ホットヨガ後のヘアカラーと水質、毛髪の金属を退色の証拠にしない読み方

ホットヨガ後に髪色が気になっても、毛髪から金属が見つかることと染料の退色は別の問いである。銅とケラチンの変化、カルシウムの存在場所、化学処理した毛髪の実験を読み、水質を原因と決める前の確認点を整理する。美容師に伝えたい処理歴や、研究の数字を生活へ移す際の注意点も考える。

洗髪後、タオルの上に広がった毛先を見て「染めたときと違う」と感じる。家とは違う水を使った日は、水質のせいかと考えたくなる。ただ、髪に銅やカルシウムがあることだけで、その日のヘアカラーの退色を説明することはできない。毛髪を調べた研究では、金属の存在場所も、測っている性質も異なるからだ。[8][16][17][18]

答えの芯は、毛髪中の金属量と色の変化を同じ指標にしないことである。化学処理した髪の実験には、カルシウム量の低下と機械的な性質の改善が並んで報告されているが、それをそのまま「色落ちが防げる」という意味にはできない。[17]

汗、水分、熱、洗髪の話は既存記事「ホットヨガのヘアカラーは汗で色落ちする?水分と熱、洗髪の違いから考える」に譲る。ここでは水質を疑ったときに出会う「金属が髪に残る」という説明を、測定場所と実験の対象から読み直す。鏡の前の違和感と、研究室の測定値の間にある段階を確かめたい。

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髪の金属を見つけても、色の原因までは決まらない

毛髪の金属を調べる研究には、成分の量を測るものと、毛髪内の分布を調べるものがある。人の髪を使った銅の分析法研究では、専用の反応系で生じる色や吸収波長の変化から銅を検出し、別の分析法である原子吸光法と一致する結果を得ている。ここで色が変わったのは測定用の溶液であり、染めた髪が退色したという実験ではない。[1]

この区別は検索結果を読むときにも役立つ。「銅」「色の変化」「人の髪」という語が同じ研究にあっても、その組み合わせだけでは髪色の変化を調べたことにならない。検出のために試薬が変化する仕組みと、日常の髪に起きる変化は、別々に読む必要がある。[1]

髪から銅が測れることは、銅がどこから来たかの答えでもない。フィンランドの住民を対象とした観察研究では、飲料水と毛髪の間で濃度が関連した元素がある一方、血液と毛髪で関連しなかった元素もあった。関連の形は元素と比較対象によって異なっている。対象は地域住民であり、18〜39歳の女性の洗髪後の変化へそのまま当てはめるには、生活環境と測定対象の違いがある。[15]

したがって、髪色が気になるという相談に、毛髪の金属量だけを答えとして置くのは早い。確認したいのが染料の変化なのか、手触りなのか、毛髪の成分なのかを先に分ける。美容師に「金属があるらしい」と伝えるより、「毛先の色が気になる。染めた履歴も確認したい」と伝える方が、相談したい内容を具体化できる。

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カルシウムは表面の付着物とは限らない

毛髪中のカルシウムを、すべて外側に付いた水由来の汚れと考えると、内部を調べた研究の読み方を誤る。人の毛髪の髄質、つまり中心部の領域を赤外線による顕微分析で調べた研究では、カルシウムと結び付いたカルボン酸塩が確認されている。カルボン酸塩はここでは脂質に関係する化合物で、研究はその化学的な特徴を捉えている。[18]

この分析でカルシウムカルボン酸塩が見つかったのは、調べた髄質の76%だった。また、結晶性のステアリン酸カルシウムは9%の髄質で検出された。どちらも髄質を分析した割合であり、街を歩く人のうち同じ割合が水質による髪の問題を抱えている、という意味ではない。[18]

同じ研究では、髄質の脂質濃度は周囲の皮質に比べて3〜20倍で、脂質の組成にも大きな違いがあった。皮質は髄質を取り囲む領域である。毛髪全体をまとめて測った量と、内部の特定の場所の組成は、取り出している情報が違う。毛髪をひとつの均一な棒として扱わないことが大切になる。[18]

さらに人の毛髪の別の分析では、シュウ酸カルシウムが調べた毛髪の11%に見つかった。主な場所は髄質の内部か、そのすぐ近くで、皮質で見つかった毛髪は1本だった。検出されたものはシュウ酸カルシウムの一水和物である。研究では由来は未解明とされ、毛髪処理など複数の可能性が考えられている。[8]

ここで「内部にカルシウムがある」から「水道水が髪を変色させた」へ進むことはできない。物質の名前、存在する場所、そこに来た経路は別の情報だ。カルシウムという共通の名前だけで、髄質の分析とシャワー後の見た目を一本の因果関係にしない。[8][18]

