ホットヨガの髪を洗わない日は頭皮も確認、汗と皮脂と常在菌の関係を読む

ホットヨガのあと、髪を洗わないと頭皮の菌が増えるのか。汗の濡れ、皮脂のべたつき、フケやかゆみを分け、頭皮の常在菌と皮膚の環境の関係を論文から読む。脂性のフケがある人の洗髪試験も取り上げ、研究で使われた頻度をそのまま自分の正解にせず、帰宅後に何を確かめるかを考える。

洗面台の鏡に映る前髪は、まだ湿っている。朝に髪を洗ったのに、ホットヨガのあとも洗うのか。帰宅後の予定を考えると迷うが、その判断を「菌がいるから」の一言で決める必要はない。皮膚には健康な状態でも微生物が暮らし、その働きは種類や周囲の環境によって異なるからである。[13]

頭皮について確かめたいのは、髪が濡れているかだけではない。皮脂の感じ方と、フケ、かゆみ、赤みの有無も分けて見ることである。フケを扱うレビューでは、水分や皮脂の分泌、皮膚の酸性・アルカリ性の状態など、頭皮側の条件と微生物の関係が論じられている。汗の見た目から、頭皮全体の状態を即断するのは早い。[14]

したがって「ホットヨガの日は全員が洗わないといけない」「常在菌を守るため全員が洗わないほうがよい」という一律の答えにはしない。脂性のフケを対象とする洗髪研究は、症状と菌の構成の変化を追ったものである。その対象と条件を確認しながら、日常の手入れを考えるのがこの記事の入口だ。[20]

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髪の濡れと頭皮の状態を同じものにしない

鏡で目に入りやすいのは毛束の形である。しかし、フケの研究が扱うのは頭皮の生理的な環境と、そこにいる微生物との関係である。髪の見た目を整えたいという悩みと、頭皮のかゆみが続くという悩みでは、確かめる対象が違う。フケは水分、皮脂、微生物などの複数の要因に関連する現象として整理されている。[14]

たとえば帰り支度では、「湿っている」という感覚の横に「べたつく」「かゆい」「細かい皮むけがある」と言葉を並べてみる。これは病名を当てるための点検ではない。後から振り返るとき、何が気になったのかを混ぜないための工夫である。脂漏性皮膚炎のレビューでも、思春期以降の患者の頭皮の症状には軽い局所的な変化から広がる鱗屑、つまり皮膚がはがれて見える状態まで幅がある。18〜39歳の女性に当てはめる際も、これは患者の症状の説明として読み、濡れた髪だけで病気と判断しないことだ。[12]

汗をかいた量の印象を、そのまま炎症の程度へ置き換えることも避けたい。脂漏性皮膚炎には皮脂腺の活動、マラセチアという真菌、環境からのきっかけなどが関わるとされる。濡れた前髪だけでそれらの関係を読み切ることはできない。毛束の見た目と、頭皮で起きていることは分けて考えたい。[12]

既存記事「ホットヨガの生理中のナプキンは蒸れも確認、吸収力とは別に見たい肌の感覚」には別の部位の肌の話を譲る。また「朝の運動後のシャンプーは二度洗いが必要?皮脂の落ち方と頭皮の負担を研究で読む」が扱う洗浄方法の比較からも離れ、ここでは頭皮の環境と常在菌を読む。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

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常在菌は、いるだけで不潔という意味ではない

マイクロバイオームとは、皮膚などに暮らす微生物の集まりを捉える言葉である。皮膚の微生物を調べる方法を扱ったレビューによれば、人の皮膚には細菌、真菌、ウイルスなどが存在する。その居場所は表面だけでなく、より深い皮膚の層や毛包、汗腺といった小さな環境にも及ぶ。毛包とは、毛を包む皮膚の構造である。[13]

頭皮の話に出てくるマラセチアは真菌の仲間で、皮膚に自然に存在する酵母である。フケや脂漏性皮膚炎との関係が研究されているが、名前を見つけた瞬間に「外から悪いものが付いた」と考える対象ではない。もともと皮膚に暮らす存在と、その増え方や皮膚の反応を分ける必要がある。[8]

同様に、細菌のブドウ球菌やクチバクテリウムにも、宿主である人に利益をもたらす場合と、病気に関わる場合がある。皮膚の研究では、微生物の大きな分類名だけでなく、種や株の違いも重視されている。株とは、同じ種の中でも性質が異なる集団を指す。菌の名前だけを善玉・悪玉の札にする読み方では、働きの違いを取り落とす。[13]

