
聞く言葉と、測る身体の音も区別したい
音に関する研究でも、何の音を扱っているかで意味が変わる。健康な大学生40人を対象にした無作為化クロスオーバー試験では、肯定的な声かけ、否定的な声かけ、無言の条件を、同じ参加者が別の機会に経験した。男女は20人ずつで、課題は30秒間の最大努力のスクワットだった。負荷には、動かした器具の慣性を利用する方式が使われた。対象はスポーツ科学部の学生であり、18〜39歳の一般女性がヨガで受ける声かけに同じ結果が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[2]
声かけは60〜70 dBにそろえ、開始時と、その後5秒ごとに行われた。肯定的、否定的の両条件とも、無言の条件より最大の力と平均の力が有意に大きかった。また、否定的な声かけには、感じるきつさが増すという負担も伴い得ると研究は指摘している。ここで比較した中心は、音量の大小ではなく、声かけの有無や内容だった。[2]
この結果を「大きな声で厳しく言われるほど、よい指導だ」と読むのは飛躍である。音の強さをそろえた研究である以上、音量を増やした効果とは言えない。課題も短時間の最大筋力発揮であり、説明を聞きながら姿勢を選ぶヨガとは異なる。出力を引き出す声かけと、動き方を伝える説明は、目的を分けて考えたい。[2]
体験の感想も「先生の声がよかった」だけでは、次に選ぶ材料が少ない。励まされて動こうと思ったのか、足を置く位置が分かったのか、やめる選択を伝えられたのか。自分が助かった場面を具体的に言葉にするとよい。声が強かったという印象の中に、説明の内容を埋めてしまわずに済む。
一方、身体から出る音を測った研究もある。健康な成人24人、うち女性18人、平均年齢31.0歳を対象に、自転車運動で、気管付近の呼吸音を装着型センサーで記録し、呼気ガスによる検査と照らし合わせた研究である。運動中の身体の変化を音響情報から推定する試みだ。女性を多く含むが、18〜39歳の女性全体で同じ精度になるかは、この少人数の結果だけでは判断できない。[3]
音の強さを用いた方法では、換気性の無酸素性作業閾値、つまり運動中の換気の変化から捉える負荷の節目を、参加者の96%で検出した。ただし、最大酸素摂取量の推定は、同じ人の情報を使うモデルより、別の人へ適用する検証のほうでばらつきが広かった。身体の音からの推定にも、対象に応じた検証が必要なのである。[3]
この研究を、息が大きく聞こえればよく運動できている、という自己判定に使ってはいけない。センサーで測り、検査と比較して成立した結果であって、耳で聞いた印象を評価したものではない。音楽の大きさ、声かけの内容、呼吸の測定。どれも音だが、それぞれ違う問いに答えている。[1][2][3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
耳鳴りの報告を「よく頑張った証拠」にしない
集団クラスの比較研究で、参加後の耳鳴りを経験したことがあると答えたのは28人、14.8%だった。一方、クラス中に常に聴覚保護を使うと答えたのは4人、2.1%だった。これは参加者が答えた経験と行動の割合であり、今回の低減条件で耳鳴りがどれだけ減ったかを示す数字ではない。[1]
この区別を飛ばすと、「音量を下げれば耳鳴りがこの割合だけ減る」という、研究が測ったものとは違う話になる。また、経験の自己申告を、聴力検査で確認された障害の人数に置き換えることもできない。それでも、参加後の耳の感覚を運動の達成感と一緒に片づけず、別の項目として扱う理由にはなる。[1]
音量が控えめなクラスを希望するとき、運動への意欲まで長く弁明する必要はない。研究では音量を下げても主観的なきつさの大きな低下はなく、自転車実験でも音量増加による成績の上積みは確認されていない。音の希望と運動への意欲を、同じ物差しに載せなくてよいのである。[1][6]
気になる耳の症状がある場合、個別の判断は医師に相談したい。受付や講師への相談では、診断名を自分で付けるより、「説明の途中で言葉を聞き逃した」「終了後も耳の音が気になった」と、経験をそのまま伝える形がよい。この記事の数字を、自分が耐えてよい音量の許可証として持っていく必要はない。
研究同士を並べる際には、違う単位の数字をそのまま競わせないことも必要である。集団クラスでは主観的なきつさ、自転車実験では成績や疲労感、声かけの試験では筋力発揮が焦点だった。どれかの結果がよかったからほかもよいはずだ、という連鎖は作れない。同じ「運動によかった」という言葉の内側に、異なる評価が入っている。[1][2][6]
