ダイエット効果は体重以外も見る?後から選んだ好結果と事前の評価項目を読む

ダイエット研究の「効果あり」は、何を確かめた結果なのか。事前に決めた主要評価項目と、後から目立たせた好結果を分けて読む。肥満研究の報告を調べた論文と、体重・血糖・身体機能を扱うレビューを手がかりに、比較相手や効果の大きさ、対象者を確認し、自分の目標に引き寄せすぎない読み方を考える。

「ダイエットに効果」と書かれた記事なのに、何の効果なのかが途中で変わっていないか。体重の話から始まったはずが、途中で血液検査の数値の話になっている。どちらも体の変化ではある。ただ、自分が知りたかった問いへの答えは、いつの間にか席を外している。

体重以外の指標を見ることには意味がある。しかし、別の指標でよい結果が出たことと、研究が中心に据えた問いに答えられたことは分けて読む必要がある。主要な評価項目で統計学的に有意な差がなかった肥満関連の試験を調べた研究では、好ましく見せる表現や構成が少なくなかった。[17]

見る順番は、研究が何を確かめる予定だったか、実際に何が起きたか、その結果を誰に当てはめられるか、である。日々の記録方法は既存記事「30代のダイエットは体重をグラフで見る?測定回数と画面からの助言を分けて読む」に譲る。ここでは、研究の採点項目が途中で入れ替わっていないかを考える。

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「効果あり」の前に、何を採点した研究かを見る

主要評価項目とは、研究が中心の問いに答えるために据えた判定項目である。副次評価項目は、それと並んで検討する別の側面を指す。例えば多嚢胞性卵巣症候群の女性を対象とした生活習慣介入の系統的レビューでは、生児出生、流産、妊娠を主要評価項目とし、体重や内分泌の指標も扱っていた。体重は結果に含まれるが、このレビューの主要評価項目は生殖に関するものだった。[7]

多嚢胞性卵巣症候群は、ここでは研究対象となった診断名である。18〜39歳の女性でも、診断のない人にそのまま当てはめることはできない。対象者の条件と、研究者が何を知ろうとしたかがそろって、初めて結果の位置が決まる。[7]

この区別は、体重を特別扱いするためではない。自分に必要な結果を、別の結果と混ぜないためである。「体重が変わった」という答えを受け取ったら、体重の問いへの答えとして保管する。「妊娠に関する結果も改善した」とまで引き出しを広げるには、その項目そのものを確かめる必要がある。このレビューでも、体重への結果と妊孕性に関する結果は分けて結論づけられている。[7]

事前の計画と公表された結果を照らす意味もここにある。肥満関連の試験報告を調べた研究では、臨床試験の登録先を記した試験について、選択的報告の兆候を点検していた。選択的報告とは、測定した結果のうち何を表に出すか、何を中心に置くかによって、読み手が受け取る像が偏る問題である。[17]

読み手の確認事項としては、登録された計画で中心だった項目と、公表時に大きく扱われた項目が同じかを比べるとよい。評価の時点も含め、変更があれば説明を探す。変更を見つけた瞬間に不正と決めつけるのではなく、なぜ変わったか、その変更を踏まえて結論の範囲がどうなるかを問う。登録の有無だけで判定を終えず、登録内容と報告を照合する姿勢につなげたい。[17]

例えば、記事の冒頭が「減量法の比較」で、目立つ図だけが「ある検査値の改善」なら、その図が主要な判定項目だったかを確認する。図が美しいことは、問いが一致していることの代わりにはならない。反対に、副次的な結果だから価値がないとも決めない。中心の問いへの答えと、次に確かめたい手がかりとしての価値を、それぞれの場所に置く読み方である。[7][17]

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肥満研究の報告を調べると、どこにずれがあったか

Austinらの横断的な調査は、肥満分野と一般医学分野の上位誌に掲載された無作為化比較試験を対象にした。無作為化比較試験は、参加者を比較する群へ無作為に割り付ける試験である。ただし、この調査が扱ったのは、その試験報告を点検した結果であり、減量方法を直接比べた成績ではない。[17]

対象は、主要評価項目で統計学的に有意な差がなかった試験に限定されていた。過体重・肥満の参加者を割り付けた試験、または体重減少を主要評価項目とした試験を選び、好ましい印象を与える「スピン」があるかを調べた。スピンとは、結果の受け止め方を好ましい方向へ導く表現や見せ方を指す。[17]

