スクワットは失敗しない難しさから始める?翌日の再現と別の動きへの応用を読む

スクワットを毎日やってみたとき、回数以外の変化をどう見るか。易しい条件から難しさを増やす運動学習の研究を手がかりに、練習中の成功、後日の再現、別の条件への応用を分ける。ステップやゴルフの実験とスクワット研究の違いを押さえ、難しさを上げる順番と記録の残し方を考える。

しゃがんで立つだけのはずが、見本を閉じた途端に足の位置で迷う。部屋でスクワットを始めた夜、見ながらできた動きと、自分で思い出せる動きの差に気づく。そこで回数を増やす前に考えたいのが、最初から難しい条件を選んでいないか、という問いである。

易しい条件から始め、あとで選択肢を増やす練習には、動きを後日に再現する助けになる可能性がある。ただし、その根拠の中心はステップやゴルフの課題だ。これらの実験が調べたのは、特定の課題での保持や転移であり、毎日のスクワットの効果や、あらゆる動きの上達ではない。[1][2]

既存記事「マシンピラティスは易しい動きから始める?間違いを減らす練習と応用力を読む」には器具を使う練習の問いを譲る。ここでは自宅のスクワットを入口に、難しさを上げる順序と、練習を終えたあとに何を確かめるかに焦点を置く。

既存記事「ワイドスクワットは普通の足幅と交互に練習する?翌日の再現と応用を分けて読む」には、足幅を混ぜる順番の比較を譲る。こちらの問いは、最初の誤りを減らしてから判断の余地を増やす進め方である。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

失敗を減らす練習は、ずっと簡単にすることか

エラーレス学習とは、最初の練習で誤りが生じにくい条件を用いる学び方である。ゴルフのパッティングを調べた試験では、近い距離から始めて遠くする方法が使われた。反対の条件では、遠い距離から始めて近づけた。最終的に取り組む距離が同じでも、出会う順番が異なる。[2]

ここでいう失敗は、人としての評価ではない。球が目標に入らない、次の足を出す場所を間違える、といった課題上の誤りである。スクワットで考えるときも、「自分は運動が苦手だ」という判定と、いま決めた動きを再現できたかという観察を混ぜないほうが、練習の相談を具体化しやすい。

ステップの研究では、視覚的な合図で示す次の足の選択肢を変えた。選択肢が少なければ間違いの機会は少なく、多ければ判断する余地が増える。段階的に増やす条件は、成功しやすい入口を用意したあと、判断を必要とする場面へ進む構成だった。易しさを最後まで固定する設計とは違う。[1]

スクワットの難しさを考える際も、重りだけを見ないという応用が考えられる。見本を見ながら動くのか、自分で手順を思い出すのかでも、課題の作り方は変わる。ただし、これはステップの実験をそのまま再現した方法ではない。自分の練習で何を難しくしたのかを説明するための整理である。

「毎日やってみた」の記録に、実施したという印だけが並んでいると、条件を変えた日が埋もれる。たとえば見本を止めた日と、初めて重りを持った日を同じ欄に書くと、うまくいかなかった理由を後から分けにくい。記録は評価表より、次の練習を相談するためのメモとして使いたい。

成功しやすい条件を選ぶことは、失敗した動きを隠すことでもない。どの条件ならでき、どこを変えると難しくなるかを見つける作業である。最初の段階が簡単すぎたと感じても、それだけで学習の成否は決められない。研究では、練習中とは別に後日の検査が設けられている。[1][2]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

ステップの実験は、順番と声かけを一緒に調べた

健康な若い成人40人を対象としたランダム化比較試験では、仮想環境で足を出す順序を練習した。参加者は、自分で取り組むことを支える条件と、取り組みを統制する条件に分けられた。両者は指示の言葉、注意を向ける先、言葉や画面で返す評価の肯定的・否定的な性質が異なっていた。健康な若い成人の結果だが、18〜39歳の女性のスクワットにそのまま当てはめるには、種目と対象を合わせた検証が必要である。[1]

課題は6歩からなる4種類の系列で、練習は40試行だった。次の足の選択肢は、常に4つ、常に1つ、1つから4つへ段階的に増える、4つから1つへ段階的に減る、という条件で比較された。単に「簡単な人」と「難しい人」を分けたのではなく、選択機会の変化を組み込んでいた。[1]