体験の帰り道に残したいのも、総合点だけではない。音は好みだったが説明の途中で迷った、説明は分かったが別の時間帯も試したい、といった感想には次の行動がある。誰かのおすすめの理由をそのまま借りるより、自分が継続するために確認したい条件を言葉にしておく。

よくある誤解
「音量を下げると運動が成立しない」という理解は、集団クラスの比較結果に合わない。主観的なきつさは非劣性と判定された。ただし、それは全ての運動成果の同等性を意味しない。自分が欲しいのが気分の高まりなのか、説明を理解できる時間なのか、身体への負担の調節なのかで、見る項目を選びたい。[1]
「大きな音を楽しいと思えたなら、身体の成績も上がっている」という思い込みも修正したい。男性の自転車実験では、音楽に好意的な回答が多かったにもかかわらず、音量増加に伴う成績改善はなかった。楽しさを楽しさとして評価することと、測った成績を確認することは両立する。好きな曲まで、出力の責任を負う必要はない。[6]
「研究で使われた低いほうの音量なら安全だ」という読み方も違う。比較研究の88.5 dBAは、低減条件で観測された平均である。全員の耳に問題が生じないことを保証する値として提示されたものではない。低減条件という名前から、安全条件という別名を勝手に付けないことだ。[1]
また、声かけによる筋力発揮の変化を、説明の聞き取りの改善と混同しない。大学生の試験は、短い最大努力の課題で力ときつさを調べた研究である。ホットヨガで動きの指示が分かるかは、体験時に自分で確かめたい別の問いだ。研究が測ったことを明確にするほど、生活で追加して確かめることも具体的になる。[2]
今日からできること
- 体験の感想を、曲の好み、声の分かりやすさ、身体のきつさに分けて残す。自転車実験の40人では、音楽への好評と成績改善は一致しなかったことを、評価を混ぜない手がかりにする。[6]
- 音量が合わないと感じたら、控えめな音を希望すると伝える。189人を対象とした比較で、音量低減が主観的なきつさを意味のある幅で損なわなかったことは、相談をためらわない材料になる。[1]
- 研究の91.4 dBAと88.5 dBAを、希望する施設の合否の数字にしない。比較した条件の平均と、自分に合う参加環境の判断を分ける。[1]
- 励ましが強く印象に残った日は、言葉の内容と動作の説明を別々に振り返る。30秒間の最大努力の試験で得られた声かけの結果を、ヨガの説明全般へ広げない。[2]
- 耳の違和感を、運動を頑張れた証拠として評価しない。耳鳴り経験の14.8%という自己申告は、個人の安全を保証する値ではない。気になる症状の判断は医師に相談する。[1]

オンザショア立川店で、音と説明を確かめる体験を
音楽の好みと、動きの説明を聞き取れたかを体験で確かめたい。オンザショア立川店を検討するときも、「どの動作の説明を聞きたいか」を考えてレッスンを選ぶと、参加後の感想が具体的になる。施設については店舗トップ、費用は料金ページで確認できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティスもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、参加する種目を検討できる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は8:00〜23:30、年中無休である。通える時間と参加したい種目を照らし合わせたい。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約をする際は、持ち物の準備とともに、終了後に振り返りたい音や説明の場面も考えておくとよい。
参考文献
[1] Lower Music Volume Levels in Fitness Class and Perceived Exercise Intensity — Hori K, Wee CP, Liu N, Parsons J, Choi JS., 2026, JAMA otolaryngology– head & neck surgery. DOI: 10.1001/jamaoto.2026.0028
