
熱を作る反応が大きくても、実感が違うとは限らない
熱産生の検査値と「寒い」という感覚を分けるうえで、若い成人の比較研究が参考になる。対象は体格指数が25以上の53人で、女性は28人だった。研究者は代謝的に健康な過体重・肥満の群と、代謝的に不健康な過体重・肥満の群に分け、褐色脂肪、冷却時のエネルギー消費、皮膚温、温度の実感などを測った。男女を含み、過体重・肥満の若い成人に対象を絞った比較なので、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめることはできない。[9]
代謝的に健康な群は34人、もう一方は19人だった。健康な群では褐色脂肪の体積が124%大きく、寒冷誘発性熱産生も158%高いという差が報告された。ただし後者の統計値は有意性の境界にあるP=0.050だった。数字の大きさだけで確実性まで大きいと判断してはいけない。[9]
この比較で重要なのは、体組成、安静時代謝、身体活動量などに統計的に有意な差がなく、温度の実感にも有意な差がなかった点である。褐色脂肪や寒冷時の熱産生に違いが見られても、本人の感じ方まで群として明瞭に分かれたわけではなかった。[9]
また、鎖骨の上の皮膚温は健康な群で高かったが、その他の皮膚温の指標には有意差がなかった。ある場所の温度の差を、手足の先を含む全身の温度差に広げて読むこともできない。温度を測った場所の名前は、結果の飾りではなく、結論の届く範囲そのものである。[9]
この研究は、人を代謝状態で分けた比較である。褐色脂肪を増やせば寒さの悩みが減る、と因果を示したものではない。同時に、有意差がなかったことを「誰の感覚も完全に同じだった」と読むのも違う。群の差として確認された項目と、確認されなかった項目を分けて受け止めたい。[9]
日常に戻せば、「冷えが強いから筋肉が少ない」「寒くない人は必ず熱産生が大きい」と互いに逆向きの推測をすることは避けられる。体組成が似ていても、熱を作る組織の活動や測定部位の温度が同じとは限らず、実感の違いとも一対一には対応しないからである。[9]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じ体でも、寒さの条件を変えると問いが変わる
冷えを考える際、体組成を固定した性質のように見て、環境の方を背景に追いやりがちである。だが、寒冷への適応に関するレビューでは、冷たい空気か水か、連続的か断続的かなど、刺激の種類と強さで反応が変わると整理されている。さらに年齢、性別、体組成、運動、食事、体力、健康状態も反応に関わる。扱われた対象や場面は先住民集団、極地遠征、スポーツ、軍事訓練、都市生活者など多様であり、18〜39歳の女性の日常に各反応が同じ程度で現れるとは判断できない。[5]
そのため、冬の屋外での実験と、冷房のある事務所での経験を、そのまま同じ条件として扱うことはできない。急性の寒冷反応を扱ったレビューでも、とくに水中では対流による熱損失が重要だとされている。周囲の空気や水の動きによって熱が運ばれる現象が対流であり、体内で熱を作る力とは別の側の条件である。[6]
これは「筋肉は関係ない」という話ではない。同じ発熱側の能力を考える場合でも、外側へ熱が移る条件が変われば、必要な調節を同じとは見なせないという話だ。筋肉量の数字を見直す前に、外を歩いたのか、室内で座っていたのか、冷えが続いた場面を区別する意味がある。[5][6]
寒さへの慣れも、単純に全機能が強くなることではない。レビューでは、温度の感覚への慣れが先に生じ、その後に循環、代謝、内分泌の反応が続くとされている。適応の仕方には熱を逃がしにくくする方向と、熱産生を変える方向があり、反応が強くなる場合だけでなく弱くなる場合もある。[5]
しかも、適応の機能的な意味は明確ではなく、反応の中には寒冷障害に結び付くものもあると論じられている。したがって、「手先の冷たさを感じにくくなるまで我慢する」を訓練の目標に据える根拠にはならない。感じ方の慣れと、十分に体を守れていることを同一視しないための注意点である。[5]
読者が日常でできるのは、自分を寒冷実験の対象にすることではない。冷えの場面を把握するために、移動中、職場、帰宅後などの状況を区別して記録することである。その記録は筋肉量不足を証明する資料ではなく、環境と実感がどのように組み合わさっているかを整理する材料になる。[5][6]

よくある誤解
「指先が冷たいなら、体全体が熱を作れていない」という理解は飛躍がある。寒さに対しては熱産生と血管収縮の両方が働き、末梢の冷却自体でも調節反応が起こる。手の実感だけで全身の代謝を判定するより、局所の温度と体全体の熱の収支を区別する方が、研究の見方に近い。[6]
「体の大きい人が冷えにくいのは、脂肪の断熱だけのおかげ」という説明も十分ではない。男性の冷却実験では、より大きい体の低い下臨界温度が、除脂肪量と関連する高い基礎的な熱の生成によって説明された。ただし、これを全員の体格差の説明に広げたり、体重を増減する指示に替えたりすることはできない。[16]
「寒冷時の消費エネルギーが増えたなら、その人は寒さを感じないはず」という推測も成り立たない。若い成人の比較では、褐色脂肪や熱産生の群間差と、温度の実感の差は一致していなかった。検査の良い数字を目指すことと、生活上の困り事を把握することは、同じ作業ではない。[9]
筋トレをしているのに指先が冷たい人が、運動の全部を失敗と見なす必要もない。筋肉の熱産生への関与を示す研究と、目の前の冷えの原因を確定する判断には距離がある。反対に、運動していないという理由だけで、冷えの説明を完了させることもできない。[4][6]
今日からできること
- 体組成計を見た日は、筋肉量の欄だけで冷えの原因を決めず、冷えた場所と状況も書き添える。寒冷反応には体組成と冷刺激の条件の双方が関わる。[6]
- 比較するときは、屋外での待ち時間と室内で座っていた時間を分ける。冷刺激の種類や強さ、続き方で反応が変わるため、違う場面を同じ基準で採点しない。[5]
