担を読む」に譲り、ここでは一周の中の力の切り替わりを扱う。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

上で抜ける感覚と、一周の力の配分を分ける

ペダルを支える回転する腕をクランクと呼ぶ。クランクが上を向く位置が上死点、下を向く位置が下死点である。研究では、上を通る区間、踏み下ろす区間、下を通る区間、引き上げる区間に分け、どこで回転に役立つ力を出しているかを調べている。トルクは、ここではクランクを回そうとする力の働きであり、トルクの波形はその働きが一周の中でどう変わるかを示す。[11]

活動的な男性14人を対象にした最大努力の測定では、踏み下ろす区間の最大パワーは一周全体の最大パワーの73.6±2.6%、引き上げる区間は10.3±1.8%に相当した。これは最大努力の検査で得た値であり、普段の有酸素運動で守るべき配分ではない。18〜39歳の女性の軽い有酸素運動へ、この男性の最大努力時の割合をそのまま当てはめることはできない。[11]

一周の中に強いところと弱いところがあることと、ペダルが実際に停止することは別である。この研究が測ったのは、角度ごとの力とパワーである。足裏に一瞬の軽さを感じたからといって、その感覚を研究の波形や効率の値へ直接置き換えることはできない。体感を入り口にしても、結論まで体感だけで進まない読み方が必要になる。[11]

また、足でペダルを強く押した感覚と、回転を生む方向に力が働いたかどうかも分けたい。研究で用いられる力の有効性は、ペダルに加えた全体の力に対し、回転に有効な力がどれだけあるかという比である。力んだ量と、回転に役立つ力は分けて考える。この比も回転数によって変わり、最大努力の測定では、とくに下を通る区間と引き上げる区間で回転数の上昇に伴って低下した。[11]

日常の運動へ戻すなら、「上で弱く感じる」という観察のあとに、「回転数を上げた日か」「負荷を変えた日か」を添えるほうが役に立つ。弱い区間を見つけることだけでは、いつも同じこぎ方を比較したことにならない。力の配分そのものが条件に応じて動くからである。[3][11]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

滑らかに回せば、省エネになるのか

競技自転車選手21人を調べた研究では、最大酸素摂取量のおよそ80%の強度で10分間こぎ、呼吸から求めるエネルギー消費と、推進に関わる力を測定した。平均出力は279 W、自由に選んだ回転数の平均は毎分93.1回転、総効率の平均は21.7%だった。総効率とは、使ったエネルギーのうち外への仕事になった割合として読む数値である。平均279 Wは競技者が高い強度でこいだ条件であり、一般のフィットネスで無理なく続ける運動とは隔たりがある。18〜39歳の女性の日常の運動に、この効率や力の配分の関係をそのまま当てはめることはできない。[5]

研究では、上と下を通る部分の出力分布を捉える「死点の大きさ」という指標と総効率の相関がr=0.75、従来の力の有効性の比と総効率の相関がr=0.50だった。死点の指標と力の有効性の比は、互いには相関しなかった。似たように聞こえる技術の指標でも、同じ特徴を測ってはいなかったのである。[5]

この研究は、一周を通して出力を均等に生むことが省エネに関係する可能性を示している。ただし、選手間の関連を調べた測定から、「初心者が上で強く引けば総効率が上がる」とは進めない。関連が見つかったことと、ある掛け声でこぎ方を変えた結果、効率が改善したことは異なる。[5]

省エネという言葉の目的も確認したい。研究で総効率が高いとは、同じ外への仕事に対して必要なエネルギーが少ない方向を指す。汗の量や脚の疲労感を増やすこととは別の評価である。競技者にとってのエネルギー節約を読んで、そのまま「有酸素運動の効果が大きい順位」と受け取ると、測っているものが入れ替わってしまう。[3][5]

自転車の画面は回転数を見せてくれるが、総効率や角度ごとの力を知るには別の測定が必要になる。少なくとも研究では、総効率には呼吸の測定を、技術の指標には力の記録を用いていた。数字が滑らかに表示されることと、研究で測る効率が高いことを同義にしない。この区別が、上での軽さを必要以上に気にしないための足場となる。[5]

