ダイエットで肌荒れ、脂質を減らす前に確認したい体重と肌の評価の違い

ダイエット中に肌荒れやニキビが気になっても、体重の減少や血液中の脂質の改善から、皮脂や肌を守る働きまでは判断できない。食事制限の研究で何を測っているかを読み解き、脂質をさらに減らす前に整理したい食事の変更点と肌の記録、医師に相談する際の伝え方を考える。

昼食のドレッシングを外す前に、今朝の頬を思い出す。体重計の数字は下がっていても、鏡の前の困りごとは残っている。肌のためにもう少し食事を削ろうとしているなら、食事を変更する前に問いを置き直したい。体重の変化と肌の変化を、同じ成績表に載せてよいのだろうか。

減量研究で体重が減ったという結果を、肌荒れがよくなる証拠へ読み替えることはできない。たとえば乾癬という皮膚の病気がある成人の研究でも、食事介入による体重の変化と、皮膚症状の評価は別々に検討され、同じ確かさの結果にはなっていない。[18] 乾癬のある成人の結果を、18〜39歳の女性の一般的な肌荒れにそのまま当てはめることはできない。脂質を減らすべきか増やすべきかを、体重計だけで決めるのは早い。

既存記事「【連載】見た目と運動の科学 第2回|運動と皮膚——血流・バリア機能・皮脂」には運動と皮膚の話を譲る。ここでは、食事を変えた日の肌荒れを考える際に、体重、血液中の脂質、皮膚の状態をどう読み分けるかに絞る。ニキビの食材探しより先に、何の変化を確かめたいのかを定める読み物である。

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肌のための脂質調整を、減量の数字だけで決めない

検索窓には「ダイエット 肌荒れ」と入れたのに、出てくる答えは「脂質を控える」だったり「脂質を補う」だったりする。この食い違いを、どちらかの断言で片づける必要はない。まず、食べる脂質の話なのか、血液検査の脂質の話なのか、顔の皮脂の話なのかを確認したい。同じ文字が入っているだけで、測っているものはそれぞれ異なる。

過体重または肥満の女性を対象にした食事研究の二次解析では、血液中の脂質の改善にも個人差があった。複数の無作為化比較試験、つまり介入先を無作為に割り付ける試験から集めた女性284人のデータを使い、食事開始から12週までの変化を調べている。総コレステロールなどを組み合わせた複数の指標がすべて改善した人は、全体の30〜35%だった。[11]

ここでいう「脂質の改善」は血液検査に基づく判定である。顔のべたつきの減少率として読んだり、肌を守る働きの改善率として使ったりする数字ではない。もともとの中性脂肪、体格、年齢、食事の型などが改善の予測に関係したという結果も、血液中の指標をめぐるものだ。[11] 脂質という単語を見つけたら、その直後に何を測った数字なのかまで読む必要がある。

研究で皮脂の量を確かめる問いと、肌を守る脂質の役割を確かめる問いも区別しておきたい。「油っぽく感じる」「つっぱる」「赤いところがある」を全部ひとまとめにして、食事の油が多いと判定しないためである。これは自宅で病名を決める作業ではない。自分が困っている現象を、曖昧な「脂質」の一言に押し込めないための整理だ。

たとえば、夕方には額が気になる一方、洗顔後には頬が気になるという日があるとする。記録するなら、そのまま書けばよい。額と頬、朝と夕方をまとめて「肌が悪い」とすると、後で食事を振り返っても、何が変わったのか説明しにくい。観察の言葉を細かくすることと、専門的な診断を自分ですることは別の作業である。

食事を相談するときは、減らしたものと、残しているものを同じ紙に並べると整理しやすい。主菜の種類を替えた話と、食事の機会そのものを失った話では、相談したい内容が違う。「健康的にした」という自己評価だけでは、相手に献立が伝わらない。買い物の品目や普段の皿を言葉にする方が、評価の言葉より具体的である。

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体重が減る方法の比較は、肌の順位表にならない

減量方法を比較した大きな研究は、肌荒れの対策を選ぶときにも目を引く。成人の過体重、肥満、代謝異常を扱った167試験、計11,998人のネットワークメタ分析では、食べる時間を区切る方法と毎日エネルギーを制限する方法の効果を比較している。ネットワークメタ分析は、複数の介入を研究群のつながりから比較する方法だ。体重減少の効果は、主にエネルギー制限の程度に依存するという結論だった。[2] 対象に過体重などの条件があるため、18〜39歳の女性全般へ同じ食事制限を勧める根拠にはならない。

この結果を読んで、「よく減る方法ほど肌にもよい」と順位を移すことはできない。研究の問いは、過体重などがある成人の体重や代謝の変化である。[2] 肌荒れを検索した人が必要とするのは、減量方法の強さ比べに勝つことではない。今の食事変更が自分の困りごとにどう関わっているかを考える材料である。

しかも、平均の結果には対象の条件がついている。過体重や肥満のある成人を調べた結果を、体重を減らす必要があるか分からない人へ、そのまま勧める理由にはできない。[2] 検索結果の数字が大きくても、自分の目標は別に考える必要がある。肌の相談を始めたはずが、いつの間にか食事制限の競争になっていたら、元の問いに戻りたい。