- 「22.1℃」「19.5℃」という実験値を暖房の設定目標にしない。男性の群で測った下臨界温度であり、個人の手足の快適温度ではない。[16]
- 運動を選ぶ際は、筋肉が熱産生に関わる事実と、その運動で冷えがなくなるという約束を分けて考える。機序のレビューだけで個人の改善を保証することはできない。[4]
- 寒さへの我慢を適応の確認方法にしない。感覚への慣れが先に起こることもあり、寒冷への適応には有害になり得る反応も含まれる。[5]
記録を見るときにも、体の形を良し悪しの判定に使わないことが大切だ。「細いから冷えるはず」「大きいから平気なはず」と先に決めると、実際に困っている場面が見えなくなる。体組成は熱の調節に関わる条件の一部であって、その人の感覚を代弁するものではない。[6][9]
続く冷えや生活に支障のある症状について、個別の健康状態の判断は医師に相談する。相談の際に伝える言葉は「筋肉が足りないと思う」だけで終えず、いつ、どこが、どのような状況で冷えるのかまで具体的にしたい。これは自己診断の結論を持っていくためではなく、今ある困り事をそのまま伝えるための準備である。

オンザショア立川店で、運動を続ける予定を作る
冷えの実感を筋肉量だけで採点する代わりに、生活の中へ運動の予定を置く。その続ける場所の候補が、オンザショア立川店である。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休。朝の予定に組み込むか、仕事の後に立ち寄るか、自分の通い方から検討できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも扱い、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。温かい空間を選ぶことと、どの運動を続けるかを考えることは、それぞれ自分の予定に照らして検討したい。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている場合は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内や料金、体験予約から予定を確かめられる。
参考文献
[3] Cold-induced thermogenesis in humans — Brychta RJ, Chen KY., 2017, European journal of clinical nutrition. DOI: 10.1038/ejcn.2016.223
[4] Skeletal muscle mitochondrial uncoupling, adaptive thermogenesis and energy expenditure — van den Berg SA, van den Berg SA, van Marken Lichtenbelt W, Willems van Dijk K, , 2011, Current opinion in clinical nutrition and metabolic care. DOI: 10.1097/mco.0b013e3283455d7a
[5] Different types of cold adaptation in humans — Makinen TM., 2010, Frontiers in bioscience (Scholar edition). DOI: 10.2741/s117
[6] Human physiological responses to cold exposure — Stocks JM, Taylor NA, Tipton MJ, Greenleaf JE., 2004, Aviation, space, and environmental medicine. DOI: なし
[9] Adults with metabolically healthy overweight or obesity present more brown adipose tissue and higher thermogenesis than their metabolically unhealthy counterparts — Jurado-Fasoli L, Sanchez-Delgado G, Alcantara JMA, Acosta FM, Sanchez-Sanchez R,, 2024, EBioMedicine. DOI: 10.1016/j.ebiom.2023.104948
[16] Lower critical temperature and cold-induced thermogenesis of lean and overweight humans are inversely related to body mass and basal metabolic rate — Nahon KJ, Boon MR, Doornink F, Jazet IM, Rensen PCN, Abreu-Vieira G., 2017, Journal of thermal biology. DOI: 10.1016/j.jtherbio.2017.08.006
[20] Brown adipose tissue is involved in diet-induced thermogenesis and whole-body fat utilization in healthy humans — Hibi M, Oishi S, Matsushita M, Yoneshiro T, Yamaguchi T, Usui C, Yasunaga K, Kat, 2016, International journal of obesity (2005). DOI: 10.1038/ijo.2016.124
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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