
骨盤と体幹を変えると、筋肉の分担も変わる
お尻そのものの筋活動を測った研究もある。ピラティス経験者19人を対象とした反復測定の研究では、四つ這いで行うニー・ストレッチの姿勢を変えて筋活動を比較した。平均年齢は31歳である。骨盤を後ろへ傾けて体幹を曲げる姿勢、骨盤を前へ傾けて体幹を伸ばす姿勢、骨盤を中間に保って体幹を傾ける姿勢などを調べた。ピラティス経験者の特定動作の結果なので、18〜39歳の女性全般の立位筋トレに当てはめるには、経験と種目の違いを分けて考える必要がある。[15]
骨盤を後ろへ傾け、体幹を曲げた姿勢では、大臀筋と外腹斜筋の活動が有意に増加した。大臀筋はお尻の大きな筋肉、外腹斜筋は腹部の外側にある筋肉である。一方、骨盤を前へ傾けて体幹を伸ばした姿勢では、背骨の近くにある多裂筋の活動が有意に増加した。骨盤が中間の条件では、全体に筋活動が低かった。[15]
ただし、腹直筋の活動は姿勢を変えても同様だった。筋肉ごとの反応は異なる。同じ種目の中でも姿勢によって活動の配分が変わるのであり、「前へ倒すほど全部をよく鍛えられる」という読み方は、この結果には合わない。[15]
この研究には、立位の脚上げを考えるうえで役立つ点と、持ち込めない点がある。役立つのは、体幹だけでなく骨盤も合わせて観察する視点だ。持ち込めないのは、四つ這いで筋活動が高かった姿勢を、そのまま立位の最適姿勢にすることだ。測定されたのはピラティスの特定動作中の電気的な活動であり、手で台を支えた脚上げの角度ではない。[15]
筋活動の増加を、お尻の輪郭の変化と同じ意味にするのも早い。この研究の結果は、姿勢ごとの動作中の分担を示している。ヒップアップという検索語が含む見た目の目標と、研究が実際に測った指標の間には距離がある。研究に忠実に言うなら「この姿勢で大臀筋の活動が高かった」までである。[15]
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姿勢の変化と、力の変化を分けて読む
体幹を起こせば股関節の負担が減るはずだ、という予想も研究ではそのまま通らなかった。身体活動量の高い高齢者12人と若年者13人を調べた歩行実験では、高齢者が普段の歩幅で歩く条件に加え、若年者に合わせた歩幅や、上体を起こす条件を試した。歩行速度は毎秒1.3メートルだった。主に高齢者の姿勢変更を調べた結果であり、18〜39歳の女性が行う脚上げの反応を直接示すものではない。[9]
研究者は、上体を起こすことで股関節を伸ばす方向のモーメントが減ると予想していた。しかし、指定された条件でも、高齢者の股関節の力学的な指標が小さくなったり、足首側の指標が大きくなったりする結果は得られなかった。少なくとも、この活動的な高齢者の歩行では、歩幅と体幹の位置だけが年齢による違いの主な説明にはならなかった。[9]
自然に前傾して歩く男性を比べた研究と、姿勢を変えるよう指示した高齢者の研究は、表面的には違う答えに見える。だが、前者はもともとの歩行パターンの比較、後者は条件を変えたときの反応で、対象も異なる。両方を合わせると、自然な姿勢と力の関連を調べる問いと、姿勢を変えた効果を調べる問いを区別する必要がある。[9][12]
動作の見た目と力の変化を分ける例もある。健康な成人32人を運動群と対照群へ無作為に割り付けた研究では、自己運動プログラムの直後に、運動群で歩行中の股関節伸展が増え、体幹がより直立した。一方で、床から受ける力や関節の角速度には有意な変化がなかった。角度の変化と、力の増加は別の結果である。健康な成人の結果を18〜39歳の女性の立位筋トレへ移す際にも、直後の歩行の変化という測定範囲を守る必要がある。[3]
この試験は直後の歩行を見たものである。立位の筋トレを続けた結果でも、体形の変化を追った結果でもない。それでも、家で撮った動画の読み方には役立つ。「前より脚が後ろへ出た」という観察と「お尻が強くなった」という評価は分けて残すべきだ。前者は位置の変化、後者は別に確かめる必要がある主張である。[3]
練習のメモなら「台に手を添えた」「上体を起こした」「動かす脚を横から確認した」と、行ったことを先に書くほうがよい。効いた感じだけで姿勢の優劣を決めると、角度、力、筋活動が混ざる。これらを別々に測った研究に倣い、記録でも観察と評価を分ける。これは自宅で実験の数値を再現するためではなく、自分が何を比較したのかを見失わないための工夫である。[3][4][15]

よくある誤解
「立ったままなら、とにかく前傾すればお尻への負荷が増す」という理解は広すぎる。歩行では前傾と股関節伸展モーメントの関係が見られたが、ブルガリアンスクワットの狭い構えでは、体幹を起こすほど後脚由来の抵抗が増した。別の動作を同じ傾きのルールで説明することはできない。前傾が正解かを聞く前に、動作名と脚の役割を確かめる必要がある。[4][12]
「筋活動が高い姿勢なら、続ければ必ずヒップアップする」という飛躍にも注意したい。ピラティスの研究が比較したのは動作中の筋活動である。大臀筋の活動が増えたという結果を、そのまま見た目の変化の量や速さに換算できない。数字があることと、自分の知りたい効果の数字があることは別だ。[15]
「脚が後ろへよく動くようになれば、より大きな力を出した証拠だ」という見方も一致しない。運動直後に股関節の角度が変わった試験で、床から受ける力や関節の角速度は変わらなかった。映像で分かる可動範囲の変化は、それ自体として扱いたい。変化を小さく評価する必要はないが、測っていない能力の証明にはしない。[3]
また、上体を起こすことが常に楽な条件だとも決められない。活動的な高齢者の歩行では、直立の指示で期待された股関節の指標の低下は得られなかった。起こすか傾けるかという見た目だけでなく、その人が行っている動作全体と合わせて考える姿勢が必要である。[9]
今日からできること
- 姿勢の見本を選ぶときは、体幹だけでなく、床を踏む脚と動かす脚を言葉にする。男性9人のスクワット実験が測ったのは主に前脚の股関節への抵抗であり、浮かせる脚の筋活動と区別する。[4]
- 台に手を添える位置と床を踏む足の位置を決め、横から上体を起こした姿勢を確認する。次に、手と足の位置を保って上体を少し傾け、胸だけでなく骨盤がどう動いたかをメモする。19人のピラティス研究で骨盤と体幹の条件を分けた点を、家庭での観察に応用する提案である。[15]