別のメタ分析は、食事制限の途中に休止期間を設ける方法と、継続する方法を比較した。過体重・肥満の人や筋力トレーニングを行う人を含む12件の無作為化試験、881人を統合した結果、体重や体脂肪などの改善に有意な群間差はなかった。一方、安静時代謝量の代償的な低下は、休止期間を設けた方法で小さかった。[12] 安静時代謝量とは、安静にしているときに消費するエネルギーの指標である。対象の体格やトレーニング状況が異なるため、18〜39歳の女性全般へそのまま当てはめるには条件を照らし合わせる必要がある。

体重の変化が似ていても、ほかの評価は同じとは限らないという具体例だ。[12] だからこそ肌の状態を、体重の減少幅の付属品にしない。体重が落ちていないから肌の訴えも気のせいだ、という読み方も避けたい。食事の相談には食事の経過を、肌の相談には肌の経過を持っていく。それぞれを別に言葉にできれば、どちらかを我慢して片方だけ成功扱いにする必要がなくなる。

脂質を変えた試験でも、何を評価したかが先にある

食品の脂肪含量を変えた試験も、読み方の練習になる。エネルギー制限中の参加者を対象にした無作為化の予備的試験では、脂肪含量が異なる山羊乳チーズを朝食に組み込み、食後の満腹感や体重などを比較した。チーズの脂肪含量を25.9%下げても、食後の満腹感の誘導や維持は変わらず、体重などの変化にも有意な群間差はなかった。[15] 対象はエネルギー制限中の参加者であり、18〜39歳の女性の肌を対象にした効果として受け取ることはできない。

この試験では、朝食に使うチーズは80gで、満腹感は朝食の前と30分後、120分後に評価している。[15] 食べた後の時間をそろえて尋ねた満腹感の結果であり、鏡で見た肌の状態とは測定の場面から違う。

この25.9%は、食事全体の脂質摂取量でも、皮脂が減った割合でもない。試験で使った食品の脂肪含量の差である。[15] 「脂肪を減らしても同じだった」という短い紹介文だけを読むと、何を同じと判定したのかが抜け落ちやすい。ここで同じだったと論じられているのは、食後の満腹感や体格の反応である。[15]

実生活では、この読み違いが買い物の場面に出る。食品の表示を見て脂質の少ない方を選んだ。その後に肌が気になった。そこからすぐ「少ない方を選んだせいだ」と結ぶと、選んだ食品と肌の変化の間を一気に飛び越えることになる。反対に、脂質が少ないから肌にも必ずよい、と決めるのも同じ飛躍だ。商品を選んだ事実と、その選択の効果という説明は分けておく。

女性の血液中の脂質を調べた先ほどの解析も、食事の型によって改善率が異なった。[11] これは誰にでも同じ食品を足せばよいという話ではない。自分の食事を見直す際には、「脂質を減らした」とだけ書かず、主菜を外したのか、調理法を変えたのか、食事そのものを抜いたのかまで書きたい。同じ表現でも、実際の献立はかなり違う。

紙の上で脂質という言葉を揃えても、皿の上は揃わない。朝食の食品を比較する試験と、複数の食事法を比べる解析では、介入の単位も評価の単位も異なる。[11][15] 「脂質はよいか悪いか」という大きすぎる問いより、何をどの場面で変え、どの結果を求めているのかという小さな問いにした方が、研究の数字を取り違えにくい。

比較相手にも目を向けたい。チーズの試験で比べたのは、エネルギー制限のある条件で脂肪含量が異なる食品を使う場合だった。[15] 普段の食事から朝食を丸ごと外す場合や、自己判断で特定の食品だけを食べ続ける場合と同じ比較にはならない。試験の選択肢を、日常で自分が考えた別の選択肢にすり替えないようにする。

血液中の脂質の解析は、もとの無作為化試験のデータを集め直した二次解析である。[11] 食事を試す研究の中から、さらに別の問いを検討したという位置づけだ。食事法と結果の関係を読むときには、論文の肩書きだけで判断せず、何を比べるための分析なのかまで確認したい。女性を対象にしているというだけで、女性の肌の悩み全般への答えにはならない。

昼食の前にこの記事を読んでいるなら、脂質を減らすかどうかの結論を、今ここで出す必要はない。「昨日より少なくする」以外にも、昨日から何を変えたかを確かめる作業がある。食事を変えるたびに肌を採点して次の制限を足すより、まず現在の献立を説明できるようにしておきたい。

数字で読む食事変更と評価の違い

167試験、11,998人:体重減少と代謝を比較した分析の規模であり、肌の改善人数ではない。[2]

284人:血液中の脂質の反応を解析した過体重・肥満の女性の人数である。[11]

30〜35%:血液中の複数の脂質指標がすべて改善した参加者の割合である。[11]

25.9%:朝食に使ったチーズの脂肪含量の減少幅であり、食事全体の減少幅ではない。[15]

9試験、1,066人:乾癬と過体重または肥満のある成人を扱った分析の規模である。[18]

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宮川涼 Founder

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