練習から1〜3日後、選択の合図を出さずに、系列を終える時間を測った。こうした後日の再現を保持という。自分で取り組むことを支える群は、統制する群より、すべての系列を通じて平均2.88秒よい成績だった。同群で最もよい保持成績を示したのは、選択肢を少しずつ増やす系列であった。[1]

この結果から注目できるのは、初めは間違いにくく、あとから判断の余地を増やす流れだ。一方で、声かけだけの効果として読むことはできない。言葉だけでなく、注意の向け先や評価の性質も異なる条件が比較されているからである。スクワットで「前向きな言葉さえ使えば覚える」と置き換えると、研究の設計を落としてしまう。[1]

両群とも、選択肢を減らしていく系列は習得中に最も難しく、常に4つの選択肢がある系列は保持で最も悪かった。このステップ課題では、最初から多い選択肢を与える設計より、段階的に増やす設計の保持成績がよかった。[1]

また、練習中に課題へ強く注意を向けていたと報告した人ほど、保持成績が悪い関連もあった。これは「集中してはいけない」という指示にはならない。注意の自己評価と成績の関係であり、集中を減らす処置の効果を示すものではない。「もっと意識して」と声を重ねる前に、課題そのものが複雑すぎないかを考える材料である。[1]

ゴルフでは、応用の成績と注意の負担が分かれた

パッティングの臨床試験では、25cmから200cmへ距離を延ばす群と、その逆順で進める群を比較した。練習は50試行を8ブロック行い、保持の検査に続いて、普段とは異なるパターを使う検査を実施した。道具を替えたときに学びが使えるかを見る、転移の検査である。[2]

異なるパターへの変更が成績に及ぼす影響は、距離を延ばす群と縮める群で同等だった。一方、動作と並行して反応を求める検査では、誤りを減らした群の反応時間は影響を受けなかった。[2]

著者らはこの結果を、動作を実行する際の注意の要求が小さかった可能性として捉えている。つまり、目標に球を入れる成績と、その動きを行うために使う認知的な余裕は、同じ結果にならない。見た目の成績が同じでも、動作に伴う負担を別に測る意味がある。[2]

スクワットに引き寄せるなら、「いつもより迷わず動けた」と「別の種目もできるようになった」を分ける発想が役立つ。前者を感じた日でも、後者まで獲得したとは決めない。ゴルフの研究も、誤りの少ない入口が、変更後の道具で成績を大きく伸ばしたとは示していない。[2]

帰宅後にスクワットの手順を思い出しやすくなった。それを確かめるために、すぐ荷物を持って床から立つ動作へ進む必要はない。「練習した動きを思い出せた」と記録すれば、その日の観察として十分に具体的である。まだ試していない日常動作の変化まで書き足すと、記録が感想から推測へ広がってしまう。

スクワットの記録で「楽になった」と書くときも、何が楽だったのかを言葉にしておきたい。脚のきつさが減ったという感覚と、次に何をするか迷わなかったという感覚では、相談したい内容が違う。ゴルフの試験が着目した注意の負担は、後者を考える手がかりになるが、筋肉の疲れを測った結果に読み替えることはできない。[2]

たとえば「見本の停止位置を何度も探した」「動き始める前に順序を思い出した」と書けば、練習のどこで立ち止まったかが伝わる。その記録だけから学習の仕組みまで断定する必要はない。動作中の注意を測る研究上の検査と、家で書く日記は別物である。日記は研究の代わりに点数を出す道具ではなく、次の確認点を見つける道具として使う。

また、道具を替えても成績への影響が同等だったという結果は、どちらの方法にも応用がなかったという意味ではない。比較されたのは、変更が両群へ及ぼした影響である。差がなかった点と、注意の検査で違いがあった点を並べて読むと、「易しく始めれば全部よくなる」という期待を、何が変わりうるかという具体的な問いへ直せる。[2]

数字で読む段階的な練習

40人:ステップのランダム化比較試験に参加した健康な若い成人である。[1]

1〜3日後:ステップの保持を、選択の合図なしで検査した時点である。[1]

平均2.88秒:自律性を支える群と統制する群の保持成績の差である。[1]

25〜200cm:ゴルフで順序を変えて練習した距離の範囲であり、スクワットの深さではない。[2]

32人:支持面を変えたスクワット試験で無作為に割り付けられた脳卒中後の患者数である。[6]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約