
人のレム睡眠で体温調節が完全に止まるとは言えない
「レム睡眠では体温調節が停止する」という説明を見かけると、岩盤浴で眠ることが急に怖くなるかもしれない。しかし、人の実験には、この表現をそのまま当てはめないよう促す結果がある。寒さの中で眠れる男性4人を対象にした研究では、周囲の温度21℃で連続5夜を過ごす条件と、体温を保つ負担が小さい29℃での5夜が比較された。被験者は裸で、睡眠段階、酸素消費、皮膚や直腸、鼓膜の温度が記録された。寒冷下の男性を対象とするため、18〜39歳の女性が岩盤浴で眠る場合にそのまま当てはめることはできない。[10]
寒い条件では覚醒が増え、段階2の睡眠が減ったが、ほかの睡眠段階には有意な影響がなかった。直腸温と鼓膜温は両条件で低下したものの、直腸温の低下は21℃の方で大きく、鼓膜温には条件間の有意差がなかった。同じ人の体でも、どこで測った温度かによって結果の読み方が変わる。[10]
さらに、両方の温度条件でレム睡眠中に酸素消費と額の皮膚温が増加し、21℃では手足の末端の皮膚温が低下した。著者らは、寒冷下でレム睡眠が抑えられないことと、末梢血管の収縮や鼓膜温・酸素消費の増加が伴うことから、人では他の哺乳類で観察されるような体温調節の抑制を意味しない、と論じている。[10]
この結果には、対象の選び方と人数が強くかかわる。寒くても眠れる男性だけの小規模な実験であり、成人女性の岩盤浴へ直接移すことはできない。また、寒冷に対する応答を調べた研究である。熱を逃がす能力が岩盤浴で十分に保たれることを、この実験で証明したわけではない。[10]
それでも、反対向きの過剰な断定を避ける価値は大きい。動物で説明されるレム睡眠の特徴を、人にも例外なく当てはめると、研究が実際に測った応答を消してしまう。適切な読み方は、「人でも熱の負荷は睡眠段階に影響する」と「人の睡眠中の体温調節は完全停止と一括りにできない」を、両方残すことである。[8][10]
日常の言葉でいう「ぐっすり」も、体の温度がうまく保たれたという測定結果ではない。寒冷実験では覚醒、段階2、直腸温、鼓膜温の変化が一様ではなかった。睡眠の感想をたった一つの体温調節の状態に置き換えるのは難しい。だからこそ、暑い場所で眠れたことだけを安全の判断材料に増やさない、という姿勢が役立つ。[8][10]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
動物の温度を、人の岩盤浴の目安にしない
温度と睡眠の仕組みを詳しく調べる研究には、動物実験が多い。成体の雄ラットを用いた実験では、対照のラットは周囲の温度18℃で徐波睡眠とレム睡眠が減り、30℃では増えた。徐波睡眠とは、ゆっくりした脳波が現れる眠りである。ところが30℃から33℃へ温度を上げると、レム睡眠は減り、徐波睡眠には変化がなかった。雄ラットの実験であり、18〜39歳の女性にも同じ温度で同じ変化が起きるとは判断できない。[6]
暖かさが増せばどの睡眠段階も同じように増える、という説明は、この対照ラットの結果には合わない。温度の変更幅だけでなく、どの段階を測っているかを見る必要がある。加えて、この研究では生まれて間もない時期にカプサイシン処置を受け、末梢の温かさを感知する受容器を損なったラットも比較された。その群では、対照とは異なる睡眠の変化が観察されている。[6]
このラットの処置群は、37℃で体温を守る能力に障害が認められた一方、温度の好みは変わらなかった。選ぶ温度と、体温を守る能力が同じ方向へ動くとは限らないのである。ただし、これは感覚の仕組みに介入したラットの実験だ。18〜39歳の女性が「自分は暑いのが好きだ」と感じる場合の体温調節を、この結果だけで評価することはできない。[6]
読者に持ち帰れるのは、実験の区別の仕方である。好み、睡眠の量、体温を守る能力は、それぞれ別に調べられている。「気に入った温度だった」から残りも良好だと判断するには、段差がある。好みを大切にすることと、好みだけで体の反応を保証しないことは両立する。[6]
種が変わると、寒さと睡眠の結びつきにも違いがある。ニシコクマルガラス8羽の実験では、21℃の基準条件の後に4℃の寒い夜を設けると、脳温は基準の夜より1.4℃低くなった。それでもノンレム睡眠とレム睡眠の量は、基準の夜と有意に違わなかった。鳥のレム睡眠に似た状態は、哺乳類で報告される寒さの影響とは異なる可能性が示された。鳥を対象とした結果なので、18〜39歳の女性の睡眠や暑熱への反応にはそのまま当てはめられない。[1]
鳥の話を挟む意味は、人も寒さに強いと言いたいためではない。脳温に明確な変化があっても、睡眠量には有意差がないという組み合わせが実際にあるためだ。人、ラット、鳥を「眠る生き物」として束ねると、結論が乱暴になる。とくに、動物実験の室温を施設の設定温度に流用するのは避けるべきである。[1][6][10]
人の睡眠と体温調節を組み合わせた数理モデルの研究も、環境温度を考える重要性を示している。これは体温調節の代謝過程を数式に組み込み、一晩から複数夜の睡眠段階の推移を計算する研究である。温度を睡眠のモデルから外せないことを示す一方、実際に岩盤浴で寝た人の効果や安全性を測った試験とは区別する必要がある。[3]
数式で仕組みを検討する研究、動物の感覚に介入する研究、人の睡眠と温度を記録する実験には、それぞれ役割がある。どれか一つを強い言葉へ翻訳するより、何を測った研究かを残した方が日常の判断には役立つ。岩盤浴で眠れるかという身近な問いほど、仕組みの説明と利用効果の証明を分けておきたい。[3][6][8][10]

よくある誤解
「レム睡眠に入ると、誰でも体温調節が完全に止まる」は言い過ぎである。人の寒冷実験では、レム睡眠中にも末梢の血管の反応や酸素消費の増加が観察された。他の哺乳類の説明を、そのまま人全員の状態に置き換えることはできない。ただし、その結果を暑熱下で寝続けてよいという保証へ反転させることもできない。[10]