[2] The effects of motivational verbal phrases on isoinertial force production and sustained force output: a comparison of positive and negative conditions — Aydın GR, Kasap M., 2026, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1852572
[3] Estimation of anaerobic threshold and peak oxygen uptake from tracheal sound during cycle ergometer cardiopulmonary exercise test — Zhang Q, Montazeri Ghahjaverestan N, de Oliveira Francisco C, Kabir MM, Hoque MS, 2026, Biomedical engineering online. DOI: 10.1186/s12938-026-01540-7
[6] In dubio pro silentio – Even Loud Music Does Not Facilitate Strenuous Ergometer Exercise — Kreutz G, Schorer J, Sojke D, Neugebauer J, Bullack A., 2018, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2018.00590
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- ダイエット中の間食は200キロカロリーで固定?体格と活動から配分を読む
- ダイエット効果は一週間ずつ試せば比べられる?切り替え前の影響と順番を読む
- ダイエット効果の個人差は一度で分かる?測定の揺れと本当の反応差を読む
- ダイエット効果の運動ランキングは女性にも同じ?参加者の性別と体力から読む
- ダイエット効果は何と比べた数字?待機群と別の方法への上乗せを分けて読む
- ホットヨガ後の夜ご飯はスマホを見ながら?食べた記憶と次の食欲を分けて読む
- ホットヨガ前夜のお酒は翌朝抜ければよい?血中濃度と注意力の回復を分けて読む
- ホットヨガは月2回でも動きを覚えられる?次回の出だしと練習の間隔を読む
- ホットヨガ効果は始めた日との比較で十分?不調な日の測定と平均への回帰を読む
- 体脂肪率を落とす筋トレと有酸素運動は同条件?時間と消費をそろえる比較を読む
- 筋トレの休息日にHIITを足す?筋肉痛と心拍変動で違う回復の読み方を考える
- マシンピラティス前は何で温める?全身の準備と種目を試す準備を読み分ける
- マシンピラティスのスプリングは使ううちに変わる?反復回数と抵抗の変化を読む
- マシンピラティスのランジは前後に広く立つ?足の間隔と揺れの方向を読み分ける
- マシンピラティスのマーメイドは吸う時か吐く時か?呼吸の合図を研究で確かめる
- マシンピラティスのローイングは肘を開く?肩の角度を器具の違いから読み直す
- マシンピラティスのロングストレッチは台を遠くへ?肩角度と時間で負荷を決めない読み方
- 腹筋の筋トレは最後だと姿勢が崩れる?回数が減った日こそ分けて見たい動作の質
- 腹筋のネガティブ動作は拍に合わせる?戻す秒数のつもりと実際の速度を比べる
- サイドプランクの片足は高く上げるほど効く?脚の角度と骨盤の支え方を読む
- ローイングマシンは画面の相手と競うと速くなる?出力ときつさの変化を読む
- マシンピラティスのチェアは戻りも押さえる?踏む力と支える働きを読み分ける
- エア縄跳びの音楽は歌詞ありを選ぶ?きつさと跳び方を混同しない選曲の考え方
- 背中の筋トレは動き始めだけ重い?摩擦と決める前に分けたい負荷の見方
- 寝る前の湯船は手足が温まれば十分?皮膚の温度差と眠り始める時刻を読む
- 朝の目覚めの音楽は知っている曲がよい?親しさと動き出す反応を分けて読む
- 寝る前の腹筋は眠りの儀式になる?運動と毎晩の手順の効果を分けて読む
- 心肺機能のトレーニングは風船でも同じ?吐く圧力と歩き続ける力を分けて読む
- 末端冷え性のランニングは走った後も温かい?汗の蒸発と帰り支度を分けて読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






