食事中の水はダイエットの腹持ちを変える?汁物との違いを食後の時間で読む

食事中に水を飲むと満腹感は続くのか。飲み水を追加した試験と、食材と水を混ぜてスープにした試験を比べ、食直後の胃の張り、食後の空腹、次の食事量を分けて読む。汁物なら必ず腹持ちがよいという思い込みや、胃に長く残れば痩せるという飛躍を避け、普段の食卓で確かめる視点を示す。

夕食の鶏肉と野菜を皿に盛り、水のコップを横に置く。食べ終わった直後はお腹がいっぱいなのに、片付けが済む頃には違う感じがする。「水を先に飲めばよかったのか」「同じ水分ならスープのほうが続くのか」。知りたいのは、コップの置き場所より、その後の腹持ちである。

水を追加すると食後の満腹感が強まった小規模試験はある。ただし、多く飲んだ条件と少なく飲んだ条件の胃内容量の差は、時間とともに縮まっていた。食材と水を混ぜたスープでは、別々に食べて飲む場合より胃内容量がゆっくり減り、空腹が弱まった試験もある。食直後の張りと、その後の持続は分けて考えたい。[15][10]

既存記事「ダイエット停滞期の食事は水分で変わる?口の滑りと満腹感の間を研究で読む」の口の中の論点や、「食前のスープと水で食事量は減るか 一杯を足す前に知りたい満腹感と総量の科学」の食前の追加はそちらに譲る。ここでは、食事に伴う水分を食後の時間軸に沿って読み、満腹になった実感から何を判断できるかを考える。

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水を足した直後と、しばらく後は同じではない

飲み水による胃の膨らみを調べたランダム化クロスオーバー試験がある。クロスオーバーとは、同じ参加者が別の日に異なる条件を経験して比べる方法である。健康な若い男性19人が、150mLで500kcalの液体食を摂り、その後に50mLまたは350mLの水を飲んだ。胃の中を画像で測るとともに、空腹感や満腹感を評価した試験だ。男性を対象とした結果なので、18〜39歳の女性で同じ満腹感が得られるかは別に確かめる必要がある。[15]

水が多い条件では、少ない条件より胃内容量が大きく、空腹の低下と満腹感の上昇も大きかった。追加した水は、食後の実感にも影響していた。しかし、この試験で大切なのは「多いほうが満腹だった」という結末だけではない。胃の中にどれほど差が残っていたかを、経過時間とセットで見る必要がある。[15]

胃内容量の条件間の差は、摂取後に292±37mL、15分後に182±83mL、35分後には62±57mLだった。どの測定時点でも多量の水の条件が上回ったが、差の大きさは一定ではなかった。食べ終わった時のコップの差を、そのまま夕方まで持ち越せる差と読むのは飛躍だ。[15]

ここで測ったのは、液体食の後に水を追加した場合である。普段の定食の途中で少しずつ飲む場合や、食前に飲む場合を直接比べた結果ではない。したがって「食前、食中、食後のうち、この順番が最もよい」という順位には使えない。順番の助言に見える話でも、試験の条件に戻ると答えている問いが狭いことがある。[15]

また、胃の画像と同時に脳の血流も測っているが、水の量による脳の活動の有意差はなかった。満腹感の評価と脳血流値の間にも有意な相関は認められなかった。胃が大きく膨らむこと、本人がお腹いっぱいと答えること、脳の測定値が変わることは、ひと続きに決まる同じ指標ではない。[15]

この研究を食卓に持ち帰るなら、「追加した水で直後の感覚は変わり得る。ただし、その差は時間を追って見る」が妥当な読み方だ。350mLは試験条件であって、誰にでも課す飲水量ではない。コップを空にする競技にせず、食事の内容と飲んだ後の感覚を一緒に振り返るための材料にしたい。[15]

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同じ材料でも、スープにすると胃での動きが違った

水を別に飲む場合と、料理の中に混ぜる場合を比べた試験では、鶏肉と野菜にコップの水を添えた食事と、それらを混ぜてスープにした食事を用いている。食事のエネルギーは1008kJだった。健康な人を対象とした別々のクロスオーバー試験で、22人には食後の感覚を、18人には胃などの画像を調べ、いずれも3時間追った。[10]

スープの条件では空腹感が弱く、胃内容量の減少もゆっくりだった。料理の材料を替えたり、別のおかずを追加したりする比較ではなく、食材と水のまとまり方を変えた比較である。「水分を含む」という共通点だけでは、別に飲む水とスープを同じものとして扱えないことが分かる。[10]