「汗をかくのに慣れたら、暑い場所で眠るのにも慣れる」とも言えない。人の長期暑熱実験では、発汗には順化が観察されたが、睡眠指標には順化が認められなかった。いつもより汗が少ない日、多い日という違いだけで、眠りへの熱の影響まで推定しない方がよい。[8]
「暖かいほど眠りが深くなり、寝るほど効果が高まる」という一直線の理解にも根拠がない。対照ラットでは温度を30℃から33℃へ上げるとレム睡眠が減った一方、徐波睡眠は変わらなかった。人の暑熱実験でもレム睡眠が最も影響を受けている。眠気があること、睡眠量、睡眠段階の変化を同じ効果として数えないことが重要だ。[6][8]
今日からできること
- 眠気を「もっと温まる合図」にしない。人の暑熱実験では睡眠指標にも影響があったため、寝続けることを目標にせず、眠くなったら温まる行為を切り上げる判断を考える。[8]
- 汗と睡眠の感想を分けて残す。「汗が多かった」と「その晩よく眠れた」を別に書く。発汗の順化と睡眠指標の順化が一致しなかった研究を、記録の整理に生かす。[8]
- 21℃と29℃という数字を見たら、寒冷でも眠れる男性4人の比較だったことまで確認する。数字だけを抜き出し、岩盤浴の温度や寝る時間の目安へ変換しない。[10]
- 30℃から33℃で睡眠が変わった話は、ラットの結果として扱う。施設を選ぶ際にも、人に共通する温度の境界として使わない。[6]
- 眠りの悩みが続く場合は、岩盤浴で寝ることで解決しようとせず医師に相談する。睡眠と体温調節の結びつきは、暖かい場所を選べば一律に整うほど単純ではない。[2][8]

オンザショアで、温まる以外の選択肢も持つ
通う仕組みを考えるときには、温かい環境だけに選択肢を絞らないこともできる。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティスがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。
営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休だ。場所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分である。駅からの距離と営業時間を、自分が通う予定に照らして検討できる。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。温かさを求める前に、参加できるレッスンの条件を確認しておきたい。
通い方を考える際の案内は、店舗トップ、料金、体験の予約で確認できる。ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
参考文献
- Sleep and Thermoregulation in Birds: Cold Exposure Reduces Brain Temperature but Has Little Influence on Sleep Time and Sleep Architecture in Jackdaws (Coloeus monedula) — van Hasselt SJ, Coscia M, Allocca G, Vyssotski AL, Meerlo P., 2024, Biology. DOI: 10.3390/biology13040229
- [Sleep and Body Temperature] — Ishihara A, Park I, Tokuyama K., 2022, Brain and nerve = Shinkei kenkyu no shinpo. DOI: 10.11477/mf.1416202003
- Modeling the long term effects of thermoregulation on human sleep — Bañuelos S, Best J, Huguet G, Prieto-Langarica A, Pyzza PB, Wilson S., 2020, Journal of theoretical biology. DOI: 10.1016/j.jtbi.2020.110208
- Ambient temperature related sleep changes in rats neonatally treated with capsaicin — Gulia KK, Mallick HN, Kumar VM., 2005, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2005.05.001
- Sleep during prolonged heat exposure in man — Libert JP, Lenzi P., 1987, Functional neurology. DOI: なし
- Thermoregulation, metabolism, and stages of sleep in cold-exposed men — Palca JW, Walker JM, Berger RJ., 1986, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/jappl.1986.61.3.940
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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