楽に選んだ回転数は、最も省エネな速さと違う

自転車競技を行っていない18人の実験では、最大出力の40%、50%、60%でこぎ、指定された回転数と自由に選ぶ回転数を比べた。自由に選んだ速さは、どの負荷でもおよそ毎分80回転だった。一方、実験で最も経済的だった速さは毎分50回転であり、両者には差があった。対象は非競技者だが、この結果だけで18〜39歳の女性に最適な回転数を決めることはできない。[3]

最大出力の60%では、脚などに感じる局所的なきつさが最小だったのは毎分80回転で、自由に選ぶ速さと一致した。回転数が上がると最大トルクと平均トルクは下がり、出力を上げると両者は増えた。参加者はエネルギー消費を最小にすることより、筋肉の負担や機械的な負荷を小さくする条件に近い速さを選んでいたと考えられる。[3]

同じ実験では、毎分80回転のときの上と下の死点は、毎分50回転のときより一周の後ろ側へずれていた。上で力が抜ける位置が違って感じられるとき、まず回転数という比較条件を見直す理由がここにある。変化をすべて「技術が上達した」「下手になった」に振り分ける必要はない。[3]

立川駅から帰り、座って運動できると思って自転車に乗ったのに、ゆっくり回すほど脚の押す仕事が気になる。そんな場面では、遅いから楽、速いからきついという並べ方だけでは足りない。この実験は、少なくとも同じ出力条件の中で、回転数と脚が担う力の関係を考える材料になる。毎分80回転を全員への推奨値にするための数字ではない。[3]

屋外の男性選手7人を対象にした比較でも、トルクの波形は回転数によって大きく変わり、地形による影響は比較的小さかった。坂道の毎分60回転では、平地の毎分100回転より最大トルクが42%大きかった。ただし、この比較では坂と回転数の両方が違う。42%を「坂だけが増やす負担」として引用してはいけない。男性選手の最大有酸素パワーでの結果なので、18〜39歳の女性の普段の運動へ増加率をそのまま当てはめることはできない。[13]

坂道の研究で、平地と同じ毎分80回転にそろえた比較では、クランク角度45度でのトルクが坂道で26%高い傾向だったが、統計的にはp<0.06という結果だった。「坂で確実に26%増える」という断定とは区別する必要がある。条件をそろえた比較でも、差の確かさまで読んで初めて数字の意味が定まる。[13]

自分の記録でも、前回は軽い負荷で速く、今回は重い負荷でゆっくり、という組み合わせなら、上での感覚だけを技術の変化として比べにくい。出力と回転数によってトルクが変わる実験結果を踏まえれば、比較する条件を先にそろえるという順番になる。乗り始めた直後の感想と、設定を変えたあとの感想も、ひと続きの評価にしないほうが整理しやすい。[3][13]

また、非競技者の実験で最も経済的だった回転数は、実験で比べた条件の中での結果である。体力や目的の違う人まで含めた、普遍的な最適値を決めた数字ではない。毎分50回転という値だけを切り取って「これが正しい速さ」とするより、自由に選ぶ速さとのずれを知るために使いたい。体が選ぶ楽さには、呼吸から測る省エネとは別の理由がある。[3]

数字で読むペダル一周と回転数

21人の競技者:死点の指標と総効率の相関はr=0.75。技術を変える介入の効果量ではない。[5]

18人の非競技者:自由に選ぶ速さはおよそ毎分80回転。実験で最も経済的だったのは毎分50回転だった。[3]

14人の活動的な男性:最大努力の測定で、踏み下ろす区間の最大パワーは全体の73.6±2.6%に相当した。[11]

6週間・18回の介入:高回転群では自由に選ぶ速さが毎分92回転から101回転へ変化した。[2]

11人の経験者:150 Wと250 Wで測定。上死点付近と引き上げる区間には、踏み下ろす区間より力の配分の個人差があった。[14]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約