背景には、胃の中で固形物と液体が分かれ、液体のほうが先に出ていく「ふるい分け」がある。この研究では、固形物と水を混ぜることでその分離を抑え、胃の体積が早く減ることを防げるかを検討した。結果は、スープの条件で胃内容量がゆっくり減るという仮説を支持していた。胃排出とは、胃の中身が先へ送り出されることだ。[10]

ただし、この比較を味噌汁と白いご飯にそのまま当てはめることはできない。試験のスープは、比較する食事の食材と水を混ぜたものである。普段の食卓で汁物を添える行為とは、食事全体の構成が違う。具を食べ、汁を飲み、別の皿の主菜も食べる場面では、研究と同じ比較を再現したことにはならない。[10]

この違いは、スープという名前の優劣を決めないために大切である。水分が多い料理を選んだという情報だけでなく、その水分が食材と一体になっているか、主食や主菜とは別なのかを見る。家で献立を考える際も、献立名だけを記録するより、食べた組み合わせを言葉にするほうが、この試験との距離を把握しやすい。

同じ食材を使った比較だからこそ、満腹感の違いを材料の追加だけでは説明できない。一方で、この試験の結果から、食材が違う料理の腹持ちは個別に検証する必要がある。確かめられた範囲は、その食事、その参加者、その食後の時間における空腹感と胃の動きである。[10]

なめらかな汁物なら、何でも長持ちするのか

固形の食事、具のあるスープ、なめらかなスープを比べた、12人のボランティアを対象とする試験もある。参加者は別々の機会にそれぞれの食事を摂り、胃排出、満腹感、血糖の反応を測った。胃排出の時間はなめらかなスープで最も長く、固形食で最も短かった。満腹感も、なめらかなスープが固形食を上回った。[14]

ただし、満腹感と血糖の反応は別の動きを示した。血糖反応を時間全体で集計した値は、なめらかなスープが最大で、具のあるスープ、固形食の順だった。胃からゆっくり出る、満腹になる、血糖が穏やかになるという期待を、全部ひとまとめにはできない結果である。[14]

反対方向に見える結果は、りんごの加工形態を比べたランダム化クロスオーバー試験にもある。健康な成人18人が、同じ178kcalの丸ごとのりんご、ピューレ、ジュースを摂った。胃内容物が半分になる時間は、丸ごとで平均65分、ピューレで41分、ジュースで38分だった。丸ごとのりんごのほうが胃から出るのが遅かったのである。[5]

満腹感と腹が満たされた感覚を食後の測定時間全体で比べても、丸ごとのりんごがジュースを上回った。ピューレとジュースの間には差がなかった。ここから「スープの試験は間違い」とはならない。鶏肉や野菜と水を混ぜた食事と、りんごを加工した比較では、変えた条件が異なる。液体か固体かという名前だけで統一した法則を作らないことだ。[5][10]

夕食の献立と果物の間食は、食べる場面も材料も違う。「飲める形にすれば腹持ちがよい」と覚えると、スープの結果だけを別の食品へ移すことになる。逆に「噛める形が必ず有利」と覚えれば、スープの結果を置き去りにする。形の効果を語る時は、何を何に変えた比較かまで言葉を添えたい。[5][14]

りんごの試験でいう65分は、満腹感が消える時刻ではない。胃内容物が半分になる時間であり、参加者がその瞬間に食べたくなったという意味ではない。また、食後全体を集計した満腹感の差は、すべての時刻で同じ差が続くこととも異なる。時間の数字には、何の変化を区切った値なのかを添えて読む必要がある。[5]

水の試験の35分と、スープの試験の3時間も、そのまま腹持ちの長短を競わせる数字ではない。測った食事と測定項目が違うからだ。水の差が縮まったことは確認できても、それだけでスープなら何倍長く続くという計算はできない。異なる試験を並べる時ほど、時計の針だけを比較しないようにしたい。[15][10]

数字で読む食後の水分と腹持ち

19人の健康な若い男性:液体食の後の水50mLと350mLを比べた試験の対象である。[15]

292mLから62mLへ:多量と少量の水による胃内容量の平均差は、摂取後から35分後に縮まった。[15]

3時間:食材と水を別に摂る食事と、混ぜたスープを比べた試験の観察時間である。[10]

65分と38分:同じ178kcalの丸ごとのりんごとジュースで、胃内容物が半分になる平均時間だった。[5]

23人:粘りの異なる大麦成分入りスープなどを比較し、空腹感や食事量に有意差がなかった試験の対象である。[12]

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宮川涼 Founder

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