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銅と毛先の傷みには、時間の軸がある

銅が毛髪に関係する話の中には、たんぱく質の変化を扱ったものもある。人の毛髪で、ホモシステインが結び付いたケラチンを調べた研究では、根元よりも古い毛先の部分で、その量が5〜10倍多かった。ケラチンは髪を構成するたんぱく質であり、研究は毛髪に沿って蓄積する化学的な変化を見ている。[16]

古い部分では、このケラチンの指標が毛髪中の銅や鉄と関連していた。研究者は試験管内のモデル実験でも銅や鉄への依存性を調べ、メチオニンというアミノ酸の残基からメチル基が外れる反応に、銅や鉄が関わるという仕組みを示唆した。単に金属の量を数えただけでなく、反応の候補を実験で検討している点が特徴だ。[16]

ただし、この指標はヘアカラーの染料を測ったものではない。毛先と根元の差も、ホットヨガの前後の差とは異なる。古い部分で蓄積した変化を、レッスン後に見つけた瞬間の出来事として扱うと、研究の時間軸を取り違える。[16]

鏡で毛先が気になった日は、「いつ気づいたか」と「いつ変わったか」を分けてメモしたい。帰り道に気づいたことは確かでも、その時間帯に変化したと決める必要はない。研究で毛髪の古い部分と新しい部分を比較する発想は、日常でも根元と毛先を区別して相談する手がかりになる。[16]

処理した髪の実験は、何を改善したのか

化学処理した人の毛髪を使い、クエン酸による処理を調べた実験がある。対象は強めと中程度の脱色、持続性の染毛、パーマと染毛を組み合わせた毛髪だった。髪の処理歴を分け、引っ張る試験や繰り返し負荷を加える試験、化学分析などで変化を評価している。[17]

クエン酸処理後、毛髪中のカルシウム量は21〜42%低下した。結晶化したカルシウム石けんの構造や量にも減少が認められている。ここでいう石けんは毛髪中で分析された化合物の話で、洗面台の洗浄剤がそのまま残った、と読むものではない。[17]

機械的な評価では、引っ張ったときの変形への抵抗を表す弾性率が7.5〜23.5%増加し、繰り返し引っ張って切れるまでの回数の中央値は56〜124%改善した。こうした数字は、特定の化学処理を受けた毛髪に対する実験条件での結果である。自分の髪が同じ割合だけ丈夫になるという予測値にはならない。[17]

研究では、カルシウムを結び付けて取り除く働き、処理時の酸性度、たんぱく質同士の結び付きへの作用など、複数の仕組みが考えられている。カルシウムが減ったことだけを、改善の唯一の理由にしない点が重要だ。元の化学処理によって結果が異なることも報告されている。[17]

この実験で別に確認したのは、熱を加えてたんぱく質の構造が変わるときの温度である。その値は化学処理の種類に応じて6.7〜15.0%上昇した。研究者は皮質にあるケラチン関連たんぱく質の結び付きの増加を示す結果として扱っている。温度の数字が登場しても、スタジオの室温や自宅での洗髪温度を決める数字にはならない。[17]

また、弾性率と切れるまでの繰り返し回数は、同じ「強さ」という言葉で片づけにくい。前者は引っ張ったときの変形への抵抗、後者は負荷を繰り返した際の耐久性を見ている。改善率が大きい方だけを抜き出し、髪のあらゆる性質がその割合で改善すると読むことはできない。何を改善した率なのかを残す必要がある。[17]

美容室で説明を受けるときも、「カルシウムを減らす」と「髪を補強する」と「色を保つ」が続けて語られたら、それぞれ何で確かめた説明かを尋ねたい。実験の価値は、万能な成分を決めることより、処理された髪の状態に応じて複数の性質を評価した点にある。脱色した髪とパーマを併用した髪を同じ条件だと思わない読み方につながる。[17]

数字で読む毛髪の金属

76%:髄質の成分分析で、カルシウムカルボン酸塩が検出された髄質の割合である。[18]

11%:別の毛髪分析でシュウ酸カルシウムが検出された毛髪の割合だ。[8]

5〜10倍:ケラチンの変化を調べた研究で、毛先の指標が根元より高かった程度を示す。[16]

21〜42%:化学処理毛へのクエン酸処理実験で、毛髪中のカルシウム量が減少した割合である。[17]

225人:飲料水、毛髪、血液の元素を調べたフィンランドの観察研究の参加者数だ。[15]

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宮川涼 Founder

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