帰宅後に髪を洗うか迷うと、「全部落としてから寝たい」という気持ちになることはある。ただし、常在菌が存在すること自体は、手入れに失敗した証拠ではない。皮膚の微生物と人の免疫は相互に関わっている。衛生を考えるときも、菌を消せた気分だけでなく、皮膚の状態を一緒に見る視点が必要になる。[13]

この視点は、洗わないことを特別な健康法にする理由にもならない。常在菌がいるのは自然だという説明と、特定の人のかゆみを放置してよいという判断は別である。皮膚の微生物の集まりが偏る状態はディスバイオーシスと呼ばれ、さまざまな炎症性の皮膚疾患と関連している。「自然だから気にしない」で話を終えず、症状を見落とさないことが大切だ。[13]

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汗と皮脂をひとまとめにすると、関係が見えなくなる

研究を読むうえでは、水分の状態と皮脂の状態を別の項目として扱いたい。フケの成り立ちを整理したレビューは、頭皮の水分量と皮脂分泌をそれぞれ宿主側の要因として挙げている。どちらも頭皮の環境に関わるが、一方の印象だけで他方を決めるための項目ではない。[14]

皮脂は、微生物の働きと結びつく点でも重要である。近年の頭皮のレビューでは、マラセチアが人の皮脂を分解し、刺激となる遊離脂肪酸などを生じる仕組みが論じられている。遊離脂肪酸とは、脂質が分解されて生じる脂肪酸のことである。皮脂があるという静止画だけでなく、そこで何が作られ、皮膚がどう反応するかという過程を見る研究である。[3]

ただし、この仕組みの説明から「汗を残すと必ずフケになる」と結論することはできない。頭皮のレビューが描くのは、微生物の代謝、炎症、皮膚のバリアの乱れが関わる複雑な関係である。バリアとは、皮膚が外側と内側を隔てる働きである。レッスン後の濡れを、その複雑な過程の結末と同一視しないほうがよい。[3]

日常では「今日は汗が多かった」「いつもより根元が重い」「かゆみはない」と別々に振り返るほうが、全部を「汚れた」で済ませるより状況を整理しやすい。これは菌の数を推測する記録ではない。頭皮側の条件が複数あるという研究の見方を、帰宅後の観察に持ち込むための工夫である。[14]

さらに、皮脂を減らせば症状も必ず軽くなるという直線的な理解にも注意が必要だ。脂性のフケを対象とした洗髪研究では、症状が改善した一方で、測定された皮脂量は増えていた。べたつきの感覚を無視する必要はないが、皮脂の量だけで頭皮の健康を採点すると、この結果を説明できなくなる。[20]

フケの研究は「マラセチアだけ」で説明しているのか

フケに関するレビューの間でも、説明の重心は同じではない。マラセチアの過剰な増殖を重要な病態要因として整理するレビューがある一方、近年の別のレビューは、単純な過剰定着よりも微生物の働きや相互関係の乱れを強調している。どちらも頭皮の症状に微生物が関わる点を扱うが、注目する単位が異なる。[8][3]

この違いを「菌が多い説と菌が無関係な説の対立」と読むのは正確ではない。後者もマラセチアの皮脂分解などを論じている。そのうえで、細菌と真菌の関係や、同じ分類に属する微生物の性質の違いまで視野を広げている。常在菌をひとつの集団として数えるだけでは拾いにくい働きがある、という説明である。[3]

以前のフケのレビューも、マラセチアとの強い関連を扱いながら、ほかの頭皮微生物の役割に注目する研究を紹介していた。頭皮の水分や皮脂などの条件も併せて論じている。新しい菌の名前を覚えることより、皮膚と微生物の組み合わせで症状を考える点を持ち帰りたい。[14]

「洗わないと菌が増えるのでは」という検索の不安にも、この違いが関わる。増えるか減るかだけを答えにすると、どの微生物がどのような環境で働くかという問題が抜ける。フケの研究が向かっているのは、頭皮の生理と微生物の集まりを併せて捉える方向である。自分の頭皮を、菌の総数だけの競争にしなくてよい。[3]

数字で読む頭皮の洗髪研究

41人:脂性のフケがあるボランティアを追跡した、比較群のない非盲検研究である。[20]

28日間:試験用シャンプーの使用と、症状・微生物の変化を追った期間である。[20]

週3回:研究で定められた使用頻度であり、全員に適した洗髪頻度の証明ではない。[20]

14日目:真菌の種類の豊かさに有意な増加が見られた評価時点である。[20]

2.83から4.51:クチバクテリウムとブドウ球菌の比の変化であり、菌の総数の増加率ではない。[20]

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宮川涼 Founder

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