- 動作を見る際は、胸、骨盤、膝、足首の動きを分けて確認する。男性6人の立位体幹伸展実験では、複数の関節が連動して姿勢を保った。脚の高さだけに注目せず、体のどこが動いたかを記録する。[16]
- 練習後のメモでは、動きの変化と力の評価を別にする。成人32人の試験は、角度が変わっても力の指標が変わらない例である。「動かしやすかった」を「筋力が増えた」に書き換えずに残す。[3]
- 見本を見返すときは、上体を起こす場面と傾ける場面で、足の接地場所と手の支えがどう違うかを書き出す。男性9人のスクワット実験でも、構えによって後脚由来の抵抗が違った。自分のメモに接地条件を添えると、次の練習で比べた姿勢を思い出せる。[4]
ここで挙げたのは、研究の比較条件を日常の観察へ移すための確認項目である。立位の脚上げで何度傾ければよいかという推奨値は、歩行や四つ這いの研究からは決められない。まず同じ支え方で起こした姿勢と傾けた姿勢を見比べ、胸、骨盤、脚のどこが変わったかを残す。これは効果を保証する運動処方ではなく、姿勢を説明できるようにする工夫だ。[9][15]

オンザショアで、姿勢の確認を続ける時間を持つ
上体の角度を気にした日の練習を、次の予定につなげる場所として考えたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、年中無休である。仕事帰りと休日で通う時間が違っても、自分の生活の中に運動の時間を置くための情報になる。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。ほかに女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもある。ヨガを選ぶ日だけでなく、ほかの種目を選ぶ日の予定も含めて考えられる。種目は店のトップで確認できる。通い方を考えるときには、料金も合わせて見たい。
参加条件も予定に含めて確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスン、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約から、時間と種目を確かめて予定を選べる。
参考文献
[3] Asymmetrical spatiotemporal adjustment between the limbs after self-mobilization exercise program — Shibata D, Yoshida Y., 2026, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.38.369
[4] Rear Leg-derived Moment Contributes to Resistance Against Hip Extension in Bulgarian Split Squats — Arakawa H, Nakashima H, Li X, Tanimoto M., 2025, International journal of exercise science. DOI: 10.70252/nexq5666
[7] A two-stage disto-proximal braking modality to interrupt gait initiation in healthy adults — Toumi A, Simoneau-Buessinger É, Gillet C, Barbier F, Allard P, Leteneur S., 2022, Journal of biomechanics. DOI: 10.1016/j.jbiomech.2022.111309
[9] Effects of Self-Selected Step Length and Trunk Position on Joint Kinetics in Highly Physically Fit Older Adults — Krupenevich RL, Miller RH., 2020, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2019-0092
[12] Effect of trunk inclination on lower limb joint and lumbar moments in able men during the stance phase of gait — Leteneur S, Gillet C, Sadeghi H, Allard P, Barbier F., 2009, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2008.10.005
[15] Muscle activation during four Pilates core stability exercises in quadruped position — Queiroz BC, Cagliari MF, Amorim CF, Sacco IC., 2010, Archives of physical medicine and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.apmr.2009.09.016
[16] Co-ordination of a simple voluntary multi-joint movement with postural demands: trunk extension in standing man — Oddsson L., 1988, Acta physiologica Scandinavica. DOI: 10.1111/j.1748-1716.1988.tb08466.x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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