採用された45報のうち、スピンが見つかったのは21報、46.7%だった。さらに、試験登録を報告した39試験のうち6試験、15.4%に選択的報告の兆候があった。ここで大切なのは、スピンの集計と選択的報告の集計を同じものとして扱わないことだ。目立つ書き方の問題と、結果の選ばれ方の問題は、点検の対象が異なる。[17]

この46.7%を「ダイエット研究の約半分が信用できない」と読み替えるのは誤りである。調査は2016年から2017年に公表され、特定の掲載誌に載り、主要評価項目に有意差がなかった試験を対象にしていた。すべての肥満研究から無作為に取り出した割合ではない。著者らも、順位の低い雑誌の試験への一般化には限界があるとしている。[17]

照合するときは、紹介記事の「効果あり」という文を、対応する結果の行までたどる。まず項目名を探し、次に比較した群と評価した時点を読む。登録された計画の項目名と照らし、主要な結果なのか、副次的な結果なのかを確かめる。同じ「改善」でも、中心の問いに対する結果と、別の側面の結果では役割が違う。項目名を特定できるまでは、見出しだけで研究の成功を判定しない。[17]

試験結果を読むときは、良い言葉を探すより、言葉がどの結果に乗っているかを追う。「改善」「有望」と書かれていたら、対応する評価項目と比較相手に戻る。隣の記事で扱う結論表現の強弱そのものより、ここでの焦点は、中心の判定項目から別の項目へ視線が移されていないか、という点にある。[17]

体重が動いても、別の目標への答えには置き換えない

生活習慣を変える介入を検討した多嚢胞性卵巣症候群の女性のレビューには、15研究、498人が含まれた。18〜39歳の女性にとっても、診断の有無をそろえずに使える減量の予測値ではない。食事、運動、行動への介入を、最小限の介入や介入なしと比べている。体重について統合できた9試験、353人では、比較群に対する平均差が−1.68 kg、95%信頼区間は−2.66から−0.70 kgだった。証拠の質は低いと評価された。[7]

ここでいう平均差は、介入に参加した人が全員同じ量だけ減ったという意味ではない。また、自分がこれから同じ量を減らせるという予測値でもない。比較群に対して、研究参加者の集団でどれだけ違ったかを表す結果として読む。その対象が診断を受けた女性である点も、数字と切り離さない。[7]

同じレビューで、糖負荷検査による糖代謝の結果は明確でなかった。統合された3試験、121人の標準化平均差は−0.02で、95%信頼区間は−0.38から0.33だった。標準化平均差は尺度のばらつきを考慮した指標で、体重のkgと同じ単位ではない。体重と糖代謝では結論が異なる。[7]

さらに、生児出生と流産を評価した試験はなかった。これは生活習慣を変えても妊娠や出産に意味がないと証明した、という話ではない。体重や内分泌の結果から、別の臨床的な結果を確定させないという区切りである。妊娠を望む人がこの数字を読む場合には、減量の成績と妊娠の見通しを同じ返事として受け取らず、個別の判断を医師に相談する必要がある。[7]

このように、「どの数値も大切」と言って全部をひとまとめにすると、かえって重要な区別が消える。自分が知りたいのは体重か、糖代謝か、生活上の困りごとか。読む前にその問いを言葉にしておくと、別の指標の好結果に出会ったときも、問いを置き忘れずに済む。[7]

例えば友人から「体重にも血糖にもよさそう」と紹介されたら、両方を調べた研究か、両方に同じ程度の確かさがあるかを確認する。日常会話では短くまとめたくなるが、研究の結果は、短いひと言の中でも別々の項目として扱える。[7]

数字で読む評価項目と報告のずれ

45報中21報:主要評価項目に有意差がなかった肥満関連試験報告で、スピンが見つかった件数である。[17]

39試験中6試験:登録先を報告した試験で、選択的報告の兆候が見つかった件数である。[17]

−1.68 kg:多嚢胞性卵巣症候群の女性を対象とした生活習慣介入の体重の平均差。95%信頼区間は−2.66から−0.70 kgである。[7]

−0.02:同レビューの糖代謝に関する標準化平均差。95%信頼区間は−0.38から0.33で、効果は不確かだった。[7]

139試験:膝の変形性関節症に対する運動レビューの規模。評価項目ごとに結果を分けている。[4]

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宮川涼 Founder

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